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{{フレーバー}} '''ストレンジネス'''({{lang-en-short|strangeness}}、'''''S''''')は、[[素粒子]]の性質を表す[[量子数]]の一つである。 == 概要 == ストレンジネスは、[[強い相互作用]]および[[電磁相互作用]]反応において、短時間で起こる粒子の[[粒子崩壊|崩壊]]の性質を記述する。 ストレンジネスは次のように定義される: :<math>S = -(n_s - n_{\overline{s}})</math> ここで、 ''n''<sub>{{粒子の記号|s}}</sub>は[[ストレンジクォーク]] ({{粒子の記号|s}}) の数、''n''<sub>{{粒子の記号|反s}}</sub>は反ストレンジクォーク ({{粒子の記号|反s}}) の数を表す。 {| style="margin: 1em auto;" |- | [[Image:Noneto mesônico de spin 1.png|200px|thumb|ストレンジネスによる[[中間子]]の分類。S はストレンジネス、Q は電荷を示す。]] | | [[Image:Baryon decuplet.svg|200px|thumb|ストレンジネスによる[[バリオン]]の分類。S はストレンジネス、Q は電荷を示す。]] | |} == ストレンジネス保存 == 現在までに分かっていることによると、ストレンジネスは[[強い相互作用]]および[[電磁相互作用]]では保存するが、[[弱い相互作用]]では保存しない。結果的に、ストレンジクォークを含む最も軽い粒子は強い相互作用で崩壊せず、代わりに非常に崩壊速度の遅い弱い相互作用で崩壊すると考えられている。ほとんどの場合、これらの崩壊はストレンジネスの値を一単位だけ変える。しかしながら、これは{{粒子の記号|K0}}および{{粒子の記号|反K0}}中間子の混合がある秒オーダーの弱い反応においては、必ずしも成り立たない。 == 歴史 == ''ストレンジ'' (strange) および''ストレンジネス'' (strangeness) という語は、[[クォーク]]の発見まで遡る。この概念は[[マレー・ゲルマン]] (1953年) および[[西島和彦_(物理学者)|西島和彦]] (1955年) によって導入された。西島はストレンジネスに当たる概念を、当初はエータ荷、後にエータ中間子と呼んでいた。 [[ハドロン]]がまだ[[素粒子]]だと考えられていた頃、加速器や[[宇宙線]]を用いた実験で新たな粒子が次々と発見されていた。これらの粒子のうち、特定の粒子は必ず、粒子-[[反粒子]]のペアで観測されたため、未知の物理法則が働いていると考えられた。その中で発見された[[K中間子]]や特定の[[ハイペロン]]のような粒子は、衝突によって簡単に作り出せたが、それらの質量や[[反応断面積]]から予測されるよりも崩壊速度が非常に遅いということが分かった。この粒子は崩壊の前後でそれまでに知られていた量子数の保存則が成立しないという事実を説明するため、ストレンジネス(''奇妙さ'')という新たな保存量(量子数)を導入することになった。ストレンジネスは、それらの粒子の生成反応では保存されるが、崩壊反応では保存され''ない''と仮定された。 ストレンジネスは[[強い相互作用]]と[[電磁相互作用]]では保存されるが、[[弱い相互作用]]では保存されない。後にストレンジネスの正体は[[ストレンジクォーク]]であることがわかり、これらの性質はストレンジクォークが弱い相互作用によって崩壊するときの反応で説明できるようになった。 最初、正の電荷を持つ粒子(K<sup>+</sup>)に正のストレンジネスが割り当てられた。その後、K<sup>+</sup> は正の電荷を持つ反ストレンジクォークで構成されることが分かり、負の電荷を持つ[[ストレンジクォーク]]には負の値-1が割り当てられるようになった。慣習では、全てのフレーバー量子数(ストレンジネス、[[チャーム (量子数)|チャーム]]、[[トップネス]]および[[ボトムネス]])は、クォークの電荷と同じ符号とすることになっている。これにより、荷電[[中間子]]が持つ全てのフレーバーは、その電荷と同じ符号を持つ。 == 関連項目 == * [[ストレンジクォーク]] * [[ハイペロン]] * [[ハイパー核]] == 脚注 == *{{cite book | author=D.J. Griffiths | year=1987 | title=Introduction to Elementary Particles | url=https://books.google.co.jp/books?id=iNjOAQAACAAJ&dq=Introduction+to+Elementary+Particles&ei=-ypPSr7hKpHAzgT48azVAg&redir_esc=y&hl=ja | publisher=[[John Wiley & Sons]] | isbn=0-471-60386-4 }} == 参考文献 == * [https://arxiv.org/PS_cache/arxiv/pdf/0906/0906.1271v2.pdf Lessons in Particle Physics] Luis Anchordoqui and Francis Halzen, University of Wisconsin, 18th Dec. 2009 {{DEFAULTSORT:すとれんしねす}} [[Category:フレーバー量子数]]
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