オーサグラフのソースを表示

[[File:Projection_AuthaGraph.png|400px|thumb|オーサグラフにより描画された世界地図。[[縦横比]]は <math>\sqrt{3}:4</math>。]]
'''オーサグラフ'''（[[英語]]による[[造語]]：'''authagraph'''）（オーサグラフ世界地図）は、[[球面]]としての[[世界]]や[[空間]]全体を、写像を通して全方位的に[[長方形]]へと投射することができる[[図法]]<ref name="AG, Openspace2009">
{{Cite web|和書|title=オーサグラフ：ISSロングターム・トラッキング - オープン・スペース 2009 |url=https://www.ntticc.or.jp/Archive/2009/Openspace2009/Works/authagraph_j.html |work=ICC Online（公式ウェブサイト）|publisher=NTTインターコミュニケーション・センター |date=2009 |accessdate=2011-10-31}}</ref>。各地域を比較的歪みの少ない形と正しい[[面積]][[比率]]で表すことのできる[[世界地図]][[投影法 (地図)|投影法]]として考案された。[[医療]]や[[教育]]などといった[[地理]]関連以外の多分野に応用される可能性を持つ<ref name="AG, Openspace2009" />。

"[[wikt:en:authalic|authalic]] （面積の等しい）" + "[[wikt:en:graph|graph]] （[[図]]）" という構成要素から[[合成語|合成された]]造語である<ref name="official">[[#official|AuthaGraph株式会社（公式ウェブサイト）]]</ref>。
[[2016年]]の[[グッドデザイン賞]]大賞受賞<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.g-mark.org/gallery/winners?years=2016 |title=受賞ギャラリー |accessdate=2023-09-22 |date=2016 |publisher=公益財団法人日本デザイン振興会}}</ref>。

== 概要 ==
オーサグラフは、[[1999年]]（[[平成]]11年）、[[日本]]の[[建築家]]・[[構造家]]である[[鳴川肇]]（[[:en:Hajime Narukawa|Hajime Narukawa]]）が率いる研究開発チームによって考案された<ref name="official" />。鳴川は[[2009年]]（平成21年）6月に AuthaGraph株式会社を設立し、同年[[5月16日]]、[[NTTインターコミュニケーション・センター]] (ICC) の「オープン・スペース 2009」テーマ展示「ミッションG：地球を知覚せよ！」において、オーサグラフによって作成した世界地図を公開した<ref name="official" />。

[[投影法 (地図)|地図投影法]]としてのオーサグラフは、[[地球]]上の[[陸|陸地]]の面積をほぼ正確に[[四角形]]の[[平面]]に写し取ることができると同時に、[[メルカトル図法]]と同じように「[[海]]などに切れ目が無いため、見やすい」という利点を併せ持っている<ref name="official" /><ref name="AG, Openspace2009" />。その意味で、メルカトル図法が持つ「高[[緯度]]地方の面積の表現が正確さに欠ける」という欠点を補完し得る<ref name="official" /><ref name="AG, Openspace2009" />。[[平面充填]]が可能であるオーサグラフは、地図上のどの箇所からも全方位的な全体図を切り出すことができる<ref name="AG, Openspace2009" />。すなわち、特定の中心点を持たない[[世界観]]でもって全体を自由に（平等に）見渡すことを可能としたのであり、この視点の提供は開発理念の骨子であったという<ref name="official" /><ref>{{Cite web|和書|title=新しい地図で新しい世界を描こう　Geo-Paletteサイトオープン！ |url=http://www.miraikan.jst.go.jp/info/110118115343.html |work=日本科学未来館「つながり」プロジェクト（公式ウェブサイト）|publisher=[[日本科学未来館]] |date=2010 |accessdate=2011-10-31}}</ref>。また、時間的推移の表示に活用すれば、地球環境の変移などを長期的に一望するのに最適と言える<ref name="AG, Openspace2009" />。

オーサグラフによる地図の作成方法は、まず、ほぼ正[[球|球体]]である地球の表面を96等分し、表面比を保ったままその擬正球面体を[[正四面体]]にデジタル的に変換する<ref name="鳴川2017">鳴川 (2017)</ref>。その後、正四面体のそれぞれの[[正三角形]]の4面を切り離して、縦横比が <math>1:\sqrt{3}, \sqrt{3}:4, 1:2\sqrt{3}</math> の長方形に組み替えて地図を作成するというものである<ref name="鳴川2017" />。

== 投影の表式 ==
上述の地図作成方法では、明示的な投影式を構成することが困難であった。このため、鳴川は2022年に正四面体の各[[頂点]]をそれぞれ共有し、当該正四面体に[[外接]]する合同な4つの[[円錐]]を設定することにより明示的な投影式の導出を行った<ref name="鳴川2022">鳴川 (2022)</ref>。

それによれば、真球とみなした地球の表面は24等分され、代表的に等分された[[球面三角法|球面三角形]]の一つとして[[北極点]]N<math>(\pi/2, 0)</math>、[[本初子午線]]上の点O<math>(\tan^{-1}(1/\sqrt 2), 0)</math>、[[経度]]<math>\pi/3</math>の[[子午線]]上の点S<math>(\sin^{-1}(1/3), \pi/3)</math>を頂点とするものを取り、投影後にOを[[原点 (数学)|原点]]とし、Sに向かう方向にx軸、Nに向かう方向にy軸を取ったとき、緯度<math>\varphi</math>、経度<math>\lambda</math>（いずれも[[ラジアン]][[計量単位|単位]]とする）をxy平面に投影する式は以下のように表される：
:<math>x=\frac{2}{\pi}\cdot\frac{2+\cos\lambda}{\sqrt{2}+\tan\varphi}\left\{\lambda-\sin^{-1}\left(\frac{\sin\lambda}{\sqrt{3}}\right)\right\}</math>
:<math>y=\frac{1}{\sqrt 3}\left(\sqrt 2-\frac{2+\cos\lambda}{\sqrt{2}+\tan\varphi}\right)</math>

== 脚注・出典 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
* {{Cite journal|和書|author=鳴川肇|year=2017|title=正多面体図法を用いた歪みの少ない長方形世界地図図法の提案|journal=Keio SFC journal|volume=17|issue=1|pages=208–232|publisher=[[慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス|慶應義塾大学湘南藤沢]]学会|location=藤沢|ISBN=9784877385033|ISSN=13472828|url=https://gakkai.sfc.keio.ac.jp/journal/.assets/SFCJ17-1-10.pdf|format=PDF}}
* {{Cite journal|和書|author=鳴川肇|year=2022|title=オーサグラフ図法の数式化と歪み評価|journal=地図|volume=60|issue=1|pages=1–16|publisher=[[日本地図学会]]|location=東京|doi=10.11212/jjca.60.1_1|ISSN=0009-4897}}

== 関連項目 ==
* [[地図]]
* [[世界地図]]
* [[投影法 (地図)]]
* [[地図投影法の一覧]]

== 外部リンク ==
* {{Anchors|official}}{{Cite web |title=AuthaGraph |url=http://www.authagraph.com/top/?lang=ja |work=（公式ウェブサイト）|publisher=AuthaGraph（オーサグラフ）株式会社 |accessdate=2011-10-31}}
* {{Anchors|Miraikan}}{{Cite web |url=http://www.miraikan.jst.go.jp/sp/tsunagari/authagraph.html |title=AuthaGraph |accessdate=2011-10-31 |work=日本科学未来館「つながり」プロジェクト |publisher=[[日本科学未来館]] |archiveurl=https://web.archive.org/web/20120112120022/http://www.miraikan.jst.go.jp/sp/tsunagari/authagraph.html |archivedate=2012-01-12 |url-status=dead|url-status-date=2022-03-03}}
* ''cf.'' {{Cite news |title=毛利衛さん講演、「オーサグラフ」で新しい地球観紹介/川崎 |url=http://www.47news.jp/CI/201003/CI-20100309-00934.html |work=[[47NEWS]] |publisher=[[全国新聞ネット]] |date=2010-03-09 |accessdate=2011-10-31}}

{{デフォルトソート:おおさくらふ}}
[[Category:地図の図法]]
[[Category:世界地図]]
[[Category:グッドデザイン賞]]
[[Category:グッドデザイン大賞]]
[[Category:日本の発明]]