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[[Image:Diamminesilver(I)-3D-balls.png|thumb|right|200px|ジアンミン銀(I)イオン[Ag(NH<sub>3</sub>)<sub>2</sub>]<sup>+</sup>の[[球棒モデル]]]] '''トレンス試薬'''(トレンスしやく、[[英語|英]]:Tollens' reagent)は、[[アンモニア]]性[[硝酸銀]][[水溶液]]である。硝酸銀水溶液にアンモニア水を加えると、[[酸化銀(I)|褐色の沈澱]]を生じるが、さらにアンモニア水を加えると、沈殿が溶けて無色透明な水溶液ができる。''Ag(NH<sub>3</sub>)<sub>2</sub>OH''で表すこともある。実際水溶液中にはジアンミン銀(I)イオン[[錯体]]として存在する。[[アルデヒド]]や[[還元糖]]の検出に用いられる。トレンス試薬の名称は、発見者である{{仮リンク|ベルンハルト・トレンス|en|Bernhard Tollens}}の名に由来する<ref name=chem>{{Cite book|和書|author=丹羽一彦|editor=化学大辞典編集委員会(編)|title=化学大辞典|volume=1|pages=532-533頁|edition=縮刷版第26版|publisher=共立|year=1981|month=10}}</ref>。 == 調製 == トレンス試薬は、硝酸銀溶液に[[水酸化ナトリウム]]溶液を加え、生じた沈殿を[[アンモニア]]水を加えて溶解させることで調製される。この際、アンモニア水の添加が過剰になるとアルデヒドや還元糖の検出感度が低下するため、2%ほどの薄いアンモニア水を徐々に加えることでアンモニア過剰になることを防がなければならない<ref name=chem/>。 == 用途 == === アルデヒドの検出 === ジアンミン銀(I)錯体は、[[酸化剤]]であり[[銀]]が還元されてガラス面にきれいな銀鏡を作る。これは[[アルデヒド]]の検出試験に使われ、[[カルボン酸]]が生成する<ref>{{Cite book|和書|author=山口良平、田村類 、山本行男|year=2010|title=ベーシック有機化学|publisher=化学同人|edition=第2版|isbn=4759814396}}</ref>。 [[2,4-ジニトロフェニルヒドラジン]]で[[カルボニル基]]を確認し、次にトレンス試薬を用いて[[化合物]]が[[アルデヒド]]であるか[[ケトン]]であるかを確かめることができる。 アルデヒドまたはケトンにトレンス試薬を加えるとき、[[試験管]]の[[水溶液]]を加熱する。もし反応物がアルデヒドならば銀鏡が表れる。もしケトンであれば[[酸化]]しないので反応は起こらない。ケトンはカルボニル基の[[炭素]]に酸化反応が起こる[[水素]][[原子]]が無いためである。 また、トレンス試薬は[[フェーリング液]]と同様に[[ギ酸]]に対しても反応を起こす。 [[File:Redox Tollens Oxidationszahlen C.svg|thumb|center|500px|トレンス試薬を使ったアルデヒドの検出]] === 銀アセチリド === [[金属アセチリド]]は[[アセチレン]]の[[水素]]の一方、あるいは双方を金属で置換した[[炭化物]]の一種の総称である。単にアセチリドとも称する。 アセチレンをアンモニア性硝酸銀水溶液''Ag(NH<sub>3</sub>)<sub>2</sub>OH''に通すと、代表的なアセチリドである銀アセチリド(アセチレン銀)を生じる<ref>専門基礎ライブラリー『基礎化学1 物質の構成と変化』 ISBN 978-4-407-30853-2 実教出版株式会社, 2006年第1刷発行</ref>。 : <chem>HC\equiv CH\ + 2Ag^+ -> AgC\equiv CAg\ + 2H^+</chem> == 安全性 == トレンス試薬は放置すると爆発性の[[雷銀]]を生成するため、使用直前に調製する必要がある。また、廃液も酸性にする、塩化ナトリウムを加えるなどの方法で処理する必要がある<ref>[http://rika.el.tym.ed.jp/cms/53165b66/71216a5f53165b663082306e4f5c308a/93e1 鏡] [[富山県]]総合教育センター、2011年6月15日閲覧。</ref>。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{reflist}} == 関連項目 == * [[銀鏡反応]] *[[フェーリング反応]] {{Chem-stub}} {{DEFAULTSORT:とれんすしやく}} [[Category:人名反応]] [[Category:指示薬]] [[Category:銀の化合物]] [[Category:配位化合物]]
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