チオールのソースを表示
←
チオール
ナビゲーションに移動
検索に移動
あなたには「このページの編集」を行う権限がありません。理由は以下の通りです:
この操作は、次のグループに属する利用者のみが実行できます:
登録利用者
。
このページのソースの閲覧やコピーができます。
[[Image:thiol_group.svg|class=skin-invert-image|thumb|チオールの一般構造式]] '''チオール''' (thiol) は水素化された硫黄を末端に持つ[[有機化合物]]で、'''メルカプタン類''' (mercaptans) とも呼ばれる<ref>[http://goldbook.iupac.org/T06359.html IUPAC Gold Book - thiols]</ref>。チオールは R-SH(R は有機基)で表される構造を持ち、[[アルコール]]の[[酸素]]が[[硫黄]]で置換されたものと等しいことから、'''チオアルコール'''とも呼ばれる。また置換基として呼称される場合は、そのまま'''チオール基'''と呼ばれたり、'''スルファニル基'''、'''水硫基'''、'''スルフヒドリル基'''と呼称されることもある。また、昔ながらの'''メルカプト基'''と呼ばれることもある。 == 命名 == チオールの命名は SH が結合している[[炭素]]を位置番号で示し、骨格の炭化水素の名前を続け、語尾 e に接尾語 -thiol を続ける([[IUPAC命名法]])。 : (例)CH<sub>3</sub>−SH : [[メタンチオール]] (methanethiol) SH 基を表す接頭語は、sulfanyl- である<ref>IUPAC recommendations and preferred names 2013.</ref>。かつては mercapto- が使われていたが、現在は推奨されない。 : (例)HO−CH<sub>2</sub>CH<sub>2</sub>−SH : [[2-メルカプトエタノール|2-スルファニルエタノール]] (2-sulfanylethanol) == 臭い == 多くのチオールは特異的な[[悪臭]]をもつ<ref name="oae">{{Cite journal |和書|author =大饗茂|title =メルカプタン類の反応|date =1968|publisher =有機合成化学協会|journal =有機合成化学協会誌|volume =26|issue =4|doi=10.5059/yukigoseikyokaishi.26.327|pages =327-341|ref = }}</ref>。[[システイン]]などの含硫黄[[アミノ酸]]は分解されてチオールを生じる。生物の進化の過程において、このチオールを[[嗅覚]]で検知する[[遺伝形質]]が選択されたことで、生物([[蛋白質]])の[[腐敗]]を感知する能力が獲得された、という説がある。この悪臭は低濃度でも[[ヒト]]をはじめとする生物が感知するため、ガス施設などのガス漏れ検知剤や、[[都市ガス]]の[[付臭|付臭剤]](ガス漏れにすぐ気づくように微量のチオールが添加されている)として使われる。しかしながら、このにおいは細胞に吸着しやすいのが難点である。1978年[[エール大学]]の[[:en:Robert H. Crabtree|Robert H. Crabtree]]は[[銅]](I)イオンがチオールに対して高い親和性を示し、これが[[嗅覚]]の金属受容体の候補ではないかと論文を発表した<ref>Crabtree, Robert H. "Copper (I): a possible olfactory binding site." Journal of Inorganic and Nuclear Chemistry 40.7 (1978): 1453.</ref><ref>[http://cen.acs.org/articles/90/web/2012/02/MetalsRole-Odor-Sensing.html Metals’ Role In Odor Sensing] Chemicals & Engineering News, 2012 February 13, p. 9.</ref><ref>Duan, Xufang, et al. "[http://www.pnas.org/content/109/9/3492.long Crucial role of copper in detection of metal-coordinating odorants.]" Proceedings of the National Academy of Sciences 109.9 (2012): 3492-3497.</ref>。2016年に米国と中国の化学者チームによって、不快なにおい分子を検知する受容体が鼻の粘液中に存在する[[銅]]粒子とも結合することで、チオールの感知強度をおよそ1000倍にも増幅することが判明した<ref>{{cite journal | doi = 10.1038/ndigest.2017.170109b | title =銅が悪臭の感度を増幅 | year = 2017 | last1 = | first1 = | journal =Nature ダイジェスト | volume =14 | issue =1 | pages = | pmid = | last2 = | first2 = | last3 = | first3 = | last4 = | first4 = |url=http://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v14/n1/銅が悪臭の感度を増幅/81726 }}</ref><ref>Kundu, Subrata, et al. "Copper (II) Activation of Nitrite: Nitrosation of Nucleophiles and Generation of NO by Thiols." Journal of the American Chemical Society (2016).</ref>。 [[エタンチオール]]は[[ギネス・ワールド・レコーズ|ギネスブック]]において世界一臭い化合物とされている。[[ドリアン]]の臭いの主要成分は1-[[プロパンチオール]](C<sub>3</sub>H<sub>7</sub>SH)である。 == 性質 == ;酸性度 :チオールの水素は相当するアルコールの[[水素]]に比べて高い[[酸性度定数|酸性度]](小さい {{pKa}} 値)を示す<ref name="oae"/>。水素が解離した後にできる[[アニオン]]は、チオラートアニオンの場合はSの3p軌道に最外殻電子があるのに対して、アルコキシドアニオンの場合はOの2p軌道である。より外側である3p軌道のほうが軌道が大きく電子密度が低いために、アニオンの安定性の違いが生じる。 ;沸点 :S-H 間の分極が弱く、アルコールよりも分子間の[[水素結合]]が弱いため、アルコールと相当するチオールの[[沸点]]を比べたときにアルコールの方が沸点が高い傾向を示す<ref name="oae"/>。 ;水溶性 :同じく水素結合が弱いため、アルコールより水溶性が低い傾向にある<ref>{{Cite book|title=基礎有機化学|year=1993|publisher=化学同人|isbn=4759802541|page=238}}</ref>。 ;塩基 :その[[共有結合]]性の高さからソフトな[[塩基]]として作用し、特に[[水銀]]など後周期[[金属]]化合物と強い結合を作りやすい。 ;酸化 :[[酸素]]、[[過酸化水素]]などの[[酸化剤]]によって容易に[[酸化]]され、アルキル鎖が対称な[[ジスルフィド]]を形成する。 === 例 === [[File:Thiophenolat Synthesis.png|class=skin-invert-image|thumb|right|420px|]] [[生化学]]で最も重要なチオールの一つは、[[補酵素A]] (CoA) である。これは補酵素Aのチオール基 (SH) と[[アシル基]]が結合した[[チオエステル]]から容易にアシル基が転移する性質に由来する。アミノ酸の一種である[[システイン]]も、チオールの一種である。 === 自己組織化単分子膜 === チオール基とジスルフィド基は[[金]]、[[銀]]、[[銅]]、[[白金]]、[[パラジウム]]、[[水銀]]など様々な金属表面で[[自己組織化単分子膜]] (SAM) を形成する。特に金基板は幅広く使用される<ref>[http://www.ksv.jp/prochimia/sam/qa/ チオールQ&A]</ref>。 == 合成法 == [[ハロゲン化アルキル]]をアルカリの存在下に[[硫化水素]]と反応させると生成する。この反応では系中で[[水硫化ナトリウム]] NaSH が発生し、これが[[ハロゲン]]原子と[[求核置換反応|求核置換]]することによって、アルキル基上に硫黄原子が導入される。あらかじめ単離した水硫化ナトリウムを用いてもよい。 : <chem>{H2S} + NaOH -> {NaSH} + H2O</chem> : <chem>{R-Br} + NaSH -> {R-SH} + NaBr</chem> 上記の反応では、条件によっては生成したチオールがさらにハロゲン化アルキルと反応し、[[スルフィド]] RSR が副生する場合がある。ハロゲン化アルキルと[[チオ尿素]]を反応させ、得られたイソチオ尿素塩をアルカリ加水分解すると、選択的にチオールのみを得ることができる<ref>Speziale, A. J. "Ethanedithiol." ''Org. Synth.'', Coll. Vol. 4, p. 401 (1963); Vol. 30, p. 35 (1950). [http://www.orgsynth.org/orgsyn/prep.asp?prep=cv4p0401 オンライン版]</ref>。 : <chem>{R-Br} + S=C(NH2)2 -> R-S-C(=NH)NH2 \cdot HBr</chem> : <chem>{R-S-C(=NH)NH2} \cdot {HBr} + {NaOH} + {H2O} -> {R-SH} + \frac{1}{2}NCNHC(=NH)NH2 + {NaBr} + H2O</chem> ハロゲン化アルキルとチオ酢酸カリウムの反応により得られるチオエステルを加水分解する方法も良く用いられる。この加水分解反応は酸・塩基両方の条件下で進行する。 : <chem>{R-Br} + KSC(=O)CH3 -> R-S-C(=O)CH3</chem> : <chem>{R-S-C(=O)CH3} + H2O -> {R-SH} + HO-C(=O)CH3</chem> ほかに、[[ジスルフィド]]を[[水素化ホウ素ナトリウム]]や[[ホスフィン]]類を用いて還元させたり、[[グリニャール試薬]]を硫黄分子で処理する方法も用いられる。 == 主な化合物 == * [[メタンチオール]] * [[エタンチオール]] * [[チオフェノール]] * [[システイン]] * [[グルタチオン]] *[[4-メルカプト安息香酸]] == 事故 == [[2013年]]1月21日、[[フランス]]、[[ルーアン]]の工場からチオールが漏出。臭気が[[パリ]]を含む[[フランス]]北部一帯のほか、[[イングランド]]まで到達し、身体の不調を訴える住民が続出する騒ぎとなった<ref>{{Cite news |url=https://www.afpbb.com/articles/-/2922759?pid=10151547 |title=フランス北部の工場で悪臭ガス漏れ出す、英国まで到達 |work=AFPBB News |publisher=フランス通信社 |date=2013-01-23 |accessdate=2013-01-26 }}</ref>。 == 脚注 == {{Reflist}} == 関連項目 == {{Commonscat|Thiols}} * [[スルフィド]] *[[有機硫黄化合物]] * [[自己組織化単分子膜]] {{官能基}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:ちおおる}} [[Category:チオール|*]] [[Category:官能基]]
このページで使用されているテンプレート:
テンプレート:Cite book
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Cite journal
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Cite news
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Commonscat
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Normdaten
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:PKa
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Reflist
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:官能基
(
ソースを閲覧
)
チオール
に戻る。
ナビゲーション メニュー
個人用ツール
ログイン
名前空間
ページ
議論
日本語
表示
閲覧
ソースを閲覧
履歴表示
その他
検索
案内
メインページ
最近の更新
おまかせ表示
MediaWiki についてのヘルプ
特別ページ
ツール
リンク元
関連ページの更新状況
ページ情報