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{{Expand English|date=2024年6月}} {{Infobox particle | 名前 = Wボソン | 組成 = [[素粒子]] | グループ = [[ゲージ粒子]] | 相互作用 = [[弱い相互作用]]<br/>[[電磁相互作用]]<br/>[[重力相互作用]] | 反粒子 = Wボソン | 理論化 = [[ジュリアン・シュウィンガー]] | 発見 = [[欧州原子核研究機構|CERN]](1983年) | 記号 = {{粒子の記号|link=yes|Wボソン+-}} | 質量 = {{val|80.385|0.015|ul=GeV/c2}}<ref>[[#pdgW|Particle Data Group]]</ref> | 電荷 = ±[[電気素量|e]] | スピン = 1 }} {{Infobox particle | 名前 = Zボソン | 組成 = [[素粒子]] | グループ = [[ゲージ粒子]] | 相互作用 = [[弱い相互作用]]<br/>[[重力相互作用]] | 反粒子 = Zボソン | 理論化 = [[シェルドン・グラショー]]、[[スティーヴン・ワインバーグ]]、[[アブドゥッサラーム]] | 発見 = [[欧州原子核研究機構|CERN]](1983年) | 記号 = {{粒子の記号|link=yes|Zボソン}} | 質量 = {{val|91.1876|0.0021|ul=GeV/c2}}<ref>[[#pdgZ|Particle Data Group]]</ref> | 電荷 = 0 | スピン = 1 }} '''ウィークボソン'''({{lang-en-short|weak boson}})は[[素粒子物理学]]において、[[弱い相互作用]]を媒介する[[素粒子]]である。'''弱ボソン'''とも言う。 ウィークボソンは[[スピン角運動量|スピン]]1の[[ベクトル空間|ベクトル]][[ボソン]]で、'''Wボソン'''と'''Zボソン'''の二種類が存在する。いずれも大[[質量]]という特徴があり[[陽子]]質量に対してWボソンは約80倍、Zボソンは約90倍であり、このためごく短時間のうちに別の粒子に[[崩壊]]する。Wボソンは電荷 ±1 (W<sup>+</sup>,W<sup>−</sup>)をもち、W<sup>+</sup>とW<sup>−</sup>は互いに[[反粒子]]の関係にある。 Zボソンは電荷 0 で、反粒子はおなじZボソンである。 1968年に理論で存在が予言され、1983年に[[欧州原子核研究機構|欧州合同原子核研究所]]にてその存在が確認された<ref>[[#nakamura|中村 (1988)]] 297頁</ref>。 == 概要 == [[弱い相互作用]]は[[ベータ崩壊]]に代表される、粒子の種類を変える[[相互作用]]である。 {{Indent| <math>n \to p^+ +e^- +\bar{\nu}_e</math> }} ベータ崩壊では4つの[[フェルミオン]]が関わっており、[[フェルミ相互作用]]と呼ばれる。 [[湯川秀樹]]はこの反応を {{Indent| <math>n \to p^+ +W^-,~ W^- \to e^- +\bar{\nu}_e</math> }} のように2段階で起きているとした。それぞれの反応では2つのフェルミオンと1つのボソンが関わっており、[[湯川相互作用]]と呼ばれる。 [[ジュリアン・シュウィンガー|シュウィンガー]]は弱い相互作用と[[電磁相互作用]]の共通性から両者には関係があると考え、Wボソンと[[光子]]を合わせて [[特殊ユニタリ群|SU(2)]] の三重項([[特殊ユニタリ群#随伴表現|随伴表現]])とする模型を考えた。 この模型には、光子は質量をもたないがWボソンが質量をもつ理由や、Wボソンが質量をもつ故に相互作用の[[くりこみ]]が不可能であるなどの困難があった。 [[シェルドン・グラショー|グラショウ]]は対称性を SU(2)×U(1) に拡張する必要性に気付いた<ref>[[#glashow|Glashow (1961)]]</ref>。 [[スティーヴン・ワインバーグ|ワインバーグ]]と[[アブドゥッサラーム|サラム]]は[[ヒッグス機構]]により[[自発的対称性の破れ|対称性が自発的に破れ]]て質量を与える理論を考えた<ref>[[#weinberg|Weinberg (1967)]]</ref>。 この理論によりZボソンの存在と、Zボソンが関わる中性カレントというそれまでに無かった相互作用が予言された。 この予言によりグラショウ、サラム、およびワインバーグは1979年に[[ノーベル物理学賞]]を受賞した<ref>[[#nobel|1979年ノーベル物理学賞]]</ref>。 WボソンとZボソンは1983年に[[欧州原子核研究機構|CERN]]のスーパー陽子シンクロトロン(SPS)によって発見された。 ウィークボソンの質量程度のエネルギースケール(100GeV程度)は通常'''ウィークスケール'''と呼ばれる。 WボソンとZボソンの質量はCERNの[[大型電子陽電子衝突型加速器]]([[w:Large Electron–Positron Collider|{{Lang|en|Large Electron–Positron Collider}}]], LEP)により精度良く測定されている。 特に、ヒッグス機構によって破れた電弱対称性がウィークスケールにおいてどの程度の量子補正を受けられるかはLEPによる精密測定から厳しい制限がつけられており素粒子模型の構築の指針となっている。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}}<references/> == 参考文献 == ; 論文 * {{Cite journal |author=S. L. Glashow |title=Partial Symmetries of Weak Interactions |journal=Nucl. Phys. |volume=22 |year=1961 |pages=579 |doi=10.1016/0029-5582(61)90469-2 |ref=glashow }} * {{Cite journal |author=S. Weinberg |title=A Model of Leptons |journal=Phys. Rev. Lett. |volume=19 |year=1967 |pages=1264 |doi=10.1103/PhysRevLett.19.1264 |ref=weinberg }} ; 書籍 * {{Cite book|和書 |author=中村誠太郎 |title=現代物理学の世界 |publisher=講談社 |series=講談社学術文庫 |year=1988 |isbn=978-4-06-158849-3 |ref=nakamura }} * {{Cite book|和書 |author=[[南部陽一郎]]、他 |title=大学院素粒子物理1 |publisher=[[講談社]] |year=1997 |isbn=4-06-153224-3 |ref=nambu et al. }} == 関連項目 == * [[ワインバーグ=サラム理論]] * [[ベータ崩壊]] * [[ニュートリノ]] * [[弱い相互作用]] * [[ゲージ粒子]] * [[素粒子物理学]] * [[W'ボソンとZ'ボソン]] == 外部リンク == * [http://pdg.lbl.gov/ Particle Data Group] ** {{Cite web|和書 |url=http://pdglive.lbl.gov/Particle.action?node=S043 |title=pdgLive (Wボソン) |accessdate=2019-03-20 |ref=pdgW }} ** {{Cite web|和書 |url=http://pdglive.lbl.gov/Particle.action?node=S044 |title=pdgLive (Zボソン) |accessdate=2019-03-20 |ref=pdgZ }} * {{Cite web |url=http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/physics/laureates/1979/ |title=The Nobel Prize in Physics 1979 |accessdate=2014-07-12 |ref=nobel }} * [https://www.asahi.com/articles/ASQ4F5FHJQ4DULEI00Q.html 素粒子Wボソン、予想より重い? 「事実なら世紀の大発見」(朝日新聞2022年4月14日) ] {{粒子の一覧}} {{physics-stub}} {{DEFAULTSORT:ういいくほそん}} [[Category:素粒子物理学]] [[Category:素粒子]] [[Category:ゲージ粒子]] [[Category:標準模型]]
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