シュウ酸カルシウムのソースを表示

{{出典の明記|date=2016年11月}}
{{Chembox
|   Name = シュウ酸カルシウム
|   ImageFile = Calcium oxalate resonance.svg
|   ImageSize = 200px
|   ImageName = シュウ酸カルシウム
|   IUPACName = シュウ酸カルシウム
| Section1 = {{Chembox Identifiers
|   CASNo = 25454-23-3 
| CASNo_Comment = 無水物
| CASNo2 = 5794-28-5
| CASNo2_Comment = 一水和物
|   PubChem = 
|   SMILES = 
}}
| Section2 = {{Chembox Properties
|   Formula = CaC<sub>2</sub>O<sub>4</sub>
|   MolarMass = 128.097 g/mol, 無水物<br />146.112 g/mol, 一水和物
|   Appearance = 無色固体
|   Density = 2.2 g/cm<sup>3</sup>, 無水物<br />2.12 g/cm<sup>3</sup>, 一水和物
|   Solubility = 0.00067 g/100 ml (20 ℃)
|   MeltingPt = 分解
  }}
| Section3 = {{Chembox Structure
| CrystalStruct = [[立方晶系]], 無水物
| Coordination = 
| MolShape = 
  }}
| Section4 = {{Chembox Thermochemistry
| DeltaHf = −1360.6 kJ mol<sup>−1</sup>, 無水物<br />−1674.86 kJ mol<sup>−1</sup>, 一水和物<ref name=Parker>D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, ''J. Phys. Chem.'' Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).</ref>
| DeltaHc = 
| Entropy = 156.5 J mol{{sup-|1}}K{{sup-|1}}, 一水和物
| HeatCapacity = 152.80 J mol{{sup-|1}}K{{sup-|1}}, 一水和物
  }}
| Section7 = {{Chembox Hazards
| EUClass = 有害 ('''Xn''')
| EUIndex = 
| MainHazards = 
| NFPA-H = 
| NFPA-F = 
| NFPA-R = 
| NFPA-O = 
| RPhrases = {{R21/22}}
| SPhrases = {{S2}}, {{S24/25}}
| RSPhrases = 
|   FlashPt = 
|   Autoignition = 
  }}
}}
[[ファイル:Raphides from variegated ivy.jpg|250px|サムネイル|針状のシュウ酸カルシウム結晶。]]

'''シュウ酸カルシウム'''（シュウさんカルシウム、Calcium oxalate）は、組成式が {{chem|CaC|2|O|4}} または {{chem|(COO)|2|Ca}} と表される[[カルシウム]]の[[シュウ酸]]塩で、針状の[[結晶]]である。無水物と一水和物、二水和物（{{日本語版にない記事リンク|ウェッデライト|en|Weddellite}}）などが存在する。

日本の法令では[[毒物及び劇物取締法]]により[[劇物]]に指定される。<ref>{{Cite web|和書|url=https://laws.e-gov.go.jp/document?law_unique_id=340CO0000000002 |title=毒物及び劇物指定令（昭和４０年政令第２号）第２条第６２項 |accessdate=2022-12-01 |publisher=e-gov法令検索}}</ref>

== 合成・反応 ==
シュウ酸カルシウムは[[シュウ酸]]製造の中間生成物である。[[シュウ酸ナトリウム]]と[[水酸化カルシウム]]から、難溶性のシュウ酸カルシウムが得られ、そこからさらに[[硫酸]]によってシュウ酸が分離される。
:<chem>Na2C2O4 + Ca(OH)2 -> CaC2O4 + 2 NaOH</chem>

:<chem>CaC2O4 + H2SO4 -> H2C2O4 + CaSO4</chem>

== 性質 ==
無色の結晶で水に難溶性であり<ref>{{Cite web|和書|url=https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0103-0075JGHEJP.pdf |title=安全データシート(SDS){{!}}しゅう酸カルシウム一水和物 |accessdate=2022-12-01 |publisher=富士フイルム和光純薬株式会社}}</ref>、[[アルカリ土類金属]]の[[シュウ酸塩]]としては最も溶解度が小さく、シュウ酸カルシウムの沈殿はカルシウムイオンあるいはシュウ酸イオンの[[定量分析]]に用いられる。その[[溶解度積]]は18℃で以下の通りである<ref name=daijiten>『化学大辞典』　共立出版、1993年</ref>。
: <chem>CaC2O4 -> Ca^{2+}(aq)\ + C2O4^{2-}(aq)\ ,\ </chem><math> K_{\rm{sp}} = 1.78 \times 10^{-9}</math>

[[塩酸]]および[[硝酸]]には溶解する。赤熱により分解し、[[炭酸カルシウム]]を残す。
: <chem>CaC2O4 -> CaCO3 + CO</chem>
[[ファイル:Surface of a kidney stone.jpg|250px|サムネイル|腎臓結石内のシュウ酸カルシウム結晶。]]
== 産出 ==
シュウ酸カルシウムは、[[毒草]]の[[ディフェンバキア]]に多く含まれる。また、[[ルバーブ]]の葉や[[カタバミ]]、[[ヤマノイモ|ヤマイモ]]、[[サトイモ]]、[[タロイモ]]、[[ヨウサイ]]、[[リュウゼツラン属|リュウゼツラン]]、[[モンステラ属|モンステラ]]、未成熟の[[パイナップル]]などにも見られ、量は少ないが[[ホウレンソウ]]にも含まれる。不溶性のシュウ酸カルシウムは、植物の茎、根、葉などに多く存在する。

[[ビール]]の[[醸造]]過程で使用される醸造槽などには、{{仮リンク|ビール石|de|Bierstein}}と呼ばれる茶色の結晶が付着することがあり、この主成分がシュウ酸カルシウムである<ref>
{{cite web
 | url = http://www.birkocorp.com/brewing/beerstone.asp
 | title = Removing Beerstone
 | accessdate = 2007-08-06
 | last = Johnson
 | first = Dana
 | date = 1998-03-23
 | work = Modern Brewery Age
 | publisher = Birko Corporation R&D
}}</ref>。ビール石は、カルシウム塩・マグネシウム塩や様々な有機物からなり、醸造過程で沈着する。これは好ましくない微生物の増殖を促進し、槽内のビールの香を悪くしたり、だめにしたりする。
[[Image:Calcium oxalate crystals in urine.jpg|thumbnail|250px|[[尿]]内で観察されるシュウ酸カルシウムの結晶]]
尿中のシュウ酸カルシウムの結晶は、一般的な[[尿路結石]]の主成分である。また、シュウ酸カルシウムの結晶生成は、[[エチレングリコール]]中毒の毒性効果の一つである<ref>{{Cite web |title=「シュウ酸カルシウム」を検出 逮捕された男の姉の遺体から 4歳次女・殺害事件 |url=https://web.archive.org/web/20240221055513/https://news.goo.ne.jp/article/tbs/nation/tbs-1008164.html |website=gooニュース |access-date=2024-02-21 |language=ja}}</ref>。
[[ファイル:Whewellite-md7a.jpg|サムネイル|250x250ピクセル|高純度のシュウ酸カルシウムを含むフーウェル石]]
シュウ酸カルシウムは、一[[水和物]]で石炭層に含まれることがある[[ヒューウェル石]]（[[:en:whewellite]]）、二水和物の[[ウェッデル石]]（[[:en:weddellite]]）、三水和物で極めて稀産の[[カオックス石]]（[[:de:caoxit|de:caoxite]])、の3つの形態で自然産出する。

== 摂取時の効果 ==
わずかな量のシュウ酸カルシウムを摂取しただけでも、口と喉にひどい灼熱感を持って腫れ、窒息をもたらす。量が多い場合は深刻な消化器障害と呼吸困難を引き起こし、量によっては、昏睡や死亡に至る。深刻なシュウ酸中毒からでも回復することはあるが、不可逆的な肝臓と腎臓の障害が残る場合がある。[[パイナップル]]を食べた時に口内が荒れる原因として知られる。また、生のサトイモの茎や葉にも多く含まれており、誤って摂取した際、突き刺さるような刺激を口内に受けることになる（乾燥していないサトイモの茎を食用に調理できるものは、特別に品種改良されたものに限られる）。

[[ディフェンバキア]]による症状はさらにひどく、茎が唇、舌、口内粘膜、結膜、皮膚などと接触すると、シュウ酸カルシウムの針状結晶が痛みと浮腫をもたらす。[[浮腫]]の原因は第一には生成する結晶であるが、補助的に他の植物毒素（[[ブラジキニン]]など）も関与している。

== 対処法 ==
摂取した場合は、直ちに医者の診察を受けるべきである。植物から摂取した場合は、被害の程度は種類にも依る。おだやかなもの（[[サトイモ]]など）もあるが、深刻なもの（[[テンナンショウ属|テンナンショウ]]など）もあり、呼吸困難になることがある。テンナンショウは、種子の鞘を少しかじっただけでも、直ちに腫れ上がり灼熱感が起こる。腫れが引くまでには12時間程度はかかる。[[アナフィラキシー]]症状と間違われる場合があるので注意が必要である。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{reflist}}

== 関連項目 ==
* [[シュウ酸]]

{{カルシウムの化合物}}
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:しゆうさんかるしうむ}}
[[Category:シュウ酸塩]]
[[Category:カルシウムの化合物]]
[[Category:劇物]]