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{{Chembox | Name = シクロプロペン | ImageFileL1 = Cyclopropene.png | ImageSizeL1 = 100px | ImageNameL1 = Structural formula of cyclopropene | ImageFileR1 = Cyclopropene 2D skeletal.svg | ImageSizeR1 = 100px | ImageNameR1 = Skeletal formula of cyclopropene | ImageFile2 = Cyclopropene-3D-balls.png | ImageSize2 = 150px | ImageName2 = Ball-and-stick model of cyclopropene | IUPACName = シクロプロペン | Section1 = {{Chembox Identifiers | CASNo = 2781-85-3 | PubChem = 123173 }} | Section2 = {{Chembox Properties | Formula = C<sub>3</sub>H<sub>4</sub> | MolarMass = 40.0646 g/mol}} }} '''シクロプロペン''' (cyclopropene) は、[[分子式]]がC<sub>3</sub>H<sub>4</sub>の最も単純な[[シクロアルケン]]である。[[三角形]]構造のため歪みが大きい。そのため合成が難しく、また研究対象として興味深い<ref>Carter, F. L.; Frampton, V. L. "Review of the Chemistry of Cyclopropene Compounds." Chemical Reviews; 1964; Vol 64, 497-525.</ref>。 [[シクロプロパン]]同様、シクロプロペンの炭素環は平面である。単結合に比べて[[二重結合]]の長さが短くなっているため、二重結合の反対側の角度がシクロプロパンの60度から約51度に狭まっている<ref>{{cite journal |title= Structure of 3-cyanocyclopropene by microwave spectroscopy and ab initio molecular orbital calculations. Evidence for substituent-ring double bond interactions |authors= Staley, S. W.; Norden, T. D.; Su, C.-F.; Rall, M.; Harmony, M. D. |journal= J. Am. Chem. Soc. |year= 1987 |volume= 109 |issue= 10 |pages= 2880–2884 |doi= 10.1021/ja00244a004 }}</ref>。シクロプロパンと同様に、環内の炭素-炭素結合は[[原子軌道|p性]]が高まっており、アルケン炭素はsp<sup>2.68</sup>[[混成軌道|混成]]となっている<ref>{{cite journal |journal= Tetrahedron |volume= 38 |issue= 5 |year= 1982 |pages= 645–655 |doi= 10.1016/0040-4020(82)80206-8 |title= The geometry of small rings: Molecular geometry of cyclopropene and its derivatives |author= Allen, F. H. }}</ref>。 == シクロプロペンとその誘導体の合成 == === 初期の合成法 === シクロプロペンの初の合成法は、Dem'yanovとDoyarenkoによって報告された。この方法は、[[二酸化炭素]]雰囲気下 320-330℃の[[白金]]泥上での水酸化トリメチルシクロプロピルアンモニウムの[[熱分解]]を必要とする。この反応では約 5% のシクロプロペンとともに、[[トリメチルアミン]]とジメチルシクロプロピルアミンが主に生成する。また、シクロプロペンは [[シクロヘプタトリエン]]と[[アセチレンジカルボン酸ジメチル]]の付加物の加熱分解によっても約 1% の収率で得られる。 === 塩化アリルからの現代的合成法 === [[塩化アリル]]を[[ナトリウムアミド]]で80℃で処理して[[脱ハロゲン化水素]]を受けさせることによってシクロプロペンが収率 〜10% で生成する<ref>Closs, G.L.; Krantz, K.D. "A Simple Synthesis of Cyclopropene." Journal of Organic Chemistry; 1966; Volume 31; 638.</ref>。 : <chem>{CH2}={CHCH2Cl} + {NaNH2} -> C3H4 \mathit{(cyclopropene)}\ + {NaCl} + NH3</chem> 反応の主な副生成物はアリルアミンである。[[ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド]]を塩化アリルに加え、45 - 60分間[[トルエン]]中で[[沸騰]]させると、純度の高い目的物が約 40% の収率で生成する<ref name=Binger>Binger, P.; Wedermann, P.; Brinker, U. H. "Cyclopropene: A New Simple Synthesis and Its Diels-Alder reaction with Cyclopentadiene." Organic Syntheses; 2000; Vol 77; 254.</ref>。 : <chem>{CH2=CHCH2Cl} + NaN(TMS)2 -> C3H4 \mathit{(cyclopropene)}\ + {NaCl} + NH(TMS)2</chem> 1-メチルシクロプロペンは、[[フェニルリチウム]]のような塩基を使うことにより塩化メタリルから室温で合成される<ref>Clarke, T. C.; Duncan, C. D.; Magid, R. M. "An Efficient and Convenient Synthesis of 1-Methylcyclopropene." J. Org. Chem; 1971; Vol 39; 1320.</ref>。 : <chem>{CH2=C(CH3)CH2Cl} + LiC6H5 -> CH3C3H3 \mathit{(1-methylcylopropene)}\ + {LiCl} + C6H6</chem> === 誘導体の合成 === ニトロシクロプロパンを[[ナトリウムメトキシド]]で処理して硝酸塩を除去してやると、シクロプロペン誘導体がそれぞれ得られる。脂肪族シクロプロペンの合成は次の反応によって初めて説明された。それは、[[硫酸銅(II)]]のような[[触媒]]を用いて[[ジアゾ酢酸エチル]]から得られるカルベンを付加させ、アセチレンから適切なシクロプロペンを得る反応である。この経路では、1,2-ジメチルシクロプロペンはメチレンの2-ブテンへの付加によって、1,2-ジメチルシクロプロペン-3-カルボン酸はカルボメトキシカルベンの2-ブテンへの付加によって形成する。銅は様々なシクロプロペン合成の触媒に有用であることが分かっている。硫酸銅(II)および銅粉末は、使用される銅のよりポピュラーな形状の1つである。 == シクロプロペンとその誘導体の化学反応 == シクロプロペンの研究は主にその大きな環歪みに注目が集まっている。その性質のため425℃に加熱すると[[メチルアセチレン]]に[[異性化]]する。 : <chem>C3H4 -> H3CC{\equiv}CH</chem> -36℃(予測される沸点)でのシクロプロペンの[[分留]]が試みられたが、[[重合反応]]が起こってしまう。そのメカニズムは[[ラジカル重合]]で、その生成物は[[核磁気共鳴|NMR]]から[[ポリシクロプロパン]]であると考えられている。 シクロプロパンと[[シクロペンタジエン]]で[[ディールス・アルダー反応]]を行うと、''endo''-トリシクロ[3.2.1.0<sup>2,4</sup>]-6-オクテンが生成する。この反応は一般にシクロプロペンの検出に使われ、その反応は以下の通りである<ref name=Binger/>。 :[[ファイル:CyclopropeneDielsAlder.PNG|350px|center]] == シクロプロペン誘導体 == [[1-メチルシクロプロペン]]は、性質が[[エチレン]]に類似することから[[植物ホルモン]]として用いられる。 シクロプロペン誘導体は、シクロプロペン自体の不安定さから天然には存在しないと考えられていたが、植物由来の[[マルバル酸]]と[[ステルクリン酸]](Sterculic acid)、細菌由来のAlutacenoic acid AおよびB、[[ニセクロハツ]]由来の[[2-シクロプロペンカルボン酸]](cycloprop-2-ene carboxylic acid)などが発見されている。 == 脚注 == <references /> == 関連項目 == * [[シクロアルカン]] * [[シクロアルケン]] * [[シクロアルキン]] * [[シクロブテン]] * [[シクロペンテン]] == 外部リンク == *[http://box27.bluehost.com/~edsanvil/wiki/index.php?title=Cyclopropene&rcid=127 Computational Chemistry Wiki] {{Cycloalkenes}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:しくろふろへん}} [[Category:シクロアルケン]] [[Category:シクロプロペン|*]]
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