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{{出典の明記|date=2024年8月}} '''ソフトマター'''({{Lang-en-short|Soft matter}})とは、[[高分子]]、[[液晶]]、[[コロイド]]([[エマルション]]、[[ゾル]]など)、生体膜、生体分子([[蛋白質]]、[[デオキシリボ核酸|DNA]]など)などの柔らかい物質の総称<ref name = "ソフトマター物理学入門_v"/>。ソフトマテリアル(Soft material)とも言う。これらの物質では、当該物質を構成する単位が複雑な形、構造を持ち、その内部自由度も大きいことが特徴として挙げられる。ソフトマターを扱う[[物性物理学]]を'''ソフトマター物理学'''と呼ぶ<ref name = "ソフトマター物理学入門_v"/>。ソフトマター物理学は、伝統的な物性物理学と[[化学]]、[[生物学]]との[[境界領域]]にある。 [[ファイル:Almond jelly by rhosoi in Yokohama Chinatown.jpg|thumb|250px|right|[[ゼリー]]は身近なソフトマターである。]] == 特徴 == ソフトマターは[[高分子]]、[[液晶]]、[[コロイド]]、[[界面活性剤]]など様々な物質を指すが、ソフトマターの構成単位は巨大分子または分子の大きな集合であることを共通とする<ref name = "ソフトマター物理学入門_6"/>。このような巨大分子または分子の大きな集合では[[固体]][[結晶]]で見られるような3次元の長距離的秩序がないが、[[液体]]と同程度の局所的な秩序は必ず存在する。そのスケールは数[[ナノメートル]]から数百[[ナノメートル]]程度の[[メゾスコピック領域]]である。長距離秩序がないため、[[剛性率]]が[[固体]]よりも小さく、[[外力]]に対しての[[応答]]が大きく[[粘弾性]]を示すことも多い。それが「ソフト」な[[物性]]を示す一因である。 [[運動エネルギー]]の観点からみて「やわらかい」、「固い」という性質は、大雑把にいうと前者が分子運動エネルギー<math>k_BT</math>に近く、後者が<math>k_BT</math>よりもはるかに小さいと特徴づけることができる。つまり、外部刺激にたいして大きな内部自由度をもちゆっくりとした応答を示す。 ソフトマターの大きな特徴のひとつに力学的振舞いが変形の速度に依存することがあげられる。すなわち、ソフトマターのほとんどは、変形の速度が大きいと流動的に振舞うのに対し、変形の速度が小さいと弾性的に振舞うのである([[粘弾性]])。具体的な例を挙げると、皿にのったゼリーを指でそっと触れば、ゼリーから反発力を感じる。このとき、指を離せばゼリーはもとの形に戻る(弾性)。しかし、強く指を押し付けると、指はゼリーにつきささり、指を離してもゼリーの形は元に戻らない(粘性)。 == 由来 == 「ソフトマター」ということばが使われる以前から[[コロイド]]や[[高分子]]や[[液晶]]を対象とした研究が盛んであったが、これらを統一する概念としてソフトマターという言葉が生まれた。この「ソフトマター」という言葉がいつから用いられるようになったかは正確にはわからないが、少なくとも1992年には、[[ノーベル物理学賞]]受賞者である[[ピエール=ジル・ド・ジェンヌ]]によって、この言葉が用いられている<ref>P.-G. de Gennes, Nobel Lecture, December 9, (1991) "Soft Matter"</ref><ref>P.G. de Gennes, Reviews of Modern Physics 64, 645-648 (1992) "Soft Matter"</ref>。ド・ジェンヌはノーベル賞受賞の際に「ソフトマター」というタイトルの受賞講演を行い、これにより「ソフトマター」という言葉が広がり、定着していった<ref name = "ソフトマター物理学入門_v"/>。 == 脚注 == === 出典 === {{Reflist|refs= <ref name = "ソフトマター物理学入門_v">[[#ソフトマター物理学入門 |ソフトマター物理学入門 p.v]]</ref> <ref name = "ソフトマター物理学入門_6">[[#ソフトマター物理学入門 |ソフトマター物理学入門 p.6]]</ref> }} == 参考文献 == {{参照方法|date=2024年8月|section=1}} *{{Cite book|和書 |title=ソフトマター入門: 高分子・コロイド・両親媒性分子・液晶 |author=イアン・W・ハムレー |translator=好村滋行、荒木武昭、樹神弘也、森河良太、福田順一 |publisher=[[シュプリンガー・フェアラーク東京]] |date=2002-10 |isbn=4-431-70933-9 }} *{{Cite book|和書 |title=ソフトマターの秩序形成 |author=今井正幸 |publisher=[[シュプリンガー・ジャパン]] |series=World physics selection:monograph |date=2007-04 |isbn=978-4-431-71243-5 }} *{{Cite book|和書 |author=[[土井正男]] |title=ソフトマター物理学入門 |publisher=[[岩波書店]] |year=2010 |edition=第1刷 |isbn=978-4-00-005616-8 |ref=ソフトマター物理学入門 }} *{{Cite book|和書|title=ソフトマター 分子設計・キャラクタリゼーションから機能性材料まで|editor=高原淳、栗原和枝、前田瑞夫|publisher=[[丸善株式会社]]|date=2009-11-20|isbn=978-4-621-08169-3}} ==関連項目== *[[物性物理学]] *[[高分子物理学]] *[[メゾスコピック領域]] *[[アクティブマター]] ==外部リンク== * {{機械工学事典|id=07:3000006|title=ソフトマテリアル}} * [https://research.kek.jp/people/seto/softmat-j.html ソフトマター物理への招待] - [[高エネルギー加速器研究機構]] {{Physics-stub}} {{Physics-footer}} {{Condensed matter physics topics}} {{DEFAULTSORT:そふとまたあ}} [[Category:ソフトマター|*]] [[Category:レオロジー]]
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