アンペアのソースを表示

{{Otheruses|電流の単位|起磁力の単位|アンペア回数|競走馬|アンペア (競走馬)|お笑いコンビ|あんぺあ|KinKi Kidsのシングル|アン/ペア}}
{{単位
| 名称 = アンペア
| 読み = 
| フランス語 = ampère
| 英語 = ampere
| 画像 = [[File:Thunder rym.png|200px|雷光]]
| 記号 = A
| 度量衡 = 
| 単位系 = [[国際単位系]]
| 物理量 = [[電流]]
| SI = 
| 組立 = [[SI基本単位]]
| 定義 = [[電気素量]]を{{val|1.602176634e-19}}&nbsp;[[クーロン|C]]とすることによって定まる電流
| 派生単位 = 無し
| 由来 = 真空中に1mの間隔で平行に配置された無限に小さい円形断面積を有する無限に長い2本の直線状導体のそれぞれを流れ, これらの導体の長さ1mにつき2×10{{sup|−7}}[[ニュートン|N]]の力を及ぼし合う一定の電流
| 語源 = [[アンドレ＝マリ・アンペール]]
}}
'''アンペア'''（{{lang-en-short|ampere}} {{IPA-en|ˈæmpɛə''r''|}}、記号 : '''A'''）は、[[電流]]の[[計量単位]]であり、ある瞬間に流れる[[電気]]の大小を表す<ref>{{Cite web|和書|title=ボルト・アンペア・ワット - 電気のマメ知識｜中部電力 |url=https://www.chuden.co.jp/energy/ene_about/electric/chishiki/mame_bort/ |website=中部電力 |access-date=2022-06-15 |language=ja}}</ref>。[[量]]記号は ''I'' または ''i'' <ref>[[#国際単位系（SI）第9版（2019）]] p.98</ref>でありIntensityに由来とされる。

[[国際単位系]](SI)における7つの[[SI基本単位]]の一つである。アンペアという名称は、電流と[[磁場]]との関係を示した「[[アンペールの法則]]」に名を残す[[フランス]]の物理学者、[[アンドレ＝マリ・アンペール]]（André-Marie Ampère）に因む<ref name="chem">[[#chem|共立化学大辞典第 26 版 (1981)]]。</ref>。

[[SI]] で定められた[[単位記号]]は" A "であるが、英語圏では amp と略記されることがある<ref name=BIPM2006>SI supports only the use of symbols and deprecates the use of abbreviations for units.{{cite web | format = [[PDF]] | url= http://www.bipm.fr/utils/common/pdf/si_brochure_8_en.pdf |title=Bureau International des Poids et Mesures |year=2006  |page=130 | accessdate =21 November 2011}}</ref>。

なお、[[起磁力]]（量記号: ''F'' , ''F''{{sub|m}} ）や[[磁位]]差（量記号: ''U''{{sub|m}} ）の単位も同じ「アンペア」という名称であるが、これは電流の単位アンペアから組み立てられた組立単位であり、定義が異なる。{{main|[[アンペア回数]]}}

==定義==
現在の「アンペア」は、以下のように定義されている。(第26回[[国際度量衡総会]]の決定。2019年5月20日施行）

{{Quotation|アンペア（記号は A）は、電流の [[SI単位]]であり、[[電気素量]] ''e'' を単位 [[クーロン|C]]（A s に等しい）で表したときに、その数値を {{val|1.602176634|e=-19}} と定めることによって定義される。ここで、[[秒]]は ''∆ν''{{sub|Cs}} によって定義される<ref>[[#国際単位系（SI）第9版（2019）]] p.100</ref><ref group="注">国際単位系における正式の言語はフランス語である。ここでの定義は英語及びこれを日本語に翻訳したものである。正式な本文の確認が必要な場合又は文章の解釈に疑義がある場合はフランス語版を確認する必要がある。</ref>。
}}
''∆ν''{{sub|Cs}} は {{sup|133}}Cs （[[セシウム]]）の超微細構造遷移周波数である。

以上の定義から、1アンペアとは、1秒間に[[電気素量]]の 1/({{val|1.602176634|e=-19}}) 倍の[[電荷]]（=電子又は陽子{{val|6.24150907446|e=18}}個分に相当）が流れる[[電流]]強度である<ref>[https://unit.aist.go.jp/nmij/library/units/electric/ 基本単位の標準（電気）] Home/ 計量標準・JCSS/ 基本単位の標準/ 電気、計量標準総合センター、産総研
、最下段「アンペアの定義の補足」</ref>。

=== 計量法における定義 ===
日本の法令上は、計量法第3条の規定に基づく計量単位令（平成4年政令第357号）が、計量単位令の一部を改正する政令（令和元年5月17日政令第6号）により改正され、2019年[[5月20日]]に施行することにより次のように変更された。[[国際単位系]]における定義と同一である。

なお、2019年以前の計量単位令では、[[直流電流]]と[[交流電流]]に分けてアンペアを定義していたが、2019年の新定義では、この区別は廃止された<ref>[https://www.meti.go.jp/shingikai/keiryogyoseishin/kihon/pdf/2019_001_s02_00.pdf 国際単位系の定義改定について] 【基本部会・単位令関係】補足説明資料、p.6 現行・改正案対照表、経済産業省計量行政室、2019年4月</ref><ref>[https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190514002/20190514002-4.pdf 計量単位令の一部を改正する政令] 新旧対照条文、p.2、経済産業省 産業技術環境局 計量行政室、2019年5月14日
</ref>。

* 旧定義（2019年まで）
{{Quotation|真空中に一メートルの間隔で平行に配置された無限に小さい円形の断面を有する無限に長い二本の直線状導体のそれぞれを流れ、これらの導体の長さ一メートルにつき千万分の二ニュートンの力を及ぼし合う'''直流の電流'''又はこれで定義したアンペアで表した瞬時値の二乗の一周期平均の平方根が一である'''交流の電流'''}}

* 新定義（2019年以降）
{{Quotation|電気素量を十の十九乗分の一・六〇二一七六六三四[[クーロン]]とすることによって定まる電流}}

=== クーロンとの関係 ===
2018年11月16日の第26回国際度量衡総会 (CGPM) にて行われたアンペアの定義の改正では、[[電気素量]]が正確に{{val|1.602176634|e=-19|u=[[クーロン|A s]]}}<ref>{{Cite web|和書|title=計量単位令 {{!}} e-Gov法令検索 |url=https://laws.e-gov.go.jp/law/404CO0000000357 |website=elaws.e-gov.go.jp |access-date=2022-07-22}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/techno_infra/00_download/04keiryoutannireishinkyuu.pdf |title=○計量単位令（平成四年政令第三百五十七号）|work=計量単位令の一部を改正する政令案 新旧対照条文 |accessdate=2022-07-23 |publisher=経済産業省}}</ref>と定義された。そこからアンペアの定義が、毎秒1クーロンの電荷を流すような電流が1アンペアである、と定義しなおされ、従前の定義とは依存関係が逆転することになった。

アンペアを[[クーロン]]（アンペア秒）や[[アンペア時]]と混同してはならない。アンペアは電流の単位であり、クーロン（アンペア秒）やアンペア時は[[電荷|電荷（電気量）]]の単位である。国際単位系においては、定電流・瞬時電流・平均電流はアンペアで表されるのに対して、ある体積内に蓄えられた電荷や、一定時間内にある面を通過した電荷の量はクーロンで表される。クーロンとアンペア（クーロン毎秒）の関係は、[[ジュール]]と[[ワット|ワット（ジュール毎秒）]]、[[メートル]]と[[メートル毎秒]]の関係と同様である。

== 歴史 ==
{{main|電磁気の単位}}
電磁気学が発展した当時用いられていたのは[[CGS単位系]]であり、その電流の単位は、「真空中に1[[センチメートル]]の間隔で同じ大きさの電流が流れているとき、両者の間に働く力が1センチメートルにつき2[[ダイン]]であるときの電流」<ref>{{Citation | url = http://alpha.montclair.edu/~kowalskiL/SI/SI_PAGE.HTML | title = A short history of the SI units in electricity | publisher = Montclair | last = Kowalski | first = L}}.</ref>と定義されていた。この単位は「電磁単位」(emu)と呼ばれ、今日では[[アブアンペア]]とも呼ばれる。元々のアンペアは、電磁単位の10分の1の大きさとして定義された。このアンペアが、[[MKSA単位系]]において基本単位として選ばれた。

[[1948年]]以前は、[[銀]]の電解析出率に基づく'''国際アンペア''' ({{en|international ampere}}) と呼ばれる定義が用いられていた。国際アンペアは[[1893年]]の[[国際電気会議]]で発表された後、[[1908年]]の万国電気単位会議によって追認された[[国際電気単位]]の一つで<ref>[[#SI8thja|国際文書 国際単位系 (SI) 第 8 版日本語版 (2006)]] pp. 23&ndash;24。</ref>、[[硝酸銀]]水溶液中を通過する電気が 1 秒間当たり{{val|0.001118000|u=g}}の銀を[[析出]]させる電流として定義されていた<ref name=chem/><ref>{{Citation | url = http://www.sizes.com/units/ampHist.htm | title = History of the ampere | publisher = Sizes}}</ref>。現在の定義によるアンペアは国際アンペアと対比する際には絶対アンペアと呼ばれ、これら 2 つのアンペアの値は 1 国際アンペア = {{val|0.99985}}&nbsp;絶対アンペアとなる<ref name=chem/>。

===2019年までの定義===
{{see also|SI基本単位の再定義 (2019年)}}
[[File:Ampere-def-en.svg|thumb|アンペアの定義の説明を描いた参考図。]]
{{仮リンク|アンペールの力の法則|en|Ampère's force law}}<ref name=Serway>{{cite book
| first1 =Raymond A | last1 = Serway | last2 = Jewett | first2 = JW
|title=Serway's principles of physics: a calculus based text
|url=https://books.google.com/books?id=1DZz341Pp50C&pg=RA1-PA746&dq=wire+%22magnetic+force%22&lr=&as_brr=0&sig=4vMV_CH6Nm8ZkgjtDJFlupekYoA#PRA1-PA746,M1 |publisher=Thompson Brooks/Cole
|edition=Fourth
|location=Belmont, CA
|year=2006
|page=746
|isbn = 0-53449143-X}}</ref><ref name = "Beyond">{{Citation | url = http://www.nist.gov/public_affairs/newsfromnist_beyond_the_kilogram.htm | title = Beyond the Kilogram: Redefining the International System of Units | year = 2006 | publisher = [[アメリカ国立標準技術研究所]] | place = USA | accessdate = March 2008| archiveurl= https://web.archive.org/web/20080321221139/http://www.nist.gov/public_affairs/newsfromnist_beyond_the_kilogram.htm| archivedate= 21 March 2008 <!--DASHBot-->| deadurl= no}}.</ref>によれば、電流が流れている2本の平行した針金の間には、電流の向きに応じて引き付けあうまたは反発する力が働く。この力が2019年5月までのアンペアの定義に用いられていた。このアンペアの定義は以下の通りである。

{{Quotation|アンペアは, [[真空]]中に 1 メートルの間隔で平行に配置された無限に小さい円形断面積を有する[[無限]]に長い二本の直線状[[電気伝導体|導体]]のそれぞれを流れ, これらの導体の長さ 1 メートルにつき 2 × 10<sup>−7</sup>[[ニュートン (単位)|ニュートン]]の力を及ぼし合う一定の電流である。<ref name="名前なし">[https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/SI_9th/pdf/4_SI_%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%82%A2.pdf 改定国際単位系における電気標準] 金子普久（産総研 計量標準総合センター 物理計測標準研究部門 首席研究員）、p.35</ref><ref>{{Citation | first = Paul MS | last = Monk | title = Physical Chemistry: Understanding our Chemical World | publisher = John Wiley & Sons | year = 2004 | ISBN = 0-471-49180-2 | url = https://books.google.com/books?vid=ISBN0471491802&id=LupAi35QjhoC&pg=PA16&lpg=PA16&ots=IMiGyIL-67&dq=ampere+definition+si&sig=9Y0k0wgvymmLNYFMcXodwJZwvAM}}.</ref>}}

この定義は、[[1954年]]の第10回 CGPM で電流の基本単位として正式に決定された<ref>[[#国際単位系（SI）第9版（2019）]] p.131</ref>。この定義では、結果的に[[透磁率|真空の透磁率]] <math>\mu_0</math> の値を正確に 4π × 10{{sup|&minus;7}} N/A<sup>2</sup> に固定していることと同義である<ref name="名前なし"/>。

しかし2019年の定義改正により真空の透磁率（[[磁気定数]]）の値は、5.4×10<sup>−10</sup>の不確かさを持つこととなった。現在の値は、<math>\mu_0</math> = {{val|1.25663706212|(19)|e=-6|u=N/A<sup>2</sup>}}
である（2018 [[CODATA]]推奨値<ref name="nist">[[#nist|CODATA Value]]</ref>）。

<!--
== 現示 ==
2019年以前の定義によるアンペアの値は、{{仮リンク|電流天秤|en|Ampere balance}}または[[キブル天秤]]によって現示することができるが、実用上は[[電圧]]と[[電気抵抗]]の単位、すなわち[[ボルト (単位)|ボルト]]と[[オーム]]から[[オームの法則]]によって測定する方が容易である。ボルトは[[ジョセフソン効果]]によって、オームは[[量子ホール効果]]によってアンペアよりも容易に現示することができる<ref name = "Electrical quantities">{{Citation | url = http://www.bipm.org/en/publications/mises-en-pratique/electrical-units.html | title = SI brochure | chapter = Appendix 2: Practical realization of unit definitions: Electrical quantities | publisher = BIPM|accessdate=2016-05-09}}.</ref>。

現在のアンペアを現示する技術は、1{{e|-7}}の[[不確かさ (測定)|相対不確かさ]]を持つ<ref name= "Electrical quantities" />。
-->

== 倍量・分量単位 ==
{{SI multiples
|symbol=A
|unit=アンペア
|note=よく使われる単位を太字で示す
|m=|k=
}}

== 符号位置 ==
{| class="wikitable" style="text-align:center;"
!記号!![[Unicode]]!![[JIS X 0213]]!![[文字参照]]!!名称
{{CharCode|13184|3380|-|ピコアンペア}}
{{CharCode|13185|3381|-|ナノアンペア}}
{{CharCode|13186|3382|-|マイクロアンペア}}
{{CharCode|13187|3383|-|ミリアンペア}}
{{CharCode|13188|3384|-|キロアンペア}}
{{CharCode|13058|3302|-|全角アンペア}}
|}

[[Unicode]]には、[[CJK互換用文字]]として以下の文字が収録されている。
*{{Unichar|3380|Square pA}}
*{{Unichar|3381|Square nA}}
*{{Unichar|3382|Square mu A}}
*{{Unichar|3383|Square mA}}
*{{Unichar|3384|Square kA}}
*{{Unichar|3302|Square Anpea}}
これらは、既存の文字コードに対する後方互換性のために収録されているものであり、使用は推奨されない<ref>{{cite web|url=https://www.unicode.org/charts/PDF/U3300.pdf|title=CJK Compatibility|accessdate=2016-02-21|date=2015}}</ref><ref>{{cite web|publisher=The Unicode Consortium|title=The Unicode Standard, Version 8.0.0|location=Mountain View, CA|date=2015|isbn=978-1-936213-10-8|url=http://www.unicode.org/versions/Unicode8.0.0|accessdate=2016-02-21}}</ref>。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
<references group="注"/>

=== 出典 ===
{{Reflist}}

=== 参考文献 ===
* [https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/SI_9th/pdf/SI_9th_日本語版_r.pdf] {{Cite book |和書 |author=BIPM|authorlink=BIPM |date=2020-03 | translator = [[産業技術総合研究所]] 計量標準総合センター|title=国際単位系（SI）第9版（2019）日本語版 |publisher=産業技術総合研究所 計量標準総合センター |page= |id=|isbn= |ref=国際単位系（SI）第9版（2019） |quote= }}
* {{Cite book|和書|author=古賀正三|editor=化学大辞典編集委員会(編)|title=化学大辞典|volume=1|pages=523頁|edition=縮刷版第 26 版|publisher=共立出版|year=1981|month=10|ref=chem}}
* {{Cite web|和書|title=計量単位令（平成四年政令第三百五十七号）|url=https://laws.e-gov.go.jp/law/404CO0000000357|website=e-Gov法令検索|accessdate=2019-12-17|publisher=総務省行政管理局}}{{Anchors|gov}}
* {{Cite web
 |url= https://physics.nist.gov/cgi-bin/cuu/Value?mu0
 |title= CODATA Value:    vacuum magnetic permeability
 |accessdate= 2019-06-16
 |publisher= NIST
 |ref= nist
}}

== 関連項目 ==
{{Wiktionary}}
* [[アブアンペア]]
* [[ボルト (単位)]]
* [[ワット]]
* [[電流計]]
* [[電流の比較]]
* [[国際単位系]]
* [[SI基本単位]]

{{SI電磁気単位}}
{{SI units navbox}}

{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:あんへあ}}
[[Category:電流の単位]]
[[Category:電磁気の単位]]
[[Category:SI基本単位]]
[[Category:アンドレ＝マリ・アンペール]]
[[Category:物理学のエポニム]]