ジメチルスルフィドのソースを表示

{{Chembox
|   Name = ジメチルスルフィド
|   ImageFileL1 = Dimethyl_sulfide_structure.png
|   ImageSizeL1 = 120px
|   ImageNameL1 = ジメチルスルフィドの構造式
|   ImageFileR1 = Dimethyl-sulfide-3D-vdW.png
|   ImageSizeR1 = 150px
|   ImageNameR1 = ジメチルスルフィドの空間充填モデル
|   IUPACName = 硫化ジメチル
| Section1 = {{Chembox Identifiers
|   CASNo = 75-18-3
|   CASNo_Ref = {{cascite}}
|  日化辞番号 = J1.443E
|   ChemSpiderID = 1039
|   SMILES = CSC
  }}
| Section2 = {{Chembox Properties
|   Formula = C<sub>2</sub>H<sub>6</sub>S
|   RationalFormula =CH<sub>3</sub>SCH<sub>3</sub><br/>又は (CH<sub>3</sub>)<sub>2</sub>S
|   MolarMass = 62.13 g/mol
|   Appearance = 特徴的な臭気のある無色の液体
|   Odour = 不快臭、いわゆる「磯の香り」
|   Density = 0.840 g/mL
|   MeltingPt = - 98 ℃
|   BoilingPt = 37 ℃
|  Solubility = 0.6 or 2.2g / 100ml<ref name="strim">{{PDFlink|[http://www.st.rim.or.jp/~shw/MSDS/04279132.pdf 化学物質等安全データシート]}}（昭和化学）</ref>
|  SolubleOther = [[エタノール]]、[[ジエチルエーテル]]に混和<ref name="strim"/>。
|  Solvent = 有機溶媒
  }}
| Section7 = {{Chembox Hazards
|   ExternalMSDS = [http://www.osha.gov/dts/chemicalsampling/data/CH_236505.html OSHA MSDS]
|   FlashPt = -49℃<ref name="strim"/>
|   Autoignition = 205℃
|   ExploLimits = 2.2-19.7vol%
  }}
| Section9={{Chembox Related
|   OtherFunction_label = 
|   OtherFunction = 
|   OtherCompounds = [[ジメチルスルホキシド]]<br/>[[ジメチルスルホン]]
  }}
}}
'''ジメチルスルフィド''' (dimethyl sulfide, DMS) は常温で液体、水に難溶の[[有機硫黄化合物]]。[[スルフィド]]の一種である。[[ジメチルエーテル]]の[[酸素]]を[[硫黄]]で置き換えた構造。[[キャベツ]]が腐った臭いとも表現される悪臭成分で、[[ミズゴケ]]や[[プランクトン]]などが作る物質でもある。[[海苔]]の香り成分としても重要である<ref name="kagaku">{{Cite book|和書|author= 長谷川香料株式会社|date=2013|title= 香料の科学|publisher= [[講談社]]|isbn= 978-4-06-154379-9|page=90}}</ref>。酸化することで溶剤として有用な[[ジメチルスルホキシド]] (DMSO) となる。金属やルイス酸に配位して[[錯体]]を作りやすい。'''硫化ジメチル'''とも呼ばれる。また、英語 "sulfide" の発音から、'''ジメチルサルファイド''' とも呼ばれる。

== 悪臭 ==
ジメチルスルフィドは悪臭成分であり、[[海]]などで感じる「潮臭さ」は[[海洋]][[プランクトン]]が作るジメチルスルフィドによるものである。また、人間の[[口臭]]の原因となる成分の一つである。
また、この特徴を利用して、[[都市ガス]]などを[[着臭]]している。

== 危険性 ==
ジメチルスルフィドは濃度が高いと危険性の高い物質であり、以下のような危険性がある。また、危険性が高いゆえ、[[条例]]で使用禁止を定めている都道府県もある。
; 有毒性:濃度の高い気体は目・皮膚を刺激する。また、特に濃度が高いと[[酸欠]]が起こり、最悪の場合死亡する。
; 引火性:[[酸化剤]]と反応し、[[火炎]]・[[爆発]]の恐れがある。また、空気との混合気体は爆発しやすく、205 ℃ で発火する。さらに、空気より重いため床一面に広がりやすく、火がつくと遠くにまで炎が広がる恐れがある。

[[消防法]]に定める第4類危険物 特殊引火物に該当する<ref>[https://www.tcichemicals.com/JP/ja/p/M0431 Methyl Sulfide 75-18-3] (東京化成工業株式会社)</ref>。

== 生産 ==
[[メタノール]]と[[硫化水素]]を原料として、気相中、触媒存在下で反応させ生産する。[[製紙]]の副生成物である[[リグニン]]に[[硫黄]]化合物を加え、加熱することでも生産されている<ref>{{cite web|url=http://www.gaylordchemical.com/tuscaloosa/process_technology.php|author=Gaylord Chemical Corporation|title=Tuscaloosa Process Technology|accessdate=2011-10-06}}</ref><ref>{{Cite web|和書|author=種田健造|title=リグニンの含硫黄アルカリ処理による利用（1）－DMS製造法の発展－|url=http://www.fpri.asahikawa.hokkaido.jp/rsgetu/07342034001.pdf|format=PDF|accessdate=2011-10-06}}</ref>。ほとんどが[[ジメチルスルホキシド]]の原料として用いられる。

== その他 ==
DMS は [[OHラジカル]]と反応し、{{chem|SO|2}} と[[メタンスルホン酸]]に酸化され、{{chem|SO|2}}は更に硫酸({{chem|H|2|SO4}}) に酸化され硫酸は雲の生成に必要な凝結核（硫酸エアロゾル粒子）となる<ref>田中茂、[https://doi.org/10.11203/jar.9.120 大気から海洋に運ばれるエアロゾル － 土壌粒子の海洋への長距離輸送と海洋微生物および気候変動に与える影響 －] エアロゾル研究 Vol.9 (1994) No.2 Summer P.120-126, {{doi|10.11203/jar.9.120}}</ref>。
: <chem>{DMS} + {\cdot}OH -> {SO2} + CH3SO3H -> H2SO4</chem>

生成された雲は太陽光を反射し、[[地球温暖化]]を減速させることができるので研究が進められている<ref>田中浩、[https://doi.org/10.11203/jar.14.228 海洋性硫黄化合物とエアロゾル] エアロゾル研究 Vol.14 (1999) No.3 Autumn P.228-234, {{doi|10.11203/jar.14.228}}</ref>が、放射収支にどの程度影響をしているのかは未解明である<ref>永尾一平、[https://hdl.handle.net/2115/55012 DMS研究の進展と現状] 低温科学 (72) 2014-3-31, p.1-14, {{hdl|2115/55012}}</ref>。

ジメチルスルフィドが生物由来であることから、特定の[[惑星]]において[[地球外生命]]の存在を証明する根拠になる可能性を有している<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.bbc.com/japanese/66793822 |title=地球外生命の手がかり、ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した可能性＝英研究チーム |publisher=BBC NEWS JAPAN |date=2023-09-13 |accessdate=2023-09-21}}</ref>。

==出典==
{{Reflist|2}}

== 外部リンク ==
* {{PDFlink|[http://www.st.rim.or.jp/~shw/MSDS/04279132.pdf MSDS ジメチルスルフィド]}}

{{Commonscat|Dimethyl sulfide}}
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:しめちるするふいと}}
[[Category:チオエーテル]]
[[Category:特定悪臭物質]]
[[Category:特殊引火物]]