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{{wiktionary}} '''スーパーブラディオン''' ({{lang-en-short|'''Superbradyon'''}}) は、[[光速]]よりも数段速く運動することができる仮説上の[[素粒子]]である。[[タキオン]]と違って、スーパーブラディオンは正の[[実数]]の[[質量]]と[[エネルギー]]を持つ。 == 概要 == スーパーブラディオンは光速より速く伝播する新しい種類の粒子である。これは[[特殊相対性理論]]の標準的な[[因果律]]を破る。[[場の量子論]]では、タキオンが現実の粒子ではなく系の不安定性が粒子の形態を持つのに対して、スーパーブラディオンは粒子が実在性を持つと仮定されている。 この用語<ref name="Gonzalez-Mestres1997e">Luis González-Mestres (December 1997), ''Lorentz symmetry violation at Planck scale, cosmology and superluminal particles'', https://arxiv.org/abs/physics/9712056 , Proceedings COSMO-97, First International Workshop on Particle Physics and the Early Universe : Ambleside, England, September 15–19, 1997.</ref>、および粒子の実体<ref name="Gonzalez-Mestres1995">Luis González-Mestres (May 1995), ''Properties of a possible class of particles able to travel faster than light'', https://arxiv.org/abs/astro-ph/9505117 , Proceedings of the 30th Moriond Workshop ''Dark Matter in Cosmology, Clocks and Tests of Fundamental Laws'', January 22–29, 1995</ref><ref name="Gonzalez-Mestres1996a">Luis González-Mestres (January 1996), ''Cosmological Implications of a Possible Class of Particles Able to Travel Faster than Light '', https://arxiv.org/abs/astro-ph/9601090 , Proceedings of the Fourth International Workshop on Theoretical and Phenomenological Aspects of Underground Physics, Toledo (Spain) September 17–21, 1995, Nucl.Phys. - Proc.Suppl. 48 (1996) 131-136.</ref>は、{{仮リンク|ルイス・ゴンザレス・メストレ|es|Luis González-Mestres}}によって[[ブラディオン]](ターディオン)の反意語として提案された。メストレの[[ローレンツ変換|ローレンツ]][[対称性の破れ]]に関する研究の意義は、2002年に[[CERNクーリエ]]<ref name="CERNCourrier">Nick E. Mavromatos (August 2002), ''Testing models for quantum gravity'', ''CERN Courier'', http://cerncourier.com/cws/article/cern/28696</ref>および[[ニューヨーク・タイムズ]]<ref name="NYT">Dennis Overbye (December 2002), ''Interpreting the Cosmic Rays'', ''The New York Times'', December 31, 2002, https://www.nytimes.com/2002/12/31/science/interpreting-the-cosmic-rays.html?n=Top/News/Science/Topics/Space</ref>の記事で取り上げられている。1997年には、彼の研究は[[w:Sidney Coleman|シドニー・コールマン]]および[[シェルドン・グラショー]]によって引用されている<ref name="ColemanGlashow1997">Sidney Coleman and Sheldon L. Glashow (March 1997), ''Cosmic Ray and Neutrino Tests of Special Relativity'', https://arxiv.org/abs/hep-ph/9703240 , Phys.Lett. B405, 249-252, 1997.</ref>。1997年、ICRC1997のAUGERプレスカンファレンスワークショップおよび<ref name="Gonzalez-Mestres1997c">Luis González-Mestres (June 1997), ''Possible Effects of Lorentz Symmetry Violation on the Interaction Properties of Very High-Energy Cosmic Rays'', https://arxiv.org/abs/physics/9706032</ref>、メリーランドワークショップ「宇宙空間からの><math>10^{20}</math> [[電子ボルト|eV]]粒子の巨大な[[宇宙線]][[空気シャワー]]の観測」<ref name="Gonzalez-Mestres1997d">Luis González-Mestres (December 1997), ''Observing air showers from cosmic superluminal particles'', https://arxiv.org/abs/physics/9712049 , Proceedings of the Workshop on observing giant cosmic ray air showers from >10E20 eV particles from space, Univ. of Maryland, Nov 13-15, 1997. AIP Conf. Proc. Volume 433, pp. 418-427 (1998).</ref>の講演者として招待された。 特殊相対性理論の特定の表現であるタキオンと反対に、スーパーブラディオンは明示的かつ根本的に[[ローレンツ変換|ローレンツ不変量]]を破る。それらは従来の粒子(ブラディオン)と類似しているが、真空中の光速'' c' ''より速い限界速度を持つ。そして、光速''c''が[[音速]]の百万倍速いように、スーパーブラディオンの限界速度は光速よりもかなり速くなることが可能である。これは、標準的なローレンツ対称性は根本的な対称性ではなく低エネルギーの複合効果であることを示唆している<ref name="Gonzalez-Mestres1997a">Luis González-Mestres (April 1997), ''Vacuum Structure, Lorentz Symmetry and Superluminal Particles'', https://arxiv.org/abs/physics/9704017</ref>。スーパーブラディオンは、ローレンツ型の新しい不変量を持つ物質の新しい分類を形成する。スーパーブラディオンが持つ不変量は実際の根本的な対称性で、この対称性においては従来の限界速度は新しくより大きな限界速度と置き換えられる。{{要出典範囲|光速を真空の限界速度として持つ特殊相対論のローレンツ対称性は、従来の物質に対する[[物理法則]]の低エネルギーでの近似でしかないだろう。|date=2013年4月}} === アインシュタインによる示唆 === スーパーブラディオン仮説は一見非常に型破りなものに見えるが、実験結果との矛盾はまだ見つかっておらず、{{要出典範囲|もし[[クォーク]]、[[レプトン (素粒子)|レプトン]]、[[ゲージ粒子]]が[[複合粒子]]であるなら、その存在は自然にすら思われる。|date=2013年4月}}それならば、なぜ物質の実際の構成物が複合物と同じ真空中の限界速度を持つのだろうか。ゴンザレス・メストレは、[[アルベルト・アインシュタイン]]の1921年の講義「幾何学と実験」<ref name="Einstein">Albert Einstein (January 1921), ''Geometry and Experiment'', address given on 27 January 1921 at the Prussian Academy of Sciences in Berlin, from The MacTutor History of Mathematics archive, http://www-history.mcs.st-and.ac.uk/Extras/Einstein_geometry.html , originally published by Methuen & Co. Ltd, London, in 1922</ref>に言及する。「ここで主張されている(特殊相対論の)幾何学の解釈は分子以下の空間には直接適用することができない。そのような外挿は分子スケールでは温度の概念が不適切であることと同様に明らかである。」そして、メストレは「プランクスケールを超える時空の幾何学は、標準的な素粒子によって感じられるものと同じである理由はない。」と主張する。 メストレは、<!--特殊相対論は素粒子物理に対してそのように良い精度を保持していることは本質的にとても注目に値するが、-->アインシュタインの意見をプレオン的なモデルに適用することを考える事は普通に思えることを強調する。 == 物質の構成要素についての示唆 == ゴンザレス・メストレによると、スーパーブラディオンは[[プランクスケール]]かさらに微小なスケールの物質の究極の構成要素でありえる。このとき、スーパーブラディオンは[[プレオン]]の新しい形態である<ref name="Gonzalez-Mestres2009a">Luis González-Mestres (August 2009), ''Preon models, relativity, quantum mechanics and cosmology (I)'', https://arxiv.org/abs/0908.4070</ref>。従来の特殊相対論は速度と時間の根本的な性質ではなく、代わりにある与えられたスケールでの標準的な物質から見たときの時空の性質を描写していると考えられる。もしそうであるなら、特殊相対論の標準的なローレンツ対称性はプランクスケールもしくはいくつかの他の基本的なスケールで破れるであろう。 これは、ちょうど[[音速]]が[[固体]]中で[[音子]]から見た時空の性質を反映していることを例にして考えることができる。固体格子の中では、音子の大きな限界波長内に、限界速度の役割を果たす音速のローレンツ対称性の形態を定義することが可能である。しかし[[分散関係]]によって現れる見かけの時空対称性は、[[音子]]は素粒子ではなく、時空の基本的な対称性であることを意味する。 メストレは2009年8月の論文<ref name="Gonzalez-Mestres2009a"/>で、1970年代に弦構造の[[双対モデル]]は[[ハドロン]]の複合構造の結果として解釈された([[弦理論]]参照)ことについて言及した。彼は「今日、弦理論は従来の«素»粒子に適用されてきている。それゆえ、<!--標準的な理論の現行の規則から-->究極の素粒子を探求することは、<!--根本的な適用性の究極の原理について疑問を投げかける-->プレオンモデルを正当化するように見える。」ということを強調する。メストレは、「[[w:Holger Bech Nielsen|ホルガー・ベック・ニールセン]]と[[w:Poul Olesen|ポール・オレセン]]によって開発された非常に高次元の[[ファインマンダイアグラム]]から[[双対振幅]]を引き出すための"漁網"アプローチ (fishnet Feynman diaglam) <ref name="NielsenOlesen">H. B. Nielsen and P. Olesen, ''A Parton view on dual amplitudes'', Phys. Lett. 32B, 203 (1970)</ref>は、ハドロンの構成物質によって感じられる実際の時空の構造に対して敏感ではない。」と、主張する。「それゆえ、内線としてスーパーブラディオンを含む漁網ファインマンダイアグラムは、標準的な特殊相対論と適合する従来の素粒子の限界を弦構造へと拡張することと同様の原理を導くことができる。」と、結論付ける。 == 起こりうる現象についての示唆 == もしスーパーブラディオンがわれわれの宇宙に自由粒子として存在することができるなら、それらは"従来の"粒子の形で自発的に放射を放ち、超高エネルギー宇宙線の放射源となることが予想される。その自由粒子は、それらの速度が光速に等しいかそれより小さくなったとき、そのような放射を放出するのを止める。それゆえ、宇宙は光速に近い速度のスーパーブラディオンの海を含むだろう。スーパーブラディオンは[[インフレーション]]、[[暗黒物質]]および[[暗黒エネルギー]]についても新しい方法を与える<ref name="Gonzalez-Mestres2009b">Luis González-Mestres (February 2009), ''AUGER-HiRes results and models of Lorentz symmetry violation'', https://arxiv.org/abs/0902.0994 , Proceedings of CRIS (Cosmic Ray International Seminar), La Malfa, September 15–19, 2008, Nuclear Physics B - Proc. Suppl., Volume 190, May 2009, Pages 191-197.</ref><ref name="Gonzalez-Mestres2009c">Luis González-Mestres (December 2009), ''Lorentz symmetry violation, dark matter and dark energy'', https://arxiv.org/abs/0912.0725 , Contributed paper to the Invisible Universe International Conference, Paris June 29 - July 3, 2009.</ref>。 [[w:Sidney Coleman|シドニー・コールマン]]および[[シェルドン・グラショー]]は、ゴンザレス・メストレの超光速粒子に関する1995-96年の論文について引用して、従来の粒子は厳密に同じ限界速度を持てないであろうとする標準THεμシナリオにおけるローレンツ対称性の破れの限界を定めるため、類似の真空中の[[チェレンコフ放射]]を用いた<ref name="ColemanGlashow1997"/>。 スーパーブラディオンの仮説は、従来の"素"粒子は非常に小さい距離スケールでは[[場の理論]]的な点様の物体ではないであろうことを示唆する。そして、[[ローレンツ変換|ローレンツ対称性]]の破れは、[[運動量]]の減少に伴い[[エネルギー]]依存のパラメータによって支配されることが期待される。そのような場合は、特権的な局所[[慣性系]]("真空静止系")の存在を必要とする。それらは、[[w:Pierre Auger Observatory|ピエール・オージェ観測所]]のような超高エネルギー宇宙線実験によって少なくとも部分的に検証することができる<ref name="Gonzalez-Mestres1997b">Luis González-Mestres (May 1997), ''Absence of Greisen-Zatsepin-Kuzmin Cutoff and Stability of Unstable Particles at Very High Energy, as a Consequence of Lorentz Symmetry Violation'', https://arxiv.org/abs/physics/9705031 , Proceedings of the 25th International Cosmic Ray Conference, Durban (South Africa), July 28 - August 8 , 1997</ref><ref name="Gonzalez-Mestres1997p148">Luis González-Mestres (December 1997), ''Physics Opportunities Above the Greisen-Zatsepin-Kuzmin Cutoff: Lorentz Symmetry Violation at the Planck Scale'', https://arxiv.org/abs/physics/9712047 , Proceedings of the Workshop on observing giant cosmic ray air showers from >10E20 eV particles from space, Univ. of Maryland, Nov 13-15, 1997. AIP Conf. Proc. Volume 433, pp. 148-158 (1998).</ref>。そのような実験は超光速宇宙粒子の存在を直接捉えることが可能である<ref name="Gonzalez-Mestres1996b">Luis González-Mestres (June 1996), ''Superluminal Matter and High-Energy Cosmic Rays'', https://arxiv.org/abs/astro-ph/9606054</ref><ref name="Gonzalez-Mestres1997d">Luis González-Mestres (December 1997), ''Observing air showers from cosmic superluminal particles'', https://arxiv.org/abs/physics/9712049 , Proceedings of the Workshop on observing giant cosmic ray air showers from >10E20 eV particles from space, Univ. of Maryland, Nov 13-15, 1997. AIP Conf. Proc. Volume 433, pp. 418-427 (1998).</ref>。 現象論的な対称性の破れパラメータはエネルギー依存的であることが期待されているように、既存の低いエネルギー限界は高エネルギー現象に適用することができない。 2009年5月の論文では<ref name="Gonzalez-Mestres2009d">Luis González-Mestres (May 2009), ''Superbradyons and some possible dark matter signatures'', https://arxiv.org/abs/0905.4146</ref>、メストレはもしわれわれの宇宙の自由スーパーブラディオンが新しい種類のスーパーブラディオン的な[[凝縮系]]の[[準粒子]]であるなら、原型の基本的なスーパーブラディオンは従来の[[量子力学]]の法則に従わないことがありうることを議論している。彼はまた、スーパーブラディオンの自発的な崩壊および類似の相互作用は、可能な暗黒物質の候補とみなされている[[電子]]および[[陽電子]]の存在量のデータ (PAMELA, ATIC, Fermi LAT, HESS, PPB-BETS) を説明する候補になりうるとしている。 == 脚注 == {{reflist}} == 関連項目 == * [[タキオン]] * [[ブラディオン]] {{DEFAULTSORT:すはふらていおん}} [[Category:仮説上の素粒子]] [[Category:超光速航法]]
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