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{{出典の明記|date=2016年4月}} '''ド・ブロイ波'''(ド・ブロイは、{{lang-en-short|de Broglie wave}})とは、光子を含む運動する物質一般に付随する波動現象を言う。光子の[[粒子]]性と[[波動]]性を結びつけるために導入した概念を物質粒子一般に拡大適用したものとして、1924年にフランスの物理学者の[[ルイ・ド・ブロイ]]によって提唱された<ref> {{citation | author=L. de Broglie | title=Recherche sur la théorie des quanta | journal=Ann. de Phys. | volume=3 | issue=10 | pages=22-128 | year=1925 }} </ref>。'''物質波'''とも呼ばれる<ref group="注釈">あくまで物質粒子の粒子性と波動性の統一を意図したものであり、すべての物質粒子の存在を波動現象に還元させることは明確には主張されていない。</ref>。 [[エルヴィン・シュレーディンガー]]は、このド・ブロイ波の考え方を発展させることで[[シュレディンガー方程式]]を得た。解釈に難点があり一時放棄されていたが[[デヴィッド・ボーム]]によって復活させられた<ref>[[#ボーム(1957) |ボーム(1957) ]]</ref>([[ボーム解釈|ド・ブロイ–ボーム解釈]])。 == 概要 == [[エネルギー]]''E''と[[運動量]]''p''を持つ粒子は、次の[[周波数]]''ν''および[[波長]]''λ''を持つ波としての性質も持つ。これをド・ブロイ波あるいは物質波と呼ぶ。 :<math> \nu = \frac{E}{h}</math>、<math>\quad \lambda = \frac{h}{p}</math> ここで''h''は[[プランク定数]]である。この波長''λ''を特に'''ド・ブロイ波長'''という。この式は、[[光電効果]]を説明するため提案された[[アインシュタイン]]の光量子仮説や[[コンプトン散乱]]によって明らかになった光の粒子性についての式 :<math> E = h\nu</math>、<math>\quad p = \frac{h}{\lambda}</math> を物質一般に拡張し、物質粒子も波としての性質を持つとみなして得られる式である。 なお、質量''m''を持つ非相対論的粒子の場合、その運動速度を''v''とすると、そのド・ブロイ波長は :<math> \lambda ={h \over p} = {h \over mv}</math> と表せる。この式と、原子核の周りを周回する半径''r''の円周軌道の長さはド・ブロイ波長の整数倍でなければならないという条件式 :<math> 2\pi r = n\lambda</math> から、[[ボーアの原子模型]]における[[ボーアの量子条件]]の式 :<math> mvr = {nh \over 2 \pi}\ \ (n=1,2,3,\cdots)</math> が導かれる。すなわちボーアの量子条件は、電子がド・ブロイ波長を持つ波として振る舞うと考えることで自然に導かれるのである。 100V程度の[[電圧]]で加速した時の[[電子]]のド・ブロイ波長は、約1Åで[[X線]]の[[波長]]に近く、[[電子線]]を[[結晶]]に当てて[[干渉縞]]などを観測することによってド・ブロイ波の存在は確認される。1927年に[[ニッケル]]の[[単結晶]]で[[クリントン・デイヴィソン]]らが、同じ年[[ジョージ・パジェット・トムソン]]も[[金属]][[多結晶]]による 電子線の[[回折]]・[[干渉 (物理学)|干渉]]現象を見つけた。また、1928年には日本の[[菊池正士]]も[[雲母]]の薄膜による電子線の干渉現象を観察している。 波としての性質が実際に[[観測]]されるのは、[[電子線]]のような極めて[[微視的]]な状況下であり、通常の日常生活([[巨視的]]な状況)でこれが問題となることは、ごく例外的な状況(例えば[[超流動]])を除いて無い。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} === 注釈 === {{Notelist}} === 出典 === <references /> == 参考文献 == * {{cite book | 和書 | author=広重 徹 | title=物理学史II | series=新物理学シリーズ | publisher=[[培風館]] | year=1968 | ref=広重(1968) }} * {{cite book | 和書 | author=D. ボーム | title=現代物理学における因果性と偶然性 | editor=村田 良夫(訳) | publisher=東京図書 | series=科学技術選書 | year=1969 | ref=ボーム(1957) }} ==関連項目== *[[物理学]] *[[前期量子論]] *[[量子力学]] *[[量子化学]] *[[特殊相対性理論]] *[[熱的ド・ブロイ波長]] {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:とふろいは}} [[Category:量子力学]] [[Category:振動と波動]]
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