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エネルギー等配分の法則
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{{出典の明記|date=2011年10月}} '''エネルギー等配分の法則'''({{lang-en|law of equipartition of energy}}、エネルギー等配分則、エネルギー等分配則などとも言う)は、系の持つ[[自由度]]ごとに一定量の[[エネルギー]]が配分されるという[[統計力学]]の法則。 [[古典力学]]、古典統計が成り立つ理想的な系を考える。この系全体のエネルギーの式([[ハミルトニアン]])を ''H'' とする。[[相空間]]の座標のある1つの成分([[一般化座標]]または一般化[[運動量]]) ''ξ<sub>j</sub>'' について、''H'' の項のうち ''ξ<sub>j</sub>'' が関係する部分 ''ε<sub>j</sub>'' が次のように表せるとする。 :<math> \epsilon_j = \alpha_j \xi_j^2 </math> ここで、''α<sub>j</sub>'' は適当な正の定数である。[[熱平衡状態]]において、このエネルギー ''ε<sub>j</sub>'' の統計的平均は、 :<math> \left\langle \epsilon_j \right\rangle = \frac{1}{2} k_B T </math> となる。''k''<SUB>B</SUB> は[[ボルツマン定数]]、''T'' は[[絶対温度]]である。 つまり、理想的な系の熱平衡状態において、 1自由度あたりに平均で ''k''<SUB>B</SUB>''T'' /2 の[[運動エネルギー]]が割り振られ、 さらに[[調和振動子]]と見なせる自由度については 1自由度あたり平均 ''k''<SUB>B</SUB>''T'' /2 の[[ポテンシャルエネルギー]]が割り振られる。 これを'''エネルギー等配分の法則'''と言う。 エネルギー等配分の法則は、エネルギーが上の式で示されるように[[二次形式]]で表現できる時に成り立つ([[調和近似]]が成り立つ場合も含まれる)。系において、[[量子力学]]的な効果が顕著となる場合や、非調和項が無視できない場合は、この法則は成立しなくなる。 なお、自由度の数え方には、一般化座標と一般化運動量の対を1と数える流儀と、''k''<SUB>B</SUB>''T'' /2 のエネルギーが分配されるものを1と数える流儀がある。 == 例 == === 単原子分子[[理想気体]] === 単原子分子理想気体の個々の[[分子]]のエネルギーは、''m'' を当該分子の質量として、 :<math> \epsilon = \frac{1}{2m} (p_x^2 + p_y^2 + p_z^2) </math> であり、これより、 :<math> \langle \epsilon \rangle = \frac{3}{2} k_B T </math> となる。''x'', ''y'', ''z'' 各座標(=自由度)の運動量である''p<SUB>x</SUB>'', ''p<SUB>y</SUB>'', ''p<SUB>z</SUB>'' に対応する自由度にエネルギー''k''<SUB>B</SUB>''T''/2 が配分されるため。 === 二原子分子理想気体 === この場合、二原子分子の持つエネルギーは、 :<math> \epsilon = {1 \over {2m}} (p_x^2 + p_y^2 + p_z^2) + \frac{1}{2I} \left(p_{\theta}^2 + \frac{1}{\sin^2 \theta } p_{\phi}^2 \right) </math> となる。上式の最初の括弧部分は、単原子分子の場合と同じ自由度によるエネルギーで、二番目の括弧が、二原子分子の回転に関しての自由度(''θ''と''φ''の2つ存在)からのエネルギーである。''θ''と''φ''は、二原子分子を一つの軸([[剛体]]の棒)とみなした時の回転に関しての角度成分(自由度)である。''m'' は二原子分子の質量、''I'' は二原子分子の[[重心]]を通り、二原子分子の軸に対して垂直な軸の周りの回転に関しての[[慣性モーメント]]である。 この場合、自由度は合計五つとなるので、 :<math> \langle \epsilon \rangle = \frac{5}{2} k_B T </math> となる。 == 関連記事 == * [[デュロン=プティの法則]] (本法則により説明できる) {{DEFAULTSORT:えねるきいとうはいふんのほうそく}} [[Category:統計力学の定理]] [[Category:熱力学の法則]]
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