Φのソースを表示

{{Redirectlist|ファイ|[[KinKi Kids]]の[[アルバム]]|φ (アルバム)|[[ルースターズ]]のアルバム|Φ PHY|ラジオ番組制作会社|ファイ (プロダクション)|2013年の[[韓国映画]]|ファイ 悪魔に育てられた少年}}
{{Otheruseslist|ギリシャ文字のΦ|キリル文字|Ф|アルメニア文字|Փ|グルジア文字|Ⴔ}}
{{混同|x1=[[直径記号]]の|{{Large|[[⌀]]}}|x2=空集合の記号の|∅|x3=スラッシュ付きオー|Ø|斜線付きゼロ}}
{{ギリシア文字|letter=phi uc lc}}
{{el|'''Φ''', '''φ'''}}（ファイ、フィー、{{lang-grc|φεῖ}} {{smaller|ペー}}、{{Lang-el|φι}} {{smaller|フィ}}、{{Lang-en|phi}} {{IPA|faɪ}} {{Smaller|ファイ}}）は、[[ギリシア文字]]の第21番目の文字。[[ギリシア数字]]の数価は500。

[[キリル文字]]の[[Ф]]はこの文字に由来する。

== 音声 ==
[[古代ギリシア語]]では[[無声両唇破裂音]]の帯気音 {{ipa|pʰ}}、[[現代ギリシア語]]では[[無声唇歯摩擦音]] {{ipa|f}} を表す。摩擦音への変化がいつごろ起きたかは正確にはわからないが、ビザンチン時代には摩擦音になっていたようである<ref>Allen (1987) pp.18-26</ref>。

== 起源 ==
古代ギリシア語には3つの帯気音 {{ipa|pʰ tʰ kʰ}} があった。このうち{{ipa|tʰ}}には[[フェニキア文字]]を転用することができたが（[[θ]]）、それ以外は適当なフェニキア文字が存在しなかった。[[クレタ島]]およびその周辺の[[サントリーニ島|テーラー]]、[[ミロス島|メーロス]]では文字を追加せず、{{ipa|pʰ}} の音は単に「{{lang|grc|Π}}」と書くか、または「{{lang|grc|ΠΗ}}」の2文字で表記したが<ref>Threatte (1996) p.272</ref>、それ以外の地域では新たに「{{lang|grc|Φ}}」の字を追加した。

この文字の起源については議論が分かれる。古代の文字名称はペー({{lang|grc|φεῖ}})で、この名は明らかに「[[π]]」からの類推によってつけられた<ref name="g">Allen (1987) p.170</ref>。紀元前4世紀の末に {{lang|grc|ει}} は {{ipa|iː}} と発音されるようになり、その影響で文字名称も {{lang|grc|φῖ}} とされることが普通になった。近代西洋諸言語の名はそれにもとづく<ref name="g"/>。

== 記号としての使用 ==
* 大文字の「Φ」は、
** [[電磁気学]]で、[[磁束]]を表す。
** [[言語学]]（[[生成文法]]）の用語に、[[Φ素性]]というものがある。
** [[数学]]において Φ{{sub|''n''}} の形で ''x''{{sup|''n''}} &minus; 1 における既約[[円分多項式]]を表す。
** 直径記号 ⌀ は、[[空集合]]の記号 [[∅]] やギリシャ文字大文字イタリックの '''''Φ''''' あるいは北欧系母音の [[Ø]] (スラッシュ付きオー)とは異なる。

* 小文字の「φ」（<math>\varphi\,\!</math>）は、
**[[幾何学]]で、[[θ]]に次いで角度を表す（[[球面座標系]]など）。
** [[数学]]で正整数 ''n'' に対し'''1から ''n'' までの整数'''のうち[[互いに素 (整数論)|互いに素]]なものの個数を与える関数: [[オイラーのφ関数|オイラー関数 &phi;(''n'')]] として使用される（なお，数学の'''集合'''においては，'''空集合'''の意味を表す）。
** また、[[黄金比]]の記号としても用いられ、<math>\varphi=\frac{1+\sqrt5}{2}</math>である。
** [[素粒子物理学]]では、[[ストレンジクォーク]]とその反クォークからなる[[ファイ中間子]] <math>\phi(s\bar{s})</math> を表す。
** [[量子力学]]では[[ψ]]とともに[[波動関数]]を表す。
** 場の理論（[[場の古典論]]、[[場の量子論]]）では、場を表す変数・演算子として使われる。
** [[電気工学]]で[[単相交流]]を「1<math>\phi\,\!</math>」、[[三相交流]]を「3<math>\phi\,\!</math>」と記述することがある。
** [[地質学]]において粒径区分に使用される。詳細は[[砕屑物]]を参照。
**またφ,Φを区別するため、前者をやわらかいファイやバルファイ、後者をかたいファイやファイと呼ぶことがある。
**また，一般的には「空（から）」をイメージする語として使用されることもあり，そのような意味の代替語として使われる場合もある。

== 類似の文字・記号 ==
* [[Ø]] - [[デンマーク語]]などで使われる文字。
* [[国際音声記号]] {{IPA|ɸ}} は[[無声両唇摩擦音]]を、{{IPA|ø}} は[[円唇前舌半狭母音]]を表す。
* ∅または <math>\emptyset</math> - [[数学]]で[[空集合]]を表す。
* [[径#直径記号|⌀]]（U+2300:DIAMETER SIGN）（[[ファイル:Boundy diameter.svg]]）- [[製図]]で[[径|直径]]を表す記号。呼び方は「まる」または「ふぁい」。誤って「パイ」と読まれることがある。
* [[0]]または <math>\emptyset</math>（[[斜線つきゼロ]]）- [[アマチュア無線]]で[[コールサイン]]に使われる（ゼロ）を表記する。

== 符号位置 ==
[[Unicode]]では小文字の「{{el|φ}}」に U+03C6 (GREEK SMALL LETTER PHI)と U+03D5 (GREEK PHI SYMBOL) の2つの符号位置が割り当てられている。Unicodeバージョン3.0以降は、前者が一筆書きの<math>\varphi\,\!</math>、後者が丸に斜線を引いた<math>\phi\,\!</math>の字形に対応するが、それ以前は割り当てが逆だった。この変更は現代ギリシア語において一筆書きの<math>\varphi\,\!</math>が通常用いられる字形であることによる。[[フォント]]によっては古いバージョンのUnicodeに従い逆の字形になっていることがある<ref name="unicode-math">{{cite book | url = https://unicode.org/reports/tr25/#_Toc231 | title = UTR #25: Unicode support for mathematics | chapter = Representative Glyphs for Greek Phi | format = [[PDF]]}}</ref>。

[[JIS X 0213]]では小文字のファイは1-6-53にあり、例示字形は丸に斜線<math>\phi\,\!</math>の形になっているが、U+03C6の方に対応することになっている。
{| class="wikitable"
|- style="text-align: center;"
!大文字!![[Unicode]]!![[JIS X 0213]]!![[文字参照]]!!小文字!!Unicode!!JIS X 0213!!文字参照!!備考
{{ULu|03A6|934|&amp;Phi;|1-6-21|03C6|966|&amp;phi;|1-6-53|}}
|}
{| class="wikitable" style="text-align: center;"
!記号!![[Unicode]]!![[JIS X 0213]]!![[文字参照]]!!名称
{{CharCode|981|03D5|-|GREEK PHI SYMBOL}}
|}

[[TeX|{{TeX}}]]では{{mono|\phi}}で丸に斜線の<math>\phi\,\!</math>を、{{mono|\varphi}}で一筆書きの<math>\varphi\,\!</math>を表す。

== 脚注 ==
<references />

== 参考文献 ==
* {{cite book|author=W. Sidney Allen|title=Vox Graeca|year=1987|origyear=1968|edition=3rd|publisher=Cambridge University Press|isbn=0521335558}}
* {{cite book|author=Leslie Threatte|chapter=The Greek Alphabet|year=1996|title=The World's Writing Systems|editor=Peter T. Daniels; William Bright|publisher=Oxford University Press|isbn=0195079930|pages=271-280}}

[[Category:ギリシア文字|ふあい]]