デデキントゼータ関数のソースを表示
←
デデキントゼータ関数
ナビゲーションに移動
検索に移動
あなたには「このページの編集」を行う権限がありません。理由は以下の通りです:
この操作は、次のグループに属する利用者のみが実行できます:
登録利用者
。
このページのソースの閲覧やコピーができます。
'''デデキントゼータ関数'''(デデキントゼータかんすう、{{lang-en-short|Dedekind's zeta function}})とは、 [[代数体]] ''K'' に対して {{Indent|<math> \zeta_K(s) = \sum_{\mathfrak{a}}\frac{1}{(N\mathfrak{a})^s} </math>}} で表される[[関数 (数学)|関数]]のことをいう。ただし、和は ''K'' の整[[イデアル]]<ref>''K'' の[[代数体#整数環|整数環]]のイデアルのこと。</ref>全てを動き、<math>\scriptstyle N\mathfrak{a}</math> は整イデアル <math>\mathfrak{a}</math> の[[代数体#イデアルのノルム|ノルム]]である。従って、デデキントゼータ関数は、[[ヘッケL関数|ヘッケのL関数]]の特別な場合である。 特に、''K'' が[[有理数]]体のとき、[[リーマンゼータ関数]]になる。 与えられた[[整数]] ''n'' に対して、ノルムが ''n'' である整イデアルは有限個しかなく、ノルムは正整数であるので、 デデキントゼータ関数は、 {{Indent|<math> \zeta_K(s) = \sum_{n=1}^{\infty}\frac{F_n}{n^s}\ \ \ \ (F_n\in\mathbb{Z}) </math>}} と、[[ディリクレ級数]]の形で表すことが出来る。 デデキントゼータ関数は、<math>\scriptstyle\operatorname{Re}\ s>1</math> に対して、[[総和#絶対収束・条件収束|絶対]]かつ[[一様収束]]する。従って、<math>\scriptstyle\operatorname{Re}\ s>1</math> で、<math>\zeta_K(s)</math> は[[正則関数]]である。 == 関数等式 == ''n'' 次代数体 ''K'' に対して、デデキントゼータ関数は次の関数等式を満たす: {{Indent|<math> \zeta_K(1-s) = |D_K|^{s-1/2}\left(\cos\frac{\pi s}{2}\right)^{r_1+r_2}\left(\sin\frac{\pi s}{2}\right)^{r_2}(2(2\pi)^{-s}\Gamma(s))^n\zeta_K(s) </math> 。}} ただし、<math>r_1,\ 2r_2</math> は ''K'' の[[代数体#共役体|実共役体]]、[[代数体#共役体|虚共役体]]の個数とする。 特に、''K'' を有理数体にすれば、よく知られたリーマンゼータ関数の関数等式 {{Indent|<math> \zeta(1-s) = 2(2\pi)^{-s}\cos\left(\frac{\pi s}{2}\right)\ \Gamma(s)\ \zeta(s) </math>}} が成立する。 さらに、<math>\zeta_K(s)</math> に対する、代数体 ''K'' の完備ゼータ関数を {{Indent|<math> Z_K(s) = |D_K|^{s/2}2^{-(s-1)r_2}\pi^{-ns/2}\Gamma(s/2)^{r_1}\Gamma(s)^{r_2}\zeta_K(s) </math>}} とおけば<ref>''K'' を有理数体にすれば、[[リーマンゼータ関数#ゼータ関数の表示と関数等式|完備ゼータ関数]]になる。</ref>、関数等式 {{Indent|<math> Z_K(1-s) = Z_K(s) </math>}} を満たし、<math>\scriptstyle\mathbb{C}\setminus\{1\}</math> に[[解析接続]]できる。従って、<math>\zeta_K(s)</math> は <math>\scriptstyle\mathbb{C}\setminus\{1\}</math> まで解析接続できる。 解析接続できない <math>s=1</math> では、デデキントゼータ関数は 1 位の[[特異点#数学|極]]で、[[留数]]は {{Indent|<math> \kappa = \frac{2^{r_1}(2\pi)^{r_2}}{w|D_K|^{1/2}}h_KR </math>}} である。つまり、 {{Indent|<math> \zeta_K(s) = \frac{\kappa}{s-1} + O(1)\ \ \ (s\to 1+0) </math>}} である<ref>''K'' を有理数体にすれば、<math>\kappa = 1</math> であるので、リーマンゼータ関数に対する <math>s=1</math> の留数に等しい。</ref>。 ただし、<math>r_1,\ 2r_2</math> は ''K'' の実共役体、虚共役体の個数、''w'' は、''K'' に含まれる 1 のベキ根の個数、<math>h_K,\ R</math> は、それぞれ ''K'' の[[代数体#類数|類数]]、[[代数体#単数基準|単数基準]]とする。 == デデキントゼータ関数の零点 == (1) 自明な零点 : <math>\zeta_K(s)</math> と <math>\zeta_K(1-s)</math> との関係式から自明な零点を求めることができる。 :* ''K'' が[[代数体#共役体|総実体]]のとき :*: 任意の正整数 ''k'' に対して、<math>\zeta_K(-2k) = 0</math> 。 :* ''K'' が[[代数体#共役体|総実体]]ではないとき :*: 任意の正整数 ''k'' に対して、<math>\zeta_K(-k) = 0</math> 。 (2) 非自明な零点 ''s'' が、<math>\scriptstyle\operatorname{Re}\ s > 0</math> である零点とすれば、<math>\scriptstyle Rs\ s=1/2</math> であると予想されている。これを'''拡張されたリーマン予想'''という。リーマンゼータ関数に対する[[リーマン予想]]をその特別な場合として含む予想であり、現在でも未解決である。 == オイラー積 == 任意の整イデアルは、[[素イデアル]]の積で表すことができるので、デデキントゼータ関数は、以下のオイラー積表示を持つ。 <math>\scriptstyle\operatorname{Re}\ s>1</math> のとき、 {{Indent|<math> \zeta_K(s) = \prod_{\mathfrak{p}}\frac{1}{1 - (N\mathfrak{p})^{-s}} </math> 。}} ただし、積は ''K'' の素イデアル全てを動くものとする。 == ディリクレのL関数との関係 == デデキントゼータ関数のオイラー積表示により、素イデアルのノルムの値からデデキントゼータ関数を具体的に計算することができる。素イデアルのノルムは、有理素数<ref>有理整数である素数のこと。</ref>の素イデアル分解の結果から求めることができるが、''K'' が一般の代数体の場合、素イデアル分解が複雑であるので、具体的に計算することは大変難しい。 しかし、''K'' が[[二次体]]または[[円分体]]であれば、素イデアル分解の様子がよく分かっているので、オイラー積を計算することができ、その結果、デデキントゼータ関数を[[L関数|ディリクレのL関数]]を用いて表現することができることが知られている。 (1) ''K'' が二次体の場合 ''K'' の判別式を ''D'' とし、<math>\chi_D</math> を法 ''D'' に関する[[クロネッカー指標]]とすると、 {{Indent|<math> \zeta_K(s) = \zeta(s)L(\chi_D,\ s) </math>}} が成立する。 (2) ''K'' が円分体の場合 <math>\scriptstyle K=\mathbb{Q}(\zeta_m)</math> <math>(m>2)</math> とする。 {{Indent|<math> \zeta_K(s) = \prod_{\chi}L(\chi, s) = \zeta(s)\!\!\prod_{\chi\ne\chi_0}\!\!L(\chi, s) </math>}} が成立する。ここで、最初の積は、法 ''m'' に関する原始的[[ディリクレ指標]]全てにわたる積とし、二番目の積は、法 ''m'' に関する原始的ディリクレ指標のうち、単位指標以外のもの全てにわたる積である。 さらに、任意の有理数体の[[アーベル拡大|アーベル拡大体]] ''K'' は、ある円分体の部分体であるので([[クロネッカー・ウェーバーの定理|クロネッカー=ウェーバーの定理]])、上のことから、<math>\zeta_K(s)</math> は、いくつかのディリクレL関数の積で表すことができる。 == 応用例 == デデキントゼータ関数を用いた応用例として、2つの平方数の和で表す方法の数を求めてみることにする。 これは[[ヤコビの二平方定理]]として知られ、いろいろな証明方法が知られているが([[ヤコビの二平方定理#証明|ヤコビの二平方定理の証明]]を参照)、ここでは、デデキントゼータ関数を使った方法で証明してみる。 <math>\scriptstyle K=\mathbb{Q}(\sqrt{-1})</math> とおき、''K'' 上のデデキントゼータ関数 <math>\zeta_K(s)</math> を二通りの方法で計算する。 まずは、ディリクレ級数の形でデデキントゼータ関数を表し、その係数を求めてみる。 {{Indent|<math> \zeta_K(s) = \sum_{n=1}^{\infty}\frac{F_n}{n^s}\ \ \ \ (F_n\in\mathbb{Z}) </math>}} とおくと、 : <math>F_n = \frac{1}{4}\#\{(a, b)| a^2 + b^2 = n,\ a,\ b \in\mathbb{Z} \}</math><ref>4 で割るのは、<math>\scriptstyle a+bi,\ -a-bi,\ b-ai,\ -b+ai</math> が全て同じイデアルに属するからである。</ref> が成立するので、<math>F_n</math> は、''n'' を2つの平方数の和で表す方法の数の4倍に等しい。慣例に従って、2つの平方数の和で表す方法の数を <math>r_2(n)</math> と書くと、 {{Indent|<math> \zeta_K(s) = \sum_{n=1}^{\infty}\frac{(1/4)r_2(n)}{n^s} </math>}} と表される。 さて、''K'' は二次体であるので、<math>\zeta_K(s)</math> は、リーマンゼータ関数と、クロネッカー指標からなるディリクレL関数の積で表される。<math>\scriptstyle K=\mathbb{Q}(\sqrt{-1})</math> のクロネッカー指標を具体的に求めることにより、 {{Indent|<math> \zeta_K(s) = \zeta(s)\!\!\!\!\!\!\!\prod_{p;\operatorname{odd}\ \operatorname{prime}}\!\!\!\!\!\!\!\left(1-(-1)^{(p-1)/2}p^{-s}\right) </math>}} が成立する。二通りに表された <math>\zeta_K(s)</math> を比較することにより、 {{Indent|<math> r_2(n) = 4\sum_{2\nmid d|n}(-1)^{(d-1)/2} </math>}} が成立する。これはヤコビの二平方定理に他ならない。 さらなる応用として、''K'' を別の二次体 <math>\scriptstyle(\mathbb{Q}(\sqrt{-2}),\ \mathbb{Q}(\sqrt{-3})</math> にすることで、上と同じ方法で、<math>\scriptstyle x^2+2y^2,\ x^2+3y^2</math> の形での表し方の数を求めることができる。 == 注釈 == <references /> == 参考文献 == * {{Cite book|和書|last=ノイキルヒ|first=J.|translator=足立恒雄(監修)・梅垣敦紀|year=2003|title=代数的整数論|publisher=シュプリンガー・フェアラーク東京|location=東京}} == 関連項目 == *[[代数体]] *[[代数的整数論]] *[[リーマンゼータ関数]] {{DEFAULTSORT:ててきんとせえたかんすう}} [[Category:ゼータ関数とL関数]] [[Category:数論]] [[Category:数学に関する記事]]
このページで使用されているテンプレート:
テンプレート:Cite book
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Indent
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Lang-en-short
(
ソースを閲覧
)
デデキントゼータ関数
に戻る。
ナビゲーション メニュー
個人用ツール
ログイン
名前空間
ページ
議論
日本語
表示
閲覧
ソースを閲覧
履歴表示
その他
検索
案内
メインページ
最近の更新
おまかせ表示
MediaWiki についてのヘルプ
特別ページ
ツール
リンク元
関連ページの更新状況
ページ情報