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[[Image:Acyl-halide-skeletal.svg|class=skin-invert-image|120px|thumb|カルボン酸ハロゲン化物の一般構造式]] '''カルボン酸ハロゲン化物'''(カルボンさんハロゲンかぶつ、carboxylic halide)とは、[[有機化合物]]の分類の一つで、[[示性式]]がR−COX(X = F, Cl, Br, I)で表される[[カルボン酸]]の[[ハロゲン化合物|ハロゲン化物]]のことである。'''カルボン酸ハライド'''(carboxylic acid halide)とも言う。[[アシルハライド]] (acyl halide)の一種。 種々のカルボン酸誘導体やアシル誘導体を合成する際に用いられる。ハロゲンの種類により、[[カルボン酸フッ化物]]、[[カルボン酸塩化物]]、[[カルボン酸臭化物]]、[[カルボン酸ヨウ化物]]に分けられる。 == 命名法 == カルボン酸塩化物を命名する場合、母体となるカルボン酸名の語尾 "—oic acid"、"—ic acid"、または "—carboxylic acid" を、それぞれ "—oyl chloride"、"—yl chloride"、または "—carbonyl chloride" に置き換える。フッ化物 "fluoride"、臭化物 "bromide"、ヨウ化物 "iodide" も同様である。日本語では「○○化」を前に置き、その後に "—yl" の部分を字訳する。 ;例 :<chem>CH3CO2H</chem> (酢酸:acetic acid、エタン酸:ethanoic acid) ::<chem>-> CH3COCl</chem> (塩化アセチル:acetyl chloride、塩化エタノイル:ethanoyl chloride) == 合成法 == カルボン酸塩化物を合成する場合は一般に、母体となるカルボン酸に対して、[[塩化チオニル]]や[[塩化オキサリル]]、[[塩化ホスホリル]]、[[塩化スルフリル]]、[[三塩化リン]]、[[五塩化リン]]などの求電子的ハロゲン化剤を反応させる。減圧蒸留により過剰分を除去しやすい塩化チオニルや塩化スルフリルが第一選択となる。 [[File:Acyl chloride synthesis.PNG|class=skin-invert-image|center|300px]] 塩化ホスホリルや五塩化リンなどのリン化合物を用いると、生成するリン酸成分の除去が困難となる場合もある。また、塩化ホスホリルや五塩化リンは法規制のため入手しにくいという問題もある。 カルボン酸ブロミドは[[三臭化リン]]などを用いて合成する。 == 反応 == 塩基([[ピリジン]]など)の存在下、種々の[[求核剤]]と反応させるとそれぞれのカルボン酸誘導体となる。 * [[アルコール]]と反応させると対応する[[エステル]]を与える。 [[Image:Acyl Halide plus Alcohol.PNG|class=skin-invert-image|center|400px|カルボン酸ハロゲン化物のエステル化]] * [[アンモニア]]および[[アミン]]と反応させると対応する[[アミド]]を与える。 [[Image:Acyl Halide plus Amine.PNG|class=skin-invert-image|center|400px|カルボン酸ハロゲン化物のアミド化]] * 水と反応させると母体となったカルボン酸とハロゲン化水素へと[[加水分解]]される。 [[Image:Hydration of Acyl Halide.PNG|class=skin-invert-image|center|400px|カルボン酸ハロゲン化物の加水分解]] * カルボキシラートイオンと反応させると[[カルボン酸無水物]]を与える。 [[File:Carboxylic anhydride synthesis.PNG|class=skin-invert-image|500px|center]] * [[ギルマン試薬]]と反応させると対応する[[ケトン]]を与える。 : <chem>{R-C(=O)-Cl} + R'2CuLi -> R-C(=O)-R'</chem> * [[塩化アルミニウム]]などの[[ルイス酸]]の作用により、芳香族化合物に対し[[芳香族求電子置換反応|求電子置換反応]]を行う。([[フリーデル・クラフツ反応]]) [[Image:Friedel-Crafts-acylation-overview.png|class=skin-invert-image|center|400px|ベンゼンに対するフリーデル・クラフツ反応]] ほか、[[ローゼムント還元]]により、アルデヒドの原料となる。[[アーント・アイシュタート合成]]により、[[メチレン基]]が1個増えたカルボン酸に変換される。 == 関連項目 == {{Commonscat|Carboxylic acid halides}} * [[臭化アセチル]] * [[カルボン酸塩化物]] {{DEFAULTSORT:かるほんさんはろけんかふつ}} [[Category:カルボン酸|*]] [[Category:有機ハロゲン化合物]] [[Category:官能基]]
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