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[[File:Isocyanide-2D.png|thumb|right|200px|イソシアニドの一般的構造]] '''イソシアニド''' (isocyanide) は、[[有機化学]]において R-N≡C の構造を持つ[[化合物]]群を指す。[[無機化学]]では-N≡Cの部分が配位子として[[錯体]]を構成する。 有機化学では'''イソニトリル''' (isonitrile) 、'''カルビルアミン'''とも呼ばれ、[[ニトリル]] (R-CN) と比べ、[[炭素]]と[[窒素]]の位置が逆転している。さまざまな有機窒素化合物への合成中間体としての反応性が知られ、[[分子量]]が小さいものに悪臭を持つものが多い。なお、[[IUPAC]] は「isonitrile」を廃止された呼称 (obsolete) としており、「isocyanide」を使うように推奨している。 接頭辞「イソシアノ–」または種類名「–イソシアニド」「イソシアン化–」を用いて命名される。 == イソシアノ基 == イソニトリルが持つ -NC の構造は、[[イソシアノ基]] (isocyano group) と呼ばれる 1価の官能基である。[[一酸化炭素]]と同じ[[電子構造]]を持ち、下図のような[[共鳴]]式によりその反応性が理解されている。 [[File:Isocyanide resonance.svg|300px|イソシアノ基の共鳴]] == 合成 == イソニトリルは通常、[[ギ酸]]の[[アミド]]([[ホルムアミド]]の N-誘導体)の脱水により合成される。3級[[アミン]]の存在下、[[ホスゲン]]あるいは[[トリホスゲン]]などが脱水剤として用いられる。 : <chem>R-NHCHO\ + Cl2C=O\ + 2 R'3N -> R-NC\ + 2 R'3N \bullet HCl\ + CO2</chem> その後、[[ベンゾオキサゾール]]などの[[オキサゾール]]誘導体に[[ブチルリチウム]]などの[[強塩基]]などを作用させて2位を[[リチオ化]]・開環し、リチオ化した部位を[[酸塩化物]]などにより[[アシル化]]することで、容易に官能基の付いたイソシアニドの合成が可能となった<ref name="pirrung2006">{{ cite journal |author1=Pirrung, M. C. |author2=Ghorai, S. | title = Versatile, Fragrant, Convertible Isonitriles | journal = [[Journal of the American Chemical Society]] | year = 2006 | volume = 128 | issue = 36 | pages = 11772–11773 | doi = 10.1021/ja0644374 | pmid = 16953613 }}</ref>。これらの高分子量のイソシアニドは、下記の反応を起こすものの、臭気が[[麦芽]]や[[石油]]、[[チェリー]]{{要曖昧さ回避|date=2023年3月}}様の穏和なもの、もしくは無臭となっている。 [[File:Benzoxazole-isocyanide synth.png|center|frameless|400x400px]] == 反応 == 共鳴式が示すように、イソシアノ基の炭素は[[カルベン]]としての[[求電子性]]と[[カルバニオン]]としての[[求核性]]とを合わせ持つ。そのため、[[求電子剤]]と[[求核剤]]ともに炭素上へ付加することができる。 [[酸]]または[[塩基]]の作用により、水が付加して[[ギ酸アミド]]を与える。 : <chem>R-NC\ + H2O -> R-NHCHO</chem> [[有機リチウム化合物]]や[[グリニャール試薬]]はイソニトリルの炭素上に 1,1-付加する。 : <chem>R-NC\ + R'M -> R-N=C(M)R'</chem> [[水素化アルミニウムリチウム]] (LAH) により還元され、[[メチルアミン]]に変わる。 : <chem>R-NC\ + LiAlH4 -> R-NHCH3</chem> イソニトリルを基質とする人名反応として、[[カルボン酸]]、[[アルデヒド]]との 3成分で縮合してアミドを与える[[パセリニ反応]] (Passerini reaction)、そして[[カルボン酸]]、[[アミン]]、[[アルデヒド]]との 4成分で縮合してやはりアミドを与える[[ウギ反応]] (Ugi reaction) が挙げられる。 一酸化炭素と同様に、[[遷移金属]]に対する[[配位子]]としてはたらく<ref>{{Cite journal |和書|author =伊藤嘉彦|title =イソニトリルの新反応|date =2000|publisher =有機合成化学協会|journal =有機合成化学協会誌|volume =58|issue =5|doi=10.5059/yukigoseikyokaishi.58.381|pages =381-383|ref = }}</ref>。炭素-金属結合への挿入、金属触媒による重合反応などが知られる。 ==出典== {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} == 外部リンク == * [http://goldbook.iupac.org/I03270.html isocyanides] - IUPAC Gold Book * [http://www.chem-station.com/blog/2009/05/post-84.html "匂いのゴジラ"の無効化] - chem-station {{官能基}} {{Commonscat|Isocyanides}} {{DEFAULTSORT:いそしあにと}} [[Category:イソシアニド|*]] [[Category:官能基]]
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