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ゼーベック効果
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{{出典の明記|date=2019年2月}} '''ゼーベック効果'''(ゼーベックこうか、{{lang-en-short|Seebeck effect}})は物体の[[温度]]差が[[電圧]]に直接変換される現象で、[[熱電効果]]の一種。逆に電圧を温度差に変換する[[ペルティエ効果]]<ref>応用として、ペルチェ素子を用いた冷蔵庫などの製品が開発されている。</ref>もある。類似の現象として[[トムソン効果]]や[[ジュール熱]]がある。ゼーベック効果を利用して温度を測定することができる(→[[熱電対]])。ゼーベック効果、ペルティエ効果は[[可逆]]であるが、ジュール熱はそうではない。トムソン効果は、ゼーベック効果やペルチェ効果とも少し違うが、一例としてある。 ゼーベック効果は、1821年に[[エストニア]]の[[物理学者]][[トーマス・ゼーベック]]によって偶然発見された。ゼーベックは[[金属]]棒の内部に[[熱力学的温度|温度]]勾配があるとき、両端間に[[電圧]]が発生することに気づいた。 また、2 種類の金属からなるループの接点に温度差を設けると、近くに置いた方位磁針の針が振れることも発見した。これは2種類の金属が温度差に対して異なる反応をしたため、ループに[[電流]]が流れ、[[磁場]]を発生させたためである。 ==ゼーベック効果== [[画像:Seebeck effect circuit 2.svg|150px|right|2 種類の金属 A, B からなる熱電対]] 異なる[[金属]]または[[半導体]]に[[熱力学的温度|温度]]差を設けると[[電圧]]が発生する。この電圧は温度差 1 [[ケルビン|K]] あたり数 [[マイクロ|μ]][[ボルト_(単位)|V]] 程度の大きさである。 右の回路について、発生する電圧は次の式から求められる。 {{Indent|<math>V = \int_{T_1}^{T_2} \left( S_\mathrm{B}(T) - S_\mathrm{A}(T) \right) \, dT</math>}} <math>S_\mathrm{A}</math> と <math>S_\mathrm{B}</math> はそれぞれ金属 A, B の[[ゼーベック係数]]、<math>T_1</math> と <math>T_2</math> は 2 つの接点の温度である。ゼーベック係数は[[非線形性|非線型]]で、[[導体]]の温度、材質、[[分子構造]]に依存する[[係数]]である。ゼーベック係数が測定する温度範囲で一定であると見なせるならば、上の式は下の式のように近似することができる。 {{Indent|<math>V = (S_\mathrm{B} - S_\mathrm{A}) \cdot (T_\mathrm{2} - T_\mathrm{1}).</math>}} このような[[熱電対]]を使えば、温度差を直接測定したり、一方の温度を既知のものに定めることでもう一方の絶対温度を測定することができる。 ゼーベック効果は2つの効果、荷電粒子の拡散および[[フォノンドラッグ効果]]によって起こる。 ===ゼーベック係数 (Thermopower)=== 2 点間の温度差が小さい場合、 {{Indent|<math>T_2 = T_1 + \Delta T \,</math>}} そして端点間の電位差 Δ''V'' とすると、熱電対全体のゼーベック係数は次のように定義される: {{Indent|<math>S_\mathrm{AB} = S_\mathrm{B}-S_\mathrm{A} = \lim_{\Delta T \to 0} {\Delta V \over \Delta T}</math>}} 電場 ''E'' と温度勾配 <math>\nabla T</math> を使って書き直すと、 {{Indent|<math>S = {E \over \left | \nabla T \right |}</math>}} [[超伝導体]]のゼーベック係数は 0 であり、これを使って熱電対を作ると、他の物質のゼーベック係数を直接測定することができる。熱電対全体のゼーベック係数が対象とする物質のそれとなる。 [[半導体]]では、ゼーベック係数の符号によって[[半導体#半導体の型|キャリア]]が[[電子]]([[電荷]]が負)か[[正孔]](電荷が正)かを判断することができる。 ===荷電粒子の拡散=== 物質中の[[電荷担体|キャリア]](例えば[[金属]]中の[[電子]]、[[半導体]]中の電子と[[正孔]]、[[イオン (化学)|イオン]])は、常に移動しており、熱い端にいるキャリアは、冷たい端のほうへ、冷たい端にいるキャリアは、熱い端のほうへと拡散しようとする。もし熱い端と冷たい端のキャリアが同じように拡散するならば、行き来する電荷の正味の移動は打ち消しあってゼロとなり、電流は流れない。しかし、移動するキャリアは、[[格子振動]]([[フォノン]])によって散乱を受け、[[電子移動度|移動度]]が低下する。格子振動は、温度が高くなると大きくなるため、温度差のある部分間のキャリアの行き来は不均衡となり、電位差が生じる。 === フォノン・ドラッグ === [[フォノン]]はいつも局所的な[[熱平衡]]にあるわけではない。温度勾配があるとそれに従って運動する。その間に[[電子]]や他の[[半導体#半導体の型|キャリア]]との相互作用、および[[格子欠陥]]の影響で[[運動量]]を失う。もしフォノン-電子相互作用が優勢ならば、フォノンは電子を物体の端から端まで押し動かしながら、その過程で運動量を失っていく。この過程はすでにある熱[[電場]]をさらに強めるように働く。フォノン・ドラッグの寄与はフォノン-電子散乱が顕著となる温度領域で重要になる。それはおよそ次のようなオーダーである。 {{Indent|<math>T \approx {1 \over 5} \theta_D</math>}} <math>\theta_D</math> は[[デバイ温度]]である。より低温ではフォノン・ドラッグを担うフォノン自体が少なく、より高温では電子との相互作用よりも先にフォノン同士の相互作用で運動量を失ってしまう。 <!-- This region of the thermopower versus temperature function is highly variable under a magnetic field. --> == 脚注 == <references /> ==関連項目== * [[熱電能]] * [[熱電素子]] ** [[熱電変換素子]] * [[ジュールの法則]] * [[熱伝導|熱輸送(熱伝導)]] * [[焦電効果]] - 熱による結晶内部電場の生成 * [[自然エネルギー]] * [[ネルンスト効果]] {{Condensed matter physics topics}} {{DEFAULTSORT:せえへつくこうか}} [[Category:熱電効果]] [[Category:物理学のエポニム]] [[de:Thermoelektrizität#Seebeck-Effekt]] [[en:Thermoelectric effect#Seebeck effect]]
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