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'''コムフィルタ'''({{lang-en-short|comb filter}})は、[[信号 (電気工学)|信号]]にそれ自身を遅延させたものを追加することで[[干渉 (物理学)|干渉]]を生じさせる[[フィルタ回路]]の一種である。'''くし形フィルタ'''または'''くし型フィルタ'''とも。コムフィルタの[[周波数特性]]は一定間隔のスパイク状になり、図示すると[[櫛]]のように見える。 == 用途 == コムフィルタは様々な[[信号処理]]に利用されている。 * [[CICフィルタ]](カスケード積分コムフィルタ)は、[[サンプリング周波数変換]]の際の[[アンチエイリアス]]によく使う。 * 2次元および3次元のコムフィルタは、[[PAL]]および[[NTSC]]のテレビデコーダに使う。映像ノイズを低減させる効果がある。 * [[反響|エコー]]、[[フランジャー]]、場合により疑似ステレオといった[[効果音|音響効果]]。 * [[デジタルウェーブガイド合成]]などの[[物理モデル音源]]。例えば、遅延を数ミリ秒に設定すると、コムフィルタを使って円筒形の空洞や振動する紐などの[[音響学|音響]][[定常波]]をモデル化できる。 == 技術的解説 == コムフィルタにはフィードフォワード型と[[フィードバック]]型がある。これらの名称は追加する信号を遅延させる方向に対応している。 コムフィルタは、[[離散信号]]でも[[連続信号]]でも実装できる。ここでは主に離散信号での実装を解説する。連続信号用コムフィルタも特性はよく似ている。 === フィードフォワード型 === [[ファイル:Comb_filter_feedforward.png|thumb|right|400px|フィードフォワード型コムフィルタの構造]] フィードフォワード型コムフィルタの大まかな構造を右図に示す。これは次の式で表せる。 {{Indent|<math> \ y[n] = x[n] + \alpha x[n-K] \, </math>}} ここで、<math>K</math> は遅延長(標本数)、<math>\alpha</math> は遅延信号に適用する倍率である。この式の両辺の[[Z変換]]を行うと、次の式が得られる。 {{Indent|<math> \ Y(z) = (1 + \alpha z^{-K}) X(z) \, </math>}} [[伝達関数法|伝達関数]]は次のように定義される。 {{Indent|<math> \ H(z) = \frac{Y(z)}{X(z)} = 1 + \alpha z^{-K} = \frac{z^K + \alpha}{z^K} \, </math>}} ==== 周波数応答 ==== [[ファイル:Comb_filter_response_ff_pos.png|thumb|right|400px|フィードフォワード型で <math>\alpha</math> を様々な正の値にしたときの応答特性(振幅のみ)]] [[ファイル:Comb_filter_response_ff_neg.png|thumb|right|400px|フィードフォワード型で <math>\alpha</math> を様々な負の値にしたときの応答特性(振幅のみ)]] Z領域で表される離散時間系の周波数応答を得るには、<math>z = e^{j \omega}</math> と置き換える。すると、フィードフォワード型コムフィルタの伝達関数は次のようになる。 {{Indent|<math> \ H(e^{j \omega}) = 1 + \alpha e^{-j \omega K} \, </math>}} [[オイラーの公式]]を使うと、周波数応答は次のように表すこともできる。 {{Indent|<math> \ H(e^{j \omega}) = \left[1 + \alpha \cos(\omega K)\right] - j \alpha \sin(\omega K) \, </math>}} 位相を無視して振幅の周波数特性だけを必要とすることが多い。それは次のように定義できる。 {{Indent|<math> \ | H(e^{j \omega}) | = \sqrt{\Re\{H(e^{j \omega})\}^2 + \Im\{H(e^{j \omega})\}^2} \, </math>}} フィードフォワード型コムフィルタでは、これが次のようになる。 {{Indent|<math> \ | H(e^{j \omega}) | = \sqrt{(1 + \alpha^2) + 2 \alpha \cos(\omega K)} \, </math>}} <math>(1 + \alpha^2)</math> という項は定数であり、残る <math>2 \alpha \cos(\omega K)</math> は[[周期関数]]である。したがって、コムフィルタの周波数特性は周期的である。 右の2つの図は様々な <math>\alpha</math> の値について、周波数特性の周期性を表したものである。次のような特性が重要である。 * 応答は周期的に[[極値|局所最小値]]に落ち込み(「ノッチ」などと呼ぶ)、周期的に[[極値|局所最大値]]になる(これを「ピーク」などと呼ぶ)。 * 最大と最小は常に 1 から等しい距離にある。 * <math>\alpha = \pm 1</math> のとき、最小の振幅がゼロになる。この場合の局所最小値を「ヌル」などと呼ぶ。 * <math>\alpha</math> が正のときの最大と <math>\alpha</math> が負のときの最小は同じ周波数であり、逆も同様である。 ==== 極と零点 ==== 再びZ領域でのフィードフォワード型コムフィルタの伝達関数を考える。 {{Indent|<math> \ H(z) = \frac{z^K + \alpha}{z^K} \, </math>}} 見ての通り、<math>z^K = -\alpha</math> のとき分子がゼロになる。つまり、<math>K</math> の解は[[複素数|複素平面]]上の円周に等間隔で並ぶ。それらが伝達関数の[[零点]]である。分母は <math>z^K = 0</math> のときゼロとなるので、<math>K</math> が一定なら <math>z = 0</math> が極となる。以上から次のような極と零点の図が得られる。 {| | [[ファイル:Comb_filter_pz_ff_pos.svg|left|thumb|200px|<math>K = 8</math>、<math>\alpha = 0.5</math> のときのフィードフォワード型コムフィルタの極(×)と零点(○)]] | [[ファイル:Comb_filter_pz_ff_neg.svg|left|thumb|200px|<math>K = 8</math>、<math>\alpha = -0.5</math> のときのフィードフォワード型コムフィルタの極(×)と零点(○)]] |} === フィードバック型 === [[ファイル:Comb_filter_feedback.png|thumb|right|400px|フィードバック型コムフィルタの構造]] フィードバック型コムフィルタの大まかな構造を右図に示す。これは次の式で表せる。 {{Indent|<math> \ y[n] = x[n] + \alpha y[n-K] \, </math>}} <math>y</math>を含む項を左辺に集め、両辺をZ変換すると次のようになる。 {{Indent|<math> \ (1 - \alpha z^{-K}) Y(z) = X(z) \, </math>}} したがって、伝達関数は次のようになる。 {{Indent|<math> \ H(z) = \frac{Y(z)}{X(z)} = \frac{1}{1 - \alpha z^{-K}} = \frac{z^K}{z^K - \alpha} \, </math>}} ==== 周波数応答 ==== [[ファイル:Comb_filter_response_fb_pos.png|thumb|right|400px|フィードバック型で <math>\alpha</math> を様々な正の値にしたときの応答特性(振幅のみ)]] [[ファイル:Comb_filter_response_fb_neg.png|thumb|right|400px|フィードバック型で <math>\alpha</math> を様々な負の値にしたときの応答特性(振幅のみ)]] フィードバック型コムフィルタのZ領域表現で <math>z = e^{j \omega}</math> と置き換えると、次の式が得られる。 {{Indent|<math> \ H(e^{j \omega}) = \frac{1}{1 - \alpha e^{-j \omega K}} \, </math>}} 振幅の周波数特性は次のようになる。 {{Indent|<math> \ | H(e^{j \omega}) | = \frac{1}{\sqrt{(1 + \alpha^2) - 2 \alpha \cos(\omega K)}} \, </math>}} こちらも周期的な特性となっていることを右の2つの図で示す。フィードバック型コムフィルタはフィードフォワード型と次のような点が共通である。 * 応答は周期的に局所最小値と局所最大値を繰り返す。 * <math>\alpha</math> が正のときの最大と <math>\alpha</math> が負のときの最小は同じ周波数であり、逆も同様である。 しかし、上の式で全ての項が分母にあることから、重要な差異もある。 * 最大値と最小値は 1 から等しい距離にあるわけではない。 * <math>|\alpha|</math> が 1 未満のときだけ[[有界入力有界出力安定性|安定]]である。図を見て分かるとおり <math>|\alpha|</math> が大きくなると、最大値の振幅が急激に増大する。 ==== 極と零点 ==== 再びZ領域でのフィードバック型コムフィルタの伝達関数を考える。 {{Indent|<math> \ H(z) = \frac{z^K}{z^K - \alpha} \, </math>}} この場合、分子がゼロになるのは <math>z^K = 0</math> のときであり、<math>K</math> が固定なら <math>z = 0</math> が零点となる。分母は <math>z^K = \alpha</math> のときゼロになる。これには <math>K</math> 個の解があり、[[複素数|複素平面]]上の円周上に等間隔に並ぶ。それらが伝達関数の極である。以上から次のような極と零点の図が得られる。 {| | [[ファイル:Comb_filter_pz_fb_pos.svg|left|thumb|200px|<math>K = 8</math>、<math>\alpha = 0.5</math> のときのフィードバック型コムフィルタの極(×)と零点(○)]] | [[ファイル:Comb_filter_pz_fb_neg.svg|left|thumb|200px|<math>K = 8</math>、<math>\alpha = -0.5</math> のときのフィードバック型コムフィルタの極(×)と零点(○)]] |} === 連続時間コムフィルタ === コムフィルタは[[連続信号]]に対しても実装できる。その場合のフィードフォワード型コムフィルタは次の式で表される。 {{Indent|<math> \ y(t) = x(t) + \alpha x(t - \tau) \, </math>}} そして、フィードバック型は次の式で表される。 {{Indent|<math> \ y(t) = x(t) + \alpha y(t - \tau) \, </math>}} ここで <math>\tau</math> は遅延である(単位は秒)。 これらの周波数特性はそれぞれ次の式になる。 {{Indent|<math> \ H(\omega) = 1 + \alpha e^{-j \omega \tau} \, </math><br /> <math> \ H(\omega) = \frac{1}{1 - \alpha e^{-j \omega \tau}} \, </math>}} 連続信号の場合の特性は離散信号の場合と全く同じである。 == 関連項目 == * [[フィルタ回路]] * [[デジタルフィルタ]] * [[ノイズリダクション]] * [[有限インパルス応答]] * [[無限インパルス応答]] {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:こむふいるた}} [[Category:信号処理]] [[Category:ノイズ]] [[Category:テレビ技術]]
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