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ナトロン
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{{複数の問題 | 出典の明記 = 2016年12月 | 脚注の不足 = 2016年12月 | 独自研究 = 2016年12月 | 正確性 = 2016年12月 }} {{Infobox 鉱物 |name = natron |boxwidth = |boxbgcolor = |image = Natron-3.jpg |imagesize = |alt = Natron (natriumbikarbonat) hevemiddel |caption = Natron (natriumbikarbonat) hevemiddel |category = [[炭酸塩鉱物]] |strunz = 5.CB.10 |dana = 15.1.2.1 |formula = Na{{sub|2}}CO{{sub|3}}{{Unicode|·}}10(H{{sub|2}}O) |system = [[単斜晶系]] |symmetry = <!-- 対称 --> |unit cell = <!-- 単位格子 --> |molweight = <!-- モル質量 --> |habit = <!-- 晶癖 --> |twinning = <!-- 双晶 --> |cleavage = <!-- へき開 --> |fracture = <!-- 断口 --> |tenacity = <!-- 粘靱性 --> |mohs = 1 - 1.5 |luster = [[ガラス光沢]] |color = [[無色]]、[[白色]] |streak = [[白色]] |diaphaneity = <!-- 透明度 --> |gravity = <!-- 比重 --> |density = 1.478 g/cm<sup>3</sup> |polish = <!-- Polish luster --> |opticalprop = <!-- 光学性 --> |refractive = <!-- 屈折率 --> |birefringence = <!-- 複屈折 --> |pleochroism = <!-- 多色性 --> |2V = <!-- 光軸角 2V --> |dispersion = <!-- 分散 --> |extinction = <!-- 消光角 --> |length fast/slow = <!-- 伸長 --> |fluorescence = <!-- 蛍光 --> |absorption = <!-- 吸収スペクトル --> |melt = <!-- 融点 --> |fusibility = <!-- 可融性 --> |diagnostic = <!-- Diagnostic features --> |solubility = <!-- 溶解度 --> |impurities = <!-- 不純物? --> |alteration = <!-- 変質? --> |other = <!-- その他の特性 --> |prop1 = |prop1text = |references = <ref name="mindat">{{Mindat |name = Natron |id = 2858 |accessdate = 2011-10-16 }} {{En icon}}</ref><ref name="webmineral">{{WebMineral |name = Natron |url = https://webmineral.com/data/Natron.shtml |accessdate = 2011-10-16 }} {{En icon}}</ref> |var1 = |var1text = |var2 = |var2text = |var3 = |var3text = |var4 = |var4text = |var5 = |var5text = |var6 = |var6text = }} '''ナトロン'''({{Lang|en|natron}})は、[[炭酸ナトリウム]]10[[水和物]]([[ナトリウム|Na]]{{sub|2}}[[炭素|C]][[酸素|O]]{{sub|3}}'''{{Unicode|·}}'''10[[水|H{{sub|2}}O]])と約17%の[[炭酸水素ナトリウム]](Na[[水素|H]]CO{{sub|3}}、重曹とも)を主成分とする、天然に産出する[[鉱物]]である。通常、これに少量の[[塩]]([[岩塩]]、[[塩化ナトリウム]])や[[硫酸ナトリウム]]が混じっている。ナトロンは[[純度]]が高ければ色がないので白く見えるが、[[不純物]]が含まれていると、[[灰色]]や[[黄色]]を呈する。ナトロン[[鉱床]]は[[塩湖]]が乾燥によって干上がったところにできる。歴史上、古くから様々な用途に使用されてきており、今もその鉱物成分は広く利用されている。 現在の[[鉱物学]]では、ナトロンは炭酸ナトリウム10水和物のみを指すことが多い。 == 語源 == ナトロンの語源は古代[[エジプト語]]の <hiero>R9:D21</hiero> ''netjeri'' であり、そこから[[ギリシア語]]の {{Lang|el|νιτρων}} (nitron) となり、各地の言語に広まった。英語やフランス語では ''natron''、スペイン語では ''{{Lang|es|natrón}}''、アラビア語では {{Lang|ar|نطرون}} (natrun) となっている。[[ナトリウム]]という[[元素]]名もナトロンから派生した現代[[ラテン語]]である。 == 古代における重要性 == [[File:Medio regno, XII-XVII dinastia, ippopotamo in faience, 1938-1539 ac ca. 01.JPG|thumb|right|[[エジプト中王国]] のカバの置物]] [[File:Egyptian - "Malqata Kateriskos" Vessel - Walters 4732 - Profile.jpg|thumb|right|[[エジプト新王国]]の陶器の原料にも使われた]] [[古代エジプト]]では、干上がった塩湖の湖底から塩の[[混合物]]を採掘してナトロンを得ており、数千年に渡って[[石鹸]]や[[洗剤]]のような用途に使ってきた。[[油]]と混ぜることで原始的な石鹸になる。水の[[硬度 (水)|硬度]]を低くしたり、油分を除去するのにも使われた。そのままの形で原始的な[[歯磨き粉]]や[[洗口液]]としても使われた。またナトロンの成分を使って[[消毒薬]]を作り、[[外傷]]に使っていた。また、[[魚]]や[[肉]]の[[防腐剤]]としても使っていた。他にも[[殺虫剤]]として使ったり、[[革]]作りに使ったり、[[衣類]]の[[漂白]]にも使った。 ナトロンは水を吸収するため[[乾燥剤]]としても使えることから、古代エジプトでの[[ミイラ]]作りにも使われた。さらに、[[大気]]中の[[湿気]]にさらされるとナトロンの中の[[炭酸塩]]が反応して[[水素イオン指数|pH]]値が上がるため、[[菌]]が[[繁殖]]しにくくなる。いくつかの[[文化]]では、ナトロンが生者と死者両方の霊的安全性を高めると考えられていた。ナトロンを[[ひまし油]]に混ぜると、燃やしたときに[[煙]]が出なくなるため、古代エジプト人は[[墓]]の中に[[壁画]]を描いたり[[彫刻]]したりする際の灯りの[[燃料]]として使っていた。 ナトロンは[[エジプシャンブルー]]という[[色]]の[[顔料]]を作る際の原料の1つである。これを[[砂]]や[[石灰]]と混ぜ、少なくとも紀元640年ごろまで[[ローマ人]]などが[[陶器]]や[[ガラス]]の製造に使っていた。また、[[融剤]]として[[貴金属]]細工にも使っていた。 === 利用の減退 === ナトロンの用途の多くは、よく似たナトリウム化合物や鉱物で代替されるようになっていった。ナトロンの洗剤的な特性は炭酸ナトリウムによるものであり、現在では精製された炭酸ナトリウム(ソーダ灰)が他の成分と共に使われている。また、ガラス製造におけるナトロンの役割もソーダ灰が代替していった。ナトロンのもう1つの主成分である炭酸水素ナトリウムも精製されて、ナトロンの用途を代替するようになった。 == 炭酸ナトリウム水和物の化学 == ナトロンは炭酸ナトリウム10水和物 (Na{{sub|2}}CO{{sub|3}}'''{{Unicode|·}}'''10H{{sub|2}}O) の鉱物学的名称でもあり、それは歴史的意味でのナトロンの主成分でもある<ref name="webmineral" />。炭酸ナトリウム10水和物の[[比重]]は1.42から1.47で、[[モース硬度]]は1である。[[単斜晶系]]の[[結晶構造]]を持つ。 炭酸ナトリウム水和物という用語は、一般に1水和物 (Na{{sub|2}}CO{{sub|3}}'''{{Unicode|·}}'''H{{sub|2}}O)、10水和物、7水和物 (Na{{sub|2}}CO{{sub|3}}'''{{Unicode|·}}'''7H{{sub|2}}O) などを含むが、[[産業]]用語としては10水和物のみを指す。7水和物と10水和物は、乾燥した空気中では[[風解]]し(水分を失い)、部分的に1水和物の[[テルモナトライト]] Na{{sub|2}}CO{{sub|3}}'''{{Unicode|·}}'''H{{sub|2}}O に変化する。 === ソーダ灰の原料として === 炭酸ナトリウム10水和物は、[[常温]]で安定しているが、{{lang|en|{{convert|32|°C|°F|abbr=on}}}} 以上になると炭酸ナトリウム7水和物 Na{{sub|2}}CO{{sub|3}}'''{{Unicode|·}}'''7H{{sub|2}}O に[[再結晶]]化し、{{lang|en|{{convert|37|°C|°F|abbr=on}}}}-{{lang|en|{{convert|38|°C|°F|abbr=on}}}} 以上になると炭酸ナトリウム1水和物 Na{{sub|2}}CO{{sub|3}}'''{{Unicode|·}}'''H{{sub|2}}O に再結晶化する。鉱物としてのナトロンは、テルモナトライト、[[ナーコライト]]、[[トロナ]]、[[岩塩]]、[[芒硝]]、[[ゲイリュサック石]]、[[石膏]]、[[方解石]]などとともに産することが多い。[[工業]]的に生産される炭酸ナトリウムの多くはソーダ灰、すなわち炭酸ナトリウム無水物 Na{{sub|2}}CO{{sub|3}} であり、[[炭酸水素ナトリウム]]や炭酸ナトリウム1水和物やトロナを150℃から200℃で[[煆焼]]することで得られる。 == 地質学的な形成過程 == [[地質学]]的には、鉱物としてのナトロンや歴史的な意味でのナトロンは[[蒸発岩]]として形成される。すなわち炭酸ナトリウムを多く含む塩湖が干上がる際に結晶化してできる。炭酸ナトリウムは、強[[アルカリ性]]でナトリウムが豊富な[[塩水]]が大気中の[[二酸化炭素]]を吸収することで生成され、次の化学反応式で表される。 : <chem>NaOH(aq)\ + CO2 -> NaHCO3(aq)</chem> : <chem>NaHCO3(aq)\ + NaOH(aq) -> Na2CO3(aq)\ + H2O</chem> 炭酸ナトリウム10水和物の純粋な鉱床は珍しい。これは、この化合物が安定している温度の範囲が狭いことと、二酸化炭素の吸収によって[[炭酸水素塩]]と[[炭酸塩]]の混合水溶液が生み出されるのが普通だからである。この混合水溶液から鉱物のナトロン(および歴史的意味でのナトロン)が形成されるのは、その塩水が干上がっていく際の水温が最高でも {{lang|en|{{convert|20|°C|°F|abbr=on}}}} 程度以下の場合である。塩湖のアルカリ性が非常に強ければ(上の化学反応式からわかるように)炭酸水素塩がほとんど残らないため、{{lang|en|{{convert|30|°C|°F|abbr=on}}}} ぐらいまで水温が上がってもナトロンを形成できる。多くの場合、鉱物としてのナトロンはある程度のナーコライト(炭酸水素ナトリウム)と共に形成され、結果として歴史的な意味でのナトロンのような混合物となる。さもなくば、トロナ<ref>{{WebMineral |name = Trona |url = https://webmineral.com/data/Trona.shtml |accessdate = 2011-10-16 }} {{En icon}}</ref>、テルモナトライト、ナーコライトといった鉱物が一般に形成される。塩湖が干上がる現象は長い時間をかけて進行するため、途中で再び水がたまって塩の鉱床が溶けてまた干上がって結晶化するといったことを繰り返すことがあり、炭酸ナトリウムを含む鉱床は上述した様々な鉱物が層をなした形で形成されることがある。 次の一覧は、ナトロンや類似した炭酸ナトリウム水和物を含む鉱物の主な産地である。 * [[アフリカ]] ** [[チャド]]: [[チャド湖]]畔 ** [[エジプト]]: [[:en:Wadi El Natrun|Wadi El Natrun]] ** [[エチオピア]]: ショワ地域([[:en:Shewa|en]]) * [[ヨーロッパ]] ** [[ハンガリー]]: [[バーチ・キシュクン県]]、[[サボルチ・サトマール・ベレグ県]] ** [[イタリア]]: [[カンパニア州]]、[[ナポリ県]]、[[ヴェスヴィオ]]火山 ** [[ロシア]]: [[コラ半島]]、[[ヒビヌイ山脈]] ** [[イングランド]]: [[コーンウォール]]、セントジャスト([[:en:St Just in Penwith|en]])、ボタラック([[:en:Botallack|en]])-ペンディーン([[:en:Pendeen|en]])一帯 * [[カナダ]] ** [[ケベック州]]: [[モンテレジー地域]]ルイヴィル([[:en:Rouville Regional County Municipality, Quebec|en]])とモン=サン=ティレール([[:en:Mont-Saint-Hilaire, Quebec|en]]) ** [[ブリティッシュコロンビア州]]内陸部 * [[アメリカ合衆国]] ** [[カリフォルニア州]]: [[インヨー郡 (カリフォルニア州)|インヨー郡]] ** [[ネバダ州]]: [[チャーチル郡 (ネバダ州)|チャーチル郡]] ソーダ湖([[:en:Soda Lakes|en]])、[[ハンボルト郡 (ネバダ州)|ハンボルト郡]]、[[ミネラル郡 (ネバダ州)|ミネラル郡]] ** [[オレゴン州]]: [[レイク郡 (オレゴン州)|レイク郡]] ** [[ペンシルベニア州]]: ナトロナ ([[:en:Natrona, Pennsylvania|en]]) ** [[ワシントン州]]: [[オウカノガン郡 (ワシントン州)|オウカノガン郡]] == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} == 参考文献 == <!-- {{Cite book}} --> <!-- {{Cite journal}} --> {{節stub}} == 関連項目 == {{Commonscat|Natron}} * [[鉱物]] - [[炭酸塩鉱物]] * [[鉱物の一覧]] * [[炭酸ナトリウム]] * [[炭酸水素ナトリウム]] * [[トロナ]] * [[岩塩]] * [[硝酸ナトリウム]] == 外部リンク == <!-- {{Cite web}} --> * {{Cite web |author = |date = 2008-07-01 |url = http://www.balashon.com/2008/07/neter-and-nitrogen.html |title = Balashon - Hebrew Language Detective: neter and nitrogen |work = |publisher = |language = 英語 |accessdate = 2011-10-16 }} {{DEFAULTSORT:なとろん}} [[Category:炭酸塩鉱物]] [[Category:ナトリウムの化合物]] [[Category:単斜晶系鉱物]]
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