アルキンのソースを表示
←
アルキン
ナビゲーションに移動
検索に移動
あなたには「このページの編集」を行う権限がありません。理由は以下の通りです:
この操作は、次のグループに属する利用者のみが実行できます:
登録利用者
。
このページのソースの閲覧やコピーができます。
{{出典の明記|date=2022年8月}} [[Image:Alkyne general.svg|right|thumb|アルキンの一般構造]] [[Image:Acetylene-3D-vdW.png|right|thumb|250px|最も単純なアルキン、エチン([[アセチレン]])の[[空間充填モデル]]]] '''アルキン'''({{Lang-de|Alkin}}、{{Lang-en|alkyne}})は、[[分子]]内に[[炭素]]間[[三重結合]]を1個だけ持ち、一般式が C<sub>n</sub>H<sub>2n−2</sub> で表される鎖式[[炭化水素]]の総称である。'''アセチレン系炭化水素'''とも呼ばれる。広義には分子内に非環式および環式の C−C 三重結合を持つ化合物全般を指し、この場合「アセチレン」の語を一般名称として用いる。 == 構造 == [[Image:Pi-bond.jpg|thumb|π結合の模式図。アルキンは互いに直交する2つのπ結合とσ結合からなる三重結合を持つ]] アルキンの2つの炭素原子の[[電子軌道]]は共にsp[[混成軌道|混成]]しており、それぞれ2つのp軌道と2つのsp混成軌道を持つ。各炭素原子はsp軌道を1つずつ提供し、それらが重なることにより[[σ結合]]を形成する。また、p軌道同士が重なり合うことによって作られる2つの[[π結合]]も持っている。合計3つの C−C 結合からなるため、これは[[三重結合]]と呼ばれる。残りのsp軌道は他の原子とσ軌道を作る。例えば親化合物である[[アセチレン]]では水素原子と結合している。アルキン上の2つのsp軌道は互いに反対向きに位置しており、アセチレンでは H−C−C [[結合角]]は180度である。合計6個の電子が関与しているため、この三重結合は非常に強く、[[結合エネルギー]]は 837 kJ/mol である。個別の結合エネルギーはσ結合 369 kJ/mol、1つめのπ結合 268 kJ/mol、2つめのπ結合 202 kJ/mol である。C−C 結合距離は 121 [[ピコメートル|pm]] であり、これはアルケンの 134 pm、アルカンの 153 pm と比べ短い。 ==命名法== [[IUPAC命名法]]では、語幹に -yne を付加することによって命名する。つまり、対応するアルカン alkane の語尾 -ane を -yne に変えればよい。三重結合の位置は位置番号で表し、これが最も小さくなるように番号を与える。アルキンを2つ以上含む場合は数辞を付け -diyne ('''ジアルキン'''), -triyne ('''トリアルキン'''), ... とする。例えば、<chem>HC # CCH2CH3</chem> は 1-ブチン 1-butyne、<chem>CH3C # CCH2CH3</chem> は 2-ペンチン 2-pentyne、<chem>CH3C # CCH2C # CCH2CH2CH3</chem>は ノナ-2,5-ジイン nona-2,5-diyne である。親化合物 HC≡CH は許容慣用名アセチレン acetylene を持つ。 ===アルキニル基=== アルキンの水素原子を1個取り除いた形である1価の置換基は'''アルキニル基'''(—き)と呼ばれる。三重結合上の水素を除いた場合はエチニル基 ethynyl (HC≡C−) など、その他の鎖上の水素原子を除いた場合はプロパ-2-イン-1-イル基 prop-2-yn-1-yl (HC≡CCH<sub>2</sub>−) などのように呼ぶ。後者は特に慣用名プロパルギル基で呼ばれることも多い。[[フェニルアセチレン|エチニルベンゼン]] ethynylbenzene (HC≡CC<sub>6</sub>H<sub>5</sub>)、[[プロパルギルアルコール]] propargyl alcohol (HC≡CCH<sub>2</sub>OH) などのように用いる。 ==<span class="anchor" id="末端アルキン"></span><span class="anchor" id="内部アルキン"></span>末端アルキンと内部アルキン== アルキンはsp混成軌道でσ結合を作ることにより、各炭素原子上に1つずつ、計2つの置換基を持つことができる。このうち片方が水素原子と結合しているものを'''末端アルキン'''(まったんアルキン、terminal alkyne)と呼ぶ。例えば示性式 CH<sub>3</sub>C≡CH で表される[[プロピン]](メチルアセチレン)がその例である。 これに対し、2つの炭素原子上に共に水素原子以外の基を持つものを'''内部アルキン'''(ないぶアルキン、internal alkyne)と呼ぶ。置換する基はヘテロ原子である場合もある。2-ペンチン 2-pentyne などがその例である。これは示性式 <chem>CH3C # CCH2CH3</chem> で表され、2つのアルキン炭素原子はそれぞれメチル基とエチル基を持っている。 ==酸性度== 末端アルキンのプロトンは[[アルカン]]や[[アルケン]]に比べて解離しやすい。アセチレンの [[酸解離定数|p''K''a]] は25であり、[[アンモニア]] (35) と[[エタノール]] (16) の中間程度で、[[エチレン]] (44)、[[エタン]] (50) よりはるかに低い。これは、生成するアセチリド C≡C<sup>−</sup> 上の電子対が収容されるsp軌道のs性が高いため、負電荷が安定化されやすいからであると説明される。一般に、ある軌道のs性が高い場合、正電荷を持つ原子核との距離がより小さくなるため、そのエネルギーは低くなる。 === アセチリド === 末端アルキンに強塩基、例えば金属[[ナトリウム]]、[[ナトリウムアミド]]、[[n-ブチルリチウム]]、[[グリニャール試薬]]などを作用させると、水素を発生しながら[[アセチリド]]を生じる。 : <chem>RC # CH\ + Na -> RC # CNa\ + \frac{1}{2}H2</chem> アセチリドは強い求核剤として有機合成上有用であり、C−C 結合生成反応に使われる。 他に銀アセチリドや銅アセチリドも知られる。 == 合成 == 隣接する2つの[[第17族元素|ハロゲン]]を持つアルカン誘導体の[[脱ハロゲン化水素化]]によって合成される。 : <chem>RCHX-CHXR -> RC # CR\ + 2 HX</chem> アセチリドを[[ハロゲン化アルキル]]と反応させ、炭素骨格を伸ばすことができる。 : <chem>RC # CNa + R'X -> RC # CR'</chem> [[フリッツ・バッテンバーグ・ビーチェル転位]] (Fritsch-Buttenberg-Wiechell rearrengement) は1,1-ジアリール-2-ブロモエチレンからアリール基が転位したアルキンを合成する反応である。中間体として[[カルベン]]を経由する。 : <chem>Ar(Ar')C=CHBr{} + \mathit{base} -> ArC\equiv CAr'</chem> [[アルデヒド]]に下式に示すα-ジアゾホスホナート化合物を作用させると炭素が1個増えた末端アルキンが得られる。このホスホナートは開発者の名をとって「[[セイファース・ギルバート増炭反応|大平-ベストマン試薬]]」と呼ばれる<ref>Ohira, S. ''Synth. Commun.'' '''1989''', ''19'', 561.</ref><ref>Müller, S.; Liepold, B.; Roth, G.; Bestmann, H. J. ''Synlett'', '''1996''', 521. DOI: [https://doi.org/10.1055/s-1996-5474 10.1055/s-1996-5474]</ref>。 [[Image:Bestmann's Reagent Scheme.png|300px|大平-ベストマン試薬]] == 天然物 == [[Image:Färberfrosch Dendrobates tinctorius.jpg|thumb|ヒストリオニコトキシンはヤドクガエルの皮膚から単離された]] アルキンは[[天然物化学|天然物]]としてはそれほどありふれたものではなく、よく知られている化合物は1000種類程度である。そのうち[[生理活性]]を示すものは多くないが、[[殺菌剤 (農薬その他)|殺菌剤]]、自己防衛のための毒、あるいは誘引物質などとして知られるものもある。 例えば[[ヤドクガエル科|ヤドクガエル]]は哺乳類や爬虫類などの捕食者から身を守るために[[ヒストリオニコトキシン]]と呼ばれる毒素を皮膚から分泌するが、これは分子内に2つのアルキンを持つ化合物である。また、アルキンを含む天然物群の一角は[[エンジイン]]構造を持つ[[抗生物質]]によって占められている。活性部位にエンジイン構造を持つ[[カリケアミシン]]・[[ネオカルチノスタチン]]などの天然物は[[細胞毒性]]または[[抗腫瘍活性]]を示すものが多く、それらは化学療法剤として利用できる可能性を持つ。 その他には、[[ドクゼリ]]の毒成分[[シクトキシン]]、[[中国]][[雲南省]]に自生する[[ホウライタケ科]]の猛毒菌''[[:en:Trogia venenata|Trogia venenata]]''の毒成分''2R''-アミノ-''4S''-ヒドロキシ-5-ヘキシン酸と''2R''-アミノ-5-ヘキシン酸<ref>[http://www.internetchemistry.com/news/2012/feb12/toxic-amino-acids.html Deadly chinese mushrooms: Amino acids revealed as cause of deaths in Yunnan province.], Internetchemistry.com, [[2012年]][[2月12日]]</ref>などが知られる。 == 主なアルキン == * [[アセチレン]] C<sub>2</sub>H<sub>2</sub> * [[プロピン]](メチルアセチレン) C<sub>3</sub>H<sub>4</sub> * ブチン([[1-ブチン]]、[[2-ブチン]]) C<sub>4</sub>H<sub>6</sub> * [[ペンチン]]([[1-ペンチン]]) C<sub>5</sub>H<sub>8</sub> * [[アセチレンジカルボン酸ジメチル]] (DMAD) * [[ジフェニルアセチレン]](トラン) * [[プロパルギルアルコール]] == 関連項目 == * [[アルカン]] * [[アルケン]] * [[ベンザイン]] - 構造式で C≡C 三重結合が描かれる芳香族中間体。 * [[ニトリル]] - C≡N 三重結合を持つ化合物群。 * [[ポリアセチレン]] - アセチレンが重合した高分子。 * [[ポリイン]] * [[カルビン]] == 参考文献 == {{脚注ヘルプ}} <references /> {{官能基}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:あるきん}} [[Category:炭化水素]] [[Category:アルキン|*]] [[Category:官能基]]
このページで使用されているテンプレート:
テンプレート:Lang-de
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Lang-en
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Normdaten
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:出典の明記
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:官能基
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:脚注ヘルプ
(
ソースを閲覧
)
アルキン
に戻る。
ナビゲーション メニュー
個人用ツール
ログイン
名前空間
ページ
議論
日本語
表示
閲覧
ソースを閲覧
履歴表示
その他
検索
案内
メインページ
最近の更新
おまかせ表示
MediaWiki についてのヘルプ
特別ページ
ツール
リンク元
関連ページの更新状況
ページ情報