イオン交換膜法のソースを表示

'''イオン交換膜法'''（いおんこうかんまくほう）または'''IEM法'''（ion-exchange-membrane法）とは、[[電解法]]の一つで、[[イオン交換膜]]と[[電気分解]]を用いて[[塩化ナトリウム]]水溶液から[[水酸化ナトリウム]]を合成する方法である<ref>{{Cite web|和書
|url        = http://www.jsia.gr.jp/explanation_03.html
|title      = 電解法（か性ソーダ・塩素）の製造工程
|publisher  = 日本ソーダ工業会
|accessdate = 2012-3-11
}}</ref>。副産物として[[塩素]]と[[水素]]が得られる。日本ではかつて[[水銀法]]と[[隔膜法]]が使われていたが、それぞれ人体に有害な[[水銀]]と[[アスベスト]]を使っていたことから、水銀法は1986年6月<ref>{{Cite web|和書
|url        = https://www.env.go.jp/chemi/tmms/1901/mat03.pdf
|title      = 日本における水銀の需給状況と最新技術によるリスク削減のための取組
|format=PDF
|publisher  = [[環境省]]
|accessdate = 2012-3-12
}}</ref>、隔膜法は1999年8月<ref>{{Cite web|和書
|url        = http://www.np-g.com/news/news98092401.html
|title      = 塩素・苛性ソーダ製造設備隔膜電解法からイオン交換膜電解法に転換
|publisher  = [[日本製紙]]
|accessdate = 2012-3-12
}}</ref>に姿を消し、これ以後すべてイオン交換膜法となっている<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile/NCODE/7925 |title=日本のか性ソーダ生産能力、月産44万2,327トンに |publisher=CHEMNET TOKYO |accessdate=2012-3-12}}</ref>。

== 反応機構 ==
[[Image:Chloralkali_membrane.svg|thumb|right|300px|塩化ナトリウムの電気分解で使われる一般的な電解槽の模式図。'''クリックで拡大'''。[[アノード]]では塩化物イオン（Cl<sup>-</sup>）は塩素（Cl<sub>2</sub>）に[[酸化]]される。ナトリウムイオン（Na<sup>+</sup>）は陽イオン交換膜を自由に透過するが、水酸化物イオン（OH<sup>-</sup>）と塩化物イオンは透過しない。[[カソード]]では[[水]]が水酸化物イオンと[[水素]]（H<sub>2</sub>）に還元される。]]

陽極室（アノード側）は[[塩化ナトリウム]]の[[飽和水溶液]]で満たされ、[[電気分解]]により[[塩素]]ガスが発生する。
: <chem>2Cl^- -> Cl2\ + 2\mathit{e}^-</chem> 
ナトリウムイオンは水を伴って陽イオン交換膜を透過し陰極室（カソード側）へ移動するが、塩化物イオンは透過しない。塩素が発生し、濃度が低くなった溶液は塩化ナトリウムを加えて再利用される。発生した塩素ガスは洗浄、脱水され製品となる。

陰極室（カソード側）は[[純水]]で満たされ電気分解により水素が発生し、ナトリウムが陽イオン交換膜を透過してくることにより水酸化ナトリウム水溶液となる。
: <chem>2H2O\ + 2\mathit{e}^- -> H2\ + 2OH^-</chem>
生成した水素ガスと水酸化ナトリウムは排出される。陰極室では陽イオン交換膜に最適な32wt%の濃度を維持するため常時純水が供給される<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.chlorine-eng.co.jp/product/electrolysis/ion-exchange-membrane.html |title=イオン交換膜（IEM）法電解槽の基本原理 |publisher=[[クロリンエンジニアズ]] |accessdate=2012-3-12}}</ref>。

全体の反応式は次のようになる。
: <chem>2NaCl\ + 2H2O -> Cl2\ + H2\ + 2NaOH</chem>

== 出典 ==
{{Reflist}}

== 関連項目 ==
* [[ソルベー法]]
{{電気分解}}
{{デフォルトソート:いおんこうかんまくほう}}
[[Category:無機反応]]
[[Category:電気化学]]

[[en:Chloralkali_process#Membrane_cell]]