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{{出典の明記|date=2017年9月}} [[ファイル:Ether-(general).png|class=skin-invert-image|thumb|エーテルの一般構造式]] '''エーテル'''({{lang-nl|ether}})は、[[有機化合物]]の分類のひとつで、[[構造式]]を R−O−R'(R, R' は[[アルキル基]]、[[アリール基]]などの有機基、O は[[酸素]]原子)の形で表される化合物を指す。また、エーテルに含まれる −O− の部分を'''エーテル結合'''という。また、溶媒としての[[ジエチルエーテル]]を単にエーテルということも多い。 == 概要 == [[ジエチルエーテル]]が発見された際に、その高い揮発性を「地上にあるべきではない物質が天に帰ろうとしている」と解釈されたことから、古来天界の物質として考えられていた[[エーテル (哲学)|エーテル]]の名を援用して名付けられた。 なお、高揮発性の低沸点石油[[留分]]が名称の由来と同一発想で「[[石油エーテル]]」と命名され、実務分野ではそのまま定着しているが、石油エーテルは[[炭化水素]]のみで構成され化学種のエーテルを含んでいない。 日本においては、[[尾澤豊太郎|尾澤豊太郞]]がエーテルの製造に初めて成功した<ref>「神楽坂4丁目・6丁目――尾澤薬局」『[http://old.kaguramura.jp/feature/feature200912-02.html かぐらむら: 今月の特集 : 記憶の中の神楽坂]』サザンカンパニー。</ref>。 == 命名 == [[IUPAC命名法]]のうち、使用頻度の高いものを示す。 #アルカンがアルコキシ基 (RO-) で置換されたとみなす方法(CH<sub>3</sub>-O-CH<sub>2</sub>CH<sub>3</sub> = [[メトキシエタン]])[[IUPAC命名法#置換命名法|置換命名法]] #エーテル結合上の2個の有機基の名称の後ろに「エーテル」と置く方法(CH<sub>3</sub>-O-CH<sub>2</sub>CH<sub>3</sub> = [[エチルメチルエーテル]])[[IUPAC命名法#基官能命名法|基官能命名法]] == 環状エーテル == [[Image:Ethylene-oxide-2D.png|class=skin-invert-image|thumb|250px|エチレンオキシド]] [[ファイル:Tetrahydrofuran acsv.svg|class=skin-invert-image|thumb|200px|テトラヒドロフラン]] 環状の炭化水素の炭素が酸素で置換された構造を持つエーテルは環状エーテルと呼ばれるが、[[エチレンオキシド]]のような三員環のものは反応が興味深く有用なものが多いのでこのような構造を持つ化合物を特に'''[[エポキシド]]'''と呼ぶ。ほか、四員環、五員環、六員環の環状エーテルは順に [[オキセタン]]、[[テトラヒドロフラン]] (THF)、[[テトラヒドロピラン]] (THP) と呼ばれる。 他に、[[クラウンエーテル]]と呼ばれる特殊な環状エーテルがある。これは中~大環状[[アルカン]]([[シクロアルカン]])の炭素が2個おきに酸素に置換されているものである。 == 物性、用途 == 酸素が[[非共有電子対]]を持つことから、[[ルイス塩基]]性、[[水素結合]]受容性を示す。 [[ジエチルエーテル]]、[[テトラヒドロフラン]] (THF) などは、多くの有機化合物をよく溶かし化学的に比較的安定であるため、非[[プロトン性溶媒]]としての用途が多い。[[グリニャール試薬]]、[[有機リチウム]]などを取り扱う際によく用いられる。これらは水と若干混和するので、抽出操作に利用する際は留意が必要である。 == 合成法 == 対称エーテルは、酸触媒の存在下にアルコールの分子間[[脱水縮合]]で得られる。 : <chem>2 R-OH + H^+ -> R-O-R + H2O + H^+</chem> また非対称エーテルは[[アルコキシド]]と[[ハロゲン化アルキル|有機ハロゲン化合物]]を縮合させる[[ウィリアムソン合成]]によって得られる。 : <chem>R-X + R'-O^- -> R-O-R' + X^- </chem><math>(\rm X = Cl, Br, I,</math> <chem>OSO2R''</chem><math>etc.)</math> 両反応とも、R基のβ位に水素がある場合、塩基の作用で[[脱離反応]]が併発して[[オレフィン]]が副生物となることがある。 アルコールの共存下、オレフィンに[[求電子剤]]を作用させると[[求電子付加反応|求電子的付加反応]]によりエーテルが得られる。 : <chem>R-CH=CH2 + I2 + R'-OH -> R(R'O)CH-CH2I</chem> == 反応 == エーテル結合は化学的には比較的安定であるがハロゲン化水素や[[ルイス酸]]により開裂し、[[ハロゲン化アルキル]]と[[アルコール]]となる。 : <chem>R-O-R' + HX -> R-X + R'-OH</chem> 脂肪族のエーテルは特に、酸素の作用によりゆっくりと[[過酸化物]]に変わる([[自動酸化]])。この酸化反応を防ぐため、市販のジエチルエーテルや THF には通常、[[ジブチルヒドロキシトルエン]] (BHT) などの[[酸化防止剤]]が添加されている。 : <chem>R-O-R' + [O] -> R-O-O-R'</chem> == ポリエーテル == 複数のエーテル部分構造を含む化合物はポリエーテルと呼ばれる。これには[[高分子|高分子化合物]](ポリマー)である[[ポリエチレングリコール]]や[[ポリプロピレングリコール]]などが含まれる。接頭辞「ポリ」は「多」の意であり、多数のエーテル結合を持つ化合物であれば、高分子ではない[[クラウンエーテル]]、あるいは海洋産天然物である[[シガトキシン]]や[[オカダ酸]]などもポリエーテルと呼ばれる。 == 関連化合物 == エーテル結合を作っている酸素を[[硫黄]]で置換した化合物群 (R−S−R') も存在し、[[スルフィド]](チオエーテル)という。他の16族元素についても同様に、[[セレニド]] (R−Se−R')、[[テルリド]] (R−Te−R') と呼ばれる化合物群が知られる。これらもまた、ウィリアムソン合成に準じた方法で得られる。 == 主なエーテル == *[[ジメチルエーテル]] *[[エチルメチルエーテル]] *[[ジエチルエーテル]] *[[ジフェニルエーテル]] *[[エチレンオキシド]] *[[テトラヒドロフラン]] (THF) *[[フラン (化学)|フラン]] *[[1,4-ジオキサン]] *[[アニソール]] *[[ベンゾフラン]] *[[ジベンゾフラン]] *[[クラウンエーテル]] == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} == 関連項目 == *[[縮合反応]] *[[エーテル]] (曖昧さ回避) *[[ウィリアムソン合成]] {{官能基}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:えてる}} [[Category:エーテル|*]] [[Category:有機化合物]] [[Category:官能基]]
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