ジョルジュ・ド・ラームのソースを表示

{{Infobox scientist
| name              = ジョルジュ・ド・ラーム
| image             = Georges de Rham.jpg
| image_size        = 
| caption           = 1984年、ジュネーブ大学にて
| birth_date        = {{birth date|1903|09|10|df=y}}
| birth_place       = [[スイス]]、ヴォー州、Roche
| death_date        = {{death date and age|1990|10|09|1903|09|10|df=y}}
| death_place       = スイス、[[ローザンヌ]]
| nationality       = [[スイス]]
| fields            = [[数学]]
| workplaces        = [[ローザンヌ大学]]<br/>[[ジュネーブ大学]]
| alma_mater        = [[パリ大学]]<br/>[[ローザンヌ大学]]
| doctoral_advisor  = [[アンリ・ルベーグ]]
| doctoral_students = 
| influences        = [[エリ・カルタン]]
| known_for         = [[ド・ラームの定理]]<br/>[[ド・ラームコホモロジー]]<br/>de Rham curve<br/>De Rham invariant<br/>[[カレント (数学)|カレント]]<br/>[[ホロノミー]]
| awards            = [[Marcel Benoist Prize]] (1965)
}}
'''ジョルジュ・ド・ラーム'''（Georges de Rham、[[1903年]][[9月10日]] - [[1990年]][[10月9日]]）は、[[スイス]]の[[数学者]]。[[微分位相幾何学]]への貢献で知られる。

==経歴==
1903年9月10日、[[スイス]]の[[ヴォー州]]にある小さな村である[[:en:Roche, Vaud|Roche]]で生まれる。建設技師のレオン・ド・ラーム(Léon de Rham)家の6人の子どもの5番目の子であった<ref name=glimpse>{{Citation | first = Srishti | last = Chatterji | last2 =Ojanguren | first2 = Manuel | title = A glimpse of the de Rham era | url = http://sma.epfl.ch/~ojangure/Glimpse.pdf | series = working paper, [[École Polytechnique Fédérale de Lausanne|EPFL]] | year = 2010  }}</ref>。Rocheで育ったが、地区の主要な町である近くの[[:en:Aigle|Aigle]]の学校に毎日電車で通っていた。ジョルジュ自身の説明によると、並外れた学生ではなく、主に絵画を楽しみ画家になることを夢見ていた<ref name=Burlet>{{Citation | first = Oscar | last = Burlet | title = Souvenirs de Georges de Rham | url = http://math.cuso.ch/fileadmin/math/document/derham.pdf | series = Journée Georges de Rham | year = 2004  | publisher = Troisième cycle Romand de mathematiques}}</ref>。1919年、家族で[[ローザンヌ]]の{{仮リンク|ボーリュー城|en|Beaulieu Castle}}の賃貸アパートに引っ越し、そこで一生を過ごした。ローザンヌの[[ギムナジウム]]に入り文学と哲学への情熱に従い人文科学に力をいれたが、数学はほとんど学ばなかった。しかし1921年にギムナジウムを卒業するときにラテン語を避けるために文学部には進学せず[[ローザンヌ大学]]の理学部を選択した。学部では生物学、物理学及び化学を勉強し始め、当初数学はあまり勉強しなかった。物理学の道具として数学を独学しているうちに興味を持ち、3年の時に生物学を辞め数学に専念した<ref>Georges de Rham speech on receiving the Prize of the City of Lausanne (1979), cited in Burlet (2004) page 5</ref>。

大学では[[:en:Gustave Dumas|Gustave Dumas]]と[[:en:Dmitry Mirimanoff|Dmitry Mirimanoff]]という2人の教授の影響を受け、2人は[[エミール・ボレル]]、[[ルネ＝ルイ・ベール]]、[[アンリ・ルベーグ]]、[[:en:Joseph Alfred Serret|Joseph Serret]]の著書を勉強するように導いた。1925年に卒業した後もDumasの助手としてローザンヌ大学に残った。博士号を取得するためにDumasの勧めで[[アンリ・ポアンカレ]]の[[位相幾何学]]に関する著書を読み始める。ポアンカレに論文のテーマのインスピレーションを得たが、位相幾何学は比較的新しいトピックであり、ローザンヌでは関連文献を手に入れることが難しかったため、進展は遅かった<ref name=Burlet/>。Dumasの勧めでルベーグと連絡を取り、1926年に数か月、1928年に再び数か月パリに滞在した。2回の渡航の費用はどちらも自身の貯金からであり、パリでは[[パリ大学]]や[[コレージュ・ド・フランス]]で授業を受け勉強した。ルベーグはこの時期ド・ラームに多くの援助を行い、その勉強と最初の研究発表を支援した。1931年、論文を書き終えるとルベーグはその論文を[[エリ・カルタン]]に送るよう助言し、カルタン率いる[[:en:Paul Montel|Paul Montel]]と[[ガストン・ジュリア]]を審査員に含む委員会の前でパリ大学から博士号を授与された<ref name=glimpse/>。
 
1932年、ローザンヌ大学に特任教授として復帰した。1936年、[[ジュネーブ大学]]の教授にも就任し、1971年に引退するまで両方の職を並行して勤めた<ref name=Eckmann>{{cite journal | last = Eckmann| first = Beno | author-link = Beno Eckmann | journal = [[Elemente der Mathematik]] | title = Georges de Rham 1903–1990 | volume = 47 | year = 1992 | language= de | doi =  10.5169/seals-43918}}</ref>。

スイスで最も優れた登山家の1人でもあった。1944年から[[ローザンヌ]]のIndependent High Mountain Groupの一員として、[[ペンニネアルプス山脈]]（BaltschiederからStockhornの東尾根など）<ref>{{cite web|url=http://www.camptocamp.org/routes/54511/fr/stockhorn-baltschiedertal-arete-s-par-les-5-tours|title=Stockhorn (Baltschiedertal): Arête S, par les 5 Tours|website=www.campticamp.org|access-date=September 13, 2020}}</ref>やヴォーアルプス（[[L'Argentine]]<ref>{{cite web|url=https://www.camptocamp.org/routes/140198/fr/miroir-d-argentine-la-voie-du-tunnel|title=Miroir d'Argentine: La voie du Tunnel|website=www.campticamp.org|access-date=September 13, 2020}}</ref>やPacheuなど）のいくつかの難しいルートを切り開いた。1944年、Miroir d'Argentineの完全な登山ガイドブックを書き、1980年まで登り続けた。[[ジョン・ウィラード・ミルナー]]によると、1933年にド・ラームは[[ヴァレー州]]の[[ヴァイスホルン]]の近くで一緒に登山をしていた[[:en:James Waddell Alexander II|James Alexander]]と[[ハスラー・ホイットニー]]に会い、この出会いがホイットニーとド・ラームの40年以上におよび付き合いの始まりとなった<ref>{{cite web|url=https://mathshistory.st-andrews.ac.uk/Extras/De_Rham_mountaineering/|title=George de Rham – mountaineer|website=mathshistory.st-andrews.ac.uk|access-date=September 13, 2020}}</ref>。

==数学の研究==
1931年、[[ド・ラームコホモロジー|ド・ラームの定理]]を証明し、ド・ラームコホモロジー群を位相不変量として同定した。この証明は[[アンリ・ポアンカレ]]や[[エリ・カルタン]]が暗黙の了解としていた結果であり、求められたものであると考えられる。例えば、一般の[[ストークスの定理]]の最初の証明は、1899年にポアンカレによりされたものである。当時はまだ[[コホモロジー]]論がなく、[[多様体]]の場合、[[ホモロジー (数学)|ホモロジー]]論は次元から余次元への切り替えで自己双対になることが知られていた（つまり、<math>H_k</math>から<math>H_{n-k}</math>で''n''は次元）。{{仮リンク|向き付け可能な多様体|en|orientable manifold}}の場合、向き付けは[[微分形式]]であり、ゼロではないn形式である（正のスカラー場によって関連付けられている場合2つは同等である）。この二重性は、定理の後の年で行われたように、[[ホッジ双対]]（直感的には向き付け形式に「分ける」）という見地から非常に有利に再定式化することができる。ホモロジー形式側と微分形式側を分離することで「被積分関数」と「積分の領域」を共鎖と鎖として明確に共存させることができた。ド・ラーム自身はホモロジー[[カレント (数学)|カレント]]の理論を展開し、これが[[超関数]]の概念とどのように適合するかを示した。

特に、[[ホッジ理論]]や[[層 (数学)|層]]理論の発展において、ド・ラームの定理の影響は大きいものであった。

滑らかな多様体の[[解析的トーション|ねじれ不変量]]についても研究した。

== 出典 ==
<references/>

== 参考書籍 ==
*{{cite journal | last=Bott|first= Raoul|author-link=Raoul Bott| title=Georges de Rham 1901&ndash;1990|journal=[[Notices of the American Mathematical Society]] |volume=38|issue= 2 |year= 1991|pages=114&ndash;115}}
*{{cite journal | last = Eckmann | first = Beno | author-link=Beno Eckmann| year = 1992 | title = Georges de Rham 1903&ndash;1990 | journal = [[Elemente der Mathematik]] | volume = 47 | issue = 3| pages = 118–122 }}

== 外部リンク ==
* {{MacTutor Biography|id=De_Rham}}
* {{MathGenealogy|id=104015}}
* Barile, Margherita. "[http://www.icmihistory.unito.it/portrait/derham.php Georges de Rham]." Biographical sketch at [http://www.icmihistory.unito.it/index.php The First Century of the International Commission on Mathematical Education].

{{Authority control}}
{{DEFAULTSORT:らあむ しよるしゆと}}
[[Category:スイスの数学者]]
[[Category:20世紀の数学者]]
[[Category:数学に関する記事]]
[[Category:位相幾何学者]]
[[Category:ゲッティンゲン科学アカデミー会員]]
[[Category:アッカデーミア・デイ・リンチェイ会員]]
[[Category:ローザンヌ大学の教員]]
[[Category:ジュネーヴ大学の教員]]
[[Category:スイスの登山家]]
[[Category:パリ大学出身の人物]]
[[Category:ローザンヌ大学出身の人物]]
[[Category:1903年生]]
[[Category:1990年没]]