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[[ファイル:nmos_common_source.png|thumb|130px|図 1: 基本的なNMOSソース接地回路(バイアス等の詳細は省略)]] '''ソース接地回路'''(ソースせっちかいろ)または'''ソース共通回路'''(ソースきょうつうかいろ、{{lang-en-short|Common source}})は、[[電界効果トランジスタ]]を用いた基本的な増幅回路の一つ。[[入力インピーダンス]]が高く、出力インピーダンスも比較的高い。電圧増幅に用いるのが一般的。[[バイポーラトランジスタ]]を用いた同様の回路に[[エミッタ接地回路]]がある。 == 特性 == 電界効果トランジスタのゲートは絶縁体のため、低い周波数ではソース接地回路の入力インピーダンスは非常に高い。小信号電圧利得は {{Indent|<math>A_v=\frac{v_o}{v_i}=-g_m\cdot r_o||R_D</math>、}} 出力インピーダンスは {{Indent|<math>r_{out}=r_o</math>}} となる(<math>r_o</math>はトランジスタの出力抵抗)。<math>r_o\gg R_D</math> の場合、 {{Indent|<math>A_v\approx-g_mR_D</math>、}} と単純化される。 *ソース接地回路自身の入力インピーダンスは非常に高いが、入力信号に[[バイアス]]をかけなければいけない場合(入力がAC結合の場合など)、バイアス回路が入力インピーダンスを決定するため注意が必要である。また、<math>R_D</math> の値にもよるが、出力インピーダンスは高めなので、負荷の抵抗値が低い場合にはバッファを挿入する必要がある。 *電圧利得が高く、[[ミラー効果]]によってゲート・ドレイン容量(<math>C_{gd}</math>)を増大させたものが実質的にゲートに現れる。このため、出力インピーダンスの高い回路でソース接地回路を駆動すると著しく帯域が制限される。この問題は後述のカスコードトランジスタで解決できる。 *出力のバイアス点はトランジスタのバイアス電流 <math>I_D</math>、<math>R_D</math>及び電源電圧<math>{\rm V_{DD}}</math>のみで決まり、その値は<math>{\rm V_{DD}}-I_DR_D</math> である。このバイアス点を、トランジスタが飽和する最低のドレイン電圧と電源電圧(<math>{\rm V_{DD}}</math>)の中間にした場合に最大の出力振幅が得られる。 == ソース負帰還 == [[ファイル:nmos_common_source_degeneration.png|thumb|130px|図 2: ソース負帰還付きソース接地回路(バイアス等の詳細は省略)]] ソース接地回路のトランジスタの<math>g_m</math>は入力電圧に依存するため、入力と出力の関係は非線形となる。しかし、ソースに抵抗を挿入すると負帰還により電圧利得の <math>g_m</math> への依存性が減り、線形性を向上させることができる。しかし、ソース抵抗がない場合に比べて利得が下がる。小信号電圧利得は {{Indent|<math>A_v=\frac{v_o}{v_i}=-\frac{R_D}{R_S}g_m\cdot R_S||\frac{R_D+r_o}{1+g_{me}r_o}</math>、}} 出力抵抗は {{Indent|<math>r_{out}=R_D||(r_o+R_S+g_{me}r_oR_S)</math>}} となる(<math>g_{me}=g_m+g_{mb}</math>、<math>g_{mb}</math> は[[基板バイアス効果|基板効果]]による)。基板効果を無視し(<math>g_{mb}=0</math>)、<math>r_o\gg R_D</math>、<math>g_mr_o\gg 1</math>で、さらに<math>R_S\gg 1/g_m</math>の場合、 {{Indent|<math>A_v\approx-\frac{g_mR_D}{1+g_mR_S}\approx-\frac{R_D}{R_S}</math>、}} {{Indent|<math>r_{out}\approx R_D</math>}} と単純化される。 == カスコードトランジスタの挿入 == [[ファイル:Nmos_cascoded_common_source.png|thumb|130px|図 3: カスコードトランジスタ付きソース接地回路(バイアス等の詳細は省略)]] カスコードトランジスタ(M2)を挿入すると、入力トランジスタ(M1)のドレイン間の増幅率が小さくなるためミラー効果による実質入力容量の増大を抑制することができる。この回路の小信号電圧利得は {{Indent|<math> A_v=\frac{v_o}{v_i}=-\frac{g_{m1}r_{o2}\cdot R_D||(r_{o1}+r_{o2}+g_{me2}r_{o1}r_{o2})}{r_{o1}+\frac{1}{g_{me2}}||r_{o2}}</math>}} で、<math>r_o=r_{o1}=r_{o2}</math>、<math>g_m=g_{m1}=g_{me2}</math>、<math>r_o\gg R_D</math>、<math>g_mr_o\gg 1</math> の場合、 {{Indent|<math> A_v\approx-g_mR_D</math>}} と単純化され、カスコードトランジスタがない場合と利得は同じになる。また、M1のゲート・ドレイン間の小信号利得は {{Indent|<math> \frac{v_x}{v_i}=-g_{m1}\cdot\frac{R_D+r_{o2}}{1+g_{me2}r_{o2}}||r_{o1}\approx-1</math>}} と低い値になるため、カスコードトランジスタがない場合に比べてミラー効果が大幅に抑制される。 *この回路はソース接地回路と[[ゲート接地回路]]の組み合わせと考えることもできる。 *カスコードトランジスタのゲート(<math>V_B</math>)は直流電圧源に接続される。その電圧は、M1が飽和領域で動作するよう十分高く、かつM2も飽和領域で動作するよう十分低くなければならない。 == 用途 == 無線受信機の[[低雑音増幅器]]などに広く使われている。 == 関連項目 == [[エミッタ接地回路]] == 参考文献 == *Behzad Razavi, Design of Analog CMOS Integrated Circuits, McGraw-Hill, Inc., New York, NY, 2000 *松澤昭,アナログRFCMOS集積回路設計 基礎編,培風館,2010年 {{トランジスタ増幅器}} {{デフォルトソート:そおすせつちかいろ}} [[Category:アナログ回路]]
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