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{{出典の明記|date=2016年12月14日 (水) 05:20 (UTC)}} {{chembox | 出典={{ICSC-ref|0027}} | Name=クロロホルム | ImageFileL1 = Chloroform displayed.svg | ImageSizeL1 = 140px | ImageAltL1 = 構造式 | ImageFileR1 = Chloroform 3D.svg | ImageSizeR1 = 140px | ImageAltR1 = 分子模型 | ImageFile2 = Chloroform by Danny S. - 002.JPG | ImageAlt2 = 試験管に入ったクロロホルム | ImageSize2 = 100px | IUPACName =トリクロロメタン(系統名)<br />クロロホルム(許容慣用名) | Section1 = {{Chembox Identifiers | CASNo = 67-66-3 | KEGG = C13827 | SMILES=CCl(Cl)(Cl) }} | Section2 = {{Chembox Properties | Formula=CHCl<sub>3</sub> | MolarMass =119.4 | Appearance =無色透明の液体 | Odor=強く甘い芳香 | 密度=1.48, 液体 | 相対蒸気密度=4.12 | 融点C=−64 | 融点注= | 沸点C=61.2 | 沸点注= }} | Section7 = {{Chembox Hazards | GHSPictograms = {{GHS06}}{{GHS08}} | GHSSignalWord = Danger | HPhrases = {{H-phrases|302|315|319|331|336|351|361|372}} | PPhrases = {{P-phrases|201|202|260|264|270|271|280|281|301+330+331|310|302+352|304+340|311|305+351+338|308+313|314|332+313|337+313|362|403+233|235|405|501}} | NFPA-H = 2 | NFPA-F = 0 | NFPA-R = 0 | NFPA-S = }} }} '''クロロホルム''' ({{lang-en-short|chloroform}}) は[[化学式 ]]CHCl<sub>3</sub> で表される[[ハロゲン化アルキル]]の一種である。[[IUPAC命名法|IUPAC名]]は'''トリクロロメタン''' (trichloromethane) であり、[[トリハロメタン]]に分類される。広範囲で[[溶媒]]や[[溶剤]]として利用されている。 ==歴史== <!--うまく表示されないので隠しました。--><!--[[File:The Discovery of chloroform (1913).webm|thumb|left|thumbtime=7|''The Discovery of Chloroform'', [[手話]], 1913.]]--> *[[1831年]] ドイツの化学者[[ユストゥス・フォン・リービッヒ]]、フランスの科学者[[ウジェーヌ・ソーベイラン]] (Eugène Soubeiran)、[[サミュエル・ガスリー]] (Samuel Guthrie) の3名がそれぞれ別に同年クロロホルムを発見。ソーベイランは[[次亜塩素酸カルシウム]]の粉末と[[アセトン]]もしくは[[エタノール]]と反応させることでクロロホルムを得た。この反応を一般化したものは[[ハロホルム反応]]として知られている。 *[[1847年]] イギリスの医師[[ジェームズ・シンプソン]] (James Young Simpson) によりクロロホルムの臨床応用が[[エジンバラ]]にて開始される。 *[[1853年]]及び[[1857年]]、ジョン・スノウ (John Snow) が、[[ヴィクトリア (イギリス女王)|ヴィクトリア女王]]にクロロホルム麻酔を用いた[[無痛分娩]]を行う。この事が、無痛分娩を世間に広く知らしめる契機となった<ref>[http://www.anesth.hama-med.ac.jp/Anedepartment/masuinorekishi.asp 麻酔の歴史 - 浜松医科大学麻酔・蘇生学講座]</ref>。 <!-- 出典元と思われるものを見つけるも、信頼性に乏しいのでコメントアウト。ノートを参照のこと。 *1834年 Jean-Baptiste Dumasによって化学式と名前が決定された。 *1847年 フランスの生物学者[[Marie-Jean-Pierre Flourens]]とRobert James Fegleによってクロロホルムの[[麻酔]]作用が書き記された。 *1847年 イギリス人医師[[ジェームズ・シンプソン]] (James Young Simpson) によりクロロホルム麻酔が開発される。 --> その後外科[[手術]]の際の[[麻酔]]剤としての利用が、ヨーロッパで急速に広まった。しかし[[毒性]]、特に深刻な心[[不整脈]]などの原因になり易いという特徴を持ち、その犠牲者は「中毒者の突然死」と表現された。このため20世紀の初頭に、麻酔剤としての主力は[[ジエチルエーテル]]へと移行した。高い治療指数と低価格、確実な麻酔維持能という特長から、発展途上国では[[2006年]]現在でもジエチルエーテルが麻酔剤として好んで用いられている。実際、エーテルの引火原因となる各種電子機器、電気メスを排除できるなら、現代でも麻酔維持にはジエチルエーテルが最も優れているといえよう。一時期、[[ハロゲン化アルキル|ハロゲン系脂肪族炭化水素]]である[[トリクロロエチレン]]がクロロホルムよりも安全な麻酔剤であると提案されたことがあったが、これも後に発がん性が確認された。 ==合成== 工業的には[[塩素]]と[[クロロメタン]]、もしくは[[メタン]]を400-500℃で加熱することで得られている。この温度では[[フリーラジカル]][[ハロゲン化]]反応が起き、メタンやクロロメタンが徐々に塩素化された化合物へと変換される。 :<chem>CH4 + Cl2 -> CH3Cl + HCl</chem> :<chem>CH3Cl + Cl2 -> CH2Cl2 + HCl</chem> :<chem>CH2Cl2 + Cl2 -> CHCl3 + HCl</chem> :<chem>CHCl3 + Cl2 -> CCl4 + HCl</chem> 最終的にはクロロメタン、[[ジクロロメタン]]、クロロホルム、[[四塩化炭素]]という4種類のクロロメタン類が得られる。これらの混合物は蒸留により分離される。 最初に工業化された合成法は、アセトンもしくはエタノールと、次亜塩素酸ナトリウムもしくは次亜塩素酸カルシウム(俗にいうさらし粉)とを反応させるというものであった。アセトンを用いた場合はクロロホルムと[[酢酸ナトリウム]]や[[酢酸カルシウム]]、エタノールを用いた場合は[[ギ酸ナトリウム]]や[[ギ酸カルシウム]]との混合物が合成される。これらの混合物は蒸留により分離された。この反応は[[ハロホルム反応]]として知られており、現在でも[[ブロモホルム]]や[[ヨードホルム]]を合成する際に用いられる合成法である。 重水素化されたクロロホルムは重水素化された[[水酸化ナトリウム]]と[[抱水クロラール]]との反応により合成されるが、アルデヒドの水素原子のいくらかが[[重クロロホルム]]中に混入してしまうことがある。高い同位体純度を持つものは[[トリクロロアセトフェノン]]から合成される。 ==性質== 常温では無色で、甘い味を有し、強く甘い芳香をもつ[[液体]]である。多くの[[有機化合物]]をよく溶解する。[[光]]や[[酸素]]の存在下で比較的容易に分解され、有害ガスである[[ホスゲン]]を発生する<ref name=IPCS>{{Cite web|date=2009|url=https://www.nihs.go.jp/hse/cicad/full/no58/full58.pdf|title=IPCS UNEP//ILO//WHO 国際化学物質簡潔評価文書 No.58 クロロホルム|format=PDF|publisher=国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部|accessdate=2012-01-14}}</ref>。また高温下でも分解が進行する。このため一般的な市販品には安定剤として[[アルコール]](主に[[メタノール]]、[[エタノール]])や[[アミレン]]が<!--1%程度:要出典?-->添加されている。 ==用途== 19世紀後半から20世紀前半にかけて、一般的な[[吸入麻酔薬]]として外科手術の際に利用されてきた。その後、より高い安全性を持つものに置き換えられた。現在では冷却材である[[クロロジフルオロメタン]]などの[[フロン類]]製造が主な利用法となっている<ref name=IPCS/>。しかしながら[[モントリオール議定書]]により、オゾン層破壊物質であるフロンの製造も減少すると考えられている。 クロロホルムは化学工業の広い範囲で溶媒として用いられる<ref name=IPCS/>。また大学などの研究室でも広く使われている。使用例としては、[[アクリル樹脂]]の溶解、植物からのアルカロイド[[抽出]]などが挙げられる。 また[[核磁気共鳴|NMR]]測定に供する試料の溶媒として[[重水素]]で置換されたクロロホルム('''[[重クロロホルム]]'''、CDCl<sub>3</sub>)が標準的に使用される。 ==フィクションにおける利用== [[麻酔]]作用があることは一般にも有名であり、[[テレビドラマ]]や[[推理小説]]、あるいは[[漫画]]などで頻繁に登場する。 典型的なシーンとしては、下記のようなものが挙げられる。 #クロロホルムを数滴[[ハンカチ]]にしみこませる。 #後ろから被害者にこっそり近づき、鼻と口をおさえる。 #被害者は抵抗するが、すぐぐったりとして寝てしまう。 #次の場面で被害者は頭痛と共に目覚める。 クロロホルム自体は、実際には多少吸引しても気を失うことはなく、せいぜい[[咳]]や[[吐き気]]、あるいは[[頭痛]]に襲われる程度である。上述の通りクロロホルムには麻酔性があることは事実であるが、これを発現させるためには相当量を吸引させなければならない。 他方、過度の吸引は腎不全を引き起こし、死に至らしめる可能性が高く、麻酔として用いるためには吸引量と全身状態を管理された状態に置かねばならない。すなわち麻酔としてクロロホルムを用いるためには、かけられる側にも「麻酔される意志」が必要であるということである。<!--2013年10月8日放映の『[[有吉弘行のダレトク!?]]』([[フジテレビ]])では、[[慈恵医大]]の麻酔科の准教授が「クロロホルムを嗅いで一瞬で気絶することは絶対にない。大量に染み込ませたハンカチなどを口に当ててゆっくり大きく何度も深呼吸をして5分間くらい続けないと通常は気絶しない」と解説をもとに、ドラマで使われてきたことはおかしいと断定した。--> また、クロロホルムが肌に触れると、状況によっては爛れを発生させ、一生消えることのないキズをおわせることにもなりうる。 ==反応== [[強塩基]]や[[酸化剤|強酸化剤]]、マグネシウムや亜鉛といった金属類と反応する。水酸化ナトリウム水溶液と反応した場合は、[[ジクロロカルベン]]を生成するが、[[相間移動触媒]]があると反応速度が向上する。この反応は[[フェノール]]などの活性化された芳香環のオルト[[ホルミル化]]などに用いられ、芳香族アルデヒドを合成する手法として知られている([[ライマー・チーマン反応]])。またカルベンはアルケンに選択的に捕捉され、シクロプロパン誘導体が合成される。 == 毒性 == 中枢神経に作用するため、その特性を逆に利用して麻酔剤として利用されてきた。しかし大量に吸入すると[[血圧]]や[[呼吸]]、[[心拍]]の低下を引き起こし、重篤な場合は[[死]]に至る。また[[呼吸器]]、[[肝臓]]、[[腎臓]]に影響を与えることが確認されており、[[発癌性|発がん性]]も疑われている<ref name=IPCS/>。[[国際がん研究機関|IARC]]の発がん性評価ではグループ2Bに分類されている。マウスなどの動物実験によって[[変異原|変異原性]]が疑われている<ref name=IPCS/>。また、ラットを用いた実験では、胎児毒性、発達毒性が見られた<ref name=IPCS/>。しかしヒトの生殖に対してどのような影響を与えるのかは知られていない。 [[歯磨剤|歯磨き粉]]や[[咳止め]][[シロップ]]、[[軟膏]]や他の薬剤に用いられたこともあったが、アメリカ合衆国では[[1976年]]に利用が中止された。 [[不燃性]]であるが前述のように強塩基や強酸化剤、[[マグネシウム]]や[[亜鉛]]といった金属類とは反応するため、[[溶媒]]として用いる際には注意が必要である。 これらの問題のため、研究室では[[ドラフトチャンバー|ドラフト]]内で利用することが望ましい。なお[[毒性]]と厳しい[[排出規制]]、および[[グリーンサスティナブルケミストリー|グリーンケミストリー]]の観点から極力使用しないよう推し進められており、より安全な[[ジクロロメタン]]や、より[[環境負荷]]の小さい溶媒への転換が行われている。 日本では[[毒物及び劇物取締法]]の[[劇物|医薬用外劇物]]に指定、[[労働安全衛生法]]の[[特定化学物質#第2類物質|第二類物質]][[特別有機溶剤等]]に指定されるなどの規制を受けている。 <!--コメントアウト。ノートにコメントします。 ==フェチとしてのクロロホルム== クロロホルムを嗅がされて気を失う人間を見て興奮する人間が存在する。フェチの一種であり、男性に見られる。もちろん、男性は女性が嗅がされてもがくシーンに興奮するのである。クロロホルムが拉致の道具に用いられる映画作品としては、「コレクター」が挙げられる。クロロホルムフェチを持つ人間の間では有名な作品である。 --> 作業環境での管理濃度は、3ppmである。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} ==関連項目== *[[有害物質]] {{ハロメタン}}{{General anesthetics}}{{GABAA受容体陽性アロステリック調節因子}}{{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:くろろほるむ}} [[Category:ハロメタン]] [[Category:溶媒]] [[Category:有機塩素化合物]] [[Category:劇物]] [[Category:ユストゥス・フォン・リービッヒ]] [[Category:全身麻酔薬]]
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