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'''コルモゴロフスケール''' (英: Kolmogorov scale)は、大小様々なスケールが存在する乱流の中で、最も小さなスケールである。コルモゴロフスケールでは、粘性の影響が支配的になるため、乱流の[[運動エネルギー]]は[[熱エネルギー]]に変換される。 == 定義 == コルモゴロフスケールにおける長さ、時間、速度はそれぞれコルモゴロフ長<math>\eta</math>、コルモゴロフ時間<math>\tau</math><sub><math>\eta</math></sub>、コルモゴロフ速度<math>\upsilon</math><sub><math>\eta</math></sub>と呼ばれる。これらは、単位質量当たりのエネルギー散逸率<math>\epsilon</math>と動粘性係数<math>\nu</math>を用いて以下のように定義される。 <math>\eta=\left(\frac{\nu^3}{\epsilon}\right)^{\frac{1}{4}}</math> <math>\tau_\eta=\left(\frac{\nu}{\epsilon}\right)^{\frac{1}{2}}</math> '''<math>\upsilon_\eta=\left(\nu \epsilon\right)^{\frac{1}{4}}</math>''' これらの定義は、1941年に[[アンドレイ・コルモゴロフ]]によって提唱された理論から導かれる。コルモゴロフの理論では、乱流の最小スケールの物理量は<math>\epsilon</math>[m<sup>2</sup> s<sup>-3</sup>]と<math>\nu</math>[m<sup>2</sup> s<sup>-1</sup>]のみで表されると仮定している。たとえば、コルモゴロフ長<math>\eta</math>は、次元解析から次のように導出される。まず、長さの次元をL、時間の次元をTと表すことにする。このとき、エネルギー散逸率<math>\epsilon</math>の次元はL<sup>2</sup> T<sup>-3</sup>、動粘性係数<math>\nu</math>の次元はL<sup>2</sup> T<sup>-1</sup>、コルモゴロフ長<math>\eta</math>の次元はLである。次元がLになるようなとの組み合わせは一つしかなく、上記に示した定義式が得られる。 コルモゴロフ時間<math>\tau</math><sub><math>\eta</math></sub>、コルモゴロフ速度<math>\upsilon</math><sub><math>\eta</math></sub>の導出も同様である。 == レイノルズ数との関係 == コルモゴロフスケールの物理量を用いると、[[レイノルズ数]]''Re''は <math>Re=\frac{\upsilon_\eta \eta}{\nu}</math> と表される。 ここで'''''<math>\upsilon_\eta \eta=\nu</math>'''''であるので <math>Re=\frac{\upsilon_\eta \eta}{\nu}=\frac{\nu}{\nu}=1</math> となることがわかる。レイノルズ数は流体の慣性力と粘性力の比を表しているため、上式は冒頭で述べたように、コルモゴロフスケールでは粘性の影響が十分に支配的であることを意味する。 == 渦管との関係 == 乱流中には強い旋回を伴う流れ構造が観察されており、このような乱流構造は渦管と呼ばれている。1968年にSaffmanは、渦管の直径はコルモゴロフ長からテイラー長の範囲に収まることが多いことを予測しており、その後1993年にJime'nezらは、渦管の半径がコルモゴロフ長の4倍程度であることを直接数値計算によって示している。 == 参考文献 == * {{cite|洋書|author=Kolmogorov, A. N. |year=1941 |title=Local structure of turbulence in an incompressible fluid at very high Reynolds numbers}} * {{cite|洋書|author=Tennekes, H. and Lumley, J. L. |year=1972 |title=A first course in turbulence}} * {{cite|洋書|author=Davidson P. A. |year=2015 |title= Turbulence: an introduction for scientists and engineers}} * {{cite|洋書|author=Saffman, P. G. |year=1968 |title=The lift on a small sphere in a slow shear flow}} * {{cite|洋書|author=Jime'nez, J., Wray, A. A., Saffman, P. G., and Rogallo, R. S. |year=1993 |title=The structure of intense vorticity in isotropic turbulence}} {{デフォルトソート:こるもころふすけえる}} [[Category:物理学]] [[Category:流体力学]]
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