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{{出典の明記|date=2023年1月3日 (火) 08:59 (UTC)}} [[Image:Ketone-general.png|class=skin-invert-image|thumb|120px|ケトンの一般式]] [[画像:Aceton.svg|class=skin-invert-image|thumb|120px|アセトン]] '''ケトン''' ({{lang-de-short|Keton}} {{IPA-de|keˈtoːn|}}、{{lang-en-short|ketone}} {{IPA-en|ˈkiːtoʊn|}}) は、分子内に、[[カルボニル基]] <chem>-C(=O) -</chem> を有する化合物([[カルボニル化合物]])のうち、カルボニル基に[[アルキル基]]が結合しているものの総称。一般式は、 <chem>R-CO-R'</chem>(<chem>R, R'</chem> はアルキル基)である。 身近な物質の中では、[[除光液]]として用いられる[[アセトン]]などがその代表例である。 <chem>R</chem> が水素原子である[[カルボニル化合物]]は[[アルデヒド]]と呼ばれ、その[[官能基]] <chem>-C(=O) -H</chem> を[[ホルミル基]]という。その中でも特に、 <chem>R, R'</chem> がどちらも水素原子であるアルデヒドを、[[ホルムアルデヒド]]という。 <chem>R</chem> が[[ヒドロキシ基]]であるカルボニル化合物は[[カルボン酸]]と呼ばれ、その官能基 <chem>-C(=O) -O-H</chem> を[[カルボキシ基]]という。その中でも特に、 <chem>R'</chem> が水素原子であるカルボン酸を[[ギ酸]]、ヒドロキシ基であるカルボン酸を[[炭酸]]という(ただし炭酸が[[有機化合物]]でないという点には注意。)。 [[シクロアルケン]]の[[パラ位]]が[[カルボニル基]]になっている物質は[[キノン]]と呼ばれる。 ==命名法== ケトンを命名する場合は、カルボニル基の位置を示す数字とともに、対応する[[アルカン]]の語尾に one をつけるか、接頭語 oxo を用いる。 {{main|IUPAC命名法}} 例: [[画像:Butanone-structure-skeletal.png|class=skin-invert-image|100px|2-ブタノン]] [[2-ブタノン|2-ブタノン (2-butanone)]] / [[2-ブタノン|2-オキソブタン (2-oxobutane)]] == 合成法 == *[[アルコール|第二級アルコール]]を[[クロム酸酸化]]や[[スワーン酸化]]などで酸化するとケトンが得られる。 :<chem>RR'CH-OH +</chem> 酸化剤 <chem>-> R-C(=O)-R'</chem> * [[ハロゲン化アシル]]と[[ギルマン試薬]]を反応させるとカップリングによりケトンが生成する。 :<chem>RC(=O)Cl + R'_2CuLi -> R-C(=O)-R'</chem> * [[ハロゲン化アシル]]や[[エステル]]等と有機リチウム試薬や[[グリニャール試薬]]等の求核剤を反応させることによりケトンが生成する。 :<chem>RC(=O)Cl + R'M -> R-C(=O)-R'</chem> しかしこの反応では、生成したケトンがさらに求核剤と反応することでアルコールへと変換される(反応の項を参照)。 この副反応を防ぐために、[[ワインレブアミド]]を中間体として経由する'''ケトン合成法'''が知られている。 * [[フリーデル・クラフツ反応]]によるアシル化で芳香族ケトンを得ることができる。 :<chem>RC(=O)Cl + ArH + AlCl3 -> R-C(=O)-Ar</chem> * [[アルケン]]を[[オゾン酸化]]すると2分子のケトンが得られる。 :[[画像:Ozonolysis Scheme.png|class=skin-invert-image|250px|オゾン酸化]] * ほか、ケトンを生成する人名反応として、[[ピナコール転位]]、[[マンニッヒ反応]]、[[クライゼン転位]]などが挙げられる。 == 物性・反応性 == === 物性 === [[水素結合]]性はアルコールほど強くはないが、[[カルボニル基]]が持つ[[極性]]のため、低分子量のケトンは[[極性溶媒]]、[[非極性溶媒]]を問わず溶解性は良好である。 === 反応性 === 化学的には比較的安定であるが、[[グリニャール試薬]]や[[有機リチウム]]など、求核性の強い有機金属とは反応し、続いて酸で[[加水分解]]すると第三級アルコールが得られる。 :<chem>R-C(=O)-R' + R''MgBr -> RR'R''C-OH</chem>(加水分解後) また、[[水素化アルミニウムリチウム]]や[[ボラン]]などで還元すると第二級アルコールになり、[[クレメンゼン還元]]や[[ウォルフ・キッシュナー還元]]ではメチレン化合物 R-CH<sub>2</sub>-R' になる。 :<chem>R-C(=O)-R' + LiAlH4</chem> など <chem> -> RR'CH-OH</chem> :[[画像:Clemmensen Reduction Scheme.png|class=skin-invert-image|250px|クレメンゼン還元]] クレメンゼン還元 酸触媒下に2分子のアルコールと脱水縮合させると[[アセタール]]が得られ、これはケトンの保護法のひとつである。 :<chem>R-C(=O)-R' + 2 R''OH + H^+ -> RR'C(OR'')2</chem> [[ウィッティヒ反応]]や[[マクマリー反応]]により、アルケンに変えることができる。 :[[画像:Wittig Reaktion.svg|class=skin-invert-image|350px|ウィッティヒ反応]] ウィッティヒ反応 ほか、[[アルドール縮合]]、[[バイヤー・ビリガー酸化]]、[[シュミット反応]]、[[ヴィルゲロット反応]]など、ケトンを基質とする化学反応は数多い。 == 検出法 == ケトンとアルデヒドとを区別するには、還元性を持たないケトンは[[銀鏡反応]]や[[フェーリング反応]]を起こさないことが利用できる。ただし、[[糖]]の[[ケトース]]は、ケトン構造を持つにもかかわらず、還元性を有するため、この方法で[[アルドース]]と区別することはできない。メチルケトン構造の検出のためには、[[ヨードホルム反応]]が利用できる。 [[薄層クロマトグラフィー]]では 2,4-ジニトロフェニルヒドラジンを呈色試薬として用いることで検出できる。 ==その他== 最も単純なケトンは[[アセトン]](プロパノン)で、工業的には[[クメン法]]によって作られる。糖尿病の際に排泄されるケトンは主としてアセトンである。これは糖や脂肪を代謝する際に自然に生成するもので、過剰に生成されると血中に排出されて毒性を発揮することになる。これを予防するには代謝を改善することが必要である。 主鎖の炭素がケイ素に置き換わった構造(R-Si(=O)-R')は'''シラケトン'''(silaketone)と呼ばれる。 <!--前の版の記述:主鎖の炭素がケイ素に置き換わった物がシリカケトン(シリコーン)である。 シリコーン(silicone)の語源や歴史は確認できませんが、現在 Si=O 構造はシリコーンとは呼ばれません。確かに Si=O 基は、簡単に重合してシロキサン(Si-O-Si シリコーンの単位構造)になるのですが。また、silica ketone の呼称はgoogleでは確認できません--> ==主な化合物== *[[アセトン]] *[[メチルエチルケトン]] *[[ジエチルケトン]] *[[メチルプロピルケトン]] *[[メチルイソブチルケトン]] *[[メチルアミルケトン]] *[[シクロヘキサノン]] *[[イソホロン]] *[[アセトフェノン]] *[[ベンゾフェノン]] *[[ピルビン酸]] {{官能基}} {{Commonscat|Ketenes}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:けとん}} [[Category:ケトン|*]] [[Category:有機化合物]] [[Category:官能基]]
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