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テブナンの定理
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'''テブナンの定理'''(テブナンのていり、{{lang-en-short|Thévenin's theorem}})は電気回路に関する定理で、複数の[[直流]][[電源]]を含む[[電気回路]]に[[負荷]]を接続したときに得られる[[電圧]]や負荷に流れる[[電流]]を、単一の[[内部抵抗]]のある[[電圧源]]に変換して求める方法である。 == 概要 == [[ファイル:Thevenin_equivalent.png|frame|[[電圧源]]、[[電流源]]、[[抵抗器|抵抗]]のみを含むどんな[[ブラックボックス]]でもテブナン[[等価回路]]に変えることができる]] 右の図で、回路網の出力端子A–B間の[[開放電圧]]を ''V''<sub>th</sub>, 端子A–B間から見た回路網の内部抵抗を ''R''<sub>th</sub>, A–B間に接続する負荷の抵抗値を ''R<sub>L</sub>'', 負荷に流れる電流を ''I<sub>L</sub>'', 負荷を接続したときの端子A–B間の電圧を ''V<sub>L</sub>'' とすると、次の関係が成立する。 :<math>\begin{align} I_L &= \frac{1}{R_{\text{th}} + R_L} V_{\text{th}} \\ V_L &= \frac{R_L}{R_{\text{th}} + R_L} V_{\text{th}} \end{align}</math> なお、回路網の内部抵抗を求める場合、[[電圧源]]は[[短絡]]、[[電流源]]は開放して考えればよい。ただし、電圧・電流源に内部抵抗が存在する場合は当然、考慮しなければならない。 == 名称について == [[1883年]]に[[Orange (通信会社)|フランス郵政・電信省]]の[[技術者]]、[[レオン・シャルル・テブナン]]により発表され、「テブナンの定理」と呼ばれていたが、それより前の[[1853年]]に[[ドイツ]]の[[物理学者]]、[[ヘルマン・フォン・ヘルムホルツ]]により発表されていたことが、[[1950年]]にドイツの物理学者{{仮リンク|ハンス・フェルディナント・マイヤー|en|Hans Ferdinand Mayer}} (Hans Ferdinand Mayer) により英文<ref>{{cite journal|title=Leon Charles Thévenin|author=H. F. MAYER|publisher=[[アメリカ電気学会|AIEE]]|page=186|journal=Electrical Engineering|chapter=Letters to the editor|chapter-url=https://ieeexplore.ieee.org/document/6434169|volume=69|issue=2|date=February 1950|doi=10.1109/EE.1950.6434169}}</ref>で指摘されたため、'''ヘルムホルツ-テブナンの定理''' (Helmholtz–Thevenin's theorem) とも呼ばれる。また、ヘルムホルツが最初の発表者であることを尊重する立場から、[[数学]]([[ベクトル解析]])における[[ヘルムホルツの定理]]と区別して、「ヘルムホルツ等価回路」と呼ばれることもある。 [[日本]]では'''等価電圧源表示'''(とうかでんあつげんひょうじ)、また[[交流]]電源の場合に成立することを[[1919年]]([[1922年]]、[[1923年]])に発表した[[鳳秀太郎]]の名を取って、'''鳳–テブナンの定理'''(ほう–テブナンのていり)ともいう。この別称に関して、[[東京工業大学]]の[[教授]]だった[[川上正光]]は著書と雑誌<ref>{{Cite book|和書|author=川上正光|edition=改版|title=[https://www.coronasha.co.jp/np/isbn/9784339000795/ 基礎電気回路I 線形定常編(1)]|volume=1|publisher=コロナ社|series=[[電子情報通信学会|電子通信学会]]大学講座 13|year=1967|page=134|isbn=4339000795|oclc=47515988|quote=* 鳳は故東京大学教授鳳秀太郎先生のことである.この定理は米,英,仏では Thévenin の定理というが,鳳先生も独立にその著書に書かれているので,故早稲田大学教授黒川兼三郎先生の発意で,わが国ではこのように呼ぶことが多い.}}<br />{{Cite book|和書|author=川上正光|edition=旧版、初版|title=基礎電気回路|publisher=コロナ社|series=[[電子情報通信学会|電気通信学会]]大学講座 13|year=1960|page=76|oclc=33732058|id={{国立国会図書館デジタルコレクション|2463838|format=NDLJP}}|quote=* 鳳は故東京大学教授鳳秀太郎先生のことである.この定理は外国では Thévenin の定理というが鳳先生も独立にその著書にかかれているので故早稲田大学教授黒川兼三郎先生の発意でわが国ではこのようによぶことが多い.}}<br />{{cite journal|和書|url=https://www.journal.ieice.org/summary.php?id=k53_2_170|title=討論会 回路網研究の歴史|author=川上正光 ほか|pages=170-178|journal=電子通信学会誌|volume=53|issue=2|date=1970-2|id={{国立国会図書館デジタルコレクション|2342443/75|format=NDLJP}}|quote=川上 鳳テブナンの定理という呼び名は,日本人もやったということを表わすために,早稲田大学の故黒川教授が提唱されたと聞いております([[古賀逸策|古賀]]先生の話では鳳先生はこの定理を,重ねの理の応用として講義された由です).}}</ref>で[[早稲田大学]]の教授だった[[黒川兼三郎]]の発意によるものと述べているが、これは思い違いであり、正しくは[[東北大学|東北帝国大学]]の教授だった[[抜山平一]]の発意及び[[助教授]]だった[[渡辺寧]]の改称によるもの<ref>{{cite journal|和書|title=交流ポテンシオメーターの研究並に補償交流ポテンシオメーター交流カーレントメーター|author1=拔山平一|author2=渡邊寧|pages=153-161|journal=電氣學會雜誌|volume=46|issue=451|date=1926-2|doi=10.11526/ieejjournal1888.46.153|quote=鳳敎授 Thévenin の定理}}</ref><ref>{{cite journal|和書|title=二三の一般的共振關係とテヴナンの定理の吟味|author=中尾徹夫 訳|pages=693-695|journal=通信工學邦文外國雜誌|issue=7|publisher=[[電子情報通信学会|電氣通信学會]]|date=1933-10|id={{国立国会図書館デジタルコレクション|1591206/404|format=NDLJP}}|quote=* 譯者附言:拔山博士は本定理に “鳳-テヴナンの定理” と命名して居られる。}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=鳳秀太郎と「鳳–テブナンの定理」の実用的応用|url=https://www.iee.jp/file/foundation/data02/ishi-14/ishi-1011.pdf|website=一般社団法人 [[電気学会]]|date=2021-03-09|accessdate=2022-07-23|language=ja|work=[https://www.iee.jp/foundation/list14/ 第14回 でんきの礎]|format=PDF|quote=拔山教授,渡邊助教授による共著論文に係る「Thévenin – 鳳氏定理。大正十四年七月」と題された理論(電氣通信法研究室研究記錄(1925)大正十四年度)}}</ref>となる。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{reflist}} ==関連項目== {{commonscat|Thévenin's theorem}} {{Wikibooks|電気回路理論/鳳-テブナンの定理}} *[[ノートンの定理]] - テブナンの定理の[[双対]]。等価電流源表示。 * [[重ね合わせの原理 (電気回路)|重ね合わせの原理]] *[[電圧源]] - [[電流源]] *[[電気回路]] - [[直流回路]] - [[直列回路と並列回路]] *[[等価回路]] {{デフォルトソート:てふなんのていり}} [[Category:電気回路の定理]] [[Category:物理学のエポニム]]
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