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{{Otheruses|[[関数 (数学)|関数]]の[[ダイアグラム]]風の表現|ネットワーク的な構造|グラフ理論}} [[関数 (数学)|関数]]の'''グラフ'''({{lang-en-short|graph}})は、直観的には、関数を[[平面]]内の[[曲線]]もしくは[[三次元空間|空間]]内の[[曲面]]として[[ダイアグラム]]状に視覚化したものである。形式的には、関数 {{mvar|f}} のグラフとは、[[順序対]] {{math|(''x'', ''f''(''x''))}} の[[集合]]である。 例えば、{{mvar|x}} と {{math|''f''(''x'')}} が常に[[実数]]であるような関数の場合、グラフは[[直交座標系|座標平面]]上の点の集まりとみなすことができる。このような関数のうち、応用上重要な関数の多くは、グラフを座標平面上に曲線として描くことが可能である。 グラフの概念は、関数のみならず、より一般の[[写像]]や[[対応 (数学)|対応]]に対しても定義される。標語的には、グラフは関数や対応を特徴付ける集合であるといえる。 == 定義 == ''f'' を、集合 ''A'' から集合 ''B'' への関数とする。すなわち、''A'' の各元 ''x'' に対し、''B'' の元 ''f''(''x'') がただ一つ定まるとする。このとき、''f'' の'''グラフ'''とは、[[直積集合]] ''A'' × ''B'' の[[部分集合]] :<math>\{(x,f(x)) \mid x \in A\}</math> である。逆に、''A'' × ''B'' の部分集合 ''G'' が、「任意の ''x'' ∈ ''A'' に対して (''x'', ''y'') ∈ ''G'' なる元がただひとつ存在する」という条件を満たすならば、''G'' をグラフとする ''A'' から ''B'' への関数 ''f'' が一意的に定まる。 特に、実数 ''x'' に対し、ただ一つの実数 ''f''(''x'') が定まる関数 ''f'' を考えると、これは、''A'' と ''B'' がともに実数全体の集合 '''R''' の場合である。このとき、グラフは '''R''' × '''R'''('''R'''<sup>2</sup> と表す)の部分集合である。'''R'''<sup>2</sup> は2次元[[ユークリッド空間]]、すなわち平面と同一視され、この場合の関数のグラフは平面内の点の集まりとみなすことができる。 また、二つの実数 ''x'', ''y'' に対し、ただ一つの実数 ''f''(''x'', ''y'') が定まる2変数関数 ''f'' を考えると、これは、''A'' = '''R'''<sup>2</sup> かつ ''B'' = '''R''' の場合である。このとき、グラフは '''R'''<sup>2</sup> × '''R''' の部分集合である。'''R'''<sup>2</sup> × '''R''' の元は ((''x'', ''y''), ''z'') の形をしているが、これを (''x'', ''y'', ''z'') と同一視することにより、グラフは3次元ユークリッド空間 '''R'''<sup>3</sup> 内の点の集まりとみなすことができる。 == 具体例 == [[Image:Cubicpoly.svg|class=skin-invert-image|thumb|200px|関数 ''f''(''x'') = ''x''<sup>3</sup> − 9''x'' のグラフ]] [[Image:Open Surface.svg|class=skin-invert-image|thumb|200px|関数 ''f''(''x'', ''y'') = ''x''<sup>2</sup> − ''y''<sup>2</sup> のグラフ]] 関数 :<math> f(x) = \begin{cases} 2 & (x=a)\\ 0 & (x=b)\\ -1 & (x=c) \end{cases} </math> のグラフは {(''a'', 2), (''b'', 0), (''c'', −1)} である。このグラフを視覚化するルールは、標準的には定まっていないが、[[棒グラフ]]等で表すことは可能である。 実数上の[[三次関数]] :{{math|1=''f''(''x'') = ''x''{{sup|3}} − 9''x''}} のグラフは {(''x'', ''x''<sup>3</sup> − 9''x'') | ''x'' ∈ '''R'''} である。座標平面上で、各 ''x'' に対して (''x'', ''x''<sup>3</sup> − 9''x'') をプロットすると、右の曲線を得る。一般には、この曲線を指して ''f'' のグラフと称することが多い。 実数上の2変数関数 :{{math|1=''f''(''x'', ''y'') = ''x''{{sup|2}} − ''y''{{sup|2}}}} のグラフは {(''x'', ''y'', ''x''<sup>2</sup> − ''y''<sup>2</sup>) | ''x'', ''y'' ∈ '''R'''} である。座標空間内で、各 (''x'', ''y'') に対して (''x'', ''y'', ''x''<sup>2</sup> − ''y''<sup>2</sup>) をプロットすると、右の曲面を得る。 '''R''' から '''R''' への関数だとしても、実際にグラフを描画できるとは限らない。例として、[[ディリクレの関数]]、すなわち[[有理数]]に対しては 1 を、[[無理数]]に対しては 0 を対応させる関数を考える。 :<math> f(x) = \begin{cases} 1 & (x \in \mathbb{Q})\\ 0 & (x \in \mathbb{R}\setminus \mathbb{Q}) \end{cases} </math> この関数のグラフは、2本の[[平行]]な直線に「見える」であろう。しかし、それぞれの直線には無数に穴が空いているのであり、これを正確に描画することは不可能である。 == 関数の性質とグラフの特徴 == 本節では、簡単のため、'''R''' から '''R''' への関数のみを考え、関数の性質とグラフの特徴の関係について述べる。 === 関数の定義・全射性・単射性 === 関数の定義より、任意の実数 ''x'' に対して ''f''(''x'') がただ一つ定まるため、''x'' 軸に[[垂直]]な直線は、関数のグラフとただ1点で交わる。一方、''y'' 軸に垂直な直線は、グラフと交わらないことも、複数の点で交わることもある。''y'' 軸に垂直な直線とグラフが交わる回数は、関数の全射性や単射性と対応している。 *常に交わる ⇔ 関数は[[全射]] *常に1回以下である ⇔ 関数は[[単射]] *常にちょうど1回である ⇔ 関数は[[全単射]] === 連続性 === {{See also|連続 (数学)}} [[Image:Dirac distribution CDF.svg|class=skin-invert-image|200px|thumb|ヘヴィサイドの階段関数のグラフ]] 関数 ''f'' が ''x'' = ''a'' で連続であるとは、おおまかには、''f'' のグラフが (''a'', ''f''(''a'')) の周辺で「つながっている」ということである。例えば、[[ヘヴィサイドの階段関数]]は、''x'' = 0 でのみ不連続であって、他の点では連続である。 しかし、数学における連続性は、厳密には[[極限]]、ひいては[[イプシロン-デルタ論法|ε-δ論法]]を用いて定義されるのであって、必ずしも直感的に分かりやすい例ばかりではない。分かりにくい例として、次の関数 ''f'' を考える。 :<math> f(x) = \begin{cases} x & (x \in \mathbb{Q})\\ 1-x & (x \in \mathbb{R}\setminus \mathbb{Q}) \end{cases} </math> この関数のグラフは、2本の直線が (1/2, 1/2) で直交しているように「見える」が、ディリクレの関数と同様に無数に穴が空いている。連続性の定義から、''x'' = 1/2 でのみ連続であって、他の点では不連続である。 === 微分可能性 === {{See also|微分法|滑らかな関数}} 関数 {{Math|{{mvar|f}}}} が {{Math|{{mvar|x}}{{=}}{{mvar|a}}}} で微分可能であるとは、おおまかには、 {{Math|{{mvar|f}}}} のグラフが {{Math|({{mvar|a}},{{mvar|f}}({{mvar|a}}))}} の周辺で「滑らか」であって、その点における[[接線]]が描けるということである。例えば、[[絶対値]]関数は、{{Math|{{mvar|x}}{{=}}{{mvar|0}}}} でのみ微分不可能であって、他の点では微分可能である。なお、微分可能ならば連続でもあるが、逆は成り立たない。 微分可能性は、やはり極限を用いて定義されるのであって、必ずしも直感的に分かりやすい例ばかりではない。例として、次の関数 {{Math|{{mvar|f}}{{sub|1}}}} を考える。この関数のグラフは、原点の近くで無限回振動しており、正確に描くことはできない。 :<math> f_1(x) = \begin{cases} 0, & (x \le 0) \\ x\sin \left(\dfrac{1}{x}\right), & (x > 0) \end{cases} </math> {{Math|{{mvar|f}}{{sub|1}}}} は {{Math|{{mvar|x}}{{=}}0}} で連続ではあるが、微分可能ではない。このことは、グラフの外見だけからは判別しにくい。 似た定義式であっても、次の関数は {{Math|{{mvar|x}}{{=}}0}} で微分可能である。 :<math>f_2(x) = \begin{cases} 0, & (x \le 0) \\ x^2\sin \left(\dfrac{1}{x}\right), & (x > 0) \end{cases} </math> なお、[[導関数]] ''f''<sub>2</sub>′は ''x'' = 0 で不連続である。 <gallery widths="160" class="skin-invert-image"> ファイル:Absolute value.svg|絶対値関数は原点で微分不可能 ファイル:TV pic2.png|{{Math|{{mvar|f}}{{sub|1}}}} は原点で微分不可能 ファイル:TV pic3.png|{{Math|{{mvar|f}}{{sub|2}}}} は原点で微分可能 </gallery> == 陰関数のグラフ == 陰関数表示されたグラフはy=±√・・・の形の陽関数にして書く。 対称性を見つければy=±√・・・のプラスマイナスは片方だけ調べればよくなる<ref>{{Cite web |title=陰関数表示された関数のグラフの書き方 | 数学の偏差値を上げて合格を目指す |url=http://math-juken.com/kijutu/inkansugraph/ |website=数学の偏差値を上げて合格を目指す |date=2017-10-05 |accessdate=2022-03-17 |language=ja}}</ref>。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} == 関連項目 == *[[グラフ]] *[[統計図表]] *[[グラフ作成ソフト]] == 外部リンク == *{{MathWorld|title=Function Graph|urlname=FunctionGraph}} {{Mathanalysis-stub}} {{DEFAULTSORT:くらふ}} [[Category:ダイアグラム]] [[Category:グラフ|*]] [[Category:関数]] [[Category:数学に関する記事]] [[pt:Função#Gráficos de função]]
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