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あじさい (人工衛星)
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{{脚注の不足|date=2024-04}} {{宇宙機 | 名称 = 測地実験衛星<br />「あじさい(EGS)」 | 画像 = | 画像の注釈 = | 所属 = [[宇宙開発事業団]](NASDA)<br />(現[[宇宙航空研究開発機構]](JAXA))<br />[[国土地理院]]<br />[[海上保安庁]][[海洋情報部]] | 主製造業者 = [[川崎重工業]] | 公式ページ = [https://www.jaxa.jp/projects/sat/egs/index_j.html 測地実験衛星「あじさい(EGS)」] | 国際標識番号 = 1986-061A | NORAD_NO = 16908 | 状態 = 運用中 | 目的 = [[H-Iロケット]]試験機の性能確認<br />国内測地[[三角点]]の規正<br />離島位置の決定<br />日本測地原点の確立 | 観測対象 = | 計画の期間 = <!--| 設計寿命 = 5年--><!--本機に「寿命」を規定するような要素は無いと思いますが……?--> | 打上げ機 = [[H-Iロケット]] 1号機 | 打上げ日時 = [[1986年]][[8月13日]]<br />5時45分(JST) | 軌道投入日 = [[1986年]][[8月13日]]<br />6時44分21秒(JST) | 最接近日 = | ランデブー日 = | 機能停止日 = | 通信途絶日 = | 運用終了日 = | 停波日 = | 消滅日時 = | 物理的特長 = 物理的特長 | 本体寸法 = 直径約2.15m | 最大寸法 = | 質量 = 685.2kg | 発生電力 = | 主な推進器 = | 姿勢制御方式 = スピン安定方式<br />40.3rpm(初期実測値)<ref name="2012-02-23"/><br />28.5rpm(2010年時点)<ref name="2012-02-23"/> | 軌道要素 = 軌道要素 | 周回対象 = 地球 | 軌道 = 円軌道 | 静止経度 = | 高度 = 約1500km | 近点高度 = | 遠点高度 = | 軌道半長径 = | 離心率 = | 軌道傾斜角 = 50.0度 | 軌道周期 = 約116分 | 回帰日数 = | サブサイクル = | 回帰精度 = | 降交点通過地方時 = | 搭載機器 = ミッション機器 | 搭載機器名称1 = 太陽光反射系 | 搭載機器説明1 = [[アルミニウム|Al]]蒸着鏡面×318枚 | 搭載機器名称2 = レーザ反射系 | 搭載機器説明2 = レーザ反射体×120組 | 搭載機器名称3 = | 搭載機器説明3 = | 搭載機器名称4 = | 搭載機器説明4 = | 搭載機器名称5 = | 搭載機器説明5 = | 搭載機器名称6 = | 搭載機器説明6 = | 搭載機器名称7 = | 搭載機器説明7 = | 搭載機器名称8 = | 搭載機器説明8 = | 搭載機器名称9 = | 搭載機器説明9 = }} '''あじさい'''は[[日本]]の'''測地実験衛星'''('''Experimental Geodetic Satellite'''、略称:'''EGS''')である。高精度測地ミッションの確立を目標とし、[[1986年]][[8月13日]]に[[H-Iロケット]]により打ち上げられた。光線を反射する鏡を持つのみの、コマンドの受信機能などは持たないという意味で完全にパッシブな宇宙機である。追跡と測地などに関するデータ及び後述するスピンレートなど宇宙科学・工学に関係するデータの継続などが業務であり、現在も軌道上にあるため運用中扱いとなっている。 == 概要 == あじさいは[[H-Iロケット]]の性能確認、国内測地三角網の規正、離島位置の決定(海洋測地網の整備)、日本測地原点の確立を目的とした測地衛星で、[[1986年]][[8月13日]]に[[H-Iロケット]]で打ち上げられた。当初は測地実験機能部(EGP:Experimental Geodetic Payload)と呼ばれ、川崎重工が開発を担当した初めての人工衛星であった。衛星の表面は太陽光反射用の鏡面とレーザ反射体で覆われており、太陽光反射の写真撮影によって方向測定を行い、地上と衛星のレーザ光往復時間を求めることにより距離測定を行う。 == 打ち上げから軌道投入まで == 本機は[[1986年]][[8月13日]]午前5時45分(JST)に[[H-Iロケット]]試験機1号機により[[種子島宇宙センター]]から打ち上げられた。この打上げは日本の[[宇宙機]]打上げとしては初の[[ピギーバック衛星|ピギーバック]]打上げで、本機の他、日本初の[[アマチュア衛星]]の「[[ふじ1号|ふじ]]」{{Efn2|後続機の打上げにより、「[[ふじ1号]]」に改称}}と、磁気軸受フライホイール実験装置を搭載した構体ペイロード(「[[じんだい]]」という称がある{{Efn2|分離しない構体ペイロードだったためか、資料によっては「じんだい」は列挙されていない場合が見られる。}})が打ち上げられた。 [[南アメリカ|南米]]上空においてスピンテーブルにより回転を与えられた後に、同日午前6時44分21秒に分離・軌道投入され、「あじさい」と命名された。投入された軌道は高度約1500km、[[軌道傾斜角]]約50度、周期約116分の[[円軌道]]であった。 ==特徴== あじさいの形状は直径約2.15mの球に内接する多面体で、[[姿勢制御|スピン安定方式]]の衛星である。スピン軸は赤道と垂直でスピンレートは約40rpm、質量は685.2kgで、構体系、レーザ反射系および太陽光反射系の3つの系で構成されている。電源および電源を必要とする機器類、スラスタ類、等は一切搭載しておらず、スピンは分離前にスピンテーブルにより与えられたものを慣性(角運動量保存)によって保つのみである。 スピンレートの初期実測値は40.3rpmであった。地球磁場([[地磁気]])と導電性の衛星材料との相互作用によって衛星内に[[渦電流|うず電流]]が生じ、その電流によって発生する磁場と地球磁場は互いに反発する向きとなるため、スピンレートは漸減する。本機は設計で、これを可能な限り防ぐために可能な限り低導電性の材料を用いるなどしており、推定ではスピンレートが半分になるまで約72年と推定していたが、不確定要素が大きいため正確な予測は困難であり、実際の減衰率は運用後の実測値から算出する必要があった。結果として1987年1月までで-0.6665rpm/年と予測の2倍程度大きく、これによるとスピンの半減期は約30年となった。 その後の観測からこの減衰について、スピンレートyは、打ち上げからの経過年数をxとすると、<math> y = 40.298 \times e^{-0.01500x} </math> という式が得られている。 === 構体系 === 構体系は[[ガラス繊維]][[繊維強化プラスチック|強化プラスチック]] (GFRP) 球殻[[モノコック構造]]の構体、スピンテーブルと結合されるアタッチフィッティングリングとニューテーションダンパからなる。1500~3000kmの測距で数cmの精度が要求されるため、光学系部品を高精度に取り付けられること、また部品同士の接触を防ぐことができる高い剛性があり、さらに汚染防止のため低アウトガス性を持つことが要求された。また前述したようなスピンの減速を可能な限り避けるため、非磁性で低導電性の材料を多用することが要求され、耐熱性ガラスエポキシ積層材を用いた球殻モノコック構造が採用された。構体本体は直径2mで一体成形品、重量約360kgであった。 === レーザ反射系 === 120組の[[レーザー|レーザ]]反射体からなる。レーザ反射体は入射方向に入射光を反射させる[[再帰性反射体|再帰性反射性]]を示す。各組のレーザ反射体は[[石英ガラス]]製の[[コーナーキューブ|キューブ・コーナ・リフレクタ]]12個から構成されている。ただし、各組のレーザ反射体の有効な入射角は±15°と小さいため、観測不能領域が存在しないようレーザ反射体の各組は衛星表面にまんべんなく配置されている。 === 太陽光反射系 === 318枚の[[アルミニウム]]蒸着鏡面からなる。鏡面の材料には非磁性、耐振動・衝撃性、[[紫外線]]・[[宇宙線]]に対する耐環境性、機械加工性などが要求され、[[アルミニウム合金]]や[[ベリリウム]]、各種の[[ガラス]]や[[セラミックス]]などが検討された。最終的にアルミニウム合金6061-T651に純アルミを蒸着させ、さらに[[ケイ素|SiO]]で保護コーティングした物が採用された。鏡面の[[反射率]]は0.85以上、[[曲率半径]]は8.0~9.0mである。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} === 注釈 === {{Notelist2}} === 出典 === {{Reflist|refs= <ref name="2012-02-23"> {{Cite web | url = https://www.jstage.jst.go.jp/article/sokuchi/58/1/58_9/_pdf | title = 測地衛星「あじさい」の開発と観測による測地学への貢献 | date = 2012-02-23 | accessdate = 2024-04-10 }} </ref> }} == 参考文献 == *坂井義典, 三谷弘敏, 佐々木嘉隆 「測地実験衛星「あじさい」の開発とその利用」 川崎重工技報 (1989/04) (通号 102) pp. p84~90 *坂井義典 他 「H-Iロケット,測地実験機能部の開発」 川崎重工技報 (1985/01) (通号 87) pp. p58~72 *国土地理院鹿野山測地観測所Webサイト「[http://www.gsi.go.jp/kanozan/egs.html 測地実験衛星「あじさい(EGS)」の観測]」(2009年3月閲覧) == 関連項目 == * {{仮リンク|人工衛星測地学|en|Satellite geodesy}} * {{仮リンク|地球力学|en|Geodynamics}} * [[エコー (人工衛星)|エコー]] * [[:en:PAGEOS|PAGEOS]] * [[LAGEOS]] * [[:en:STARSHINE|STARSHINE]] * [[LRE]] * [[LARES]] * [[:en:Sokol Eshelon]] * [[国際レーザー測距事業]] == 外部リンク == * [https://www.jaxa.jp/projects/sat/egs/index_j.html JAXA プロジェクトページ 「測地実験衛星「あじさい(EGS)」」] * {{Wayback|url=http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/kaihatu_eisei_egs.html |title=JAXA 宇宙情報センター あじさい |date=20070205023826}} * [http://www.gsi.go.jp/kanozan/ 国土地理院鹿野山測地観測所] {{日本の宇宙探査機・人工衛星}} {{Space-stub}} {{DEFAULTSORT:あしさい}} [[Category:日本の人工衛星]] [[Category:1986年の宇宙飛行]]
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