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[[Image:Trimethylsilyl_group.PNG|thumb|right|200px|トリメチルシリル基の構造式]] '''トリメチルシリル基'''(トリメチルシリルき、trimethylsilyl group)とは、[[有機化学]]にあらわれる、3個の[[メチル基]]が[[ケイ素]]に結びついた構造を持つ1価の[[置換基]] (−Si(CH<sub>3</sub>)<sub>3</sub>) のこと。[[有機合成]]では[[保護基]]として用いられる。略して '''TMS''' と表される。 天然化合物には、トリメチルシリル基を持つものは発見されていない。 == 利用 == [[アルコール]]や[[フェノール類]]、[[カルボン酸]]など、[[ヒドロキシ基]]のためなどで揮発性が低い化合物にトリメチルシリル基を導入すると、その揮発性を高めることができる。ヒドロキシ基 (−OH) に対し、適切なトリメチルシリル化剤を作用させて水素を置き換え、'''トリメチルシロキシ基''' (−OSi(CH<sub>3</sub>)<sub>3</sub>) とする。このときの生成物は[[シリルエーテル|トリメチルシリルエーテル]]である。 : <chem>R-OH\ + TMS-X\ + \mathit{Base} -> R-O-TMS\ + \mathit{Base} \bullet HX</chem> すると、官能基の極性が下がるために揮発性が高まり、[[ガスクロマトグラフィー]]や[[質量分析法]]への適用が容易となる。 有機合成ではトリメチルシリル基を[[保護基]]として用いる。ヒドロキシ基を持つ化合物にある反応を施したい、しかしその反応でヒドロキシ基が存在すると副反応が起こってしまう、という場合に、一時的にヒドロキシ基上にトリメチルシリル基を導入してトリメチルシロキシ基の形にすることで、その副反応を回避することができる。 <!--翻訳ここまで。英語版には引き続き NMR の話題がありますが、重要性と関連性が低いと判断して持ち込みませんでした。--> ほかトリメチルシリル基は、[[チオール基]] (−SH)、末端[[アルキン]] (−C≡CH) の保護基としても用いられる。 == トリメチルシリル化 == アルコールのヒドロキシ基をトリメチルシリル基で保護するための試薬の組み合わせはさまざまな状況に応じたものが確立している。代表例として、[[クロロトリメチルシラン]]と[[トリエチルアミン]]を用いる方法を挙げる。 : <chem>R-OH\ + TMS-Cl\ + (CH3CH2)3N -> R-O-TMS\ + (CH3CH2)3N \bullet HCl</chem> ほか、強力なトリメチルシリル化剤として、[[N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド|''N'',''O''-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド]] (CH<sub>3</sub>C(O−TMS)=N−TMS)、[[トリメチルシリルイミダゾール]] (TMS−Im、Im は[[イミダゾール]]環)などが知られ、[[立体障害]]が高いアルコールや、確実に高[[収率]]を得たい局面で用いられる。 == 脱保護 == ヒドロキシ基をトリメチルシリル基で保護したトリメチルシロキシ基は、中性の有機溶媒や酸化剤・還元剤、有機金属などの[[求核剤]]に対しては比較的耐久性を示すが、水溶液、酸、塩基には弱く、容易に分解して元のヒドロキシ基に戻る。[[炭酸カリウム]]の[[メタノール]]懸濁液を用いる手法は一般的なもののひとつである。フッ化物イオンも O−Si、C−Si 結合の切断に用いられ、有機溶媒中では[[フッ化テトラブチルアンモニウム]] (TBAF) の使用が一般的である。 [[Image:Desilylation with fluoride.png|500px|center|フッ化物イオンによるトリメチルシリル基の脱保護]] より頑強な保護基が必要な場合は、[[トリエチルシリル基]] (−Si(CH<sub>2</sub>CH<sub>3</sub>)<sub>3</sub>, TES)、[[tert-ブチルジメチルシリル基|''tert''-ブチルジメチルシリル基]] (−Si(CH<sub>3</sub>)<sub>2</sub>C(CH<sub>3</sub>)<sub>3</sub>, TBDMS or TBS) など、立体障害の高いものが用いられる。{{see also|シリルエーテル}} == 参考文献 == * Greene, T. W.; Wuts, P. G. M. ''Protective Groups in Organic Synthesis'', 3rd ed.; Wiley: New York, 1999. ISBN 0-471-16019-9. {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:とりめちるしりるき}} [[Category:保護基]] [[Category:官能基]] [[Category:有機ケイ素化合物]]
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