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{{chembox | verifiedrevid = 443366794 | Name = | ImageFile = Acetylene-CRC-IR-dimensions-2D.svg | ImageSize = 200px | ImageName = Acetylene | ImageFile1 = Acetylene-CRC-IR-3D-balls.png | ImageSize1 = 200px | ImageName1 = Acetylene | ImageFile2 = Acetylene-3D-vdW.png | ImageSize2 = 200px | ImageName2 = Acetylene - space-filling model | IUPACName = Ethyne<ref>[http://www.acdlabs.com/iupac/nomenclature/79/r79_53.htm Acyclic Hydrocarbons. Rule A-3. Unsaturated Compounds and Univalent Radicals], IUPAC Nomenclature of Organic Chemistry</ref> | SystematicName = Acetylene | Section1 = {{Chembox Identifiers | ChemSpiderID_Ref = {{chemspidercite|correct|chemspider}} | ChemSpiderID = 6086 | UNII_Ref = {{fdacite|correct|FDA}} | UNII = OC7TV75O83 | KEGG_Ref = {{keggcite|correct|kegg}} | KEGG = C01548 | InChI = 1/C2H2/c1-2/h1-2H | InChIKey = HSFWRNGVRCDJHI-UHFFFAOYAY | ChEMBL_Ref = {{ebicite|correct|EBI}} | ChEMBL = 116336 | StdInChI_Ref = {{stdinchicite|correct|chemspider}} | StdInChI = 1S/C2H2/c1-2/h1-2H | StdInChIKey_Ref = {{stdinchicite|correct|chemspider}} | StdInChIKey = HSFWRNGVRCDJHI-UHFFFAOYSA-N | CASNo = 74-86-2 | CASNo_Ref = {{cascite|correct|CAS}} | UNNumber = [[List of UN Numbers 1001 to 1100|1001]] (dissolved)<br/>[[List of UN Numbers 3101 to 3200|3138]] (in mixture with [[ethylene]] and [[propylene]]) | ChEBI_Ref = {{ebicite|correct|EBI}} | ChEBI = 27518 | SMILES = C#C }} | Section2 = {{Chembox Properties | C=2|H=2 | Density = 1.097 kg m<sup>−3</sup> | MeltingPt = −80.8 {{℃}}, 192.4 K, −113.4 {{°F}} | Melting_notes = [[三重点]] | BoilingPtC = −84 | Boiling_notes= 昇華 | Adiabatic Flame Temperature (Air NTP) = 2,534 {{℃}} | pKa = 25 }} | Section3 = {{Chembox Structure | MolShape = 直線形 }} | Section4 = {{Chembox Thermochemistry | DeltaHf = +226.88 kJ/mol }} | Section7 = {{Chembox Hazards | EUClass = | EUIndex = | MainHazards = | NFPA-H = 1 | NFPA-F = 4 | NFPA-R = 3 | NFPA-O = }} }} '''アセチレン'''({{lang-en-short|acetylene}})は炭素数が2の[[アルキン]]である。[[IUPAC命名法|IUPAC系統名]]は'''エチン''' ethyne、[[分子式]]は C<sub>2</sub>H<sub>2</sub>である。[[1836年]]に[[イギリス]]の{{仮リンク|エドモンド・デービー|en|Edmund Davy}}によって発見され、水素と炭素の化合物であるとされた。[[1860年]]になって[[マルセラン・ベルテロ]]が再発見し、「アセチレン」と命名した。アルキンのうち工業的に最も重要なものである。 [[酸素]]と混合し、完全[[燃焼]]させた場合の[[炎]]の[[温度]]は3,330 ℃にも及ぶため、その燃焼熱を目的として金属加工工場などで多く使われる。[[高圧ガス保安法]]により、常用の温度で圧力が0.2 MPa以上になるもので、現に0.2 MPa以上のもの、または、15 ℃で0.2 MPa以上となるものである場合、[[褐色]]の[[ボンベ]]に保管することが定められている。 == 構造 == [[化学式|構造式]]は HC≡CH で、炭素-炭素間で[[三重結合]]を1個だけ持つ直線型分子。炭素‐炭素間で[[π結合]]を二つ持ち、[[混成軌道|sp混成軌道]]を取り、結合角は180゚である。アルキンのうち最も簡単なものであり、[[異性体]]は存在しない。 == 物理的性質 == 常温では水に体積比 1:1 の割合で溶ける。[[テトラヒドロフラン]]などの有機溶媒にはより溶けやすい。爆発範囲は 2.5–81 vol%(空気中)である。純粋なものは無臭だが、市販されているものは通常硫黄化合物などの不純物を含むため、特有のにおいを持つ。 == 化学的性質 == アセチレンや一般のアルキンは三重結合を持つ[[不飽和炭化水素]]のため反応性が大きく、さまざまな物質の合成の原料となる。[[銀]]、[[銅]]、[[水銀]]等の[[金属]]や金属化合物と反応し、爆発性のある[[金属アセチリド]]を生成する。人体に対して有害性はないが、可燃性である。 === 付加反応 === アセチレンの三重結合は[[付加反応]]を受けやすい。[[ニッケル]]を触媒として[[水素]]を付加させると[[エチレン]]になり、さらに水素を付加させると[[エタン]]になる。 : <chem>HC # CH + H2Ni -> H2C=CH2</chem> : <chem>H2C = CH2 + H2 Ni -> H3C - CH3</chem> また、アセチレンの三重結合には[[ハロゲン化水素]]などの H−X 型の分子を容易に付加させることができる。 アセチレンに[[塩化水素]]を付加させると[[クロロエチレン]]になり、[[酢酸]]を付加させると[[酢酸ビニル]]になる。クロロエチレンや酢酸ビニルは合成[[高分子]][[化合物]]の原料として用いられる。 : <chem>HC {\equiv} CH{} + H - XLi -> H2C \ = \ CHX</chem> アセチレンに[[水]]を付加させた場合は[[ビニルアルコール]]となるが、これは容易に異性化し、速やかに[[アセトアルデヒド]]に変わる。 === 付加重合 === アセチレンは[[付加重合]]をすることができる。アセチレン2分子が重合すると[[モノビニルアセチレン]]になる。モノビニルアセチレンは[[ブタジエン]]や[[クロロプレン]]の原料として、[[合成ゴム]]をつくるときに用いられる。 :<chem>2HC # CH -> H2C=CH-C # CH</chem> アセチレン3分子が重合すると[[ベンゼン]]、[[ジビニルアセチレン]]、[[アセチレニルジビニル]]になる。[[ベンゼン]]を得る場合、加熱した[[鉄]]管もしくは[[石英]]管にアセチレンガスを通す方法がよく使われる。 :<chem>3HC # CH -> C6H6</chem> さらに重合が進んで得られるポリマーが[[ポリアセチレン]]で、導電性物質として利用される。 === アセチリド === アセチレンをはじめとする末端アルキン上の水素は、一般的なアルケンやアルカンのものに比べて酸性が高く、適切な強塩基により引き抜いて金属イオンに置き換えることができる。例えば、アセチレンに[[n-ブチルリチウム]]を作用させるとリチウムアセチリドを与える。 : <chem>HC {\equiv} CH{} + n\!-\!C4H9Li -> HC {\equiv} CLi{} + n-C4H10 \uparrow</chem> また、[[硝酸銀]]水溶液にアセチレンを吹き込むと、銀アセチリドの白色沈殿ができる。[[硫酸銅]]に作用させると銅アセチリドの赤色沈殿が発生する。銀アセチリドも、銅アセチリドも乾燥していれば、わずかな衝撃で爆発し、[[銀]]や[[銅]]と[[炭素]]に分解する。 == 所在・製法 == 実験室や[[アセチレンランプ]]など小規模な用途では、カーバイド法を用いて生成される。これは、[[炭化カルシウム|カーバイド(炭化カルシウム)]]に水を作用させる方法である。 工業用の大規模なものでは<ref>社団法人日本溶接協会 監修『新版 ガス溶接技能者教本』改訂第2版,産報出版,p22</ref>、アセチレンは炭化水素の熱分解による方法(熱分解法)や、カーバイド法を用いて生成される。 : <chem>CaC2 + 2H2O -> C2H2 + Ca(OH)2</chem> : メタンを使った場合 : <chem>2CH4 -> C2 H2 + 3H2</chem> メタンの熱分解には1400℃近くの高温が必要で、[[ホール・エルー法|アルミの電解精錬]]に匹敵するほど莫大な熱量を必要とする上、600〜800℃で重合して芳香族炭化水素を多く生じるため急冷して400℃以下に温度を下げねばならず商業的に実現可能なコストではない<ref>{{Cite journal|和書|last=泰碩|first=功刀|last2=朝也|first2=酒井|date=1962|title=メタン化学の進歩|url=https://doi.org/10.5059/yukigoseikyokaishi.20.426|journal=有機合成化学協会誌|volume=20|issue=5|pages=426–434|doi=10.5059/yukigoseikyokaishi.20.426}}</ref>。 == 利用 == アセチレンガスは他の[[LPガス]]等と同様に圧縮冷却すると[[液化]]できる。しかしアセチレンは3重結合の極めて不安定な物質なため分解爆発を起こす危険性があることから容器内にマスと呼ばれる[[軽石]]様の多孔質物質に[[アセトン]]を染み込ませ[[炭酸水]]のようにアセトンへ溶解させて充填させている。なお、この溶解アセチレン(ボンベ製品)の2016年度日本国内生産量は9,766tである<ref>[https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/seidou/result/ichiran/08_seidou.html#menu5 経済産業省生産動態統計年報 化学工業統計編]</ref>。 燃焼速度が極めて速く燃焼範囲も可燃性ガスの中では一番広い([[水素]]は2番目)ため空気中へ漏洩すると爆発の条件が揃いやすく危険な可燃性ガスでもある。 ===工業等への利用=== * アセチレンは[[燃焼]]するときに多量の燃焼熱を発生するので、バーナーの燃料として用いられる。アセチレンと[[酸素]]を混合して完全燃焼させた酸素アセチレン炎 (3,330℃) は[[金属]]の[[溶接]]や切断に用いられる。[[アメリカ合衆国]]では、年間生産の8割が化学合成に、残りの2割がアセチレン溶接、切断に使われている。近年でも、鉄の[[浸炭]]に使われる。 ==== 石炭化学工業 ==== かつて[[石炭化学|石炭化学工業]]では中間製品としてアセチレンが作られ、アセチレンを元に塩化ビニル、アクリルニトリル、酢酸ビニルなどの製品が作られていた。 今日の[[石油化学|石油化学工業]]では代わりにより安価な[[エチレン]]が用いられるのが一般的である。<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.kagawa-nct.ac.jp/libraryI/kagawakiyou/7/7-59.pdf |title=高等学校の有機化学の誤りを正す アセチレンからエチレンへ |accessdate=2022-12-19 |publisher=[[香川高等専門学校]]}}</ref> ===照明等への利用=== * [[ファイル:Gaslight (5151942999).jpg|サムネイル|[[ユニオンカーバイド|ユニオンカーバイド社]]のアセチレンランプの広告]]かつては [[アセチレンランプ]](カーバイドランプ)として照明用に使われていた。アセチレンランプは、上部と下部に分かれ、上部の水が下部の[[カルシウムカーバイド]]に滴り落ちアセチレンが発生するのを利用している。光量の調節が容易なため、高性能の[[蓄電池]]や[[送電線]]が普及するまでは、[[炭鉱]]の[[坑道|坑内]]灯や携帯灯具([[ランプ (照明器具)|カンテラ]])、[[蒸気機関車]]や[[自動車]]の[[前照灯]]などにも使われた。[[街灯]]としては、[[1897年]][[7月24日]]に[[ハンガリー]]の[[タタ (ハンガリー)|タタ]]に、[[1898年]]には[[イギリス|英国]]のノース・ペザトンに設置されている。 * [[スウェーデン]]の[[ニルス・グスタフ・ダレーン]]は、[[1912年]]にアセチレンを利用した「[[灯台]]や[[灯浮標]]などの照明用ガス貯蔵器用の自動調節機の発明」で[[ノーベル物理学賞]]を受賞した。 * 現在でも[[洞窟]]内[[探検]]([[ケービング]])で[[ランプ (照明器具)#カンテラ|カンテラ]]として使用されることがある。 == アセチレンから合成される化合物 == * [[エチレン]] * [[アセトアルデヒド]] * [[ベンゼン]] * [[アクリロニトリル]] * [[クロロエチレン|塩化ビニル]] * [[酢酸ビニル]] * [[ビニルアセチレン]] * [[ポリアセチレン]] * [[金属アセチリド]] == 参考文献 == {{reflist}} == 関連項目 == * [[アルキン]] * [[エタン]] * [[エチレン]] * [[アセチレンランプ]] == 外部リンク == * [http://www.jimga.or.jp/ 日本産業・医療ガス協会] * [http://www.gas-tatsuoka.co.jp/sgas/acetylene2.html タツオカ - アセチレンガスの物性、化学的性質、取扱注意事項、用途] {{アルキン}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:あせちれん}} [[Category:アルキン]] [[Category:ガス燃料]] [[Category:産業用ガス]]
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