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コリオリ式質量流量計
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{{出典の明記|date=2016年3月}} '''コリオリ式質量流量計'''(コリオリしきしつりょうりゅうりょうけい、{{lang-en-short|Coriolis flow meter}} / inertial flow meter)とは管内を流れる[[流体]]の[[質量流量]]を測定する機器である。質量流量とはある定点を単位時間中に通り抜ける[[流体]]の[[質量]]を指す。'''コリオリ式マスフローメータ'''とも。「質量」や「マス」が省略されて呼ばれることも多い。 コリオリ式質量流量計は[[流量|体積流量]]、すなわち単位時間あたり流れる[[体積]](単位の例:[[立方メートル毎秒|{{math|m<sup>3</sup>/s}}]])を測定してから質量に変換しているわけではなく、質量流量(単位の例:{{math|kg/s}})を直接測定している。流体[[密度]]が一定なら質量流量を密度で割ると体積流量に変換できるが、密度が一定でなければそれほど単純ではない。密度を変化させる要因には[[温度]]、[[圧力]]、[[組成]]などがある。また、気泡が混じるなど複数の[[相]]からなる流体でも密度は変動しうる。実際の密度を決定するには、液体中の[[音速]]の濃度に対する依存性を用いる<ref>{{cite journal|url=http://ntv.ifmo.ru/en/article/13900/massovyy_rashodomer_zhidkostey.htm|title=Mass flow meter for liquids.|author=Naumchik I.V., Kinzhagulov I.Yu., Kren А.P., Stepanova К.А.|journal=Scientific and Technical Journal of Information Technologies, Mechanics and Optics|volume=15|issue=5|pages= 900–906.|year=2015}}</ref>。 ==コリオリ式質量流量計の動作原理== コリオリ式質量流量計の基本構造には直管型と曲管型がある。本記事で扱うのは曲管型である。 {{clear}} {{multiple image | image1 = Coriolis meter rotating no-flow 256x256.gif | width1 = 256 | caption1 = 振動式質量流量計の動作原理の図解。質量流量計が一方向に回転している。管中に流れはない。<br/> [[:Image:Coriolis meter rotating no-flow 512x512.gif|拡大図]] | image2 = Coriolis meter rotating flow 256x256.gif | width2 = 256 | caption2 = 流体が管を流れていると、わずかなねじれが生じる。<br/> [[:Image:Coriolis meter rotating flow 512x512.gif|拡大図]] }} 右図のアニメーションはコリオリ式質量流量計の実際の構造を表したものではなく、動作原理における回転の役割を図解したものである。 質量の流れが存在すると管はわずかにねじれる。ポンプで質量流量計に流体を送り込むと、流体が回転軸から遠ざかる向きに流れるアーム(インレットアーム)は、管壁から流体に力を加えてその[[角運動量]]を増加させなければならない。その[[反作用]]でアームは回転と逆の方向に反る。流体が回転軸に戻ってくるアーム(アウトレットアーム)は、流体の角運動量をはじめの大きさに戻すように力を加えなければならない。これによりアームは回転と同じ方向に反る。 言い換えると、全体の回転よりもインレットアームは遅れ、アウトレットアームは先行する。 {{clear}} [[File:Coriolis meter vibrating no-flow 256x256.gif|thumb|256px|曲管型質量流量計の基本構造。流れがない状態での振動パターン。<br/> [[:Image:Coriolis meter vibrating no-flow 512x512.gif|拡大図]] ]] 右図のアニメーションは曲管型質量流量計の実際の構造を表している。流体は2本の平行管を通るようになっており、[[アクチュエータ]](図では省略)がそれぞれの平行管に逆相の[[振動]]を与える。外部から伝わってくる振動は同相であることが多いため測定への影響を低減できる。振動の[[振動数]]は質量流量計のサイズによって決まり、80-1000 Hzの範囲を取る。振動の[[振幅]]は視認できるほど大きくないが、手で触って感じることはできる。 流体が流れていないときにはアニメーションのように対称な振動が起きる。 {{clear}} [[File:Coriolis meter vibrating flow 512x512.gif|thumb|256px|質量流量がゼロでない状態での振動パターン。<br/> [[:Image:Coriolis meter vibrating flow 512x512.gif|拡大図]] ]] 右図のアニメーションは質量が流れている場合で、質量の流れが管にねじれを生んでいる。インレットアームは流体の角運動量を増やすように力を与えなければならず、その反作用でアームの動きは全体の振動より遅れてしまう。アウトレットアームは流体の角運動量を減らすように力を与えなければならず、反作用でアームの動きは全体の振動に先行する。 どちらのアームも振動数は全体の振動と等しいが、同期はしていない。インレットアームは遅れ、アウトレットアームは先行している。2つの振動の間に生じた[[位相|位相差]]を測定量として管中を流れる質量を評価する。 {{clear}} ==密度および体積測定== U字型コリオリ式質量流量計では質量流量 {{mvar|Q<sub>m</sub>}} は以下の式で与えられる。 :<math>Q_m=\frac{ K_u -I_u\omega^2 }{2Kd^2}\tau</math> ここで {{mvar|K<sub>u</sub>}} は温度に依存する管の[[剛性|ねじり剛性]]、''K'' は形状による因子、''d'' はインレットアームとアウトレットアームの間の距離、{{mvar|τ}} はアーム振動の時間遅れ、{{mvar|ω}} は振動数、{{mvar|I<sub>u</sub>}} は管の[[慣性モーメント]]である<ref>{{cite web | last = | first = | coauthors = | title = eFunda: Introduction to Coriolis Flowmeter | work = | publisher = | date = | url = http://www.me.umn.edu/courses/me4331/FILES/CoriolisMeter.pdf | format = | doi = | accessdate = 2016-03-24 }}</ref>。管の内容物も慣性モーメントに寄与するので、質量流量を正確に測定するには流体の密度を知る必要がある。 手動校正が追いつかないほど密度の変化が速いのであれば、コリオリ式質量流量計で密度を直接測定することもできる。振動部の固有振動数は管と流体の合計質量によって決まるので、その測定を通じて流体の質量を求めることができるのである。管の容積を流体質量で割れば流体の密度が得られる。 その場で密度が測定できることにより、質量流量の計測値を体積流量に変換することも可能である。 ==校正== 質量流量と密度、いずれの測定も管の振動を利用しているため、管の剛性が変動すると[[較正|校正]]に影響する。 温度や圧力の変化も管の剛性を変動させるが、その効果は温度や圧力の値に応じたゼロ/スパン調整を行うことで補償可能である。 さらに、管の経時劣化による剛性変化もまた校正係数を狂わせてしまう。劣化の原因には[[錆#塩化物イオンによる反応|孔食]]、[[クラック]]、異物付着、[[腐食]]、[[摩耗|エロージョン]]などがある。このような経時変化をダイナミックに補償することは不可能なので、計器管理のため定期的な校正もしくは検証チェックを心掛けなければならない。経時変化が疑われるが致命的ではない場合、引き続き正確な測定を行うには既知の校正係数にオフセットを加えるなどの手段を講じる必要がある。 ==参考文献== {{Reflist}} == 関連項目 == *[[コリオリの力]] *[[ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ]] *[[流体力学]] *[[マスフローコントローラ]] *[[熱式質量流量計]] == 外部リンク == * [http://www.me.umn.edu/courses/me4331/FILES/VolFlowMeasurements.ppt Lecture slides on flow measurement, University of Minnesota] {{デフォルトソート:こりおりしきしつりようりゆうりようけい}} [[Category:流体力学]] [[Category:計測機器]] [[Category:古典力学]] [[Category:ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ]]
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