カラリメトリーのソースを表示

{{色}}'''カラリメトリー'''（{{lang-en-short|colorimetry}}）は体系化された[[色]]の[[測定]]と表現である<ref name=":0">"測色 一連の規約に基づいた色の測定。 ... colorimetry" JIS Z 8113:1998, p.53 より引用。</ref><ref name=":3" />。{{読み仮名|'''測色'''|そくしょく}}<ref name=":0" /><ref>"測色− ... Colorimetry-" JIS Z 8781-1:2012, p.1 より引用。</ref>、{{要出典範囲|{{読み仮名|'''色度測定'''|しきどそくてい}}|date=2025年2月}}とも。

== 概要 ==
カラリメトリーは人間の[[色覚]]を物理的に表し定量化するための科学的および技術的手法である<ref name=":3">{{cite conference|last=Ohno|first=Yoshi|date=16 October 2000|url=http://physics.nist.gov/Divisions/Div844/facilities/photo/Publications/OhnoNIP16-2000.pdf|pages=540–45|title=CIE Fundamentals for Color Measurements|conference=IS&T NIP16 Intl. Conf. on Digital Printing Technologies|accessdate=2009-06-18}}</ref>。色覚とスペクトルの間の物理的相関への依存を減らし、[[CIE 1931 色空間|CIE 1931 XYZ色空間]]の三刺激値および同様の定量化方法に基いて行われる<ref>{{cite book |author=Gaurav Sharma |title=Digital Color Imaging Handbook |url=https://books.google.com/books?id=OxlBqY67rl0C&pg=PA17&dq=colorimetry+cie+xyz+tristimulus+values |year=2002 |publisher=CRC Press |pages=15–17 |isbn=978-0-8493-0900-7}}</ref>。カラリメトリーはいくつかにカテゴリ分けできる（⇒ [[#分類]]）。カラリメトリーには様々な専門の機材が用いられる（⇒ [[#計測機材]]）。

== 分類 ==
測色は以下のように分類できる：

* {{読み仮名|'''視感測色'''|よみがな|{{lang-en-short|visual colorimetry}}}}: [[ヒト]]の目を用いた色刺激の相互比較による測色<ref>"視感測色 人間の目によって，色刺激相互の比較を行う測色。...  visual colorimetry" JIS Z 8113:1998, p.53 より引用。</ref>
* {{読み仮名|'''物理測色'''|ぶつりそくしょく|{{lang-en-short|physical colorimetry}}}}: 検出器を用いた物理量測定による測色<ref>"物理測色 物理的（放射）検出器を使用して測定を行う測色。... physical colorimetry" JIS Z 8113:1998, p.53 より引用。</ref>
** [[分光測色法|分光測色]]（{{lang-en-short|spectrocolorimetry}}）: 分光測定を用いた物理量測定による測色<ref>"分光測色 分光測定によって行う測色 spectrocolorimetry" JIS Z 8113:1998, p.53 より引用。</ref>

== 等色 ==
{{読み仮名|'''等色'''|とうしょく|{{lang-en-short|color matching}}}}は与えられた色刺激と同色に見える別の色刺激を作ることである<ref name=":1">"等色（とうしょく）... 与えられた色刺激と，色が等しく見える別の色刺激を作る行為。 ... 視感色彩計で二つの視野の色が等しくなるように調整すること ... colour matching" JIS Z 8113:1998, p.15 より引用。</ref>。

等色とは「同じ色をつくる」ことである。すなわちリファレンスとなる色刺激が提示され、操作可能な色刺激を調整してこれをリファレンスと同じ色にする<ref name=":1" />。色刺激を作る/調整する操作の例としては R/G/B 原色光の[[輝度 (光学)|輝度]]変更が挙げられる。等色は視感測色に関連した操作であり[[ヒト]]の目を用いるため、照明条件や[[視野]]サイズなどの条件を適切にコントロールする必要がある。

なお、等色はスペクトルの一致とは必ずしも同義でない。スペクトルが不一致にも関わらず特定条件下では等色が成立するものは[[条件等色]]という。

類似の概念に{{読み仮名|'''色合わせ'''|いろあわせ|{{lang-en-short|color matching}}}}がある<ref>"色合わせ（いろあわせ）... あるイルミナントの下で基準の物体と等しい知覚色をもつ別の物体を調合又は選出すること ... colour matching" JIS Z 8113:1998, p.15 より引用。</ref>。

=== 等色関数 ===
[[ファイル:CIE_1931_XYZ_Color_Matching_Functions.svg|右|サムネイル|CIE XYZ 等色関数]]
{{読み仮名|'''等色関数'''|とうしょくかんすう|{{lang-en-short|color-matching function}}}}は単色参照光への[[カラリメトリー#等色|等色]]に必要な[[原色]]量を表す、参照光波長に対する原色量の関数である<ref name=":2">"等色関数（三色表色系の） 可視波長の全域にわたって，それぞれ等しい放射パワーをもつ単色光刺激の三刺激値。... colour-matching functions" JIS Z 8113:1998, p.30 より引用。</ref>。

様々な色を体系立てて表現する手法の1つに原刺激（≒原色）セットの[[加法混色]]がある。ある色を得るために必要な各原刺激の量/比率は原刺激そのものとその組み合わせに依存し、これを記述する手法の1つが等色関数である。原刺激 <math>F</math> の等色関数 <math>\bar{f}(\lambda)
</math> は参照光波長 <math>\lambda</math> に対する原刺激量の関数であり、原刺激セットを用いて波長 <math>\lambda</math> の単色参照光へ等色する際に必要な原刺激 <math>F</math> の量を表している<ref name=":2" />。<math>\lambda</math> の[[定義域]]は基本的に[[可視光線|可視光]]領域である<ref name=":2" />。原刺激セットを構成する各原刺激について等色関数が用意され、これによってこの混色の特性が記述できる<ref name=":2" />。

==== 等色関数の負値 ====
等色関数は負値を取りうる。これは原刺激を「参照光」側に足してはじめて等色が可能になることを意味する。例えば赤（700.0 nm）・緑（546.1 nm）・青（435.8 nm）の[[単色光]]を原刺激とする CIE 1931 RGB 色空間では、3原刺激を正の強度で混色しても原刺激以外の単色光とは等色できない<ref>"単色光などの色の鮮やかな光刺激は青（※引用注: 赤の誤植？），緑，青原刺激を混ぜても作り出すことはできず，３色のうちの一つを単色光側に混ぜることをすることによって表す．" p.33 より引用。{{Cite journal2 |last=矢口 |first=博久 |year=2011 |title=色をはかる |url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmemag/114/1117/114_KJ00007695323/_article/-char/ja/ |journal=日本機械学会誌 |volume=114 |issue=1117 |pages=32-34}}</ref>。

== 計測機材 ==
カラリメトリーでは下記のような機材の組み合わせにより計測が行われる。
* 三刺激値色度計を用いた三刺激値の計測<ref name="icc">[http://www.color.org/ICC_white_paper5glossary.pdf ICC White Paper #5]</ref>
* 分光放射照度計を用いた絶対スペクトル[[放射輝度]]および[[放射束密度]]の計測<ref name="lee">{{cite book|last=Lee|first=Hsien-Che|title=Introduction to Color Imaging Science|year=2005|publisher=[[Cambridge University Press]]|pages=369–374|chapter=15.1: Spectral Measurements|quote=The process recommended by the CIE for computing the tristimulus values is to use 1 nm interval or 5 nm interval if the spectral function is smooth|chapterurl=https://books.google.com/books?id=CzAbJrLin_AC&pg=PA369&dq=spectroradiometer+spectral|isbn=0-521-84388-X}}</ref>
* [[分光測色法|分光測色器]]を用いたカラーサンプルのスペクトル反射率あるいは透過率、相対放射束密度の計測<ref name="schanda">{{cite book|last=Schanda|first=János|title=Colorimetry: Understanding the CIE System|year=2007|publisher=[[Wiley Interscience]]|chapter=Tristimulus Color Measurement of Self-Luminous Sources|doi=10.1002/9780470175637.ch6|isbn=978-0-470-04904-4}}</ref>
* 分光測色器の一種である分光色度計を用いた三刺激値の計測
* {{仮リンク|濃度計|en|Densitometer}}を用いた、物体における光の透過度あるいは反射度の計測
* 色温度計を用いた光源の色温度の計測
[[ファイル:ReflCurve.png|右|サムネイル|二つの反射スペクトル曲線。測定対象の物体は短波長を多く反射し、その他の波長の色を吸収しており、結果として青い色として認識される。]]

=== 三刺激値色度計 ===
デジタルイメージング技術において、色度計は三刺激値を計測する機材であり、カラーキャリブレーションに用いられる。カラープロファイルを用いて、画像の入力から出力に至るワークフローにおける色の一貫性を保っている。

=== 分光放射照度計、分光測色器、および分光色度計 ===
光源の絶対スペクトル分布は、分光放射照度計で計測することができる。分光放射照度計は、入射光を光学的に集め、[[モノクロメーター]]を使って細分化された波長ごとに照度を求める。

反射光に関しては分光測色器 (あるいは分光反射測色器、反射測色器とも呼ばれる) を用いて、試料の可視光域 (および少しの非可視光域を含む) の計測を行う。例えば10 nm の幅で読み取る場合、可視光域である400-700 nm は31サンプルにより読み取ることができる。これら31サンプルを用いて、その特性を表すのに最も重要な、スペクトル反射曲線 (波長毎の反射率) を描くことができる。

分光測色器の読み取り値自体はスペクトルであり、より重要な[[CIE 1931 色空間|三刺激値]]には、[[カラーマネージメントシステム|色空間変換]]による色度座標変換により計算される。この目的でも分光測色器は用いられる。分光色度計は分光測色器の一種であり、数値積分 (等色関数の内積の積分を光源のスペクトル分布に対して行う) により三刺激値を測定することができる。 分光色度計の三刺激値色度計に対する利点として、物理フィルタを持たないため、フィルタ製造時のばらつきに影響されず、経年変化を起こさない限りは単一のスペクトル反射曲線を得ることが可能である。<ref>{{Cite web|url=http://lists.apple.com/archives/Colorsync-users/2005/Jan/msg00118.html|title=Colorimeter vs. Spectro|accessdate=2008-05-06|author=Andreas Brant, GretagMacbeth Corporate Support|date=2005-01-07|work=Colorsync-users Digest}}</ref> 一方で、三刺激値色度計は専用の設計・製造がされているため、安価であり、簡単に使用できる。<ref>{{Cite web|url=http://lists.apple.com/archives/Colorsync-users/2005/Jan/msg00120.html|title=Colorimeter vs. Spectro|accessdate=2008-05-06|author=Raymond Cheydleur, X-Rite|date=2005-01-08|work=Colorsync-users Digest}}</ref>

[[国際照明委員会]] (CIE) は、より滑らかなスペクトルを得るため、5nm以下のサンプル間隔での計測を推奨している。 サンプル間隔が大きくなると、例えば右に示したCRTディスプレイの赤色蛍光体の光の放射のような急峻なカーブのような場合において、計測精度が悪化してしまう。

=== 色温度計 ===
色温度計は、写真や映画撮影において、異なる色温度の光源においてどのような[[ホワイトバランス|カラーバランス]]が必要かを判断するために使われる。参照色温度を入力すると、参照色と計測された色の間の差異を[[ミレッド]]で表示される。これを基に、適切なミレッド値に近いカラーフィルターやレンズフィルターを使うことで、より適切なカラーバランスが実現できる。<ref name="fpe">{{Cite book|last=Salvaggio|editor-last=Michael R. Peres|editor=Michael R. Peres|first=Carl|title=The Focal Encyclopedia of Photography: Digital Imaging, Theory and Application|url=https://books.google.com/books?id=VYyldcYfq3MC&pg=RA1-PA741&lpg=RA1-PA741&dq=three+silicon+photodiodes+%22color+temperature%22|edition=4E|year=2007|publisher=[[Focal Press]]|ISBN=0-240-80740-5|page=741}}</ref>
[[ファイル:Planckian-locus.png|サムネイル|法線は等しい色温度との関係を表す。]]
内部的にはシリコン[[フォトダイオード]]を用いた三刺激値色度計となっている。対応する色温度は、[[CIE 1960 色空間]]の色度座標を計算し、[[黒体軌跡]]上の最も近い点を特定することで計算される。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}

<!--
=== 注釈 ===
{{Notelist2}}
-->

=== 出典 ===
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
* {{JIS|Z|8113|1998}} - 照明用語
* {{JIS|Z|8781-1|2012}} - 測色−第1部：CIE測色標準観測者の等色関数

== 関連項目 ==
* [[測光法]]
* [[放射測定]]
* [[分光測色法]]

{{色彩}}
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:からりめとり}}
[[Category:色]]
[[Category:測定]]
[[Category:物理量]]
[[Category:視覚]]
[[Category:色覚]]
[[Category:目]]