チルダのソースを表示

{{WikipediaPage|全角チルダ・波ダッシュの使用|WP:WAVEDASH}}
{{Otheruses|チルダ|波ダッシュ（波線）|波ダッシュ}}
{{Expand English|Tilde|date=2024年5月}}
{{ダイアクリティカルマーク|{{Lang|en|~}}}}
{{特殊文字|説明=[[アクセント記号]]「[[アキュート・アクセント]]」}}
'''チルダ'''（{{Lang|en|tilde}}）は、[[ダイアクリティカルマーク]]（発音区別符号）の一種で、記号「'''{{Unicode|~}}'''」のこと。'''チルド'''、'''波線符号'''（はせんふごう）ともいい、[[鼻音]]に関する音をあらわす。もともと、[[字母]]の上に [[N]] を小さく書いたことから生じた記号である。

[[英語]]では'''ティルダ'''（{{Lang|en|tilde}}）、[[スペイン語]]では'''ティルデ'''（{{Lang|es|tilde}}）、[[ポルトガル語]]では'''ティウ'''（{{Lang|pt|til}}）という。

また、単独で用いられるチルダ（{{Lang|en|freestanding tilde}}）は、例えば[[数学]]においては[[ランダウの記号|漸近的に等しいこと]]や[[相似 (幾何学)|相似]]を表す記号として、[[UNIX]]系[[オペレーティングシステム]]上では[[ホームディレクトリ]]<!--など-->を示す記号などとして用いられる。

== 各言語における用法 ==
; スペイン語、[[バスク語]]など
: {{lang|es|'''[[ñ]]'''}} は硬口蓋鼻音 {{ipa|ɲ}} を表す。
; ポルトガル語
: {{lang|pt|'''[[ã]], [[õ]]'''}} は鼻母音を表す。
; [[エストニア語]]、[[ヴォロ語]]
: {{lang|et|'''õ'''}} は非円唇後舌半狭母音{{IPA|ɤ}}を表す。
; [[グリーンランド語]]
: 1973年以前の旧正書法には {{lang|kl|'''[[ã]], [[ĩ]], [[ũ]]'''}} があり、母音が長く、かつ後続する子音が長子音であることを示していた。現在は母音字と後続する子音字を重ねることで表す。
; [[クリミア・タタール語]]
: {{unicode|'''ñ'''}} は 軟口蓋鼻音 {{ipa|ŋ}} を表す。
; [[リトアニア語]]
: 正書法上は使用しない。辞書や学習書・研究書等において上昇調のアクセントを持つ長い音節を表すのに用いられる。母音のほか {{Lang|lt|'''l, m, n, r'''}} の上にもつけられる。また、アクセント記号なしではあいまいになる語を区別する目的でも使用される（具体例: {{Lang|lt|giñti}} 〈（動物を）追い立てる〉）。
; [[ラトビア語]]
: 正書法上は使用しない。平板調の声調を表す声調記号として学術書で用いられる。
; [[ベトナム語]]
: ガーという[[ベトナム語#声調|声調]]を表す。{{lang|vi|'''ã, ẫ, ẵ, ẽ, ễ, ĩ, õ, ỗ, ỡ, ũ, ữ, ỹ'''}} がある。
; [[グアラニー語]]
: {{lang|pt|'''[[ã]], [[ẽ]], [[ĩ]], [[õ]]. [[ũ]], [[ỹ]]'''}}が鼻音を用いる単語の強勢部分を示す他、{{lang|es|'''[[g̃]]'''}} が軟口蓋鼻音 {{ipa|ŋ}} を、{{lang|es|'''[[ñ]]'''}} が硬口蓋鼻音 {{ipa|ɲ}} をそれぞれ表す。

== 音声記号 ==
[[国際音声記号]]の補助記号として使われる。
* [[母音]]の上部に付されると、母音の「[[鼻音|鼻音化]]」をあらわす。
* 文字の下部に付されると、[[きしみ声]]をあらわす。
* 文字に重ねると、[[軟口蓋化]]または[[咽頭化]]をあらわす。

== その他の用法 ==
* [[アヴェスター語]]の[[翻字]]で t の下にチルダをつけた {{unicode|t̰}} という字を使用する。
* 1897年、イタリアの数学者[[ジュゼッペ・ペアノ]]は、チルダを使って否定を表すことを始めた。~pは「非p[pではない]」と読まれる。pの方は命題を表している<ref>{{Cite book|和書| title=記号とシンボルの事典| year=2019| publisher=青土社| page=33}}</ref>。

== 単独に用いられるチルダ ==
単独で用いられるチルダ (freestanding tilde) は、[[数学]]においては関数等が[[ランダウの記号|漸近的に等しいこと]]や図形の[[相似 (幾何学)|相似]]を表す記号などとして使われる<!--を意味する--><ref>{{PDFlink|[https://www.unicode.org/charts/PDF/U2200.pdf Unicode Code Charts Mathematical Operators (PDF)]}}</ref>。
* 「漸近的に等しい」例：<math>n^2+1 \sim n^2\quad(n\to\infty)</math>
* 「確率変数が特定の確率分布に従う」例：<math>\boldsymbol{w}_k \sim \mathcal{N} (\boldsymbol{0}, Q_k) </math>

また、[[X-SAMPA]]にあっては鼻音化を表す記号として使われている。

=== コンピュータ ===
単独のチルダは[[ASCII]]に含まれ、キーボードから容易に入力できることから、コンピュータ上においては非常に頻繁に使われる。また、多くのプログラム言語などで特定の役割を与えられている。以下はその例。

*[[UNIX]]系[[オペレーティングシステム]]では、チルダは[[ホームディレクトリ]]を表す文字として用いられる（“{{lang|en|'''~'''}}”単体で自身のホームディレクトリ、“'''{{lang|en|~}}ユーザ名'''”でそのユーザのホームディレクトリ）。また、[[Uniform Resource Locator|URL]]ではしばしばユーザ別ホームディレクトリを表す記号として用いられる（例: {{lang|en|<nowiki>http:</nowiki>//www.example.com/'''~username'''/}}）。
*[[C言語]]、およびそれに影響を受けた言語の多くでは、ビットごとの[[否定|NOT]]を取る単項[[演算 (数学)|演算子]]として定義されている。
*[[C++]]では、[[クラス (コンピュータ)|クラス]]名の頭に付けることで[[デストラクタ]]を表す。
*[[D言語]]では、[[クラス (コンピュータ)|クラス]]内で {{lang|en|'''~this'''}} と表記することで[[C++]]と同様[[デストラクタ]]を表し、2つの[[配列]]を {{lang|en|'''~'''}} で繋ぐと配列を連結する働きを持っている<ref>[http://rayerd.plala.jp/pukiwiki/ingwiki/index.php?C%2FC%2B%2B%E3%81%AB%E7%96%B2%E3%82%8C%E3%81%9F%E4%BA%BA%E3%81%AED%E8%A8%80%E8%AA%9E2.0 C/C++に疲れた人のD言語2.0]</ref>。
* [[awk]]、[[Perl]]、[[Ruby]]などいくつかの言語においては、[[正規表現]]マッチングを行う {{lang|en|'''&#61;~'''}} 演算子（awk では '''~'''）と、その否定として {{lang|en|'''!~'''}} 演算子が用意されている。

なお、コンピューター上におけるこの文字の字形は、ダイアクリティカルマークとしての伝統に則って上方に寄せてデザインされている場合と、[[ハイフン]]などと同様に中央の高さにデザインされている場合とがある。また、上に寄せた場合には波打たない直線の形にデザインされるものもある。

== 符号位置 ==
チルダとされる[[Unicode]]上の文字および[[文字参照]]は次の通り。
{| class="wikitable" style="text-align:center;"
!記号!![[Unicode]]!![[JIS X 0213]]!![[文字参照]]!!名称
|-
|style="font-size:300%; line-height:100%;" lang="en" xml:lang="en"|~||<code>U+007E</code>||1-2-18||<code>&amp;#x7E;<br/>&amp;#126;</code>||チルド<br>TILDE
{{CharCode|732|02DC|-|SMALL TILDE|tilde}}
{{CharCode|759|02F7|-|LOW TILDE}}
{{CharCode|771|303|1-11-93|チルド(合成可能), 鼻音化<br>COMBINING TILDE}}
{{CharCode|816|330|1-11-83|下チルド(合成可能), きしみ音<br>COMBINING TILDE BELOW}}
{{CharCode|820|334|1-11-85|チルドオーバーレイ(合成可能), 軟口蓋化あるいは咽頭化<br>COMBINING TILDE OVERLAY}}
{{CharCode|8764|223C|-|TILDE OPERATOR|sim}}
|}

{| class="wikitable" style="text-align:center;"
!大文字!![[Unicode]]!![[JIS X 0213]]!![[文字参照]]!!小文字!!Unicode!!JIS X 0213!!文字参照!!備考
{{ULu|00C3|195|&amp;Atilde;|1-9-26|00E3|227|&amp;atilde;|1-9-57|[[ポルトガル語]]、[[グリーンランド語]]、[[ベトナム語]]}}
{{ULu|1eaa|7850||&#45;|1eab|7851||&#45;|ベトナム語}}
{{ULu|1eb4|7860||&#45;|1eb5|7861||&#45;|ベトナム語}}
{{ULu|1ebc|7868||&#45;|1ebd|7869||&#45;|ベトナム語}}
{{ULu|1ec4|7876||&#45;|1ec5|7877||&#45;|ベトナム語}}
{{ULu|0128|296||&#45;|0129|297||&#45;|グリーンランド語、ベトナム語}}
{{ULu|2C62|11362||&#45;|026B|619||1-10-84|[[国際音声記号]]}}
{{ULu|00D1|209|&amp;Ntilde;|1-9-40|00F1|241|&amp;ntilde;|1-9-71|[[スペイン語]]など多数}}
{{ULu|00D5|213|&amp;Otilde;|1-9-44|00F5|245|&amp;otilde;|1-9-75|ポルトガル語、ベトナム語、[[エストニア語]]}}
{{ULu|1ed6|7894||&#45;|1ed7|7895||&#45;|ベトナム語}}
{{ULu|1ee0|7904||&#45;|1ee1|7905||&#45;|ベトナム語}}
{{ULu|022C|556||&#45;|022D|557||&#45;|}}
{{ULu|1e4c|7756||&#45;|1e4d|7757||&#45;|}}
{{ULu|1e4e|7758||&#45;|1e4f|7759||&#45;|}}
{{ULu|0168|360||&#45;|0169|361||&#45;|グリーンランド語、ベトナム語}}
{{ULu|1eee|7918||&#45;|1eef|7919||&#45;|ベトナム語}}
{{ULu|1e78|7800||&#45;|1e79|7801||&#45;|}}
{{ULu|1e7c|7804||&#45;|1e7d|7805||&#45;|}}
{{ULu|1ef8|7928||&#45;|1ef9|7929||&#45;|ベトナム語}}
|}

=== 全角チルダ ===
この文字の全角 (fullwidth tilde) は「&#65374;」であり、UnicodeにおけるコードはU+FF5Eである。
* この文字は[[波ダッシュ]]「{{JIS2004フォント|〜}}」（すなわち範囲などを表す「波線」）と字形が似ているが、UnicodeやJIS X 0213では'''別の文字'''である。
* [[Microsoft Windows|Windows]] OSでは[[波ダッシュ]]の代用として全角チルダを用い、混乱の元となっている。<!--つかわれることがあったが、全角チルダ「&#65374;」は範囲などを表すことに用いる文字ではない。UnicodeやJIS X 0213ではこの2つは分けられたが、混乱が生じている。-->
* SNS等では上記の件から非推奨であり、特に[[X (ソーシャル・ネットワーキング・サービス)|X]]では全角チルダまたは波ダッシュで単語を囲みつつ単語の最後に全角チルダまたは波ダッシュがくる場合、検索に反映されない致命的なエラーが発生する。（例 #〜○○〜、#○○〜○○〜）
{{main|Unicode#波ダッシュ・全角チルダ問題|波ダッシュ}}
{| class="wikitable" style="text-align:center;"
!記号!![[Unicode]]!![[JIS X 0213]]!![[文字参照]]!!名称
{{CharCode|65374|FF5E|1-2-18|fullwidth tilde<br />全角チルダ}}
{{CharCode|12316|301C|1-1-33|wave dash<br />[[波ダッシュ]]|font=個別|family=Osaka,'ヒラギノ角ゴ ProN W3','メイリオ','A-OTF 新ゴ Pr6N R','小塚ゴシック Pr6N M','IPAゴシック','Takaoゴシック','VL ゴシック','XANO明朝U32','XANO明朝',YOzFont,YOzFont04,'和田研中丸ゴシック2004絵文字','和田研中丸ゴシック2004ARIB','和田研細丸ゴシックProN','和田研細丸ゴシック2004絵文字','和田研細丸ゴシック2004ARIB',MingLIU}}
|}

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

== 関連項目 ==
* {{tl|～}}
** {{tl|〜}}

== 外部リンク ==
{{Commonscat|Tildes}}

{{スペイン語アルファベット}}
{{ポルトガル語アルファベット}}
{{ラテン文字}}
{{Punctuation marks}} 
{{language-stub|ちるた}}

{{DEFAULTSORT:ちるた}}
[[Category:約物]]
[[Category:ダイアクリティカルマーク]]
[[Category:論理記号]]