Ωのソースを表示

{{otheruses|[[ギリシア文字]]のΩ（オメガ）|[[グルジア文字]]のჲ|ჲ|スイスの腕時計メーカー|オメガ|その他の用法|オメガ (曖昧さ回避)}}
{{ギリシア文字|letter=omega uc lc}}
{{el|'''Ω''', '''ω'''}}（オメガ、{{lang-grc|ὦ}} {{smaller|オー}}、{{Lang-el|ωμέγα}} {{smaller|オメガ}}, {{Lang-en-short|''omega''}}）は、[[ギリシア文字]]の第24番目（最後）の文字。[[ギリシア数字]]の数価は800。

[[キリル文字]]の{{Unicode|[[Ѡ]]}}（現在は使われていない）はこの文字を起源とする。また、「⍜」（[[Ο]]の下に横棒）という[[書体]]もよく使われる。

== 起源 ==
この文字は[[フェニキア文字]]には由来せず、長く広い[[円唇後舌半広母音]]{{ipa|ɔː}}を表すために考案された。古い時代にはこの音は短母音とおなじく{{lang|grc|[[ο]]}}（オミクロン）によって表されていたが<ref>Allen (1987) p.79</ref>、東イオニア地方では短い「[[ε]]」と長い「[[η]]」を区別したのにならって、後に長母音のための専用の文字を作った。文字の字形は「Ο」の変形により、地方によっては「[[File:Greek Omicron 06.svg|20px]]」のように書かれた<ref>Allen (1987) p.90</ref>。イオニア式アルファベットは紀元前5世紀以降にギリシア世界全体の標準として使われるようになった。

古代での文字名称は単に{{lang|grc|ὦ}}（オー）と言ったが、西暦2-3世紀に母音の長短の区別が失われると、短い「Ο」と長い「Ω」を区別するため、前者を「小さなオ」({{lang|grc|ὂ μικρόν}}) すなわち「オミクロン」、後者を「大きなオ」({{lang|grc|ὦ μέγα}}) すなわち「オメガ」と呼んで区別した<ref>Allen (1987) pp.172-173</ref>。

文法書によってはこの文字の発音を「オーメガ」とするものもあるが、歴史的経緯を考えれば適切とはいえない<ref>田中利光『新ギリシャ語入門』大修館書店、1994年9月、p.5。ISBN 4-469-21191-5</ref>。

== 象徴としての用法 ==
{{seealso|アルファ・オメガ}}
最後の文字であることから最終・究極の意味で用いられる。
* [[α|アルファ]]からオメガまで（最初から最後まで）
* 「私はアルファでありオメガである」は、[[新約聖書]]の[[ヨハネの黙示録]]第22章13節の言葉。これはヨハネに世界終末の光景を幻視させた存在の表明である。一般的な解釈はギリシャアルファベットの最初と最後から、私は（森羅万象総ての）始まりと終わりであると言い換えれる。これは暗に私は総てを始め、終えることの出来る神であるとの表明と捉えられている。

== 記号としての用法 ==
* 大文字の「Ω」は:
** [[素粒子物理学]]で[[ハイペロン]]の一つ（<math>sss</math> からなる）を表す。
** [[電気抵抗]]の[[物理単位|単位]] 「[[オーム]]」を表す。
** [[数学]]では
*** [[計算複雑性理論]]や[[解析学]]で使われる[[オーダー記号]]の1つ（[[ランダウの記号]]参照）
*** [[オメガ定数]]および[[ランベルトのW関数]]
*** [[計算理論]]では[[チャイティンの定数|オメガ数]]（[[チューリングマシンの停止問題|停止]]確率とも）
*** ''n'' の重複も含めた[[素因数]]の総数を与える関数を Ω(''n'')と表記する。 
***最小の非可算順序数
** [[天文学]]で[[昇交点黄経]]を表す。
** [[宇宙論]]で[[宇宙の密度パラメーター]]を表す（[[宇宙論パラメータ]]を参照）。
** Ω巻き。[[ヘリカルスキャン方式|ヘリカルスキャン]] [[ビデオテープレコーダ|VTR]]のテープ走行レイアウトの方式の一。↔[[α]]巻き
* 小文字の「ω」は：
**[[物理学]]で[[角速度]]を表す。
** 数学では
***[[ζ]] に次ぐ第 2 の[[複素数]]、あるいは[[未知数]]を表すのに用いられることがある。
*** 1 の虚立方根（[[虚数]]である[[立方根]]）の何れか一方を指すことがある。
*** ''n'' の相異なる[[素因数]]の個数を与える関数を ω(''n'') と表記する。
***自然数全体の[[集合]]の[[濃度 (数学)|濃度]]。
** 天文学で、[[近日点引数]]を表す。
** [[素粒子物理学]]で、オメガ[[中間子]]を表す。
* [[国際音声記号]]で[[円唇後舌め広めの狭母音]]を表す「ʊ」は、大文字「Ω」の逆さに由来する。

== 符号位置 ==
{| class="wikitable" style="text-align: center;"
!大文字!![[Unicode]]!![[JIS X 0213]]!![[文字参照]]!!小文字!!Unicode!!JIS X 0213!!文字参照!!備考
{{ULu|03A9|937|&amp;Omega;|1-6-24|03C9|969|&amp;omega;|1-6-56|}}
{{ULu|038F|911||-|03CE|974||-|}}
|}
[[オーム]]の単位記号（Ω）はこの文字に由来するが、[[Unicode]]では別の文字として定義されている。Unicodeのオーム記号は、既存の文字コードとの互換性のために用意されている[[Unicodeの互換文字|互換文字]]であり、Unicode標準ではこの文字の代わりに「オメガ大文字」を使うことを推奨している。
{| class="wikitable" style="text-align: center;"
!記号!![[Unicode]]!![[JIS X 0213]]!![[文字参照]]!!名称
{{CharCode|8486|2126|-|オーム<br />OHM SIGN}}
{{CharCode|8487|2127|-|INVERTED OHM SIGN}}
|}

== 脚注 ==
<references />

== 参考文献 ==
* {{cite book|author=W. Sidney Allen|title=Vox Graeca|year=1987|origyear=1968|edition=3rd|publisher=Cambridge University Press|isbn=0521335558}}

== 関連項目 ==
*[[ジーメンス#モー]]　-　かつて使われた単位。Ωを上下逆さにした「℧」を使用する。
*[[ラウンドオメガ]]　-　初期[[キリル文字]]の「Ѻ, ѻ」を[[Unicode]]ではこの名前で呼んでいる。
*[[Ωカーブ]] - 勾配緩和や難工事個所を迂回して建設されたため、地形図上で視ると「Ω」に類似した箇所が視受けられる。

{{DEFAULTSORT:おめか}}
[[Category:ギリシア文字]]