Αヘリックスのソースを表示
←
Αヘリックス
ナビゲーションに移動
検索に移動
あなたには「このページの編集」を行う権限がありません。理由は以下の通りです:
この操作は、次のグループに属する利用者のみが実行できます:
登録利用者
。
このページのソースの閲覧やコピーができます。
{{小文字|title=αヘリックス}} [[Image:alpha helix neg60 neg45 sideview.png|right|thumb|300px|αヘリックスのアラニン残基の部分を原子レベルで横から見た模式図。マゼンタ色は酸素-水素間の水素結合でその距離は約2.08 Åである。この図ではN末端が下側、C末端が上側に描かれている。]] '''αヘリックス'''(Alpha helix)は[[タンパク質]]の[[二次構造]]の共通[[モチーフ (生物学)|モチーフ]]の1つで、[[圧縮コイルばね|ばね]]に似た右巻き[[螺旋|らせん]]の形をしている。骨格となる[[アミノ酸]]の全ての[[アミノ基]]は4[[残基]]離れた[[カルボキシ基]]と[[水素結合]]を形成している。 ==発展の歴史== 1930年代前半、[[ウィリアム・アストベリー]]は湿った[[ウール|羊毛]]や[[髪の毛]]は、伸ばす前と後で[[X線繊維回折]]の結果が大きく違ってくることを発見した。この結果は、伸ばす前の繊維の分子は5.1 [[オングストローム|Å]]以下の周期でコイル状の構造を持っていることを示していた。 この実験の結果より、アストベリーは、 *伸ばす前のタンパク質分子はα型と言われるらせん状の構造をしている *タンパク質を伸ばすことによってらせん構造が壊れ、β型と言われる引き伸ばされた構造に変化する というモデルを提唱した。 詳細について誤りはあったにせよ、アストベリーのこのモデルは概ね正しく、1951年に[[ライナス・ポーリング]]、[[ロバート・コリー]]、[[ヘルマン・ブランソン]]らが提唱した二次構造の概念とも合致した。アストベリーのモデルでは原子同士がぶつかってしまっているため正しくない部分があると初めて指摘したのは、[[ハンス・ノイラート]]であった<ref>{{cite journal | last = Neurath | first = H | author = Hans Neurath | year = 1940 | title = Intramolecular folding of polypeptide chains in relation to protein structure | journal = Journal of Physical Chemistry | volume = 44 | pages = 296–305}}</ref>。ノイラートの論文とアストベリーのデータに刺激を受けた[[ヒュー・テイラー]]<ref>{{cite journal | last = Taylor | first = HS | author = Hugh Stott Taylor | year = 1942 | title = Large molecules through atomic spectacles | journal = Proceedings of the American Philosophical Society | volume = 85 | pages = 1–12}}</ref>、[[モーリス・ハギンズ]]<ref>{{cite journal | last = Huggins | first = M | author = Maurice Loyal Huggins | year = 1943 | title = The structure of fibrous proteins | journal = Chemical Reviews | volume = 32 | pages = 195–218}}</ref>、[[ローレンス・ブラッグ]]ら<ref>{{cite journal | last = Bragg | first = WL | author = William Lawrence Bragg | coauthors = Kendrew JC, Perutz MF | year = 1950 | title = Polypeptide chain configurations in crystalline proteins | journal = Proceedings of the Royal Society A | volume = 203 | pages = 321–?}}</ref>によってα-ヘリックスとよく似た[[ケラチン]]分子の構造モデルが提唱された。 近年のα-ヘリックスのモデルに関する2つの大きな進展は、アミノ酸や[[ペプチド]]の[[結晶構造]]やポーリングの予測した[[ペプチド結合]]に基づく正しい結合配置の決定と、らせん1回りの残基数が整数であるという誤った予測を捨てたことであった。決定的瞬間は、1948年1月にポーリングが風邪を引いて寝ている時に訪れた。退屈な彼は紙にペプチド鎖の絵を描き、それをらせんに折って注意深く観察していた。その時に彼はモデルに水素結合を導入することに気付いたのである。ポーリングはこの説を公表する前にコリー、ブランソンと共に入念な確認の実験を行った<ref>{{cite journal | last = Pauling | first = L | author = Linus Pauling | coauthors = Corey RB, Branson HR | year = 1951 | title = The Structure of Proteins: Two Hydrogen-Bonded Helical Configurations of the Polypeptide Chain | journal = Proceedings of the National Academy of Science in Washington | volume = 37 | pages = 205–?}}</ref>。 ==構造== ===幾何学と水素結合=== [[Image:alpha helix neg60 neg45 topview.png|thumb|left|300px|前出のαヘリックスを上から見た図。4つのカルボキシル基が100°ずつ開いて手前側に向かっている。]] αヘリックス中のアミノ酸は5.4 Å単位の右巻きらせん構造をしている。それぞれのアミノ酸はらせん中で100°向きを変え(つまりらせんは3.6残基で1回転し)、らせんの軸の方向に1.5 Å進む。アミノ酸のアミノ基は4残基離れたアミノ酸のカルボキシル基と水素結合を作っている。これに対して、水素結合が3残基ごとのものは[[310ヘリックス|3<sub>10</sub>ヘリックス]]、5残基ごとのものは[[Πヘリックス]]と呼ばれる。αヘリックス以外のヘリックス構造はあまり見られないが、3<sub>10</sub>ヘリックスはαヘリックスの末端部で見られることがある。水素結合が2残基ごとの不安定なヘリックス(δヘリックスと呼ばれることがある)が、αヘリックス形成の中間体として[[分子動力学法]]を使ったシミュレーション中に現れたという報告もある。 αヘリックス中のアミノ酸の[[二面角]]は(φ, ψ)=(-60°, -45°)であることが多い。より一般的には、ある残基のψの二面角と次の残基のφの二面角の値の合計がおよそ-105°になる。その結果、αヘリックスは[[ラマチャンドランプロット]]では、(-90°, -15°)の点と(-35°, -70°)の点を結ぶ傾き-1の線分として表される。これに対して、3<sub>10</sub>ヘリックスの二面角の合計はおよそ-75°、Πヘリックスの二面角の合計はおよそ-130°である。全てのトランス型ポリペプチドヘリックスの[[回転角]]Ωは、次の一般式で与えられる。 :<math>3 \cos \Omega = 1 - 4 \cos^{2} \left[\left(\phi + \psi \right)/2 \right]</math> αヘリックスは密に詰まっていて、らせんの内部にはほとんど空いた空間がないほどである。そのためアミノ酸の側鎖は、[[クリスマスツリー]]のように全て下側外向きを向いている。この配向性は低解像度の電子密度マップでタンパク質の骨格の方向を決めるのに利用されることもある。 ===安定性=== タンパク質中に見られるαヘリックスは4から40以上の残基によって構成されているが、多いのは10残基程度のものである。溶液中の短いポリペプチド鎖は、ヘリックスを形成するのに要する[[エントロピー]]がヘリックスを結合することによる安定性によって補償されないため、αヘリックス構造を取ることはあまりない。αヘリックスの水素結合は[[βシート]]の水素結合よりも弱く、周囲の水分子の影響を受けやすいと言われている。しかし[[細胞膜]]の様な疎水的な環境や[[トリフルオロエタノール]]などの共溶媒中では、[[オリゴペプチド]]も安定なαヘリックス構造を取ることができる。 ==実験的な検出== αヘリックスはその水素結合によって定義されるため、[[X線回折]]や[[核磁気共鳴分光法]](NMR)による実験が行われてきた。NMRによって1つ1つの水素結合が直接観測されることもある。 より低解像度の方法として、NMRの[[化学シフト]]を使う方法や[[残余双極子相互作用]]などがヘリックスを同定するのによく用いられる。波長170-250 [[ナノメートル|nm]]の[[紫外線]]による[[円偏光二色性]]スペクトルでも208 nmと222 nmの位置に固有のピークを持つ。これに対して、αヘリックスと[[ランダムコイル]]のピークがかぶるため、[[赤外分光法]]が使われることはほとんどない。最近ではタンパク質中のαヘリックスが[[電子顕微鏡]]でも見分けられるようになり、活発に研究が続けられている。 1種類のアミノ酸による長いホモポリマーは、それが可溶性のものであればヘリックスを作ることがある。このような長いヘリックスは[[誘電緩和法]]や[[流動複屈折法]]、または[[フィックの法則]]の定数の測定など特殊な方法によっても検出することができる。しかし厳密にいうと、これらの方法ではヘリックスの扁長の形や[[双極子モーメント]]しか見られていない。 ==アミノ酸の傾向== 異なったアミノ酸配列はαヘリックスの形成に対して異なった傾向を示す。[[メチオニン]]、[[アラニン]]、[[ロイシン]]、[[グルタミン酸]]、[[リシン]]は特にヘリックスを作る傾向が強いが、[[プロリン]]、[[グリシン]]、[[チロシン]]、[[セリン]]はヘリックスを作りにくい。特にプロリンはアミノ基を持っていないため水素結合の形成に関与できず、また側鎖の立体障害が大きくてφの二面角も-70°程度しかないことから、ヘリックス構造を壊したり歪めたりしてしまう。またグリシンは構造が単純で変形しやすいためヘリックスに閉じ込めておくことがエントロピー的に不利になり、ヘリックスの形成を阻害する。 ==双極子モーメント== ヘリックスの双極子モーメントは、らせんの軸方向に配列したそれぞれのアミノ酸のカルボニル基の双極子モーメントに由来する。このエントロピーによって、ヘリックスの安定性は低下している。またこの双極子モーメントを相殺するために、αヘリックスの[[N末端]]にはグルタミン酸など負の電荷を持ったアミノ酸がくることが多い。さらに数は少ないが、[[C末端]]にリシンのような正の電荷を持つアミノ酸が来ることもある。また、[[リン酸基]]のようなリガンドと結合するため、あえてN末端に正の電荷のアミノ酸が配置することもある。 ==大局的な構造== 最初に[[X線結晶構造解析]]がなされたタンパク質である[[ミオグロビン]]は全体の70 %程度が8つのαヘリックスでからなり、残りが[[ループ]]かランダムである。 [[コイルドコイル]]は、2つかそれ以上のαヘリックスが互いの周りを囲みスーパーコイル構造を作って安定化した形である。コイルドコイルには7連子と言われる、保存性の高い7残基の繰り返しモチーフがある。1番目と4番目の残基は常に疎水性のアミノ酸(4残基目はロイシンであることが多い)で、らせんの束の内部で密着している。5番目と7番目の残基は反対の電荷を持ち、塩橋で架橋されている。ケラチンや[[ミオシン]]のような[[繊維状タンパク質]]ではコイルドコイル構造がよく現れる。コイルドコイルと4[[ヘリックスバンドル]]はタンパク質に最もよく見られるモチーフである。例えばヒトの[[成長ホルモン]]や何種類かの[[シトクロム]]でも見られる。[[細菌]]の持つ[[プラスミド]]の複製を促進するRopタンパク質では、1つのポリペプチド鎖がコイルドコイル構造を取り、2つの単量体が集まって4ヘリックスバンドル構造を取るという、興味深い構造をしている。 ==機能と役割== αヘリックスは、[[ヘリックスターンヘリックス]]、[[ロイシンジッパー]]、[[ジンクフィンガー]]などの構造に含まれ、[[デオキシリボ核酸|DNA]]結合モチーフとしての役割を持つ。これは、αヘリックスの直径が約1.2 nmでB型のDNAのメジャーグルーブの幅とほぼ同じサイズであるためである。 ==ヘリックスからコイルへの構造変化== 1種類のアミノ酸からなるホモポリマーは低い温度ではαヘリックスを取るが、温度が上がるとコイルに構造が変化する。この構造変化はかつては[[変性]]と同じものだと考えられていた。 ==芸術におけるαヘリックス== 少なくとも2人の芸術家がαヘリックスに着想を得た作品を作っている。画家のジュリー・ニュードルと彫刻家のジュリアン・アンドレアである。 [[微生物学]]の学位も持つジュリー・ニュードルは1990年から微生物や分子に着想を得た絵画を制作してきた。2003年の彼女の作品''Rise of the Alpha Helix''はαヘリックスの背景の中に人が描かれた絵である。{{要出典|date=2023年6月}} ジュリアン・アンドレアはドイツ生まれの彫刻家で[[実験物理学]]の学位を持つ。彼は2001年から2004年にかけてタンパク質の構造を模した''protein sculptures''という作品を竹と木などの様々な材料を使って制作した<ref>{{cite journal | last = Voss-Andreae| first = J | year = 2005 | title = Protein Sculptures: Life's Building Blocks Inspire Art | journal = Leonardo | volume = 38 | pages = 41–45}}</ref>。高さ10フィートで真っ赤な色をしたこの作品はαヘリックスの発見者の一人であるポーリングに捧げられ、[[オレゴン州]][[ポートランド (オレゴン州)|ポートランド]]にある、ポーリングの幼少の頃の家の前に飾られている。 ==出典== <div class="references-small"> <references/> </div> ==参考文献== * Carl Branden and John Tooze. 1999. ''Introduction to Protein Structure'' 2nd ed. Garland Publishing: New York, NY. * David Eisenberg, "The discovery of the α-helix and β-sheet, the principal structural features of proteins". ''Proceedings of the National Academy of Sciences'' USA. (2003). '''100''':11207-11210. http://www.pnas.org/cgi/content/full/100/20/11207 * John Kendrew et al. 1960. The structure of myoglobin: a three-dimensional Fourier synthesis and 2Â resolution. ''Nature'' 185: 422-7. * Astbury WT and Woods HJ. (1931) "The Molecular Weights of Proteins", ''Nature'', '''127''', 663-665. * Astbury WT and Street A. (1931) "X-ray studies of the structures of hair, wool and related fibres. I. General", ''Trans. R. Soc. Lond.'', '''A230''', 75-101. * Astbury WT. (1933) "Some Problems in the X-ray Analysis of the Structure of Animal Hairs and Other Protein Fibers", ''Trans. Faraday Soc.'', '''29''', 193-211. * Astbury WT and Woods HJ. (1934) "X-ray studies of the structures of hair, wool and related fibres. II. The molecular structure and elastic properties of hair keratin", ''Trans. R. Soc. Lond.'', '''A232''', 333-394. * Astbury WT and Sisson WA. (1935) "X-ray studies of the structures of hair, wool and related fibres. III. The configuration of the keratin molecule and its orientation in the biological cell", ''Proc. R. Soc. Lond.'', '''A150''', 533-551. * Neurath H. (1940) "Intramolecular folding of polypeptide chains in relation to protein structure", ''J. Phys. Chem.'', '''44''', 296-305. * Taylor HS. (1942) "Large molecules through atomic spectacles", ''Proc. Am. Philos. Soc.'', '''85''', 1-12. * Huggins M. (1943) "The structure of fibrous proteins", ''Chem. Rev.'', '''32''', 195-218. * Bragg L, Kendrew JC and Perutz MF. (1950) "Polypeptide chain configurations in crystalline proteins", ''Proc. Roy. Soc.'', '''A203''', 321. * Pauling L, Corey RB and Branson HR. (1951) "The Structure of Proteins: Two Hydrogen-Bonded Helical Configurations of the Polypeptide Chain", ''Proc. Nat. Acad. Sci. Wash.'', '''37''', 205. * Sugeta H and Miyazawa T. (1967) "General Method for Calculating Helical Parameters of Polymer Chains from Bond Lengths, Bond Angles, and Internal-Rotation Angles", ''Biopolymers'', '''5''', 673-679. * Wada A. (1976) "The α-helix as an electric macro-dipole", ''Adv. Biophys.'', '''9''', 1-63. * Chothia C, Levitt M and Richardson D. (1977) "Structure of proteins:Packing of α-helices and pleated sheets", ''Proceedings of the National Academy of Science USA'', '''74''', 4130-4134. * Chothia C, Levitt M and Richardson D. (1981) "Helix to Helix Packing in Proteins", ''Journal of Molecular Biology'', '''145''', 215-250. * Hol WGJ. (1985) "The role of the α-helix dipole in protein function and structure", ''Prog. Biophys. Mol. Biol.'', '''45''', 149-195. * Barlow DJ and Thornton JM. (1988) "Helix Geometry in Proteins", ''J. Mol. Biol.'', '''201''', 601-619. * Murzin AG and Finkelstein AV. (1988) "General architecture of the α-helical globule", ''Journal of Molecular Biology'', '''204''', 749-769. {{二次構造}} {{DEFAULTSORT:あるふあへりつくす}} [[Category:立体化学]] [[Category:タンパク質構造]]
このページで使用されているテンプレート:
テンプレート:Cite journal
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:二次構造
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:小文字
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:要出典
(
ソースを閲覧
)
Αヘリックス
に戻る。
ナビゲーション メニュー
個人用ツール
ログイン
名前空間
ページ
議論
日本語
表示
閲覧
ソースを閲覧
履歴表示
その他
検索
案内
メインページ
最近の更新
おまかせ表示
MediaWiki についてのヘルプ
特別ページ
ツール
リンク元
関連ページの更新状況
ページ情報