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{{翻訳直後|[[:en:Special:Redirect/revision/738846332|en:Cathodoluminescence]]|date=2016年10月}} '''カソードルミネッセンス''' ({{lang-en-short|'''Cathodoluminescence'''}}) とは、電子が{{仮リンク|蛍光体|en|Phosphor|preserve=1|fixme=1}}などの[[発光]]物質に衝突したときに[[可視光線|可視光]]波長の光子を放出するような{{仮リンク|label=光学的|光学的現象|en|Optical phenomenon}}・[[電磁気学]]的現象である。身近な例としては、[[テレビ]]の[[ブラウン管]]の内表面に塗られた蛍光体に走査電子線が衝突することにより発光する現象が挙げられる。カソードルミネッセンスは、光子により電子の放出が起こる[[光電効果]]の逆過程である。 [[ファイル:Cl-scheme.svg|サムネイル|カソードルミネッセンス系の素描。電子線は、集光した光を[[分光器]]に導くための[[放物面鏡]]に空けられた小さな開口を通る。[[CCDイメージセンサ|CCD]]もしくは[[光電子増倍管]] (PMT) によりそれぞれ並列検出および単色検出が行なわれる。同時に、{{仮リンク|電子線誘起電流|en|Electron beam-induced current}} (EBIC) 信号を記録することもある。]] == カソードルミネッセンスの起源 == 半導体中の[[発光]]は[[伝導帯]]の[[電子]]が[[伝導帯|価電子帯]]の[[正孔]]と再結合する結果として生じる。この遷移における余剰エネルギーが[[光子]]の形を取って放出されることがある。光子のエネルギー(色)と、[[フォノン]]ではなく光子が放出される確率は、材質や純度、欠陥の有無に依存する。しかし、まず電子が[[価電子帯]]から伝導帯に励起される必要がある。カソードルミネッセンスの場合、[[半導体]]への高エネルギー電子線の入射の結果として発光現象が生じる。しかし、これらの一次電子は電子を直接励起するには高すぎるエネルギーを持っている。その代わり、結晶中における一次電子の非弾性散乱により放出される[[二次電子]]や[[オージェ電子]]、[[X線]]、がさらに散乱されることがある。このような連鎖反応により入射電子1個あたり多くて 10<sup>3</sup> 個の二次電子が生じる<ref>{{Cite journal|year=2005|title=Comparison between electron beam and near-field light on the luminescence excitation of GaAs/AlGaAs semiconductor quantum dots|journal=Jpn. J. Appl. Phys.|volume=44|pages=1820–1824|bibcode=2005JaJAP..44.1820M|doi=10.1143/JJAP.44.1820}}</ref>。これらの二次電子が[[バンドギャップ]]の三倍ほどの運動エネルギーを持つような場合 <math>(E_{kin}\approx 3 E_g)</math>、価電子帯の電子を伝導帯へと励起することがある<ref>{{Cite journal|last=Klein|first=C. A.|year=1968|title=Bandgap dependence and related features of radiation ionization energies in semiconductors|journal=J. Appl. Phys.|volume=39|pages=2029–2038|bibcode=1968JAP....39.2029K|doi=10.1063/1.1656484}}</ref>。余剰エネルギーはフォノンに渡され、したがって格子が熱される。電子線による励起の長所の一つは、[[フォトルミネセンス]]の場合のように入射光のエネルギーにより調べることのできるバンドギャップエネルギーが制限されたりしないということである。したがって、カソードルミネッセンスの場合調査対象の「半導体」は、実際には非金属であればほとんど何でもよいということになる。[[バンド構造]]の言葉を使えば、古典的半導体、絶縁体、セラミックス、宝石、鉱石、ガラスを同じように扱うことができる。 == カソードルミネッセンス顕微法 == [[地質学]]、[[鉱物学]]、[[物質科学]]、[[半導体工学]]において、カソードルミネッセンス検出器もしくは光学{{仮リンク|カソードルミネッセンス顕微鏡|en|Cathodoluminescence microscope}}を付け加えた[[走査型電子顕微鏡]]を半導体、岩石、[[セラミックス]]、[[ガラス]]などの内部構造を調べ、材料の組成や成長、品質を調べるのに使うことがある。 === 走査型電子顕微鏡におけるカソードルミネッセンス === このような装置では、焦点を合わせられた電子線が試料に入射し、放射された光を楕円鏡などの光学系で集める。そこから、[[光ファイバー]]により顕微鏡の外にまで光は導かれ、[[分光器|モノクロメータ]]によって波長毎に分離され、その上で[[光電子増倍管]]により検出される。顕微鏡の電子線を X-Y パターンに沿って走査し、各点からの放射光を調べることにより試料の光学活性マップを得ることができる(カソードルミネッセンス撮像)。そうではなく、固定された点もしくは領域からの放射光の波長依存性を計測して、スペクトル特性を記録することもできる(カソードルミネッセンス分光)。さらには、光電子増倍管の代わりに[[CCDイメージセンサ|CCDカメラ]]を用いることによりマップの各点について[[スペクトル]]全体を得ることができる(ハイパースペクトル撮像)。その上、光学特性は電子顕微鏡の観測対象の構造特性と相関させることができる。 電子顕微鏡ベースの技術の第一の長所は空間分解能である。走査型電子顕微鏡では、数十ナノメートルオーダーの分解能が達成可能である<ref>{{Cite journal|last=Lähnemann|first=J.|year=2014|title=Localization and defects in axial (In,Ga)N/GaN nanowire heterostructures investigated by spatially resolved luminescence spectroscopy|journal=J. Phys. D: Appl. Phys.|volume=47|pages=394010|arxiv=1405.1507|bibcode=2014JPhD...47M4010L|doi=10.1088/0022-3727/47/39/394010}}</ref>一方、(走査)[[透過型電子顕微鏡]]ではナノメートルサイズの特徴を見分けることができる<ref>{{Cite journal|last=Zagonel|year=2011|title=Nanometer Scale Spectral Imaging of Quantum Emitters in Nanowires and Its Correlation to Their Atomically Resolved Structure|journal=Nano Letters|volume=11|pages=568|doi=10.1021/nl103549t}}</ref>。加えて、ビームブランカーやパルス電子源を用いて電子線をナノ秒・ピコ秒パルスに「ぶつ切り」にすればナノ秒からピコ秒領域の時間分解能をもつ計測を行うことができる。このような先進的手法は[[量子井戸]]や[[量子ドット]]などの低次元半導体構造を調査する際に有用である。 カソードルミネッセンス検出器を備えた電子顕微鏡が高い倍率を与える一方で、光学{{仮リンク|カソードルミネッセンス顕微鏡|en|Cathodoluminescence microscope}}は接眼鏡から直接可視光による像を見ることができるという利点がある。より最近開発された系では両者の利点を同時に得るため、光学顕微鏡と電子顕微鏡の両方を組込むことを試みている<ref>{{Cite web|url=http://www.attolight.com/technology/what-is-quantitative-cathodoluminescence/|title=What is Quantitative Cathodoluminescence?|date=2013-10-21|accessdate=2016-10-29}}</ref>。 == カソードルミネッセンスの派生的応用 == [[ヒ化ガリウム|GaAs]] や [[窒化ガリウム|GaN]] などの[[間接遷移|直接バンドギャップ半導体]]はこの技術により最も簡単に調べることができるが、カソードルミネッセンスの放射が弱い[[ケイ素]]などの間接半導体も調査することができる。特に、転移を起こしたケイ素のルミネセンスは無垢のケイ素のものとは違うので、[[集積回路]]中の欠陥をマッピングすることもできる。 近年、電子顕微鏡で行なわれるカソードルミネッセンスにより金属[[ナノ粒子]]の[[表面プラズモン共鳴]]をも調べられるようになってきた<ref>{{Cite journal|last=García de Abajo|first=F. J.|year=2010|title=Optical excitations in electron microscopy|journal=Reviews of Modern Physics|volume=82|pages=209–275|arxiv=0903.1669|bibcode=2010RvMP...82..209G|doi=10.1103/RevModPhys.82.209}}</ref>。金属ナノ粒子の表面[[プラズモン]]は光を放射・吸収することができるが、半導体中における放射・吸光とは過程が異なる。同様に、カソードルミネッセンスを平面誘電[[フォトニック結晶]]およびナノ構造フォトニック材料の[[局所状態密度]]をマッピングするのに使うこともできる<ref>{{Cite journal|year=2012|title=Deep-subwavelength imaging of the modal dispersion of light|journal=Nature Materials|volume=11|pages=781–787|bibcode=2012NatMa..11..781S|doi=10.1038/nmat3402}}</ref>。 == 関連項目 == * [[発光]] * {{仮リンク|電子刺激ルミネセンス|en|Electron-stimulated luminescence}} * [[フォトルミネセンス]] * {{仮リンク|カソードルミネッセンス顕微鏡|en|Cathodoluminescence microscope}} * [[走査型電子顕微鏡]] == 出典 == {{Reflist}} * B. G. Yacobi and D. B. Holt, ''Cathodoluminescence Microscopy of Inorganic Solids,''New York, Plenum (1990) * C. E. Norman, ''Microscopy and Analysis,'' March 2002, P.9-12 * S. A. Galloway et al., ''Physica Status Solidi (C)'', '''V0'''(3), P.1028-1032 (2003) * C. M. Parish and P. E. Russell, ''Scanning Cathodoluminescence Microscopy,'' in '''Advances in Imaging and Electron Physics, V.147,''' ed. P. W. Hawkes, P. 1 (2007) * {{Cite thesis|last1=Lähnemann|first1=J.|title=Luminescence of group-III-V nanowires containing heterostructures|type=PhD Thesis|publisher=Humboldt-Universität zu Berlin|year=2013|url=http://nbn-resolving.de/urn:nbn:de:kobv:11-100212149|format=pdf}} == 外部リンク == * [https://web.archive.org/web/20120215055442/http://plaza.snu.ac.kr/~lee2602/atlas/cath_intro.html An introduction to CL (from the Laboratory of Sedimentary System of the Seoul National University] * [http://paleopolis.rediris.es/cg/CG2009_A07/index.html Quick look cathodoluminescence analyses and their impact on the interpretation of carbonate reservoirs. Case study of mid-Jurassic oolitic reservoirs in the Paris Basin] * [https://sites.google.com/site/highrescathodoluminescence/ Scientific Results about High Spatial Resolution Cathodoluminescence] * [http://www.gatan.com/techniques/cathodoluminescence/ Gatan, a company offering commercial cathodoluminescence systems for SEM and TEM] * [http://www.attolight.com/ Attolight, a company offering commercial cathodoluminescence systems] * [http://www.delmic.com/ DELMIC, a company offering commercial cathodoluminescence systems] * [http://www.horiba.com/scientific/products/cathodoluminescence/ HORIBA Scientific, a company offering commercial cathodoluminescence systems] {{Normdaten}} {{デフォルトソート:かそとるみねせんす}} [[Category:陰極線]] [[Category:発光]] [[Category:物質科学]] [[Category:ディスプレイ技術]] [[Category:科学的技法]]
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