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シュレーフリ記号
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{{出典の明記|date=2016年11月}} '''シュレーフリ記号'''(シュレーフリきごう、{{lang|en|Schläfli symbol}})は、[[ポリトープ|正多胞体]]を {p,q,r,...} の形で記述する記法。なお[[日本語]]では'''シュレーフリの記号'''とも言うが、{{lang|en|Schläfli's symbol}}とはあまり言わない。[[19世紀]][[スイス]]の[[幾何学者]][[ルートヴィヒ・シュレーフリ]] ({{lang|de|Ludwig Schläfli}} ([[:en:Ludwig Schläfli|en]]), 1814-1895) が発案した。 正多胞体とは、[[正多角形]]・[[正多面体]]の一般[[次元]]への[[一般化]]である。なお、[[線分]]は1次元、正多角形は2次元、正多面体は3次元の正多胞体とみなす。また、[[星型正多胞体]]と正[[空間充填形]]を正多胞体に含めて述べる(ただし、正空間充填形は1つ上の次元の正多胞体とみなす)。たとえば、3次元では[[星型正多面体]]と正[[平面充填形]]を[[正多面体]]に含める。 [[一様多胞体]]を記述できる'''拡張シュレーフリ記号''' ({{lang|en|extended Schläfli symbol}}) を含めてシュレーフリ記号と言うこともあるが、ここではまず狭義のシュレーフリ記号について述べ、拡張シュレーフリ記号については最後に述べる。 ==定義== 次のように[[再帰的]]に適用される。 #線分のシュレーフリ記号は {} である。 #正''p''角形のシュレーフリ記号は {''p''}である。 #''n'' ≧ 3 のとき、各[[ピーク (幾何学)|ピーク]]に ''n'' - 1 次元正多胞体の[[ファセット]] {''p''<sub>1</sub>, ''p''<sub>2</sub>, ... ,''p''<sub>''n'' - 2</sub>} が ''q'' 個集まった ''n'' 次元正多胞体のシュレーフリ記号は {''p''<sub>1</sub>, ''p''<sub>2</sub>, ... ,''p''<sub>''n'' - 2</sub>, ''q'' } である。 ピーク (peak)、[[リッジ (幾何学)|リッジ]] (ridge)、ファセット (facet) とは、''n'' 次元多胞体のそれぞれ ''n'' - 3、''n'' - 2、''n'' - 1 次元要素 (element) である。例えば、多面体(3次元多胞体)に対しては[[頂点]](0次元要素)・[[辺]](1次元要素)・[[多胞体の面|面]](2次元要素)、4次元多胞体に対しては辺(1次元要素)・面(2次元要素)・[[セル (幾何学)|セル]](3次元要素)である。 ある低次元要素に集まるファセットの様子は、その要素の次元が高いほど単純である。ただし、最も高次元なリッジに集まるファセットは、単純すぎて常に2個であり(たとえば、正多面体の辺には常に2面が集まる)、正多胞体の性質を現さない。そこで、次に高次元な、ピークに集まるファセットの個数を使えば、最も簡潔に多胞体の性質を表すことができる。 非[[整数]]は 5/2 のように[[スラッシュ (記号)|スラッシュ]]を使った[[分数]]で記述する。分母(先の例では2)は、[[星型多角形]]の密度を表す。ピークに集まるファセットも、星型多角形のように密度を持ちえ、その場合分数表記される。 ==性質== ''n''次元正多胞体とそのシュレーフリ記号 {''p''<sub>1</sub>,''p''<sub>2</sub>,...,''p''<sub>''n'' - 1</sub>} には以下の性質がある。 *数値の個数は ''n'' - 1 個である。 *正多胞体では数値は全て整数だが、星型正多胞体では1つが分数である。 *3次元以上の狭義の正多胞体では、数値は 3, 4, 5 の3種類しか現れない(星型正多胞体では5/2、ユークリッド空間充填形では6が加わる)。5次元以上では3, 4の2種類しか現れない。 *''m'' 次元要素は ''m'' 次元正多胞体 {''p''<sub>1</sub>,''p''<sub>2</sub>,...,''p''<sub>''m'' - 1</sub>} である。 *''m'' 次元要素の近傍の適切な ''n'' - ''m'' - 1 次元[[超断面]](''n'' - ''m'' - 1 次元[[超平面]]との[[共通部分 (数学)|共通部分]]、[[断面]]の一般次元への拡張)は、 ''n'' - ''m'' - 1 次元正多胞体 {''p''<sub>''m'' + 2</sub>,''p''<sub>''m'' + 3</sub>,...,''p''<sub>''n'' - 1</sub>} である。 *[[双対多胞体]]は {''p''<sub>''n'' - 1</sub>,''p''<sub>''n'' - 2</sub>,...,''p''<sub>1</sub>} である。 特に、正多面体とそのシュレーフリ記号 { ''p'', ''q'' } には以下の性質がある。 *面は正 ''p'' 角形である。 *各頂点には ''q'' 個の面が集まっている。つまり、頂点近傍の適切な平面での断面は正 ''q'' 多角形である。つまり、頂点を[[切頭]]すると正 ''q'' 多角形が現れる。 *[[双対多面体]]は { ''q'', ''p'' } である。 == 例 == === 2次元多角形 === *正''n''角形 - {''n''} *正''n''/''m''角形 - {''n''/''m''} === 2次元多角形による平面充填 === *[[正三角形]]による平面充填形 - {3,6} *[[正方形]]による平面充填形 - {4,4} *[[正六角形]]による平面充填形 - {6,3} === 3次元多面体 === *[[正四面体]] - {3,3} *[[正六面体]](立方体) - {4,3} *[[正八面体]] - {3,4} *[[正十二面体]] - {5,3} *[[正二十面体]] - {3,5} *[[小星型十二面体]] - {5/2,5} *[[大十二面体]] - {5,5/2} *[[大星型十二面体]] - {5/2,3} *[[大二十面体]] - {3,5/2} === 3次元多面体による空間充填 === *立方体による空間充填形 - {4,3,4} === 4次元多胞体 === *[[正五胞体]] - {3,3,3} *[[正八胞体]] - {4,3,3} *[[正十六胞体]] - {3,3,4} *[[正二十四胞体]] - {3,4,3} *[[正百二十胞体]] - {5,3,3} *[[正六百胞体]] - {3,3,5} *大壮星型百二十胞体{{訳語疑問点|date=2024年11月}}(great grand stellated 120-cell) - {5/2,3,3} *壮六百胞体{{訳語疑問点|date=2024年11月}}(grand 600-cell) - {3,3,5/2} *大星型百二十胞体(great stellated 120-cell) - {5/2,3,5} *壮百二十胞体{{訳語疑問点|date=2024年11月}}(grand 120-cell) - {5,3,5/2} *壮星型百二十胞体{{訳語疑問点|date=2024年11月}}(grand stellated 120-cell) - {5/2,5,5/2} *小星型百二十胞体{{訳語疑問点|date=2024年11月}}(stellated 120-cell) - {5/2,5,3} *二十面体百二十胞体{{訳語疑問点|date=2024年11月}}(icosahedral 120-cell) - {3,5,5/2} *大二十面体百二十胞体{{訳語疑問点|date=2024年11月}}(great icosahedral 120-cell) - {3,5/2,5} *大壮百二十胞体{{訳語疑問点|date=2024年11月}}(great grand 120-cell) - {5,5/2,3} *大百二十胞体(great 120-cell) - {5,5/2,5} === 4次元多胞体による4次元空間充填 === *正八胞体による4次元空間充填形 - {4,3,3,4} *正十六胞体による4次元空間充填形 - {3,3,4,3} *正二十四胞体による4次元空間充填形 - {3,4,3,3} === 一般次元 (n≧5) === * ''n''-[[正単体]] - {3,3,...,3} (3 が ''n''-1 個) * ''n''-[[正測体]] - {4,3,3,...,3} (3 が ''n''-2 個) * ''n''-[[正軸体]] - {3,3,...,3,4} (3 が ''n''-2 個) * ''n''-正測体による ''n''-次元空間充填形 - {4,3,3,...,3,4} (3 が ''n''-2 個) ==直積== 複数のシュレーフリ記号を { ... } × { ... } × ... × { ... } と記載することで、[[直積集合]]を表現できる。 ===3次元の例=== *[[角柱|正''p''角柱]](特にアルキメデスの''p''角柱) - {} × {''p''} ({''p''} × {} でも可) *[[直方体]](特に立方体) - {} × {} × {} ==拡張シュレーフリ記号== {{節スタブ}} {{main|[[:en:Schl%C3%A4fli_symbol#Extended Schläfli symbols for uniform polytopes]]}} シュレーフリ記号を拡張した拡張シュレーフリ記号は、[[一様多胞体]]を表すことができる。拡張シュレーフリ記号を含めてシュレーフリ記号ということもある。 一様多胞体とは、各ファセットが1次元低い一様多胞体(必ずしも合同ではない)で、各頂点の近傍が合同な多胞体である。たとえば、[[一様多面体]](3次元一様多胞体)には正多面体、[[半正多面体]]、アルキメデスの正角柱、[[反角柱|アルキメデスの反正角柱]]、およびそれらを一般化した星型多面体が含まれる。 なお、一様多胞体は各頂点の近傍が合同なため、拡張シュレーフリ記号以外に、[[ディンキン図形]](コクセター・ディンキン図形)や[[頂点形状]]でも記述できる(ただし、4次元以上の一様多胞体の頂点形状を簡潔に記述することは難しい)。一様多面体は[[ワイソフ記号]]でも記述できる。またすでに述べたとおり、アルキメデスの正角柱(およびその高次元への一般化)はシュレーフリ記号の直積でも記述できる。 ===3次元の例=== *アルキメデスの''p''角柱 - t{2,p} *アルキメデスの反''p''角柱 - s{2,p} (正式には <math>s\begin{Bmatrix} 2 \\ p \end{Bmatrix}</math>) {{DEFAULTSORT:しゆれえふりきこう}} [[Category:正多胞体]] [[Category:正多面体]] [[Category:数学の表記法]] [[Category:数学に関する記事]] [[Category:数学のエポニム]]
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