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'''キュートリット'''（{{lang-en-short|qutrit}}）は、 3つの直交する量子状態の重ね合わせとして存在する[[量子情報]]の単位である。

2つの量子状態である[[量子ビット]]（キュービット, qubit）が古典的な[[ビット]]に対応しているのと同じように、キュートリットは、古典的な[[トリット（computing）| トリット]]に対応した単位である。

== 概要 ==
キューリットは、3つの直交する[[基底（線形代数）|基底]]状態の線形結合の形で、[[重ね合わせ]]として記述される。
[[ディラック]]の[[ブラ-ケット記法]]で、キューリットは、３つの[[状態ベクトル]] <math> | 0 \rangle </math>、<math> | 1 \rangle </math>、<math> | 2 \rangle </math>　を使って次のように表せされる。

: <math>|\psi\rangle = \alpha |0\rangle + \beta |1\rangle + \gamma |2\rangle</math>,

この係数は複素数であり、[[確率振幅]] と呼ばれる。その絶対値二乗の和は1である：

: <math>| \alpha |^2 + | \beta |^2 + | \gamma |^2 = 1 \,</math>

キューリットの３つの基底状態は直交しており、[[量子ビット|キュービット]]の２つの基底状態が直交していることに対応している。
また、[[量子ビット|キュービット]]がアップスピンとダウンスピンに対応した２次元[[ヒルベルト空間]]　<math> H_2 </math>　で表されるのに対して、キューリットは3次元[[ヒルベルト空間]]　<math> H_3 </math>　を必要とする。

''n'' 個のキューリットは、同時に 3<sup>''n''</sup> 個の異なる状態を表す。

キューリットは、量子情報を格納するために使用されるとき、いくつかの特有の特徴を有する。例えば、特定の環境的相互作用の下では、[[デコヒーレンス]]に対してより強い特性がある。<ref>A. Melikidze, V. V. Dobrovitski, H. A. De Raedt, M. I. Katsnelson, and B. N. Harmon, ''Parity effects in spin decoherence'', Phys. Rev. B '''70''', 014435 (2004) ([http://link.aps.org/doi/10.1103/PhysRevB.70.014435 link])</ref> しかしながら、実際は、キューリットを実現し、直接操作することは難しく、そのため、[[量子もつれ|絡み合った量子もつれ状態]]の[[量子ビット|キュービット]]を利用する方法が考えられている。<ref>B. P. Lanyon,1 T. J. Weinhold, N. K. Langford, J. L. O'Brien, K. J. Resch, A. Gilchrist, and A. G. White,  ''Manipulating Biphotonic Qutrits'', Phys. Rev. Lett. '''100''', 060504 (2008) ([http://link.aps.org/abstract/PRL/v100/e060504 link])</ref>

== 関連項目 ==
* {{仮リンク|Mutually unbiased bases|en|Mutually unbiased bases}}
* [[量子ビット]]
* [[量子計算]]
* [[量子コンピュータ]]

== 参考文献 ==
{{reflist}}

== 外部リンク ==
* [http://www.physorg.com/news123244300.html Physicists Demonstrate Qubit-Qutrit Entanglement] by Lisa Zyga at [[Physorg.com]], February 26, 2008 . Accessed March 2008

{{DEFAULTSORT:きゆうとりつと}}
[[Category:情報の単位]]
[[Category:量子情報科学]]
[[Category:量子力学]]