イデアル類群のソースを表示

{{refimprove|date=February 2010}}
'''イデアル類群'''（イデアルるいぐん、{{lang-en-short|ideal class group}}）あるいは'''類群'''（るいぐん、{{lang-en-short|class group}}）とは、イデアルの'''類'''（{{Lang-en-short|ideal class}}）と呼ばれる[[分数イデアル|(分数)イデアル]]の[[同値類]]と、それらの間の積によって定まる[[群 (数学)|群]]のことであり、主に[[数論|整数論]]において用いられる。イデアル類群は[[代数体|数体]]からイデアルへの移行の際に起こる、群としての拡張の度合いを測るある種の指標となる<ref>{{Ilq|So the class group {{Math|''Cl''<sub>''K''</sub>}} measures the expansion that takes place when we pass from numbers to ideals,|lang=en}}{{Harv|Neukirch|1999|p=22}}</ref>。

例えば、イデアル類群が[[自明群|自明]] (⇔群の位数が1) であるとは全ての分数イデアルが単項イデアルであるということであり、これは数体の[[整数環]]が[[単項イデアル整域]]であることを意味する。他方、<math display="inline">\mathbb{Q}(\sqrt{-5})</math> はイデアル類群の位数が2であることが知られているが、実際この体では <math display="inline">6=2\cdot 3=(1+\sqrt{-5})(1-\sqrt{-5})</math> が成り立つため、一意な素因数分解ができず{{Efn|それぞれが生成する[[主イデアル|単項イデアル]]は素イデアルでないため、<math>\mathbb{Z}[\sqrt{-5}]</math> において2や3は実際のところ[[素元]]ではない。}}、単項でないイデアル <math>(2,1+\sqrt{-5})</math> が存在する。

イデアル類群の位数は'''類数'''（るいすう、{{lang-en-short|class number}}）と呼ばれる。歴史的にはイデアル類群の発見より以前に、[[判別式]]が等しい[[二次形式|二元二次形式]]に対する同値類の数として類数は研究されていた。これが群演算を持つことは1801年の[[カール・フリードリヒ・ガウス]]の書籍によって示され、実際にこの同値類と群は[[二次体]]のイデアル類群に対応している。

== 歴史と起源 ==

イデアル類群（というよりは、実質的にイデアル類群であったもの）は、[[イデアル]]の概念が定式化されるよりも前に、[[二次形式]]の理論として研究されていた。二元二次形式の一般論は1773年に[[ジョゼフ＝ルイ・ラグランジュ|ラグランジュ]]によって最初に与えられた<ref>{{Cite journal|last=Lagrange|first=Joseph-Louis|author-link=ジョゼフ＝ルイ・ラグランジュ|year=1773, 1775|title=Recherches d'arithmétique|url=http://sites.mathdoc.fr/cgi-bin/oeitem?id=OE_LAGRANGE__3_695_0|journal=Nouveaux mémoires de l'Académie royale des sciences et belles-lettres de Berlin|language=fr|accessdate=2023-12-10|id=(全集：3巻, pp. 695–795)}}</ref>。1801年に著された [[Disquisitiones Arithmeticae|{{CiteElem|Disquisitiones Arithmeticae}}]] において[[カール・フリードリヒ・ガウス|ガウス]]は、同じ判別式の値を持つ2次形式の間に演算を定義できて、それが群の公理を満たす（この時点で[[群論]]はまだ整備されていないが）ことを示した{{Sfn|Goldfeld|1985|p=25–26}}。

後に[[エルンスト・クンマー|クンマー]]は[[円分体]]の理論に向かって研究していた。[[1の冪根]]を用いた分解によっては[[フェルマー予想]]の一般の場合が完全に証明できないことはとてもよい理由のためであると（おそらく複数の人々によって）気付かれていた：つまりそれらの1の冪根によって生成された[[環 (数学)|環]]において[[算術の基本定理]]が成り立たないことが主な障害だった。クンマーの最初の仕事から分解の障害の研究が生じた。我々は今ではこれをイデアル類群の一端と理解する：実はクンマーは、フェルマーの問題に取り組む標準的な手法の失敗の理由として、任意の素数 {{mvar|p}} に対して、{{math|1}} の {{mvar|p}}{{Nbsp}}乗根の体に対してその群における {{mvar|p}}-[[捩れ部分群|torsion]] を分離していた（[[正則素数]]を参照）。

やや後になって[[リヒャルト・デデキント|デデキント]]は[[イデアル]]の概念を定式化したが、クンマーは異なる方法で研究していてこの時点で存在する例を統一できた。[[代数的整数]]の環は（[[単項イデアル整域]]とは限らないため）素元への一意分解を持たないが、すべての真のイデアルは[[素イデアル]]の積としての一意的な分解を持つ（つまりすべての代数的整数環は[[デデキント整域]]である）という性質を持つことが示された。イデアル類群の大きさは環が単項イデアル整域であることからどれだけ隔たっているかを表すものと考えられる；環が単項イデアル整域であることと自明なイデアル類群を持つことは同値である。

== 定義 ==
数体 {{Mvar|K}} に対して、その[[整数環]]を <math display="inline">\mathcal{O}_K</math>で表す。{{Mvar|K}} の[[分数イデアル]]とは、有限生成な <math display="inline">0\ (:=\{0\})</math> でない部分<math display="inline">\mathcal{O}_K</math>[[環上の加群|加群]]である。すなわち、0でない生成元 <math display="inline">k_1,\dots,k_N \in K</math> に対して<math display="block">(k_1,\dots,k_N):=\{k_1a_1+\cdots+k_Na_N\mid a_1,\dots,a_N\in\mathcal{O}_K\}</math>で与えられるような<math display="inline">\mathcal{O}_K</math>加群が分数イデアルである。このとき、分数イデアルの全体 <math display="inline">J_K</math> は[[イデアルの積]]によって可換群をなす。例えばあるイデアル <math display="inline">\mathfrak{a}</math> の逆元は <math display="inline">\mathfrak{a}^{-1}:=\{x\in K\mid \forall a\in\mathfrak{a}.ax\in\mathcal{O}_K\}</math> によって与えられる。単位元は <math display="inline">\mathcal{O}_K</math> 自身である。


[[主イデアル|単項イデアル]] {{Math|(''a''), (''b'')}} に対して、その積は再び単項イデアル {{Math|(''ab'')}} であり、従って単項イデアルの全体 <math display="inline">P_K</math> は <math display="inline">J_K</math> の部分群である。このとき、剰余群 <math display="inline">J_K/P_K</math>を'''イデアル類群'''と言い、例えば {{Math|''Cl''{{Sub|''K''}}}} <ref name=":0">{{Harvnb|Neukirch|1999|p=22}}</ref>などで表される。イデアル類群を構成するそれぞれの同値類をイデアルの類という。特にイデアル類群の単位元となる <math display="inline">P_K</math> を'''単位類'''あるいは'''主類'''（{{Lang-de|Hauptklasse}}）という<ref>{{Harvnb|高木|1948|p=52}}</ref>。

== イデアル類群の例 ==

=== 自明な例 ===
定義から、体の整数環が[[単項イデアル整域]]ならばイデアル類群は自明となる。特に、次で示すような体の整数環は[[ユークリッド環]]であるため、自明なイデアル類群を持つ。

* [[有理数|有理数体]] <math display="inline">\mathbb{Q}</math> - [[整数|有理整数環]] <math display="inline">\mathbb{Z}</math>
* ガウス数体 <math display="inline">\mathbb{Q}(i)</math> - [[ガウス整数|ガウス整数環]] <math display="inline">\mathbb{Z}[i]</math>
* <math>\mathbb{Q}(\sqrt{-3})</math> - [[アイゼンシュタイン整数|アイゼンシュタイン整数環]] <math>\mathbb{Z}[\omega]</math>

=== 非自明な例 ===
-5の平方根を添加した体 <math>\mathbb{Q}(\sqrt{-5})</math> について考える。この体は具体的に <math>a+b\sqrt{-5}</math> ({{Math|''a'', ''b''}} は有理数) の形の[[複素数]]すべての集合によって構成され、演算は通常の複素数の四則で定義される。このとき、整数環は <math>\mathbb{Z}[\sqrt{-5}]</math> である。

環 <math>\mathbb{Z}[\sqrt{-5}]</math> は[[一意分解環|一意分解整域]]ではないことが知られている。実際、<math display="block">6=2\cdot 3=(1+\sqrt{-5})(1-\sqrt{-5})</math>が成り立つため、2、3、1+√-5、1-√-5 はいずれも <math>\mathbb{Z}[\sqrt{-5}]</math> の[[素元]]ではない。イデアル類群における同値類は単位類と <math>(2,1+\sqrt{-5})</math> の同値類の2つであり、<math>\mathbb{Q}(\sqrt{-5})</math> の類数は2である。

== 二次体の類数 ==
いま {{mvar|d}} を[[平方因子を持たない整数]]（相異なる素数の積）で、1 でないとすると、{{math|'''Q'''({{sqrt|''d''}})}} は[[二次体| {{math|'''Q'''}} の二次拡大]]である。そうして {{math|''d'' < 0}} ならば、{{math|'''Q'''({{sqrt|''d''}})}} の代数的整数環 {{mvar|R}} の類数が 1 に等しいのは以下のいずれかの場合だけである：{{math2|1=''d'' = &minus;1, &minus;2, &minus;3, &minus;7, &minus;11, &minus;19, &minus;43, &minus;67, &minus;163}}。この結果は最初[[カール・フリードリヒ・ガウス|ガウス]]によって予想され、{{仮リンク|クルト・ヘーグナー|en|Kurt Heegner}}によって証明されたが，ヘーグナーの証明は後に{{仮リンク|ハロルド・スターク (数学者)|en|Harold Stark|label=ハロルド・スターク}}が1967年に証明を与えるまで信用されなかった（{{仮リンク|スターク・ヘーグナーの定理|en|Stark-Heegner theorem}}を参照）。これは有名な[[類数問題]]の特別な場合である。

一方で、{{math|''d'' > 0}} のときは、{{math|'''Q'''({{sqrt|''d''}})}} の類数が 1 になる場合が無限個あるかどうかは分かっていない。計算機による結果は、そのような体が非常に多くあることを示している。しかしながら、類数が 1 の[[代数体]]が無限個あるかどうかさえ知られていない{{sfn|Neukirch|1999}}。

{{math|'''Q'''({{sqrt|''d''}})}} のイデアル類群は、{{math|''d'' < 0}} のときは、{{math|'''Q'''({{sqrt|''d''}})}} の判別式に等しい[[判別式]]の整{{仮リンク|二項二次形式|en|binary quadratic form}}のイデアル類群に同型である。しかし {{math|''d'' > 0}} に対して、イデアル類群の大きさは半分かもしれない、なぜならば整二項二次形式の類群は {{math|'''Q'''({{sqrt|''d''}})}} の{{仮リンク|狭義類群|en|narrow class group}}に同型だからである{{sfn|Fröhlich|Taylor|1993|loc=Theorem 58}}。

==性質==
イデアル類群が自明である（すなわちただ1つしか元を持たない）ことと、{{mvar|R}} のすべてのイデアルが単項イデアルであることは同値である。この意味においてイデアル類群は、{{mvar|R}} が[[単項イデアル整域]]であることから、したがって一意的な素元分解を満たすことから、どれだけ離れているかを測っている（デデキント環が[[一意分解整域]]であることと単項イデアル整域であることは同値である）。

イデアル類の個数（{{mvar|R}} の'''類数'''）は一般には無限大かもしれない。実は、任意のアーベル群はあるデデキント環のイデアル類群に同型である{{sfn|Claborn|1966}}。しかし、実際には {{mvar|R}} が代数的整数の環であるときには、その類数はつねに''有限''である。これは古典的な代数的整数論の主要な結果の1つである。

類群の計算は一般には難しい；{{仮リンク|代数体の判別式|label=判別式|en|discriminant of an algebraic number field}}が小さい[[代数体]]の整数環に対しては、{{仮リンク|Minkowski's bound|en|Minkowski's bound}}を用いることで、手で計算できる。この結果は、環に依存する上界であって、すべてのイデアル類が上界よりも小さい{{仮リンク|イデアルノルム|en|ideal norm}}を含むものを与える。一般にはこの上界は判別式の大きい体に対して手で計算をするのに十分小さいものではないが、コンピュータはその仕事に適している。

整数環 {{mvar|R}} から対応するイデアル類群への写像は[[関手]]的であり、イデアル類群は[[代数的K理論]]の先頭に {{math|''K''<sub>0</sub>(''R'')}} を {{mvar|R}} にそのイデアル類群を割り当てる関手として包摂できる；より正確には、{{math|''C''(''R'')}} を類群として、{{math|1=''K''<sub>0</sub>(''R'') = '''Z'''&times;''C''(''R'')}} である。高次の K 群も整数環と関連して数論的に解釈できる。

==単数群との関係==
上記で既に見たように、イデアル類群は[[デデキント環]]のどのくらいのイデアルが元のように振る舞うかという問いに部分的な解答を与える。答えの別の部分はデデキント環の[[可逆元|単数]]のなす乗法[[群 (数学)|群]]が与える。なぜならば単項イデアルからその生成元への移行には単元を使わなければならないからである（そしてこれは分数イデアルの概念を導入する理由の残りでもある）。

イデアル類群 <math display="inline">Cl_K </math> は分数イデアルのなす群 <math display="inline">J_K</math> を単項イデアルのなす群 <math display="inline">P_K</math> で割ることによって定義されたが、これは次のような[[完全列]]の一部を構成する<ref name=":0" />。<math display="block">1\longrightarrow\mathcal{O}_K^*\longrightarrow K^*\longrightarrow J_K\longrightarrow Cl_K\longrightarrow 1</math>ここで <math display="inline">\mathcal{O}_K^*</math> は <math display="inline">\mathcal{O}_K</math> の[[可逆元|単数]]群、<math display="inline">K^*</math>は {{Mvar|K}} の[[乗法群]]であり、準同型 <math display="inline">K^* \longrightarrow J_K</math> はその元が生成する単項イデアルへの写像 <math display="inline">a \longmapsto(a)</math> である。<math display="inline">\mathcal{O}_K</math>の単数群は数体上の数からイデアルへの移行において、その収縮の度合いを測るものとなる<ref>{{Ilq|(..., whereas) the unit group <math>\mathcal{O}^*</math> measures the contraction in the same process.|lang=en}}{{Harv|Neukirch|1999|p=22}}</ref>。
== 類体論との関係 ==

[[類体論]]は与えられた代数体のすべての[[アーベル拡大]]、つまり[[ガロワ群]]が可換なガロワ拡大を分類しようとする[[代数的整数論]]の分野である。とりわけ美しい例は代数体の[[ヒルベルト類体]]において見つかる。これはそのような体の極大[[不分岐]]アーベル拡大として定義できる。代数体 {{mvar|K}} のヒルベルト類体 {{mvar|L}} は一意的であり、以下の性質を持つ：

* {{mvar|K}} の整数環のすべてのイデアルは {{mvar|L}} では単項になる、すなわち、{{mvar|I}} を {{mvar|K}} の整イデアルとすると、{{mvar|I}} の像は {{mvar|L}} の単項イデアルである。
* {{mvar|L}} は {{mvar|K}} のガロワ拡大であり、そのガロワ群は {{mvar|K}} のイデアル類群に同型である。

どちらの性質も証明はそれほど簡単ではない。

== 一般化 ==
{{See also|クルル環}}
数体およびその整数環とは限らない一般の場合においても、環がよい条件を満たすならば、イデアル類群の類似物を考えることができる。そのような「良い条件」を満たす環は[[クルル環|'''クルル整域''']]（{{Lang-en-short|Krull domain}}）と呼ばれる。具体的には、

# 環 {{Mvar|A}} は[[零環]]ではなく、0以外の[[零因子]]を持たない ([[整域]]である)。
# {{Mvar|A}} の[[素イデアル]] <math>\mathfrak{p}</math> が0以外に真の部分素イデアルを持たない ([[クルル次元|高さ]]1である) ならば、<math>\mathfrak{p}</math> での[[環の局所化|局所化]] <math>A_{\mathfrak{p}}</math> は[[離散付値環]]となる。
# <math display="inline">A=\bigcap_{\mathfrak{p}}A_{\mathfrak{p}}</math>、ここで <math>\mathfrak{p}</math> は {{Mvar|A}} の素イデアルで高さ1であるものを動くものとする。
# 任意の0でない <math display="inline">a\in A</math> について、<math>a\in\mathfrak{p}</math> であるような高さ1の素イデアル <math>\mathfrak{p}</math> は[[高々 (数学)|高々]]有限個しか存在しない。

を満たすとき、{{Mvar|A}} をクルル整域であるという。高さ1の {{Mvar|A}} の素イデアル全てからなる集合を {{Mvar|Z}} で表す。また、イデアル <math>\mathfrak{a}</math> に対する [[付値|<math>\mathfrak{p}</math>-進付値]]を <math display="inline">v_{\mathfrak{p}}(\mathfrak{a}):= \inf\{v_{\mathfrak{p}}(a)\mid a\in\mathfrak{a}\}</math> で定める。

[[分数イデアル]] <math display="inline">\mathfrak{a}</math> に対して、その因子（divisor）<math display="inline">\mathop{\mathrm{div}}\mathfrak{a}\in \mathbb{Z}^{(Z)}</math> を<math display="block">\mathop{\mathrm{div}}\mathfrak{a}:=\sum_{\mathfrak{p}\in Z}v_{\mathfrak{p}}(\mathfrak{a})[\mathfrak{p}]</math>で定める (それぞれの <math>[\mathfrak{p}]</math> は自由加群の基底となる形式的な元)。このとき、クルル整域の定義から <math display="inline">\mathop{\mathrm{div}}\mathfrak{a}</math> は有限和である。逆に、任意の有限和 <math>a_1[\mathfrak{p}_1]+\cdots+a_m[\mathfrak{p}_m]</math> はそれを因子に持つ分数イデアルを一意に定めるため、これを {{Mvar|A}} の因子と呼ぶ。


クルル整域 {{Mvar|A}} の因子全体からなる加法群を {{Math|Div ''A''}}、そのうち主因子 (principal divisor) と呼ばれる、<math display="inline">\mathop{\mathrm{div}}(xA)</math> ({{Math|''x'' ∊ ''K''}}、ここで {{Mvar|K}} は {{Mvar|A}} の[[商体]]) の形で表される因子の全体を {{Math|Prin ''A''}} で表すとき、その剰余類群 {{Math|1=Cl ''A'' := Div ''A''/Prin ''A''}} を {{Mvar|A}} の'''因子類群''' ({{Lang-en-short|divisor class group}}) という<ref>{{Cite book|和書 |title=可換環論 |date=2011-09-30 |publisher=日本評論社 |pages=94–95 |last=後藤 |first=四郎 |isbn=978-4-535-78309-6 |last2=渡辺 |first2=敬一 |id={{全国書誌番号|21983130}}}}</ref>{{Sfn|Fossum|1973|pp=1–29}}。イデアル類群の場合と同様に因子類群においても、{{Mvar|A}} の単元の群 {{Math|''U''(''A'')}}、商体 {{Mvar|K}} の乗法群 {{Math|''K''{{sup|*}}}}との間に次の完全列が存在する。<math display="block">1\longrightarrow U(A)\longrightarrow K^*\longrightarrow \mathop{\mathrm{Div}}A\longrightarrow \mathop{\mathrm{Cl}}A\longrightarrow 1</math>クルル環 {{Mvar|A}} に対して、可算個の不定元 {{Math|''X''{{sub|1}}, ''X''{{sub|2}}, …}} を持つ[[多項式環]] <math>A[X_1,X_2,\dots]</math> は再びクルル環となる。<math>\mathfrak{p}_1=(X_1),</math> <math>\mathfrak{p}_{n+1}=\mathfrak{p}_n+(X_{n+1})</math> とすると、これらは無限に続く素イデアルの包含列 <math>\mathfrak{p}_1\subsetneq\mathfrak{p}_2\subsetneq\mathfrak{p}_3\subsetneq\cdots</math> をなし、構成から明らかにそれぞれの <math display="inline">\mathfrak{p}_n</math>は互いに異なる類に属するため、因子類群は無限群となる。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist}}
=== 出典 ===
{{reflist}}

== 参考文献 ==
*{{Citation
| first=Luther
| last=Claborn
| title=Every abelian group is a class group
| url=http://projecteuclid.org/DPubS?verb=Display&version=1.0&service=UI&handle=euclid.pjm/1102994263&page=record
| journal=Pacific Journal of Mathematics
| volume=18
| year=1966
| pages=219–222
| doi=10.2140/pjm.1966.18.219
}}
*{{Cite book|洋書 |title=The Divisor Class Group of a Krull Domain |year=1973 |publisher=Springer Berlin, Heidelberg |last=Fossum |first=Robert M. |doi=10.1007/978-3-642-88405-4 |language=en |ref=harv}}
* {{Citation
| last= Fröhlich
| first = Albrecht
| authorlink= Albrecht Fröhlich
| last2=Taylor
| first2=Martin
| authorlink2= Martin J. Taylor
| title=Algebraic number theory
| publisher=[[Cambridge University Press]]
| series=Cambridge Studies in Advanced Mathematics
| isbn=978-0-521-43834-6
| mr=1215934
| year=1993
| volume=27
}}
* {{Cite journal2 |last=Goldfeld |first=Dorian |date=1985 |title=Gauss’ class number problem for imaginary quadratic fields |url=https://www.ams.org/journals/bull/1985-13-01/S0273-0979-1985-15352-2/ |journal=Bulletin of the American Mathematical Society |language=en |volume=13 |issue=1 |pages=23–37 |doi=10.1090/S0273-0979-1985-15352-2 |access-date=2023-12-10 |doi-access=free}}
*{{Neukirch ANT}}
*{{Cite book|和書 |title=代數的整數論 |year=1948 |publisher=岩波書店 |edition=1 |author=高木貞治 |author-link=高木貞治 |url=https://linesegment.web.fc2.com/books/mathematics/daisutekiseisuron/ |access-date=2023-12-02 |ncid=BN10835284 |id={{全国書誌番号|46015061}} |ref={{Harvid|高木|1948}}}}

== 関連項目 ==
* [[類数公式]]
* [[類数問題]]
* {{仮リンク|ブラウアー・ジーゲルの定理|en|Brauer–Siegel theorem}} - 類数の{{仮リンク|漸近解析|en|Asymptotic analysis|label=漸近}}公式
* {{仮リンク|類数 1 の代数体の一覧|en|List of number fields with class number one}}
* [[単項イデアル整域]]
* [[代数的K理論]]
* [[ガロワ理論]]
* [[フェルマーの最終定理]]
* {{仮リンク|狭義類群|en|Narrow class group}}
* [[ピカール群]] - [[代数幾何]]で現れる、類群の一般化
* {{仮リンク|アラケロフ類群|en|Arakelov class group}}

{{DEFAULTSORT:いてあるるいくん}}
[[Category:代数的整数論]]
[[Category:イデアル]]
[[Category:数学に関する記事]]