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{{小文字}} '''μ-lawアルゴリズム'''は[[対数]]を用いた[[コンパンディング]]アルゴリズムの一種である<ref>"µ-law companding transformation" Tachibana, et al. (2018). ''[https://ieeexplore.ieee.org/document/8461332 An Investigation of Noise Shaping with Perceptual Weighting for Wavenet-Based Speech Generation]''. doi: 10.1109/ICASSP.2018.8461332</ref>。他のコンパンディングアルゴリズムと同様、[[信号 (電気工学)|信号]]の[[ダイナミックレンジ]]を低減させる。[[アナログ]]では、[[SN比|S/N]]を向上させる効果があり、デジタルでは[[量子化誤差]]を低減させる(結果としてS/Nが向上する)。S/N向上と引き換えに帯域幅が狭くなる。 主に[[北アメリカ]]と[[日本]]の[[デジタル]][[電気通信|通信]]システムに使われている。ヨーロッパでは、類似する[[A-lawアルゴリズム]]を使っている。 == アルゴリズム == アルゴリズムには、アナログ版と量子化されたデジタル版がある。 === 連続 === 入力 ''x'' に対する μ-law 符号化は、以下の式で表される<ref>{{cite web |url= http://www.cisco.com/en/US/tech/tk1077/technologies_tech_note09186a00801149b3.shtml |title=Cisco - Waveform Coding Techniques |accessdate=2008-07-29 }}</ref>。 :<math> F(x) = \sgn(x) \frac{\ln(1+ \mu |x|)}{\ln(1+\mu)}~~~~-1 \leq x \leq 1 </math> μ-law の伸張は以下の逆関数で与えられる。 :<math> F^{-1}(y) = \sgn(y) (1 / \mu ) [(1 + \mu)^{|y|}- 1]~~~~-1 \leq y \leq 1 </math> μを増加させると強い信号がより圧縮される(図参考)。 [[ファイル:Mu law.jpg|サムネイル|図. μ-law(x軸: 線形信号, y軸: μ-law信号)]] === 離散 === これは、ITU-T勧告 [[G.711]] に定義されている<ref>{{cite web |url= https://www.itu.int/rec/dologin_pub.asp?lang=e&id=T-REC-G.711-198811-I!!PDF-E&type=items |title=ITU-T Recommendation G.711|accessdate=2008-09-07}}</ref>。 G.711 では、境界にある値の扱いが不明確である(例えば、+31 は 0xEF なのか 0xF0 なのか)。しかし、G.191 にある[[C言語]]によるμ-lawエンコーダの例は、以下のようになっている。正の値と負の値の違いに注意が必要である。例えば、+30 から +1 の範囲に対応する負の範囲は -31 から -2 である。これは、[[2の補数]]ではなくむしろ[[1の補数]](単純な[[ビット演算#NOT|ビット反転]])で説明できる。 {| class="wikitable" |+ 量子化 μ-law アルゴリズム ! 14ビットの二進線形入力符号 !! 8ビットの圧縮済み符号 |- | +8158 から +4063 まで、256毎の16インターバル || 0x80 + インターバル数 |- | +4062 から +2015 まで、128毎の16インターバル || 0x90 + インターバル数 |- | +2014 から +991 まで、64毎の16インターバル || 0xA0 + インターバル数 |- | +990 から +479 まで、32毎の16インターバル || 0xB0 + インターバル数 |- | +478 から +223 まで、16毎の16インターバル || 0xC0 + インターバル数 |- | +222 から +95 まで、8毎の16インターバル || 0xD0 + インターバル数 |- | +94 から +31 まで、4毎の16インターバル || 0xE0 + インターバル数 |- | +30 から +1 まで、2毎の15インターバル || 0xF0 + インターバル数 |- | 0 || 0xFF |- | -1 || 0x7F |- | -31 から -2 まで、2毎の15インターバル || 0x70 + インターバル数 |- | -95 から -32 まで、4毎の16インターバル || 0x60 + インターバル数 |- | -223 から -96 まで、8毎の16インターバル || 0x50 + インターバル数 |- | -479 から -224 まで、16毎の16インターバル || 0x40 + インターバル数 |- | -991 から -480 まで、32毎の16インターバル || 0x30 + インターバル数 |- | -2015 から -992 まで、64毎の16インターバル || 0x20 + インターバル数 |- | -4063 から -2016 まで、128毎の16インターバル || 0x10 + インターバル数 |- | -8159 から -4064 まで、256毎の16インターバル || 0x00 + インターバル数 |} == 実装 == μ-lawアルゴリズムの実装には、以下の3種類がある。 ; アナログ : コンパンディングをアナログで行う。 ; 非線形ADC : [[アナログ-デジタル変換回路]]での量子化の際にμ-lawアルゴリズムを使う。 ; デジタル : デジタルでμ-lawアルゴリズムを適用する。 == 利用 == 北アメリカおよび日本での[[デジタル]][[電気通信|通信]]システム規格では ''μ'' = 255(8ビット)のμ-lawアルゴリズムが利用されている。 == 背景 == この符号化を使うのは、音声の[[ダイナミックレンジ]]が広いためである。アナログでは、ある一定の背景雑音が混じることで、信号の詳細が失われる。元々音の信号であるため、人間の[[聴覚]]は[[対数]]的に音の強さ([[音の大きさ]])を知覚するという事実を利用し、対数応答オペアンプを使って信号を対数的に圧縮する。電気信号にノイズが乗るのは主に信号線上であり、対数的に圧縮してからノイズが乗っても、信号を元に戻したときに音の大きい部分は確実に大きく知覚される。この手法は電気通信でデジタル化以前からよく使われ、μ-law 仕様が規格間の互換性のために定義された。 デジタルが使われるようになると、以前から使っていたアルゴリズムが音声を表す信号に必要なビット数の削減にも効果があることがわかった。μ-lawを使うと、標本を8ビットで表すことができ、コンピュータの処理単位とも一致した。 μ-law 符号化は、信号のダイナミックレンジを効率的に低減させ、同じビット数で線形符号化で信号を送った場合に比べて、[[SN比|S/N]]を低減させることができる。 μ-lawアルゴリズムは、[[Sunオーディオファイル]]でも使われ、UNIXにおけるデファクトスタンダードとして使われた。[[Sunオーディオファイル]]のフォーマットは、[[Java]] 1.1 の <code>sun.audio</code> [[パッケージ (Java)|パッケージ]]や一部の[[C Sharp|C#]]メソッドでもオーディオAPIとして使われている。 == A-lawとの比較 == μ-law は [[A-lawアルゴリズム|A-law]] よりも若干ダイナミックレンジが広いが、微細な信号の歪みが大きくなる。規定により、1カ国でもA-lawを使う国があれば、国際接続ではA-lawが使われる。 == 関連項目 == * [[G.711]] * [[Sunオーディオファイル]] * [[A-lawアルゴリズム]] == 脚注 == {{Reflist}} == 外部リンク == * [http://www.cisco.com/en/US/tech/tk1077/technologies_tech_note09186a00801149b3.shtml Waveform Coding Techniques] - 実装の詳細がある。 * [http://focus.ti.com/lit/an/spra163a/spra163a.pdf A-Law and mu-Law Companding Implementations Using the TMS320C54x] ([[Portable Document Format|PDF]]) * [http://focus.ti.com/lit/an/spra634/spra634.pdf TMS320C6000 μ-Law and A-Law Companding with Software or the McBSP] ([[Portable Document Format|PDF]]) {{データ圧縮}} {{DEFAULTSORT:みゆろうあるこりすむ}} [[Category:音声ファイルフォーマット]] [[Category:ITU-T勧告]]
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