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'''トグル機構'''は二つの[[リンク]]と一つのスライダーから構成される[[リンク機構]]の一種であり、[[機械要素]]のひとつである。一般的なリンク機構の目的は多くの場合、機械の運動を一定のパターンに束縛するためのものであり、[[伝達要素]]として力を伝えるが、[[てこ]]のように機構それ自体で力を変換するために使われるわけではない。トグル機構は[[倍力機構]]である点が特徴である。 == 原理 == [[File:Toggle joint.png|right|thumb|400px|トグル機構の原理]] 右図で、関節Aは固定されており、Cは固定されていない。また、BはスライダーとしてGの表面上を左右に移動できる。節<math>l</math>は固定点Aに対して自由に回転し、節<math>l</math>と<math>m</math>はそれぞれ関節Cに対して自由に回転できる。Cに対し、ABに垂直な方向から力<math>\boldsymbol{P}</math>を作用させたときにBに働く水平方向の力を<math>\boldsymbol{F}</math>とすると、 :<math> \frac {\boldsymbol{F}}{\boldsymbol{P}} = \frac {\sin\alpha \sin\beta}{\sin (\alpha + \beta)}</math> の関係がある。特に節<math>l,\, m</math>の長さが等しければ<math>\alpha = \beta</math>なので、 :<math> \frac {\boldsymbol{F}}{\boldsymbol{P}} = \frac {1}{2} \tan\alpha </math> となる。(トグル機構の説明ではこちらの式が使われることが多い)。 どちらの式でも節<math>l,\, m</math>が一直線に近付く、すなわち<math>\alpha + \beta</math>が180°に近付くと<math> \frac {\boldsymbol{F}}{\boldsymbol{P}} </math>の値は急速に増大する。従って小さな入力<math>{\boldsymbol{P}} </math>から非常に大きな出力<math>{\boldsymbol{F}}</math>を得ることが出来る。 これは[[クランク (機械要素)|クランク機構]]において、クランク側を[[原動節]]、直線運動の側を[[従動節]]とした場合の、[[死点|上死点]]付近における挙動と同じ物とも考えられる <ref>{{Cite web|和書| author= |date= 2002-12-03 |url= http://koza.misumi.jp/lca/2002/12/92_1.html |title= からくり治具の素:倍力構造−1 |pages= ローコストオートメーション講座 第92回 |work = エンジニアのための技術講座 |publisher= MISUMI |language=Japanese |accessdate= 2010-11-21}}</ref> <ref>{{Cite web|和書| author= |date= 2002-12-10 |url= http://koza.misumi.jp/lca/2002/12/93_2.html |title= からくり治具の素:倍力構造−2 |pages= ローコストオートメーション講座 第93回 |work = エンジニアのための技術講座 |publisher= MISUMI |language=Japanese |accessdate= 2010-11-21}}</ref>。 ただし、必ずしもこのような構造でなくても、単にリンクを用いた倍力機構を「トグル機構」と呼ぶ場合もある <ref>{{cite book |title= 機構学のアプローチ |series = 技能ブックス15|author= 齋藤次郎| editor= |year= 1976 |publisher= 大河出版|location= |isbn=4-88661-415-9 |pages= 152-153 }}</ref>。 == 利用 == トグル機構は、人力程度の入力でも非常に大きな出力が得られるため、手動式の[[印刷機]]や[[プレス機]]、締めつけ[[工具]]など、人力で駆動し、強い[[圧力]]を必要とする機械や工具に広く用いられている。 [[File:SceneryWagonBrake.jpg|right|thumb|200px|トグル機構を利用したクランプの例]] 右写真はトグル機構を用いた締め付け用[[クランプ (工具)|クランプ]]である。このようなクランプは各種の[[加工]]現場においてワーク(加工対象物)を固定する目的などによく用いられる。 [[ナックルプレス]]もトグル機構の応用の一つである。また[[大砲]]のネジ式[[閉鎖機]]を締めつけるための機構としても使われている <ref>{{cite book |title= メカニズムの事典 |author= | editor= 伊藤茂|year= 1983 |publisher= 理工学社|location= |isbn= 4-84452006-7 |pages= 47}}</ref>。 近年では、トグル機構を利用した建築用[[制震装置]]も実用化されている <ref>{{cite journal |author= 加藤元,大塚功一,江原栄次 |year= 2003 |title=てこの原理で地震を制する,〜トグル機構を用いた建築用制震装置 |journal= 川田技報 |volume= 22 |issue= |pages= 88-89 | publisher = 川田工業株式会社 |location = |doi = | bibcode = | id = | url = http://www.kawada.co.jp/technology/gihou/pdf/vol22/22_gijyutu_01.pdf| accessdate =2010-11-21 }}</ref>。 == 脚注と参考文献== <references/> *{{Cite web|和書| author= | url= http://www.tetras.uitec.ehdo.go.jp/download/kankoubutu/i-109-05.pdf |title= 基本的な機械要素演習 |pages= |work = |publisher= 職業訓練機構 |language=Japanese |format= PDF |accessdate= 2010-11-21}} {{DEFAULTSORT:とくるきこう}} [[Category:機械要素]] [[en:Toggle mechanism]]
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