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'''トーリック多様体'''(とーりっくたようたい、英toric variety)とは、直感的に言えば「[[トーラス]]が”ぎっしりと"詰まった特殊な代数多様体」のこと<ref name="Fuji">藤野 修「[https://www.math.kyoto-u.ac.jp/~fujino/TW-HP.pdf トーリックの世界-森理論入門-]」京都大学数理解析研究所、3.7頁。</ref>であり、'''トーラス埋め込み'''(torus embedding)とも呼ばれる。[[代数幾何学]]で論じられるトーリック多様体は、[[強凸]]有理多面錐(cone)の集まりである扇(fan)によって記述できる。 ==概要== 代数幾何学におけるトーリック多様体もしくはトーラス埋め込みとは、[[トーラス#代数トーラス|代数的トーラス]]を[[稠密集合|稠密]]な開[[部分集合]]として含む代数多様体であり、トーラス上の自身への[[群作用|作用]]を多様体全体に拡張できるようなものをいう。{{仮リンク|正規多様体|label=正規|en|normal variety}}(normal)多様体であることを求める場合もある。代数幾何学において、トーリック多様体は重要かつ豊富な例を提供しており、さまざな定理の検証場所となっている。トーリック多様体の幾何は、対応する扇の[[組合せ数学|組み合わせ論]]により完全に決定されるため、計算も行いやすい。特定のケース、とはいえトーリック多様体のごく一般的なクラスにおいて、この情報はまた[[ポリトープ|超多面体]](polytope)にコード化され、[[:Category:凸幾何学|凸幾何学]]の問題と強いつながりを持つ。よく知られているトーリック多様体の例としては、[[アフィン空間]]や[[射影空間]]、射影空間の[[積位相|積]]および射影空間上の[[束 (位相幾何学)|束]]がある。 ==トーラスからのトーリック多様体== トーリック多様体を研究する元々の動機は、トーラスの埋め込みを研究することにあった。代数多様体 T が与えられると、[[指標理論|指標]]の[[群 (数学)|群]] Hom(T,'''C'''<sup>x</sup>) は[[格子 (数学)|格子]]を形成する。この格子の部分集合である点Aの集まり {{Refnest|group="注釈"|集まり(collection) は、数学用語の集合(set) と用語を区別するための記述。}} が与えられると、各点は'''C'''への[[写像]]を決定し、従ってその集まりは '''C'''<sup>|A|</sup> への写像を決定する。そのような写像の像の[[ザリスキー位相|ザリスキー閉包]]をとることにより、 [[アフィン多様体]] が得られる。仮に格子点の集まり A が指標格子を生成する場合、この多様体はトーラス埋め込みである。同様のやり方で、上方の写像の射影[[位相空間論#開核と閉包|閉包]]を取りこむことにより、それを射影空間のアフィンパッチ {{Refnest|group="注釈"|このパッチとは、 曲面を数学的に記述する場合の基本的な曲面素の事<ref>「[https://tf-tms.jp/glossary/getword.php?w=%E3%83%91%E3%83%83%E3%83%81 パッチとは] 」業界用語辞典、東京映画映像学校HP。2018年9月24日閲覧。</ref>。}} の中への写像だと見なすことで、[[媒介変数表示]](以後、パラメータ化)された射影トーリック多様体が生成するのである。 射影トーリック多様体が与えられると、1-パラメータの[[部分群]]によりその幾何を精査できるだろうことに気づく。格子内の点によって決定され、指標格子と[[双対]]をなす、各々の1-パラメータ部分群は射影トーリック多様体内部の穴あき曲線である。その多様体は[[コンパクト空間|コンパクト]]であるので、この穴あき曲線は一意的な[[集積点|極限点]]を持つ。したがって、穴あき曲線の極限点で1パラメータの部分群格子を分割することにより、多面体有理錐の集まりである格子扇が得られる。最高次元の錐は、これら穴あき曲線の極限、トーラス[[不動点]]に正確に対応している。 ==扇(fan)のトーリック多様体== N を有限階数の[[自由アーベル群]]とする。N内の強凸有理多面錐は原点に頂点を持った[[凸錐]](Nの実ベクトル空間での)であり、原点を通る直線を含まない有限個のNのベクトルにより生成される。これらを以後、簡潔に「錐(cone)」と呼ぶこととする。 各々の錐 σ について、アフィントーリック多様体 U<sub>σ</sub> はその[[双対錐と極錐|双対錐]]の[[半群代数]]のスペクトルである。 '''扇'''(fan)とは、錐の集合であって、[[共通部分 (数学)|共通部分]]を取る操作や錐の面を取る操作に関して閉じているものをいう。 <!--訳しかたについて。A fanis a collection of cones closed under taking intersections and faces.に出てくるunderが「の下に」では、トーリック多様体の扇の説明として合致しない。「under ●●ing、●●している最中」が正しいと思われ、「取りこんでいる」との訳を付けた。 ↑closed under ...で、「(ここではcollectionが)...(という操作)に関して閉じている」という意味で使われているようです。ここでは、「(1)扇に属する錐たちに対して、それらの共通部分もまた扇に属する。」「(2)扇に属する錐に対して、その面もまた扇に属する。」ということが原文の含意でしょう。 --> 扇に対応するトーリック多様体は、扇に属するそれぞれの錐について対応するアフィントーリック多様体を構成し、それを「σ が τ の面であるとき、U<sub>σ</sub>をU<sub>τ</sub>の開部分多様体だとみなす」という同一視によって貼り合わせることによって得られる。逆に、強凸有理錐の全ての扇は対応するトーリック多様体を有する。 トーリック多様体に対応る扇には、多様体に関する重要なデータが凝縮している。例えば、扇に属する全ての錐が自由アーベル群 N の[[基底 (位相空間論)|基底]]であるような部分集合によって生成される場合、多様体は[[滑らかな代数多様体|滑らか]]である。 ==トーリック多様体の射== Δ<sub>1</sub> と Δ<sub>2</sub> が格子 N<sub>1</sub> と N<sub>2</sub> の扇だとする。仮に、f が N<sub>1</sub> から N<sub>2</sub> への[[線型写像]]で、Δ<sub>1</sub> のすべての錐の[[像 (数学)|像]]がΔ<sub>2</sub> の錐の中に含まれる場合、f は対応するトーリック多様体の間に[[射 (圏論)|射]] f<sub>*</sub>を引き起こす。写像f: 写像 |Δ<sub>1</sub>| → |Δ<sub>2</sub>|が[[全射]]的(onto)である時に限り、写像 f<sub>*</sub>が[[固有写像|固有]]であることが成り立つ、ここでの|Δ| はその錐の[[和集合|合併]]により与えられる扇Δの台(underlying) {{Refnest|group="注釈"|錐の和集合∪σ∈Δσを扇の台と呼ぶ<ref name="Fuji" />。}}となる空間である。 <!--全射の表記法について。ここの原文は"if and only if the map f maps |Δ1| onto |Δ2|"で、恐らくmap fの次に:が抜けたと考えて翻訳時に補完。間違っていたら修正願います。--> ==特異点の解消== トーリック多様体は、仮に最大次元の錐が格子の基底から生成されるならば、[[代数多様体の特異点|非特異]]である。 これは全てのトーリック多様体が、その最大錐を非特異トーリック多様体の錐に細分化することで構築されうる、別のトーリック多様体によって与えられた[[特異点解消]]を有することを意味する。 <!--後半の文章、This implies that every toric variety has a [[resolution of singularities]] given by another toric variety, which can be constructed by subdividing the maximal cones into cones of nonsingular toric varieties.の訳がやや自信薄です(知識が追い付いていないため)。直せる方は修正願います。--> ==凸超多面体のトーリック多様体== N内の 有理な[[ポリトープ#超多面体の重要なクラス|凸超多面体]](convex polytope) {{Refnest|group="注釈"|複素空間の扱いが前提となるトーリック多様体の国内テキストでは、通常「凸多面体」とだけ記される。実際は凸超多面体のこと。}} の扇は、固有の面の上方にある錐で構成される。超多面体のトーリック多様体とは、その扇のトーリック多様体である。この構造の多様体は、Nの双対にある有理な超多面体をとることができ、N内にてその[[極集合]]のトーリック多様体をとることができる。 <!-- 「とる」について。英語原文は"A variation of this construction is to take a rational polytope in the dual of N and take the toric variety of its polar set in N. "この2箇所出てくるtakeが、扇で訳したtake「取りこむ」と同じ意味なのか自信がなく(というか多分違う意味)、単に「とる」としました。知識をお持ちの方は修正願います。 --> トーリック多様体は、[[ファイバー (数学)|ファイバー]]がトーラス位相となるNの双対の中に、超多面体の写像を有する。例えば、{{仮リンク|複素射影平面|en|complex projective plane}}(complex projective plane)'''CP'''<sup>2</sup>は3つの複素座標によって表される。 :<math>|z_1|^2+|z_2|^2+|z_3|^2 = 1 , \,\!</math> ここでの総和は、射影写像での実際の拡大縮小(rescaling) 部分を構成するために選択され、座標は以下の[[円周群| U(1)]]の作用によってさらに識別されなければならない。 :<math>(z_1,z_2,z_3)\approx e^{i\phi} (z_1,z_2,z_3) . \,\!</math> トーリック幾何のアプローチで書くのなら、 :<math>(x,y,z) = (|z_1|^2,|z_2|^2,|z_3|^2) . \,\!</math> 座標 <math>x,y,z</math> は非負で、それらは三角形をパラメータ化する。 :<math>x+y+z=1 ; \,\! </math> つまりは、 :<math>\quad z=1-x-y . \,\!</math> この三角形は複素射影平面の'''トーリック基底'''(toric base)である。その一般的なファイバーは[[トーラス#n次元トーラス|2-トーラス]]であり、<math>z_1,z_2</math>の位相でパラメータ化される。 <math>z_3</math>の位相はU(1) 対称性により正の実数が選択される。 しかしながら、<math>z_1,z_2,z_3</math> の位相がそれぞれ重要でなくなるため、2-トーラスは三角形上の境界上の3つの異なる円、すなわち、<math>x=0</math>または<math>y=0</math>または<math>z=0</math>に[[退化 (数学)|退化]]する。 トーラス内の円の正確な[[向き#多様体の向き|向き]]は、通常、直線区間(この場合、三角形の辺)の傾きにより表される。 == ミラー対称性との関連 == トーリック多様体の考え方は[[ミラー対称性 (弦理論)|ミラー対称性]]にとって有用である、というのも超多面体情報としての特定の扇情報の解釈が、[[カラビ・ヤウ多様体|ミラー多様体]]の幾何学的構成を導くからである。 == 注釈== {{Reflist|group="注釈"}} == 脚注 == <references/> ==参考文献== * {{Cite journal|和書|author=石田正典 |date=2001 |url=https://hdl.handle.net/2433/214747 |title=扇の代数幾何における永田のコンパクト化と交叉複体 |journal=代数幾何学シンポジューム記録 |publisher=京都大学数理解析研究所 |volume=2001 |pages=103-114 |hdl=2433/214747 |CRID=1050282810812180480}}(扇と錐に関する定義についての叙述) * {{Citation | last1=Cox | first1=David | author1-link=David Cox (mathematician)| title=Topics in algebraic geometry and geometric modeling | url=http://www3.amherst.edu/~dacox/ | publisher=Amer. Math. Soc. | location=Providence, R.I. | series=Contemp. Math. | mr=2039974 | year=2003 | volume=334 | chapter=What is a toric variety? | pages=203–223}} *{{citation| first=David A. |last=Cox |first2=John B. |last2=Little |first3=Hal |last3=Schenck |title=Toric varieties |url=http://www.cs.amherst.edu/~dac/toric.html}} *{{Citation | last1=Danilov | first1=V. I. | title=The geometry of toric varieties | mr=495499 | year=1978 | journal=Akademiya Nauk SSSR i Moskovskoe Matematicheskoe Obshchestvo. Uspekhi Matematicheskikh Nauk | issn=0042-1316 | volume=33 | issue=2 | pages=85–134 |doi= 10.1070/RM1978v033n02ABEH002305}} * {{Citation | last1=Fulton | first1=William | author1-link=William Fulton (mathematician) | title=Introduction to toric varieties | publisher=[[Princeton University Press]] | isbn=978-0-691-00049-7 | year=1993}} *{{Citation | last1=Kempf | first1=G. | last2=Knudsen | first2=Finn Faye | last3=Mumford | first3=David | author3-link=David Mumford | last4=Saint-Donat | first4=B. | title=Toroidal embeddings. I | publisher=[[Springer-Verlag]] | location=Berlin, New York | series=Lecture Notes in Mathematics | doi= 10.1007/BFb0070318 | mr=0335518 | year=1973 | volume=339}} *{{Citation | last1=Miller | first1=Ezra | title=What is ... a toric variety? | url=http://www.ams.org/notices/200805/tx080500586p.pdf | mr=2404030 | year=2008 | journal=[[Notices of the American Mathematical Society]] | issn=0002-9920 | volume=55 | issue=5 | pages=586–587}} *{{Citation | last1=Oda | first1=Tadao | title=Convex bodies and algebraic geometry | publisher=[[Springer-Verlag]] | location=Berlin, New York | series=Ergebnisse der Mathematik und ihrer Grenzgebiete (3) [Results in Mathematics and Related Areas (3)] | isbn=978-3-540-17600-8 | mr=922894 | year=1988 | volume=15}} == 参照項目 == *[[エルハート多項式]] *{{仮リンク|ゴルダンの補題|en|Gordan's lemma}}(Gordan's lemma) *{{仮リンク|トーリックイデアル|en|toric ideal}}(toric ideal) *{{仮リンク|トーリックスタック|en|toric stack}}(toric stack)(大まかには、これは、{{仮リンク|商スタック|en|quotient stack}}(quotient stack)で{{仮リンク|GIT商|en|GIT quotient}}(GIT quotient)を取る段階を置き換えることによって得られる。) *{{仮リンク|トロイダル埋め込み|en|Toroidal embedding}} ==外部リンク== * [http://www3.amherst.edu/~dacox/ Home page] of D. A. Cox, with several lectures on toric varieties {{DEFAULTSORT:とおりつくたようたい}} [[Category:代数幾何学]] [[Category:数学に関する記事]]
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