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{{for|半単純リー群のシュワルツ空間|ハリシュ・チャンドラのシュワルツ空間}} [[数学]]において'''シュワルツ空間'''(シュワルツくうかん、{{Lang-en-short|Schwartz space}})とは、導函数がすべて「急激に減少する」ような函数全体からなる[[函数空間]]である。この空間上[[フーリエ変換]]は[[自己同型]]であるという重要な性質がある。この性質から、双対性によって、''S'' の双対空間の元、すなわち[[シュワルツ超函数|緩増加超函数]]に対するフーリエ変換を定義できる。シュワルツ空間の名は、[[ローラン・シュヴァルツ]]に敬意を表して、[[アレクサンドル・グロタンディーク]]によって付けられた<ref>TerzioĞglu, T. (1969). On Schwartz spaces. Mathematische Annalen, 182(3), 236–242.</ref>。シュワルツ空間内の函数はしばしば、'''シュワルツ函数''' (Schwartz function) と呼ばれる。 [[File:Gaussian 2D.png|right|thumb|250px|二次元[[ガウス函数]]は、急減少函数の一例である。]] == 定義 == シュワルツ空間、あるいは '''R'''<sup>''n''</sup> '''上の急減少函数の空間'''とは、次の函数空間のことを言う。 :<math>S \left(\mathbf{R}^n\right) = \left \{ f \in C^\infty(\mathbf{R}^n) \mid \|f\|_{\alpha,\beta} < \infty\quad \forall \alpha, \beta \right \}. </math> ここで α、β は[[多重指数]]であり、C<sup>∞</sup>('''R'''<sup>''n''</sup>) は '''R'''<sup>''n''</sup> から '''C''' への滑らかな(無限回微分可能な)函数の集合である。またノルムは :<math>\|f\|_{\alpha,\beta}=\sup_{x\in\mathbf{R}^n} \left |x^\alpha D^\beta f(x) \right | </math> である。ここで sup は[[上限 (数学)|上限]]を表し、再び[[多重指数]]の記号が用いられている。 この定義を理解する上で、急減少函数は本質的には、'''R''' 上の至る所で ''f'' (''x''), ''f'' <nowiki>'</nowiki>(''x''), ''f'' <nowiki>''</nowiki>(''x''), ... のすべてが存在する函数 ''f''(''x'') であり、かつ ''x'' → ±∞ としたとき ''x'' の任意の負べきよりも早くゼロに収束するものであることに注意されたい。特に、''S''('''R'''<sup>''n''</sup>) は無限回微分可能な函数の空間 ''C''<sup>∞</sup>('''R'''<sup>''n''</sup>) の部分空間である。 == シュワルツ空間の函数の例 == * ''i'' を多重指数とし、''a'' を正の実数とすると、次が成り立つ。 ::<math>x^i e^{-a |x|^2} \in S(\mathbf{R}^n).</math> * コンパクト台を持つ任意の滑らかな函数 ''f'' はシュワルツ空間 ''S''('''R'''<sup>''n''</sup>) に含まれる。これは次のことより明らかである。''f'' の任意の導函数は、連続で、''f'' の台の外では 0 であるので、[[最大値最小値定理|最大値定理]]より (''x''<sup>''α''</sup>''D''<sup>β</sup>) ''f'' は '''R'''<sup>''n''</sup> 内に最大値を持つ。 == 性質 == * ''S''('''R'''<sup>''n''</sup>) は複素数上の[[フレシェ空間]]である。 * [[一般のライプニッツの法則|ライプニッツの法則]]より、''S''('''R'''<sup>''n''</sup>) は積について閉じている。すなわち、''f'', ''g'' ∈ ''S''('''R'''<sup>''n''</sup>) であるなら、''fg'' ∈ ''S''('''R'''<sup>''n''</sup>) である。 * 1 ≤ ''p'' ≤ ∞ に対し、''S''('''R'''<sup>''n''</sup>) ⊂ [[Lp空間|''L''<sup>''p''</sup>('''R'''<sup>''n''</sup>)]] である。 * すべての[[隆起函数]]からなる空間 {{SubSup|C|c|∞}}('''R'''<sup>''n''</sup>) は ''S''('''R'''<sup>''n''</sup>) に含まれる。 * フーリエ変換は線型同型 ''S''('''R'''<sup>''n''</sup>) → ''S''('''R'''<sup>''n''</sup>) である。 * ''f'' ∈ ''S''('''R''') ならば、''f'' は '''R''' 上で一様連続である。 == 参考文献 == <references /> *{{cite book |authorlink=ラース・ヘルマンダー |first=L. |last=Hörmander |title=The Analysis of Linear Partial Differential Operators I, (Distribution theory and Fourier Analysis) |edition=2nd |location=Berlin |publisher=Springer-Verlag |year=1990 |isbn=3-540-52343-X }} *{{cite book |first=M. |last=Reed |first2=B. |last2=Simon |title=Methods of Modern Mathematical Physics: Functional Analysis I |edition=Revised and enlarged |publisher=Academic Press |location=San Diego |year=1980 |isbn=0-12-585050-6 }} *{{cite book |first=Elias M. |last=Stein |first2=Rami |last2=Shakarchi |title=Fourier Analysis: An Introduction (Princeton Lectures in Analysis I<) |location=Princeton |publisher=Princeton University Press |year=2003 |isbn=0-691-11384-X }} {{PlanetMath attribution|id=34444|title=Space of rapidly decreasing functions}} {{DEFAULTSORT:しゆわるつくうかん}} [[Category:位相線型空間]] [[Category:滑らかな関数]] [[Category:フーリエ解析]] [[Category:数学に関する記事]] [[Category:数学のエポニム]]
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