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{{出典の明記|date=2017年7月}} '''エントロピー的な力'''(エントロピーてきなちから、英語:Entropic force)または'''エントロピー力'''(エントロピーりょく)とは、主として[[熱力学]]的な[[エントロピー]]の増大による[[力 (物理学)|力]]や[[相互作用]]の総称である。[[電磁気]]力のような単一の[[分子]]の間に働く力ではなく、多数の分子における統計的性質として説明される巨視的な力である。 ==熱力学== 一般に自発的変化は[[自由エネルギー]]が減少する方向へ進行する。自由エネルギー ''G'' は[[エンタルピー]]項 ''H'' とエントロピー項 ''TS'' からなる。変化分で書くと : <math>\Delta G = \Delta H - T \Delta S </math> (等温定圧条件) すなわち自由エネルギーの減少(<math>\Delta G < 0</math>)にはエンタルピーの減少(<math>\Delta H < 0</math>)またはエントロピーの増加(<math>\Delta S > 0</math>)が必要である。 このうちエンタルピーの減少に比較してエントロピー項の増加が大きい場合、これによる力をエントロピー的な力という。(それに対して電磁気力などはエンタルピー項に寄与する) エントロピーとは、ある巨視的状態を「微視的に見た場合の乱雑さ」であり、これが増加するというのは多数の微視的状態からなる巨視的状態、つまり[[確率]]の高い状態に移行するということである。エンタルピーに変化がなければこの方向に変化が起こる。 エントロピー的な力の代表的なものとして[[浸透圧]]、[[エントロピー弾性]]、[[疎水効果]]がある。 ==浸透圧== 浸透圧は[[半透膜]]をはさんだ濃度の異なる[[溶液]]の間で観測される圧力差である。[[溶媒]]は半透膜を通ってどちらへも移動するが、低濃度側から高濃度側へ移動した方がエントロピーが増加するため、この方向の移動が多くなり、これが圧力差として観測される。 ==エントロピー弾性== 外力による変形に応答して元の形に戻る性質を[[弾性]]というが、そのうち主としてエントロピー変化によるものが[[エントロピー弾性]]である。代表的な[[ゴム弾性]]を例にとると、[[ゴム]]が引き伸ばされることで、それを構成するコイル状の分子も伸び、エントロピーは減少する。外力が弱くなるとエントロピーが増加する方向、すなわち元に戻る方向へ自発的に変化する。これは微視的には各分子の乱雑な熱運動によるものであるが、あたかも外力と逆の方向の力が働いているように感じられる。 ==疎水効果== [[疎水性]]物質が[[水]]と混ぜても混合せず分離する傾向を疎水効果という。[[界面活性剤]]が[[ミセル]]を作ったり、[[タンパク質]]分子が疎水性部分を内側に向けて一定の[[フォールディング|折れたたみ]]構造を作ったりするのもこの効果によるので、一種の[[化学結合]]として疎水結合と呼ぶこともある。 疎水効果は水分子間の[[水素結合]]によるエントロピーに由来する部分が大きい。液体の水は水素結合がネットワークを作っているが、[[氷]]のように固いものではなく、常につなぎ換えが起こる緩い構造である。ここに水素結合を作らない疎水性物質が入るとネットワークが壊れ、残された水素原子は周囲に氷のような籠形構造([[クラスレート]])を作る(水の[[表面張力]]が強いのも同じ原理)。この構造はエントロピーが低いので、このような界面を最少にする状態が有利となり、水と油は分かれることになる。 {{デフォルトソート:えんとろひてきなちから}} [[Category:熱力学]] [[Category:物理化学]] [[Category:化学結合]] [[Category:エントロピー]] {{化学結合}}
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