クーン・ポーカーのソースを表示

'''クーン・ポーカー''' (Kuhn poker) は二人零和不完全情報ゲームとして[[ハロルド・クーン]]が考案した、非常に単純化された[[ポーカー]]である。非常に単純であるため、[[ゲーム理論]]を用いて完全な分析が可能である。クーン・ポーカーは[[キング (トランプ)|キング]]・[[クイーン (トランプ)|クイーン]]・[[ジャック (トランプ)|ジャック]]などのたった3枚（3種類）のカードのみを用いるポーカーである。各プレイヤに1枚ずつカードが配られ、一般的なポーカーと同様に[[ポーカー#ベット|ベット]]を行う。両プレイヤがベットするか、両プレイヤーがパスした場合、より強いカードを持つプレイヤーが勝利し、片方のみのプレイヤーがベットした場合には、ベットしたプレイヤーが勝利する。

== ゲームの説明 ==
一般的なポーカー用語を用いてクーン・ポーカーの進行を説明する。
* 各プレイヤーは[[ポーカー#アンティ|アンティ]]（参加費）として1を払う。
* 各プレイヤーは1枚のカードを配られる。3枚目の、配られていないカードは見えないよう横に置く。
* プレイヤー1はチェックするか、1だけベットするかを選ぶ。
** プレイヤー1がチェックした場合、プレイヤー2がチェックするか、1だけベットするかを選ぶ。
*** プレイヤー2がチェックした場合、全員がチェックであるため[[ポーカー#ショーダウン|ショー・ダウン]]となり、強いカードを持つプレイヤーが掛け金2を得る（他のプレイヤーから掛け金1得る）。
*** プレイヤー2がベットした場合、プレイヤー1はフォールドするか、コールするかを選ぶ。
**** プレイヤー1がフォールドした場合、勝者であるプレイヤー2は掛け金3を得る（プレイヤー1から掛け金1を得る）。
**** プレイヤー1がコールした場合、ショー・ダウンとなり、より強いカードを持つプレイヤーが掛け金4を得る（他のプレイヤーから掛け金2を得る）。
** プレイヤー1がベットした場合、プレイヤー2がフォールドするかコールするかを選ぶ。
*** プレイヤー2がフォールドした場合、勝者であるプレイヤー1は掛け金3を得る（プレイヤー2から掛け金1を得る）。
*** プレイヤー2がコールした場合、ショー・ダウンとなり、より強いカードを持つプレイヤーが掛け金4を得る（他のプレイヤーから掛け金2を得る）。

== 最適戦略 ==
クーン・ポーカーには混合戦略[[ナッシュ均衡]]が存在する。両プレイヤーがその戦略を実践すると、プレイヤー1（先手）が1回あたり−1/18だけ敗北する。クーン・ポーカーは零和ゲームであるため、プレイヤー2（後手）は1/18だけ勝利する。純粋戦略ナッシュ均衡は存在しない。

考案者であるハロルド・クーンはプレイヤー1にとって1つのパラメータを持つ連続な無限の均衡戦略が存在することを示した。いろいろな表現があるが、その1つの定式化では

プレイヤー1は自由に選んだ <math>\alpha \isin [0, 1/3]</math> に対して、

*ジャック（最弱カード）を持っている場合には <math>\alpha</math> の確率でベット
*キングを持っている場合には <math>3\alpha</math>の確率でベット
*クイーンを持っている場合には常にチェック
**プレイヤー2がそのチェックに対してベットした場合には <math>\alpha + 1/3</math> の確率でコール
という戦略である。

プレイヤー2は唯一の均衡戦略を持つ。
*キングを持っている場合には常にベットかコール
*クイーンを持っている場合には、可能ならチェックを、不可能であれば<math>1/3</math>の確率でコール
*ジャックを持っている場合には常にコールせず、<math>1/3</math>の確率でベット
という戦略である。
[[ファイル:Kuhn_poker_tree.svg|中央|サムネイル|800x800ピクセル|混合戦略ナッシュ均衡の確率を含むクーン・ポーカーの完全木。点線は[[ナッシュ均衡#支配戦略均衡|支配戦略]]の部分木を示す。]]

== 参考文献 ==
{{参照方法|section=1|date=2020年7月13日 (月) 08:14 (UTC)}}
* {{Cite book|last=Kuhn|editor-last=Kuhn|editor-first=H. W.|first=H. W.|title=Contributions to the Theory of Games|year=1950|publisher=Princeton University Press|pages=97–103|chapter=Simplified Two-Person Poker|volume=1|editor1-last=Kuhn|editor2-last=Tucker|editor1-first=H. W.|editor2-first=A. W.}}
* {{Cite web|url=http://www.econ.ohio-state.edu/jpeck/Econ601/Econ601L15.pdf|title=Perfect Bayesian Equilibrium|accessdate=2 September 2016|author=James Peck|publisher=Ohio State University}}{{Rp|19-29}}

== 外部リンク ==
* [http://www.cs.ualberta.ca/~holte/Publications/aaai2005poker.pdf Effective Short-Term Opponent Exploitation in Simplified Poker]

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{{デフォルトソート:くうんほおかあ}}
[[Category:ゲーム理論]]
[[Category:ポーカー]]