ショワルター安定指数のソースを表示

'''ショワルター安定指数'''(-あんていしすう, {{lang-en-short|Showalter stability index}})は、[[気象学]]において、[[大気安定度|大気の安定度]]を評価するために用いられる指数である。'''SSI'''と略称される場合も多い。日本では一般的に単位[[セルシウス度|℃]]が用いられるが、国際的には[[ケルビン|K]]も用いられる。

== 概要 ==
SSIの計算法は、まず850hPa面にある空気塊を500hPa面まで強制的に持ち上げた場合の気温 T<sub>p</sub> を求める。それには[[エマグラム]]上で850hPa面にある空気の気温と露点から出発して、この空気塊を最初は[[乾燥断熱減率]]に沿って持ち上げる。もしこの空気塊が500hPaに到達するまでに飽和に達したら、それ以降は[[湿潤断熱減率]]に沿って持ち上げる。こうして500hPa面まで強制的に持ち上げたときのその空気塊の気温が T<sub>p</sub> である。この T<sub>p</sub> を、実際の大気の500hPa面の気温 T<sub>500</sub> から差し引く。その気温差がSSIである。

<math>SSI = T_{500} - T_p </math>

SSIの値が0℃以下であるという事は、850hPaから強制的に500hPaまで持ち上げてきた空気塊の気温 T<sub>p</sub> が、周囲に既にある空気の気温 T<sub>500</sub> よりも暖かい事を意味する。それは下から持ち上げてきた空気塊の方が、周囲に既にある空気よりも比重が軽いという事である。したがって、下から持ち上げてきた空気塊は更に上昇を続けられる。つまり大気が不安定である事を意味している。

したがってSSIが0℃以下であれば大気は不安定であることを示し、SSIの値が負の方向に大きな値を持つほど、不安定の程度が強い事を意味し、それは[[驟雨]]や[[雷雨]]の起こりやすい状況である事を示す。理論的には負の値で不安定となるが、実際の大気では対流自身による温度混合や不確定要素があるため、実務的にはそれよりもやや広く幅を取って、「雷雨発生の可能性あり」と判断するしきい値は+2から4℃（場所や時期によって異なる）とすることが多い。

一般的に、SSIは850hPaにおける気温と露点温度の現在値から、現在の大気の安定度を表現する指標であり、混合の少ない大気に向いている。

== 参考文献 ==
{{参照方法|date=2020年5月|section=1}}

*Showalter, A. K., 1947: A stability index for forecasting thunderstorms. Bull. Amer. Meteor. Soc., 34, 250– 252.
*[http://dpo.ori.u-tokyo.ac.jp/dmmg/people/chuda/Research/env_para/SSI/SSI.htm SSI(Showalter stability index)に関するページ] 中田隆 東京大学海洋研究所
*[http://gms5sn.at.infoseek.co.jp/saijiki24.html （２６）寒冷渦（00.05.02～03）] お天気歳時記
*[http://www.pilot-license.com/meteo/p1.html P1 エマグラム] アルファーアビエィション
*[http://www.yoho.jp/katsudou/kaiho_tenkist/K20.pdf 雷雨を楽しもう] [[小倉義光]], 「てんきすと」第20号、2002年5月1日。
*[http://www.eumetcal.org.uk/euromet/courses/glossary/showalte.htm Showalter's stability index] Eumetcal
*[http://www.meteoffice.info/1analysis_folder/pages_neturikigaku_folder/304_folder/327.htm 大気の熱力学 6.いくつかの安定指数] ウェザーステイション

== 外部リンク ==
*{{Wayback|url=http://www.weather-report.jp/com/professional/ssi/ssi/japan.html |title=大気安定度(SSI)|date=20160304100238}} ウェザー・サービス - 日本周辺のSSI値分布図。
*[http://web.kma.go.kr/eng/wea/wea_06_10.jsp Numerical Weather Prediction] 韓国気象庁 - 東アジア域のSSI値分布図。(Auxiliary Chartを選択すると表示)
*[https://www.moderntimes.tv/articles/20220810-01we/ モダンタイムズ] 「雷の知識不足が犠牲者を生んだ「2002年8月2日塩見岳落雷事故」の気象データを読む」

== 関連項目 ==
* [[成層不安定]]
* [[雷]]

{{気象要素}}
{{Climate-stub}}

{{DEFAULTSORT:しよわるたあんていしすう}}
[[Category:気象学]]
[[Category:大気熱力学]]
[[Category:荒天]]