チタン酸塩のソースを表示

[[化学]] において、チタン酸塩（チタンさんえん {{Lang-en-short|'''titanate'''}}）とは、通常は[[酸化チタン]]を構成要素とする[[無機化合物]]を指す。 {{chem|[TiCl|6|]|2-}} や {{chem|[Ti(CO)|7|]|2−}} などのいくつかの場合で、この用語はチタンを含むアニオンを構成要素とする化合物に使われることがあるが、この記事では酸化物に限るものとする。

チタンの酸化物にはさまざまな種類が知られており、そのうちの幾つかは商業的に重要である。典型的にはこれらの材料は白色の[[反磁性]]体で、[[融点]]は高く[[水溶性]]はない。[[二酸化チタン]]から高温で調製されることが多く、たとえば{{仮リンク|管状炉|en|Tube_furnace}}が用いられる。ほとんど全ての場合で、チタンは[[八面体形|八面体型錯体]]を成す<ref name="G&E">{{Greenwood&Earnshaw1st|pages=1121–23}}</ref>。

== オルトチタン酸塩 ==
オルトチタン酸塩は M を二価[[カチオン]]として、[[組成式]] M<sub>2</sub>TiO<sub>4</sub> をもつ化合物である。例としては[[スピネル]]型構造をとる[[チタン酸マグネシウム]] (Mg<sub>2</sub>TiO<sub>4</sub>) などが挙げられる。 Li<sub>2</sub>TiO<sub>3</sub> は岩塩型構造をとり、チタンアニオンがみられないためチタン酸塩とはみなされない。オルトチタン酸塩において TiO<sub>4</sub><sup>4−</sup> 中心が識別されることはほぼ無く、例外として{{仮リンク|オルトチタン酸バリウム|en|Barium_orthotitanate}}が挙げられる<ref>{{Cite journal|last=Wu|first=Kang Kun|date=10 April 1973|title=The Crystal Structure of β-Barium Orthotitanate, β-Ba<sub>2</sub>TiO<sub>4</sub>, and the Bond Strength-Bond Length Curve of Ti-O|journal=Acta Crystallographica|volume=B29|pages=2009–2012|doi=10.1107/S0567740873005959}}</ref>。

=== チタン酸とエステル ===
化合物 H<sub>4</sub>TiO<sub>4</sub> (CASNo 20338-08-3) はチタン酸、もしくはチタン酸および水酸化チタンと呼ばれる。この材料に明確な定義はないが、TiCl<sub>4</sub> [[加水分解]]により生じる<ref>Handbook of Preparative Inorganic Chemistry, 2nd Ed. Edited by G. Brauer, Academic Press, 1963, NY. </ref>。固体は水の脱離に対して不安定で、二酸化チタンを生じる。ただ、オルトチタン酸の「エステル」も知られており、一例として[[オルトチタン酸テトライソプロピル]]が挙げられる。より小さなアルコールから誘導されるエステルはより複雑な構造となり、チタンは八面体構造をとる。

== メタチタン酸塩 ==
メタチタン酸塩は M を二価カチオンとして組成式 MTiO<sub>3</sub> を持つ化合物である。分離した TiO<sub>3</sub><sup>2−</sup> 中心は持たない。[[コランダム]]様の[[六方最密充填構造|六方最密充填結晶構造]]をとるものもある。このモチーフは商業的に重要な鉱物、[[イルメナイト]] (FeTiO<sub>3</sub>) に見られる。一方、組成式 MTiO<sub>3</sub> を持つ材料の中には[[ペロブスカイト構造]]をとるものもあり、名前の元になっている[[灰チタン石]] (CaTiO<sub>3</sub>) もそのひとつである。 [[チタン酸バリウム]]は[[強誘電体|強誘電]]体ペロブスカイトである<ref name="G&E">{{Greenwood&Earnshaw1st|pages=1121–23}}</ref>。

== 複雑なチタン酸塩 ==
チタン酸ビスマス、 <chem>Bi4Ti3O12</chem> などのより複雑なチタン酸塩も知られている<ref>{{Citation|title=Bismuth Titanate, <chem>Bi4Ti3O12</chem>|year=2007|last1=Galasso|last2=Kestigan|first1=F. S.|first2=M.|journal=Inorg. Synth.|volume=30|pages=121|doi=10.1002/9780470132616.ch24|DOI=10.1002/9780470132616.ch24}}</ref>。

== 出典 ==
{{reflist}}

{{デフォルトソート:ちたんさんえん}}
[[Category:酸化物]]
[[Category:チタン酸塩|*]]